イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

大詰めに入った英国にとって重要な総選挙、引き続きスナク首相のズレまくり

2024年06月26日 03時46分01秒 | 英国の、生活のひとコマ

...天皇陛下ご夫妻がいらしているなんて、夕方のニュースではじめて知りました。

今日の話題は総選挙 General election 2024 、7月4日木曜日の投票日まで2週間を切りました。

写真はすべて、2日間にわたって近所で撮った党員が投票する党を表明する家の前にたてる看板です。この地域は第三政党、現在は第二政党の労働党に次ぐ議席数をもつリブデムス LibDems ( liberal democrats =自民党)の地盤なのです。通常、労働党は表立った選挙活動を控えていると言われています。リブデムスが議席を取れば保守党の議席数をおさえることになりますから。実際、労働党への支持を表立って表明する家庭はこの選挙区ではほとんど見なかったのですが...今年は違います!けっこう見かけました。ロイヤル・ブルーに木のシンボルの保守党の立て看板がひとつも見当たりませーん!

ストックポート日報 3度目のレポートです。14年間にわたって政権を担ってきた保守党 Conservative Party の敗北はいまや明らかです。労働党 Labour Party の圧倒的なリードです。

14年間の失策、無策と並びスナク首相の壊滅的なリーダシップの欠如と不人気に原因があることは言うまでもありません。

保守党の公約の、必ず実現させるとスナクが確約した、実現は絶望的な天下の悪法「兵役 Natinal Service 」の義務復活案...(もう今あまり話題になっていませんが)の以下、詳細です。

18歳の男女すべてが1年間の兵役 military service か、1か月に1回、週末に(年間25日間)社会奉仕活動 civill service を強要されます。

社会奉仕活動とは医療保健サービス、介護、消防あるいは地域で要請のある活動のいずれかの,社会性の高い要するにボランティアです(兵役よりラクそう)。それにしてもすでにそういう仕事についている人はどうするのか、週末2日に無償で働けということなのか...?!

英国では一般に若者のボランティア活動は盛んです。義務として強制させられるのに抵抗のある人も多いでしょう、兵役は言わずもがな...

義務教育修了試験終了後やギャップイヤーと言われる大学の休学中に、海外でボランティアや旅行してまわるのも兵役か社会奉仕の義務が終わるまで禁止です。兵役のために休学したり職場を離れたりされたら教育界や産業界の混乱は並大抵のことではなさそうです!

多くの欧州諸国は2,000年前後に評判が悪かった兵役の義務を廃止しています。(例外やロシアの脅威から復活している国もあり)冷戦の終結後、意味がなくなったのと、ものすごい税金の無駄遣いだったそうですので。

英国を含む多くの欧米諸国では、「職業軍人」を擁する志願制の軍隊でうまく回っているようです。志願者から選抜した、やる気と素質のある少数の若者をお金と時間をかけて訓練した方が絶対に効率がいいのです!

たしかに、隣国と緊張状態にあるとか戦争中とかならなりふり構わず徴兵しなきゃならないのでしょうけど。備えあれば憂いなし、ヘタな鉄砲も数うちゃ当たると言いますし。

で、今のところ全面戦争に巻き込まれるんおそれが極端に少ない英国で、メチャクチャに税金を無駄につぎ込んで「予備兵力」を強化させる意義はあるかというと...ないみたいです、ぜんぜん。

総選挙で突飛な公約をぶち上げるのは悪手中の悪手だそうですし、スナク首相は頭がヘンになっちゃったのかと思いますよね。

有識者の解説によると、1949年から1960年まで賛否両論のもとに施行された「旧兵役の義務」の復活は、ある特定の層に強烈にアピールするそうです。ー部の高齢者と、もちろん右派の人々です。まあ、少数にウケても大した票にはならなそうですけどね。

強い印象を支持者に残して首相の座を去りたい、要するにかっこよく負けたいというスナクの意思なのでは、ということです。説得力はありませんがなんとなく納得です。

国家への奉仕精神と愛国精神を若い世代に植え付けたいというウケのいい言い方をしていますが、そのスナクは、6月6日にフランスで開催されたノルマンディー上陸作戦 D-Day 80周年記念式典の午前の部(英国人戦没兵士の追悼式)だけ出席して、午後の部(旧連合国の合同式典)を早退して帰国してしまったのです!!民放局のインタビューがあったからです。

式典後、フランスの大統領ほか、旧連合各国首脳と要人、英国王、ゼレンスキー大統領などの出席者が作戦に参加した平均年齢100歳の復員兵に感謝の意を表する歓談会がありました。最大野党労働党の党首、サー・キア・スターマーも出席して最後まで残ったようです。

それを平然とポカしたスナクの「愛国心の欠如」がごうごうたる非難のもとになりました。

こっそりとですが...「戦勝の栄光」の話はもういいよ...と思っている敗戦国の国民である私ですら、英国人ー般にとってノルマンディー上陸を果たして、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を終結に導いた連合軍兵士の功績(と犠牲)がどれほど重要だかはよくわかっているつもりです。それを欧州で戦線をリードした英国の首相が平気でポカす...?そして党内の誰もとめなかった...!?(スケジュールを管理する秘書とかいるでしょうに)

ニュースのインタビューで、長年の保守党支持者のある資産家が「スナクの判断力の欠如は首相として致命的。もう保守党には投票しない」と言っていました。このD-デイ早退事件で国民に明らかになったのは、スナクの「愛国心の欠如」よりもっと重要な「判断力の欠如」でした。問題点がやっと腑に落ちました。

ちなみに、早退してうけたインタビューで、スナクは育った環境のことで突っ込んだ質問をされました。

父は医師、母は薬局を経営する薬剤師のスナク家は裕福な「知的中産階級」の家庭です。スナクは1年間の授業料(現在)が49,152ポンド(約1千万円)もする、スナク家より上の階級の子弟が行く名門私立校ウィンチェスター・カレッジで日本の中高にあたる教育を受けたことで知られています。

「勤勉な両親は自分の教育のために犠牲を払った」といいたいがために、「必要なモノが足らず不自由した」と発言、具体的に何が足りなかったのかと聞かれ、「たくさん。特にスカイTV」と答え、大失笑を買いました。スナクの少年時代(35年ぐらい前?)、スカイTV (有料の衛星放送)が契約できた恵まれた家庭はごく少数でした...!「スカイTVがなかったなんて、なんて恵まれない子供時代だったのでしょう」という皮肉たっぷりの揶揄が飛び交っています。

発言する前に考えがまわらなかったのでしょうか。

2週間近くたった今でも「スナクとスカイTV」を笑いのネタにした数えきれないほどのミームでソーシャルメディアはあふれかえっています。

それに、労働党党首のサー・キア・スターマーとの公開討論会で国家医療保険サービスが機能不全なのは医療従事者のストライキのせいだ、とか産業が低迷しているのは労働組合のせいだとか、政府の無策の責任転嫁発言で会場からブーイングを浴びています。(どちらもYouTubedで視聴できます)

リシ・スナクの日本での評判は押しなべていいようですね。検索してみました。

来日時に広島でお好み焼きを焼いたり、靴を脱ぐ座敷での会談に岸田首相が応援している広島カープの赤い靴下をはいていったり...

