毎週1回、保護ネコをかまい、話をするボランティアをしているネコ保護センター、ストップフォード・キャット・レスキュー Stopford Cat rescue に続く、田舎の細道です。
夫もボランティアの常連になり、毎週いっしょに顔を出しています。
細道の左側の放牧場に、顔なじみのウマがいます。(冬には、たぶん同じウマたちが道をはさんだ向かいの牧場にいました)
放牧されているウマは、暑い季節になるとたいていどこでも銀行強盗のようなメッシュの覆面をしています。fly mask と書かれた、ハエ除けの防護マスクだそうです。
バットマンのマスクのように両耳を覆うとんがりまでピンピンと立っていてなかなか凝っていますよね。暑くなるとウマの目と耳にたかるハエ fly や、ミッジ midge と呼ばれる緑のコバエがウマの眼病を伝播したり、耳の奥に入り込んだりしてやっかいなことになるようです。
マスクに覆われていない鼻や口にコバエがたかり、ウマは口や鼻をフガフガ動かしてイヤそうでした。
放牧されているウマたちはたいてい、引退した乗馬ウマだそうですが、中には出番の少ない現役もいるかもしれません。
ジャリジャリした舗装されていない細道を徐行する途中、この場所に差し掛かると私はいつもウマに挨拶をするためにクルマから下ります。
夫は私を残してそのままクルマで300mほど離れた保護ネコセンターまで行ってしまいます。
1頭は私のことをおぼえてくれているのか、たいていポカポカと柵のところまで来て鼻で私のことを押してきます。歯をたてずに歯茎と唇の内側で私の腕をはさんで噛んできました。ぜんぜん痛くありません。
仲間のウマもいっしょに来たことがありますが、4回とも来てくれたのはたぶん同じ、この馬之助(命名、私)だけ。
馬之助はどうやら、私に体を搔いてほしいようです。すべすべした首や肩のあたりを爪を立てずにコリコリしてやると「もっとお願い」と言いながら柵に体を擦り付けてきます。
せいぜい1分ほど掻いてやって、「じゃあまた、馬之助、もう行くね」と立ち去る時にいつもいつも、大きなお尻を木の杭に激しく押し付けてくる馬之助...ー番痒いのはお尻らしいのです。
叩けばホコリの出る乾いた泥だらけのお尻を指で掻いてやるのは躊躇します。
私が掻いてやらないとわかった馬之助はお尻を左右に揺らしながら木の杭に激しく擦り付けてかゆさをまぎらします。
以前、この場所でウマが地面にいきなり倒れ込み、のたくり始めたので慌ててクルマから下り、柵まで駆け寄ったことがあります。すぐにピョンっと立ち上がりぽくぽくと歩き始めたのでほっとしました。お背中が痒かっただけなようです。
ウマって痒がりなのでしょうか。それともノミでもいる?
人間のように痒い所に届く手をもっていないウマが不憫です。ウマはネコのように足で掻くこともできませんし。
夫は「今度、こっそりニンジンを持ってきて手なずけたらどうだ?」と言っています。いい考えかもしれません。
それより、家にある庭掃除用の短い柄付きのデッキブラシを持ってきて背中やお尻をガシガシ掻いてやったらもっと喜ばれそうです。「はい、並んで並んで!次はあなた?痒いのはどこ?」なんてウマの需要にこたえて人気者になれるかもしれません。
...農家のウマは「ふれあい牧場 petting farm」の動物ではありません。必要以上にかまうのは、もちろんルール違反です。公道に面した牧場に人懐こいウマを放てば人の関心が集まるのは仕方がないにしてもさすがに食べ物やデッキブラシまで持ってきて手なずけようとするのはやりすぎでしょう!やめておきます。