前回の記事に
「明日に続きます」なんて書いておいて2日も休刊してしまいました。
もう10日前にもなる、イギリス中部の古い美しい町、
シュルーズベリー Shrewsbury に行った時の話の続きです。
シャット(古い路地、抜け道)巡りをした2日目の日曜日は晴天、駅から出発地点に向かって川沿いに歩いてみました。
あららー、洪水。
上の写真は、道路に面した入り口があるリバーサイド・ティー・ガーデン Riverside Tea Garden という名のカフェの、川に面した庭側です。
川の両側には、石だたみの 広いリバーサイド・ウォークという遊歩道があるのですが、増水した川の水底深~く沈んで全く見えませんでした。
カフェオレ色の泥水は泥のにおいがしていました。
道路と川を越えて向こう岸の公園までのびる歩道橋の階段部分が半分ほど冠水していました。
(橋を渡って階段の水際ぎりぎりまで下りてみようかまよったのですが実行しませんでした)
写真を撮る人も(私以外)川を見下ろす人も誰もいませんし、町は普通に機能していました。
あまり大ごとのようには思えなかったのが不思議です。
上の写真のカフェの経営者にとっては さぞ大ごとだったでしょう。
シュルーズベリーの町はセヴァン川 River Severn が馬蹄形にひずんだ小さな「ループ」のなかにちんまり収まっているのです。
陸地の中の半島のような、お堀に(半分)囲まれた要塞のようなロマンチックなロケーションです。
ループの上の部分(ちょうど馬蹄が分かれたあたり。駅があります)つまり「半島」の付け根の部分はとても狭く、地図で見てみると川から川まで歩いて5,6分というところです。
前回のシャット巡り記事に出てきたへんてこりんな名前の通り、ウィル・コップ Wyle Copから続くこのイングリッシュ・ブリッジ English Bridge は18世紀建造の古い橋です。
ウィル・コップの通りが見えています。
川が町の中心のすぐ近くに流れているのがわかります。
土曜日、小雨が降ったりやんだりの濡れそぼった日に撮った写真です。
傘をさす人があまりいないイギリスです。私も街を歩く多くの人たちもフードをかぶったり髪を濡らしたり傘なしで、歩いていました。
私は十分雨よけになるフェルトのベレー帽で一日しのぎました。
橋から見下ろした風景です。
増水してるな、というのはその時に気が付いたのですが、翌日 日曜日に完全に水没している町の反対側のカフェ庭部分、川べりの遊歩道と公園スペース(通常の公園を見たことがないのでどこからどこまでかはわかりませんが樹木の水に浸り方や半分水没した歩道橋の階段などで増水部分の水深は十分推察できます!)を見るまで、どのぐらい増水しているのか見当もつきませんでした。
後でこれらの土曜日に撮った写真をじっくり見てみたら納得!
上の写真の連続住宅を囲むレンガ塀の下もかなり広いグリーンベルトを擁する遊歩道だったみたいなのです。(地図で確認!)
一番上の全滅ティー・ガーデンの写真にちょこっとだけ水面からのぞいている鉄柵のてっぺんのフィニアル(ギボシ)....と同じようなものがティー・ガーデンの外のよりももうちょっと深く潜って並んでいるらしいのが何となくわかります。
...ともかく鉄柵がすっかり水没しているのがわかりますよね。
公園の木も水に浸っているし、洪水ですよね?
土曜日の夜と翌朝、宿泊したホテルのあるテルフォードのホテルで見たニュースでは各地で洪水、冠水の映像を流していました。
運河や川の水があふれ、道路の高さまで水位が上昇、それでも家屋の浸水、倒壊、住民の退避といった大ごとにはなっていないようでした。
運河に住むカモやハクチョウが道路の真ん中で列になって浮かぶのんびりしたシーンが何度も放送されていました。
電車の運休や道路の閉鎖は十分大ごとかもしれませんが。
小雨の降っていた当日土曜日の午後早く、テルフォードから電車でシュルーズベリーに向かう途中、窓の外の景色はずっと緑の平原でした。
私が住むストックポートの周りの高低差のある丘陵地と違って平らで視界の開けた田舎の景観を楽しんでいたら突然電車が一面見渡す限りの水面の上を走りだしたのでたまげました!
ほんの一瞬、10秒ほどだったと思うのですが。
映画、「千と千尋の神隠し」に出てくる水面を走る路面電車に乗った夢の中のような体験でした。
イギリスの冬の風物詩(?)洪水/増水 flooding だったのです。
水はけが悪い場所のいくつもの大きな水たまりが一つにまとまっただけなのだろうと思います。
線路は少し高くなったところを通っていましたので冠水していなかったようなのです。
よく晴れた翌日にはいくつもの水溜りに分かれて前日のような壮観な光景は消滅していました。
たくさんの乗客はみな手元のスマートフォンから眼を離さず、だれも気が付いてないようでした。
イギリス人は、毎年毎年冬になると各地で水が出て大騒ぎをしている印象です。
地震や津波や台風や竜巻と違って治水の管理ぐらい人間の知恵で何とかなりそうなのに......といつも思ってしまいます。
ついでです。
昨日までの連載;シュルーズベリーの抜け道、路地、シャット shut の写真をいくつか...
シャットの話を明日も少し続けます。