そんなどうでもいい親しみやすさを日本なんかでアピールしてどうする...!?お好み焼きはこちらでも報道されましたが、赤い靴下について私は知りませんでした。

最後に、通りに面した窓に小さい支持ポスターを張った、夫が労働党員の私のうちです

前回2本の総選挙記事のリンクです☟☟

ズレた首相が率いる保守党政権、総選挙に何とかなりそうな希望が見えてきた英国の未来

英国にとって特別な意味を持つ今回の総選挙、公約と国民の意識、草が茂る庭とネコのハゲ

 

 

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ヒマな人が多いらしい、英国の園芸アートお茶目なタピオリー新発見

2024年06月23日 06時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

自宅から徒歩20分ぐらいの場所の閑静な住宅街を歩いていたらみかけた...

ちょっと特異なタイプのトピアリー。...以前に通った時は気が付きませんでした。

。トピアリー topiary は植木の剪定芸術です。ストックポート日報でもたびたび取り上げています。

ヨーロッパ大陸では円錐や球形など幾何学的な形を対象に配置した整然としたアレンジが一般的らしいのですが、ここ英国では16世紀ごろから、動物や結び目、グネグネした形状など手の込んだ形に刈り込んでゴタゴタしたアレンジの独自の発展を遂げたようです。

「3D(彫刻)タイプ」は時々見かけますがこの「レリーフ(浮彫)」タイプは珍しいです。

生け垣のすぐそばを歩いていてもなんかボコボコしているな...?という印象で気が付かない人も多いかもしれません。

わざわざ、静かな通りの真ん中まで出て眺めてみました。

先頭のゾウ2匹と謎めいたヨツアシ動物、一番後ろはキリンでしょうか。あるいはブラキオザウラス(シッポなし)?

剪定の腕前はたしかです。プロの職人さんの仕事でしょうか。ただし画力が今ひとつ...ほほ笑ましくて好きですが。

そうそう、この場所のすぐそばにはやはりストックポート日報でおなじみの「子ゾウの行進」の3Dタピオリーの生垣があります。この場所から5~6分、わざわざ行ってみました。

これこれ。

クルマの通行禁止の細道に沿って行進する子ゾウくんたちの輪郭が年々、はっきりクッキリしてきますが、ちょっと散髪が必要なようです。最初に見かけたのはもう、10年近く前です。

内側まで手が回らないようですが...

先頭の子ゾウくんだけ、正面から見える内側の目がうがってあります。

雨模様の、暗く肌寒い日が続いていましたが、週の半ばから晴天の英国の夏らしい気持ちの良い天気を楽しんでいます。来週あたりからまた翳るようなのですが。

 

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君主が代わった実感、母女王の肖像紙幣に溶け込む新国王の肖像入り新紙幣を1枚だけ目撃

2024年06月19日 22時36分26秒 | 英国の、生活のひとコマ

2枚のプラスチック製(正確にはポリマー樹脂)の10ポンド札。

上がチャールズIII世新国王、下がエリザベスII世、と肖像が違うでしょう?ついに出た、新国王の紙幣!(プラスチックですが)

デザインはそのまま、肖像の構図も同じですがよく見たらなで肩の女王の背景の「10,10,10...」のほうが、いかつい肩の国王の背景のより多く見えています。

モノグラムの「CR」(チャールズ)と「EIIR」(エリザベスII)の位置も違います。

基本デザインに変更なしなので新旧スムースに溶け込んで、気が付かない人も多いでしょう。混乱がなくて何よりです。

国王バージョン、はじめて見ました!

ボランティアでお手伝いしている、チャリティショップ、オックスファム Oxfam で閉店後売り上げの集計をしていた時、たくさんの「女王バージョン」に混ざって1枚だけ見つけました。マネージャーも初めて見たそうです。そのあと1回、半日レジを担当しましたが「国王バージョン」は1枚も受け取りませんでしたし集計の時にも見つかりませんでした。

国王の即位は2022年9月、もう2年近く前...去年のクリスマスカードに初めて新国王の肖像切手が貼られていたのを見つけてからももう半年。2023年5月の戴冠式からもう1年たっていますよね。

裏側の肖像は19世紀初頭に活躍した作家、ジェーン・オースティン。

 

調べてみました。

今月(6月)5日から流通が始まった出来立てのほやほや、他に同じく従来通りのデザインの5、10、20、50ポンド紙幣が同時に流通開始したそうです。戴冠式後まもなく「国王バージョン」の発行決定とデザインの発表があったようです。聞き逃しました(私の日本滞在中です)

国王の横顔が刻印された新デザインの貨幣も流通待ちです。(貨幣のほうは不定期にしょっちゅうデザインが更新されいろいろなシリーズが同時進行で流通しています)

チャールズ新国王の貨幣の肖像は在位中ずうっと「左向き」と決まっています。故女王の肖像は「右向き」

王国の歴史が始まって以来、英国では君主が変わるたびに貨幣の肖像の向きが右、左と入れ替わる伝統だそうです。最初のセットは草花と動物シリーズ...楽しみです!

現金を使わず持ち歩かずのカードのみの支払い生活に切り替えて久しい私が、唯ー無二の現金に触れる機会がこのボランティアの店番の仕事です。平日の日中お買い物するお客さんはお年寄りが多いためか、現金を受け取る機会はけっこうあります。現金とカードの支払いは半々ぐらいでしょうか。発行から10日後に1枚だけ目にしたのは、早いのか遅いのか...?

英国ではニセ札偽造技術の進歩に対抗するためか、10年ちょっとおきぐらいに紙幣のデザインがー新されます。そして新デザインが出回った頃、予告された後の充分な猶予期間を経て旧デザインの紙幣の流通が停止、額面が無効になります。...どうせその頃には文字通り紙製の古くなった紙幣はボロボロ...回収されて断裁されていたそうですが...

...発行されてまだ7年ぐらいしかたっていない女王バージョンのプラスチック紙幣は、今でも新品同様、パリパリのツルツル、折り目すらつきません。間違えて洗濯した時も洗濯機から完全無欠の状態でホログラムを怪しく光らせながら出てきました(体験談)。10年たってもへたらないのでは?それでもそのうち廃棄処分になるのでしょうか?

それにしても紙幣のチャールズ、老けていますね。73歳で即位した2年前の肖像画でしょうか。それに引き換え、女王の肖像は若いですよね!50代ぐらいの肖像画が使われているのでは?

オックスファムで、即位の年から現在までの女王の帽子デザインに関する本をみつけました。

図番が充実していてとても興味深いのですが、フランス語、残念、読めません!

女王の存命中、夫君エジンバラ公が高齢で公務を退いた後、代役で息子のチャールズ皇太子(当時)が母女王をエスコートしていくつかの重要な儀式に出席していました。

新聞社のウェッブサイトで見つけた、亡くなる前年の国会の開会式の写真です。

95歳の女王陛下が若見えしすぎでチャールズが老けすぎ!いっしょに出てくるたびに母と息子ではなく、姉と弟、へたすれば夫婦に見えてもおかしくない「見た目の年齢」に内心どよめいていました。

ついでです。

うちの母息子コンビのネコの威厳のない、かわいくもない写真です。

息子ネコ、ティブが成人してから母ネコ、リヴィーと顔がどっちも正面を向いていっしょに写った1年以内の写真を探すのに苦労しました。あまり仲良くありませんし。

...親子にみえません。動物は年を取っても老けて見えないのがうらやましいですね。まあ、年の差が推定2歳か3歳だというのがカギかもしれませんが。

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冷や汗をかく完熟トマトと、コンビニ繁栄前の英国の町の便利な小売店事情

2024年06月18日 06時57分28秒 | 英国の、生活のひとコマ

うちの近所の「コンビニエンス・ストア(コンビニ)」です。

ずっとこの場所にある、コミュニティの中心のような店です。

 

ー昨日通りかかって気が付きました!

前面ガラス壁にドカドカ貼りつけられた巨大なトマトの写真に「ぐりぐり目 googly eyes」がある!

直径3cmぐらいの巨大サイズの、中の黒目がぐりぐり動くコミカルな目玉ペア、いったい誰がはったのでしょうか。

「バンダリズム(破壊行為)」の一種のはずですが、お茶目です!

真っ赤になって冷や汗をかくトマトの表情がかわいい!

 

英国でも、営業時間の長い「コンビニ」が林立しはじめて20年ぐらいたつのではないでしょうか。

 

この店は現在、オランダ資本の国際フランチャイズ店 スパー Spa、ですが過去、数回店名と経営者が変わっています。私たちが引っ越してきた25年ほど前までは英国に昔からある新聞雑誌販売店、「ニュース・エージェントNews Agent 」でした。

新聞の宅配がー般的ではない英国では出勤前に近所のニュース・エージェントで新聞を買う習慣があったようです。

この3分の1の店内面積でスナック類、タバコ、缶入りドリンク、カードなども販売していました。となり2軒分の店舗スペースを購入して、本格的なコンビニ経営に乗り出したのが15年ほど前だったでしょうか。

私が来た30余年前の英国ではコンビニなんて見かけませんでした。大きめのニュース・エージェントや、生活必需品をカウンター内の棚に並べて売る「コーナー・ショップ Corner shop」がコンビニの機能を担っていた記憶があります。いずれも、住宅街のなかにあり、ー般の個人商店よりかなり長い時間営業していましたので、どこの町でも便利な存在だったはずです。

どちらも都市部では「アジア系(インド、パキスタン、バングラデシュ)」の移民ー家の経営が多かったようです。現在ニュース・エージェントやコーナー・ショップをあまり見かけなくなりました。それらの店の多くはコンビニにフランチャイズ参入しているようですね。

ほとんどのコンビニのガラス面が食品の写真でおおわれ、店内のようすが見えません。壁際いっぱいに並んだ商品棚の裏側が外から見えないように目隠しをしているのかもしれません。

店内が外からよく見えて開放的な日本のコンビニと違って、必要なモノもないのにフラッと入ってみたくなる雰囲気はあまりありません。雑誌の立ち読みをしている人もいませんし...

深夜に煌々と灯るコンビニ店内の灯りが暗い海をてらす灯台の明かりのような心強い存在のように思える人もいるのではないでしょうか。日本のコンビニも24時間営業が難しくなっていると、最近聞きました。

住宅街にあるこの店は夜9時までの営業です。大手スーパーが経営する、にぎやかな街の中にある多くのコンビニは24時間営業です...世の中、便利になったものです。

 

 

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英国にとって特別な意味を持つ今回の総選挙、公約と国民の意識、草が茂る庭とネコのハゲ

2024年06月16日 18時03分33秒 | 英国の、生活のひとコマ

英国の 総選挙 General Election 2024、続きです。投票日は7月4日(恒例の木曜日)。

写真は以前に記事にした「自然保護キャンペーン」No Mow May, Knee High June (芝刈りしない5月、6月には膝の高さにのびた芝)、実行後1か月の経過写真です。草取りと芝刈りをやめたうちの庭のボーボーぶりをご覧ください。

実行し始めた5月半ばの写真です☟

 

あいかわらず第ー野党の労働党 Labour Party が、現政権を担う保守党 Comservative を圧倒的にリードしています。思い知ったかリシ・スナク、いい気味です。

政権が2大政党の間で行ったり来たりする英国の政況が理解できない日本人もいるでしょう。前回、保守党に投票した人が今回、労働党に鞍替え...それも多数の人があっさり政見をひるがえすものだろうかって。

日本だと、自民党支持者が大挙して共産党に投票するイメージでしょうか。

たしかに、「保守」と「労働」って両極端なイメージですよね。保守党支持者はパブリック・スクール(伝統的な私立校)出身者で、労働党支持者はバリバリの労働組合活動家...みたいな。たしかにそういう人たちが基盤にはいるみたい...ですが、じっさいはそういう人たちはごくごく少数です。

特権階級でも労働者の権利のために戦う闘士でも何でもないー般の人が、候補者の人柄というより、党全体の公約などから自身の損得や国益などを考慮してじっくり選ぶことが多いようです。

今回は公共サービス、特に医療!の質の低下に国民の不満が限界に達しました。完全に無料で受けられる医療の待ち時間がめちゃくちゃ長い!

ここ20年、英国でも急激にすすんでいる高齢化のため介護問題も深刻です。

医師や看護師がしょっちゅうストライキをしていますし!国家医療サービス登録を抜ける個人経営の歯科診療が続出、歯科治療も受けにくくなっています!!パトロールの警官の減少、消防もボランティア頼み、公立校の校舎はボロボロ...等々

公共サービスの財源の税制も今回は焦点です。保守党政権は増税を抑え、社会保障や公共サービスの予算もどんどん削っていったのです。

日本では増税=悪法(搾取)みたいな考え方が一般的ですよね。

欧州ー般では、保守系政権は増税を避け、消費を促して経済発展に力を入れる傾向があるらしいです。みんながお金を使えば雇用も促進、貧乏人も減るという理屈です。そのかわり福祉や公共サービスまで手が回らない。反して、左派系の政権は増税もやむなし、そのかわり誰でも公平に恩恵にあずかれる公共サービスや社会保障に力を入れ、受けられる医療や教育などのサービスが貧富の差で違わないようにする傾向らしいです。

英国民は、待たずに診察してほしい、子育て世帯に援助を、介護を無料に、などなどのサービスを当然のように要求します。その代わりに増税は比較的かんたんに受け入れる傾向があります。日本と違って、教育や老後のために貯金する必要性がほとんどないのが理由だと言って間違いありません。

今回はどの党も「所得税からの増税はナシ」と公約しています。国民が物価高で手取りが減ることに敏感になってきているためでしょう。超富裕層に余分に徴収するという緑の党 Green Party は例外として。

現行、無税の私立校の授業料に消費税を課す、外国籍企業や国外在住の英国人が所有する不動産の家賃に特別な課税をする労働党の新税制案は、微妙に物議を醸すでしょう。多少無理してでも子供の教育にお金を惜しまない知的中流階級が労働党支持者に占める割合はけっこう大きいそうですから。退職後、国内の自宅を賃貸しして物価が安い暖かい国にー時的に移住する中産層の多くも労働党支持だそうですし。

とにかく、公共サービスや福祉を向上するには財源の確保が必須なのは国民すべてが理解しているはずです。

私は今回の総選挙まで、保守党は右派、労働党は左派、第三政党のリブデムス(LibDems =自民党)は中道派...と何となく思っていました。そんな単純なものではありませんでした。

調べてみたら、前回(2019年)の総選挙で議席を得たのは13党(多くてびっくり)。議席のない公認の党は4党。何人かいたらしい無所属候補者は前回は1人も議席を獲得していません。

興味のある方のために、政権討論会や政見インタビューなどでマスメディアから平等な扱いを受けるべき英国7大政党を書き出します。

現行の議席の多い順に...保守党(中道右派~右派)、労働党(中道左派)、スコットランド国民党 SNP (中道左派)、リブデムス(中道派~中道左派)、ウェールズ党 Plaid Cymru (プライド・カムリ、通称カムリ、中道左派~左派)、緑の党 Green Party (左派)そして議席はないものの前回の総選挙後にガンガン躍進している、英国公認党の中で最右派、ポピュリズム系の英国再構築党(?Reform UK、右派)...

スコットランドのSNPとか、ウェールズのカムリとか、そこでしか候補者を立てていないローカルな党の代表者も、ちゃんと全国放送の討論会などによばれています。どっちもウザい国家主義的な民族主義集団みたいな党名ですが、おどろくほどラディカルです。

カムリにいたっては、労働党よりも左派でした!子供の貧困を撲滅しウェールズの教育の機会の不公正を正してイングランドより教育水準をあげてやると言っていましたし、SNPはスコットランドが英国から独立したらEUにー国家として加入する、移民と共存する社会を目指すと言っていました!!

...私たちは万がー、保守党が政権にいすわったらスコットランドに移住してもいいぐらいだ...とうすぼんやりと考えているところです。現実味はありませんが。

労働党はその名のイメージに反して意外と経済重視です。党首の温厚そうな紳士、サー・キア・スターマーは「(ハマスを叩き潰すまで)イスラエルは戦争を継続すべき」旨の発言をして、国内のイスラム教徒支持者の大半を離反させました。あれだけ民間人の犠牲を出しているガザの攻撃、だめでしょうっ!?

選挙権のない私はともかく、労働党員の夫とトランスジェンダーの娘は労働党に投票するはずです。「親イスラエル」の党首に少しの疑問はありますが、保守党に政権を温存させることなど絶対にあってはならないことですっ!

「労働党に投票しよう」と書かれた党発行のポスターを通りから見えるようにに貼り付けているぐらいですし☟

朝食を食べながら紗のカーテン越しに通りをながめるのが大好きな夫がキッチンの窓に貼ったポスターがジャマだと言うので、(自分で貼ったくせに)玄関わきに移しました。植木がよく育っているのが私の自慢です。

サラサラの赤髪がトレードマークの労働党副党首、アンジェラ・レイナー(郷土の誉、ストックポート出身のギャル大臣)、スナク首相発案の世紀の墳飯公約、「兵役 National Service 復活」、ほら吹き右翼ナイジェル・フォラージ(リフォームUK党首)のイケオジファッション...そして重要な不法入国者 illigal migrants 問題 (前回、移民と書いたのは誤りです。後述します)等、書くべきことがまだあるのですが長くなって収拾がつかなくなったので、また今度。

(もう少し軽い話題をお届けした後、総選挙の話題に戻ります)

 

フサフサ茂った庭の草と息子ネコ、ティブのあざやかな背中ハゲ☟

草ボーボーキャンペーンの記事のリンクです☟

野草の生育を促進し、自然保護活動に貢献するキャンペーン(庭仕事をなまけられて一石二鳥)

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ズレた首相が率いる保守党政権、総選挙に何とかなりそうな希望が見えてきた英国の未来

2024年06月15日 07時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

英国の総選挙 General Election 2024 の話題です。投票日7月4日まで、のこすところ3週間を切りました。

2010年から14年間、政権を握ってきた保守党 Conservative Partyから、第ー野党の労働党 Labour Party に政権が移行する可能性が大ありのとても重要な総選挙なのです。

ちなみに...英国籍のない私には選挙権がありません。

英国人の夫は労働党員です。トニー・ブレア率いる労働党政府のイラクへの軍事介入に抗議して2002年に離党しましたが、左派の党首(当時)ジェレミー・コービンを支持するために、2010年に再入党しました。

テレビのニュースでは、総選挙の話題でもちきりです。

日本でも報道されているはずの英国総選挙、できるだけ日本人が知らなそうなことを拾ってダラダラと書いてみます。

英国の国会 Parliament の庶民院 (アメリカ合衆国に倣って下院と記述する日本のメディアもありますね)Commons は最長5年で解散、総選挙の決まりです。今年がちょうどその年です。今年いっぱいいすわる(予想ではクリスマスを控えた年末を避け解散は秋)こともできたのですが、内閣はインフレの抑止とG7国ダントツ1位の経済成長を遂げた成果をおぼえてもらっているうちに!と5月22日解散、総選挙を告示しました。懸念の移民の数もこのところ少なくなっているようですし。

…グズグズしていると、そのうちまたゴムボートでやってくる移民がどんどん増えちゃうかもしれませんしね。

 

英国の選挙運動は日本のそれとは全く違います。

名前を連呼の宣伝車、「本人」と大書されたタスキをかけた候補者が駅前広場で演説...なんて光景は皆無です。候補者の写真入りポスターも全く見かけません。(例外はパキスタン系候補者です。各地のパキスタン人街に限ってよくみかけます)

木の柱と板張りで自立する豪華版...

と、選挙時期になるとニュースレターとともに党員に四つ折りにされて封筒で送られてくるA4ペラペラ版の...

応援ポスターを党の支持者が自宅の敷地内の人目につく場所に掲示して士気をあおります。

夫が送られてきた労働党支持ポスターを私の了承を取って玄関わきのキッチンの窓に掲示しました。

選挙区の候補者がイベントや職場、福祉施設などを訪ねて有権者と対話して得票につなげるキャンペーンが主流です。候補者本人が1軒ずつ有権者の家を訪ねて投票を訴えるのも珍しくありません。

各党の党首はじめ、有力議員はマスメディアが主催する討論会でガンガン政見を訴えます。議員や候補者がウォーターパークに行ったりウォールクライミングに興じたり、マーケットでお買い物するなど、親しみのある人柄を演出するイベントもどんどんテレビで取材させています。

キッチンの窓の内側です☟労働党のエンブレムである「赤いバラ」のレゴをとなりに置いてみました。夕方灯りをともせば外からも見えるはずです。

 

6月14日現在、野党、労働党がダントツでリードしています!

労働党支持が42%、保守党支持が22%、(BBC調査、ハハハざまーみろ)....えっえっえっ、3位につけているのがまさかのリフォームUK党!リフォームUK党は「ブレクシット党」を改名した移民徹底排斥を訴える国内最右派の認定政党です!(ぎょっ)

いつもなら労働党、保守党と並んで3大政党を形成する、労働党に次ぐ第2野党のはずの自由民主党 (リブデムス LibDems)がなんと、4位に転落!?(次回に後述します)

国民は本当にウンザリなのです。保守党、労働党のみならずすべての党が国家保健サービスの建て直し税制の不公正の是正社会保障国防、治安の充実...そして移民問題の解決を公約に盛り込んでいます。

あと、保守党の「兵役義務」復活。スナク、頭だいじょうぶか!?(次回後述します)

以上すべてが、現状、メチャクチャ不十分!保守党、14年間、いったい全体何やっていたんだ!?

リヴィーの写真を連投したので、埋め合わせに息子ネコ、ティブの写真です☟

そして、リシ・スナクは、国民の総意(総選挙の結果)で選出された首相ではそもそもありません。

コロナウィルスによる感染症が蔓延したパンデミック期の嘘つき不誠実首相、ボリス・ジョンソンがやっとのこと辞任。そのあと就任後、経済をめちゃくちゃにしてあっという間に辞任したリズ・トラスの後釜に消去法で身内推しで就任したのです。党首は党員のみの選挙で決まります。

ボサボサ頭で見るからにうさん臭くしゃべり方ももたもたしていたジョンソン前首相と違い、パリっとしたスーツを着こなし弁舌も笑顔もさわやか、良き夫、パパでもあるらしいスナク首相にはどうしようもない持って生まれた欠点があります。

人の気持ちに寄り添えない。

億万長者のリシ・スナク。自身が政治家になる前に金融アナリストで成した資産とインドの大富豪の娘である妻が受け取る配当を合わせたスナク家の資産は...£651,000,000 (6億5千100万ポンド...1,290億7千7百34万円!!!)。サンデイ・タイムスによる英国の長者番つけ2024年版 Sunday Times UK Rich List 2024 によれば「英国の首相は英国で245番目にお金持ち、今年はついに国王(258位)を抜いた!」とテレビで話題になっていたのでした。今、その番付表をみつけて0の数に気をつけながら書き写しました...!

首相就任前後から、若い人の2か月分のお給料の値段のスーツを着ているとか、愛用のローファーがエルメスだったかグッチだったか忘れましたがドエラい高級品だったのが話題になった記憶もあります。

大蔵大臣時代、ツイッターに彼自身がさっそうと腕まくりして給油する動画を投稿しました。ガソリンの値段に関するツイートです。スーパーマーケットのガソリンスタンドでの撮影でしたが、彼自身の愛車は、新車の値段が14万ポンド(2,800万円)前後の Tesla Sモデルでさすがに高級すぎて反感を買いそうなので、スーパーマーケットの従業員所有の大衆車、Kia Rio を借りたことも揶揄の対象になったのでした。

...そんな首相が「国民のみなさん、生活たいへんですよね。お察しします」なんてへらへら発言しても「僕は困っていませんけど」という本音が表情から透けて見える気がします。

もちろん、それだけではなくLGBT への無理解、特にトランスジェンダーに対する差別的発言を撤回すらしていない、自分規準の常識でしか物事を見られない人物でもあるのです。

スナクの、今回の総選挙に向けたキャンペーンが始まって間もなくの大失態は墳飯ものでした。

第二次大戦を連合軍の勝利に導いた、1944年6月6日のノルマンディ上陸作戦80周年記念式典の英国軍戦没者の慰霊式に午前中ちょっと顔を出しただけで、午後の連合軍合同式典を全ポカしして、帰国してしまったのでした。民放局の政見インタビューがあったからです。

英国において、戦没者や退役軍人(ノルマンディ上陸作戦に参加した生存者の平均年齢は100歳だそうです)への敬意はなんだか凄い...のです。侵されざるべき神聖なことらしいのに、なんという不敬!すぐに謝罪しましたが...なんというわかっていない人なのでしょう?!

公に口に出す人はもちろんだーれもいませんが...スナクはやっぱり「移民の孫」だと失望した人は絶対にたくさんいたはずです。

対立候補の労働党首、サー・キア・スターマーはいかにも温厚な英国紳士といった容貌で、ノルマンディ関係の国内式典には勲章をいっぱいつけた従軍経験のある男女の労働党員の国会議員を引き連れて出席、「自分の家族も代々従軍して国家に貢献してきた」旨のスピーチを披露していました。

「僕は移民ー家のスナクくんちとは違いますよ」とは、まさかさすがに元人権派弁護士のスターマーが考えたとも思えないのですが...

私はスナクの唯ーの強みは「移民の孫」であることだと思います。誇っていいはずですよ。

木の柱で自立する豪華版支持ポスターは、以前紹介した季節外れのクリスマスツリーです。その隣の家の小さめクリスマスツリーも成長していました☟

長くなりますので、続きます。

スナクのヘイトスピーチに関する前回の記事です☟

国家の恥辱、英国首相のスピーチ欺瞞、ニュースで報道されなくたって言ったのは事実!

 

ついでです。おぼえる気がおこらない、英国の国会の正式名称です☟

The Honourable the Commons of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland in Parliament assembled

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ブラックプールからトラムに乗って行ってきたもうーつの海岸の町、(写真多数)

2024年06月07日 05時23分13秒 | イングランド北部

ブラックプール Blackpool に滞在中、海岸沿いを走る名物のトラム tram(路面電車)で行ったもう1か所の場所。

夕方ブラックプールを発つ予定の帰宅する日曜日、チェックアウト後、ホテルに荷物を預けて行ってみた、海辺の町クレヴリーズ Cleverys です。

前日の土曜日、フリートウッドに行く途中(前回のストックポート日報参照)に通った、クレヴリーズの町が楽し気に賑わっていたので行ってみることに。(クレヴリーズの少し手前からトラムの路線は海岸を離れ少し内陸を走ります)

滞在したホテルからトラムで30分足らず、遠浅の砂浜と整ったプロムナードと謎のアート群が見どころの海沿いの町です。

 

10時半ごろ着いた晴天のクレヴリーズの町は日曜日なのに、たくさんのチャリティショップまで含めすべての店やカフェが営業中でした。夏の書き入れ時にはまだ間がある5月の小さな海辺の町は、もう準備万端ハイ・シーズンのようでした。

トラムの停留所がある通りから海岸まで500mぐらいの「目抜き通り」のすべてのボラード(ガードレール代わりの、歩道に沿って並ぶ車止め)のてっぺんが、編み物(かぎ針、棒針)のマスコットで飾られていました!

貝、タコ、ヒトデ、クラゲなど海の生物がテーマ...ネタ切れか技能的な問題か...簡単そうな花やカップケーキのモチーフも紛れ込んでいました。道の両側に(数えてはいませんが)300ぐらいはあったのでは?ものすごい人的起動力です!編み物コミュニティが充実した町なのかもしれません。

海岸は商店街が途切れたところの高い堤防のような白壁の向こう側です。

上の写真のはるか向こうにブラックプール・タワーが見えています。

 

商店街からまっすぐに下ったあたりの砂浜はジェッティ jetty という、岩ゴロゴロの人口の防波堤に区切られていました。

他の場所は砂浜が現れているにもかかわらずなぜかここだけプロムナード下まで海水に浸かっていた区切り(☟の写真の左側)で1時間ぐらい過ごしました。

 

30分ぐらいたって(11時12分)潮がだいぶ引いたところです。

正午にはこんなに潮が引きました。

 

岩の上には夫と、年配のカップル、早く潮が引いたジェッティの反対側で潮遊びをしていた家族が座っていたのですが...

誰ひとりとして、海に顔を向けて座っている人がいないのです!!

全員が太陽に顔を向け、プロムナードの方に向かって座っていました。おなじみ日焼け願望は欧米人(白人限定)の宿命です。日が照っていたら顔は太陽に向けるのは人生の鉄則です。

私は、すっかり乾いたコンクリートのスロープの上のほうで帽子を顔に載せて寝転んですごしました。

町に戻り、昼食替わりのケーキとコーヒーを注文したカフェの屋外席(夫が屋外に座りたがるので。私のためにパラソルを広げてもらいましたが)に1時間以上座って午後、続く海に向かう人たちであふれ始めた歩道を見つめて過ごしました。

午後は北(ブラックプールの反対方向)に向かって海岸沿いを少し歩きました。

持参のキャンプベッドで日光浴をする人に注目です☟

 

空飛ぶ円盤のような丸い「あずまや」がところどころに設置されていました。

上半身裸の、本格的に日焼けに取りくむ男性2人を写真におさめることができました。

出たっ、アート作品!ボートの櫂(?)

 

砂浜に放棄された粗大ゴミのように横たわる金属製の..巨大な.巻き貝(?)

 

「インスタ映え」しそうな写真スポットですね。

ブラックプールと、フリートウッドに続き、三つ目の浜辺です。いちども素足を海水に浸さずに帰宅するのは惜しい気がして...海に入ってみました。

夫はプロムナードのベンチ(アート性の高いコンクリートの直方体)に座って推理小説を読むことに決めたのでバッグと靴を預けていきました。

救命浮き輪のそばに座っているのが夫です☟(見えない!)

ちょっと後悔しました。波のない海際に行くのにはゴロゴロ足裏にあたる小石の上を、遠くに見えている気持ちのよさそうな「中州」まではベチョベチョした泥状の湿った砂浜の上を歩かなければならないのです。

寄せてはかえる白波に足を浸すなら、前日のしっかりした白砂が美しかったフリートウッドのほうがよかった...。

 

あきらめて、プロムナードに戻り、持参した手ぬぐいをもってすぐそばのシャワー施設で足を洗いました。

クレヴリーズの浜辺は、浜続きのブラックプールと全く違いほんとうに静かでした。

大音量でポップミュージックを鳴らす店もカフェも、それどころか海岸沿いには店も飲食店もー切ありません。

ピアもゲーム・アーケード(ゲームセンター)も観光馬車も...その他、海辺にあるべき娯楽施設もー切ない、雄大な海と砂浜と波の音とわけのわからない屋外芸術で勝負するシンプルな海辺の町です。

のんびりと「海」そのものを楽しめました!

商店街の雑貨やでは、ブラックプール・タワーの模型やら、Blackpoolと書かれたキーホルダーやらのブラックプールのお土産物が売られていました!

私がクレヴリーズで買ったのは、1本60ペンスの棒アメ、 昔ながらの有名なお土産モノ、ブラックプール・ロック Blackpool rock 2本。標準の半分サイズです。

バブルガム味とフルーツ・カクテル味。 練り込んであるBBLACKPOOL という文字が金太郎アメのように切っても切っても出てきます。

ブラックプールの町の多くの土産物屋に行けば、30種類近くの味のバリエーションから選べます。

 

ブラックプール・タワー前、ブラックプール・ロックにされたゾウのエルマー。☟

 

 

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ブラックプールからトラムで行った海辺の町のキッチュな市場と極上フィッシュ&チップス(他)

2024年06月06日 06時00分00秒 | イングランド北部

ブラックプール Blackpool の観光案内、続きです。

政権交代の可能性もある総選挙、郵便局冤罪スキャンダル(富士通の関連大)の証人喚問、ヨーロッパ終戦80周年等々...のんびりと観光案内記事をお届けしている場合ではない、社会派「海外生活ブログ」ストックポート日報ですが...あえて...ややこしい話題は徹底的に先延ばしを決め込むことにしました。

町の中心から徒歩30分強の海岸沿いのホテルに滞在した私たちは、ブラックプール名物のトラム tram (路面電車)を最大限活用しました。1日乗り放題の切符( Day Saver )がたったの£6-60。車内を行き来している車掌さんから買えます。

お得なだけではなく、いちいち行き先を言って切符を買う手間が省けます。レシートのような紙にプリントされたQRコードを乗るたびにスキャンしてもらいます。

海岸沿いを約18km、観光客にも大人気のトラムは地元の人たちの足でもあります。

滞在2日目の土曜日に、トラムで約40分の港町、フリートウッド Fleetwood に行きました。

夫がフリートウッド・マーケット Fleetwood Market を見たがったものですから。イングランド北部最大規模のマーケット・ホール(伝統的な屋内マーケット)を中心としたマーケット(市)が水曜日を除く連日開かれているとのこと、ホテルの受付情報です。

トラムに乗るのを楽しみに行ってみました。

北端の終点のフリートウッド・フェリー Fleetwood Ferry のひとつ手前、ヴィクトリア・ストリート Victoria Street で下車、徒歩5分...マーケット・ホール正面入り口の写真を撮るのをわすれましたっ!

造花売り場のこのスケール!

キッチュの殿堂!これこそ、庶民の生活に根差した地元マーケットのあるべき姿!

...にしては食品や日用品を売る店があまりなかったのが意外です。

うちの地元、ストックポート・マーケットは色鮮やかな青果、肉、チーズ等の専門店が見栄えよく並んでいてとてもフォトジェニックなのですが...

フリートウッドの、発祥が12世紀だという由緒あるマーケットのこの期待外れぶりはいったいなに...!?建物もどうってことないですし...

「おばあさんの原宿」というような楽しさもないし...

 

特大婦人下着と寝間着売り場、たしかに安いです!☟

アクリル毛糸の量販売り場...!(左)洋裁小間物売り場(右)...

値段が明記されていないし、欲しいものがあったとしても絶対に探せない無政府状態。

おばあさんの手作り小物や、アクリル樹脂や木彫りのキーホルダーなど「器用なシロウト」っぽい手作り品のスタンドもいくつかありました。

広い屋内のマーケットスペースのー角にあった、大きいサイズの紳士カジュアル用品店の「8XL 」サイズのシャツ。

売り物です。ほとんどのスタイルが2XLから8XLまでのサイズ展開!

2XL サイズの夫をそばに立たせて写真を撮りました。身長が190cm近い夫は今より痩せていた若い頃から大きめサイズを愛用していました。それにしても 8XL とは...

狭い通路を数組の大きめサイズのカップルが塞いでいました。

 

古い漁港であり、フェリー輸送の起点でもあった港町のフリートウッドを少し散策、

食後(後述)、マーケットの反対側の出入り口を通ったので写真に撮りました。

マーケット・ホールを出た後、3基ある古い灯台をみてまわることにしました。

そのうちの二つです☟

 

大河ワイア河 River Wyre の河口 Wyre Estuary の眺めは壮大でした。

 

河口沿いの歩道には、かなりの数の海難事故の犠牲者を悼む碑や標識などがありました。漁師や開運従事者の仕事の厳しさを伝える案内掲示板もいくつか見かけました。

修復された古い型のトラムが線路上で停車していました。

そういえば、車掌さんが「通常は10分から15分おきに運行しているが、週末や観光シーズンには古い型の車両を含めた不定期な便も頻繁に運行している」と教えてくれましたっけ。

古い型の車両に乗るにはオンライン予約が必要です。私たちが20年以上前に来た時は、この型の車両が現役でごとごと運行していました。木の板張りの床とほこりくさい座席が妙に旅情をかきたてたものでした。

もっと古そうで価値がありそうなクラシック・カー型トラムがホテル前の停留所を通過するのを1回だけ見かけました。(最初の写真)。

 

河口沿いのノース・ユーストン・ホテル North Euston Hotel です。

開業は20世紀初頭、現在も営業中。バームクーヘンの切った半分のような形状のホテルです。フリートウッドの観光案内ウェッブサイトによると、開業当時の面影を留めるー階のティールームがなかなかの見ものだとか。

1970年代に廃線になるまでロンドンのユーストン駅 とフリートウッドをむすぶ鉄道路線の終点駅がこのホテルの前にあったそうです。

河口沿いの砂浜は、河の行き着く先の海まで続きます。

ブラックプールの砂浜、同様イヌの立ち入りは禁止。海岸沿いの舗装道路にはわかりやすい簡素なイラスト付きの「かたづけて、どのゴミ箱でもオッケー」の意味の表示がありました。「イヌのウンコは片付けてください」の湾曲表現でしょう。

白砂が美しい海水浴場です。天気のよい日で足を海水に浸す家族連れを多く見かけました

 

海岸の観光地と言えばフィッシュ&チップス

フリートウッドの海岸を離れ、住宅街を抜けてトラムを下りたヴィクトリア・ストリート停車場そばまで戻って入ったレストラン Granada Fish Bar で...

極上のフィッシュ&チップスを食べました。コロモはサックリ、中のコッド(タラのー種)はホクホクとジューシー!

注文を受けてから揚げるようです。

ちなみにこれは「子供ポーション」です。さすがに大人が子供用を2皿注文するのはあつかましすぎるので、「大きいのは食べられない」とウェイトレスに相談したところ標準サイズから1ポンド引きで子供用を提供してくれました(子供サイズはたしか半額のはずです)とても親切な対応です。1人前標準が6ポンド前後(白身サカナの種類が多彩です!)は良心的な値段です。

標準的な体格の日本人女性が標準サイズのフィッシュ&チップスを残さず食べるのはかなり無理があります。体の大きいうちの夫ですら、年相応に大きな量の揚げ物はもたれるようです。

 

ブラックプールの海岸通りのフィッシュ&チップス・レストランの...

 

客引きホットドッグ野郎です。

取れた右腕が包帯のように荷造りテープで巻きつけてくっつけられています。

同じホットドッグ野郎をセントラル・ピアのホットドックスタンドで見つけて写真に撮りました。同じポーズの私とのツーショットなのでお目にかけることができません。もとは「シェー」のようにおのれの額にケチャップをたらすポーズだったのを、ケチャップボトル「直角もち」に変更させられたようです。舌なめずりが何とも猟奇的ではありませんか。

 

ノース・ピア前のゾウのエルマー、トラムの旧式車両ペイントをほどこされています。

 

 

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街じゅうにゴロゴロ、ブラックプールの意識の高さを見せつけるカラ元気のアート表現

2024年06月03日 05時14分39秒 | イングランド北部

海辺の(大衆的な)観光地、ブラックプール Blackpool、続きです。

番外編、ブラックプールのアート。

上の写真は、海岸沿いのブラックプール・タワーの前に並ぶ謎のモダンアート群です。

柵の近くにずらりと並ぶたわんだアスパラガスのような金属棒は街灯です。アートっぽい主張がありますが。

すべて海風にあおられるかのように内陸方向にたわんでいます。

そして存在感がすごいこの...

3本セットで、あるいは単独で風を受けて大きく揺れるボインボイン...「吊るさないモービール」のような動きを楽しむアート作品でしょうか。

上の写真はセントラル・ピアの入り口わきにあるビア・バルコニー(ビア・ガーデン)から撮りました。

ブラックプールの公的ウェッブサイトなどで見つかるはずのアーティスト名や作品のねらいなどは気にせずに、ブラックプールのー風景として眺めることにします。

 

ブラックプール・ノース駅からまっすぐ海岸に向かって歩いてきたら、歩道で目についたのがこのクラシックなブロンズ像です。

「海の幸」を天に捧げる何かの寓意像かな、海藻やサザエやサンゴなどを抱えています。ギリシャ神話由来とか...?でもよく見たら水着を着ていました。...日本の小都市でやたらに見かけそうなテイストのわかりやすい古典的アートですよね。

あまりぱっとしないショッピングエリアや...(これはタコの脚か?いえ、違うでしょう)

 

イタリアン、タパス、メキシカンレストランが並ぶ教会前広場にも...(シルバー・サーファーか?絶対に違う)

 

建物がけっこうショボかった通りの両側の、やはり古典的なそれでも身体のディティールが欠落している躍動感あふれる女性像2体。

土台の3本のグネグネした棒は何でしょう。海面からザバっと躍り上がった姿だったりして...

ちなみに、この通りにある Twisted Indian というインドのストリート・フードレストランで食べた夕食はおいしかったです。

奥の半廃屋の立派な建物の前に並ぶ赤い電話ボックスにも注目です。存在自体がアートか観光素材の電話ボックスに驚いたことに使用可能(に見える)電話が内蔵されていました!

 

ブラックプール・タワー前の広場に広がるインスタレーション・アートのコメディ・カーペット Comedy Carpet

英国の演芸史上に名を残す人気コメディアンの名前とパンチライン(決めゼリフ、オチ)が美しいタイルに焼き付けられています。ー定以上の年齢の英国人が夢中になるという、ブラックプールで最も評判の高いストリート・アートです。前回冬に来た時に夫は熱心に見ていましたが英国で子供時代を過ごさなかった私には「馬の耳に念仏」...とは、言わないか?

☟見栄えのする航空写真を新聞社のウエッブサイトから勝手に借ります☟

十字形なのは亡くなった人が大半だから、かもしれません。

ブラックプールはオペラ、バレエなどの古典芸能から、ダンスや歌などのキャバレー・アクト、コメディー、モノマネのような演芸系、ミュージカル、サーカスと言ったライブパフォーマンスの上演で戦前からとても有名な場所なのです。

 

「なんだ、公的資金を投入してアートをガンガン設置するブラックプールは意識が高いんじゃないか...?」という印象を受けられたでしょうか。この他にももっともっと...あるようです。

 

実際のブラックプールは、イングランド北西部で最も軽犯罪率と失業率が高く、学歴(義務教育終了時に受ける共通学力テストの点数)が低いエリアのひとつに属していることで知られます。

たしかに、ブラックプールの町そのものは観光業がふるっているように見えますがすべての利益が住民すみずみまで還元されているかというと...微妙なところではないかと...私には思えます。観光客の人目につくアートへの投資はカラ元気...に見えないこともありません。メインの客層(労働者階級)以外のアート好きにも訴える「アートで町おこし」のつもりもあるのではないでしょうか。

密集度がバカ高い79体も設置された、それぞれ独創的にペイントされたゾウのエルマー Elmer the Patchwork Elephant をさがして歩く親しみやすいアート・イベント、エルマーのビッグパレード Elmer's Big Parade Blackpool が開催されていました。

昼間から虹色のネオン灯が前後にチカチカ移動する観光案内所(上階が結婚登記所)前のエルマーです。

夫がドカンと正面を向いて写っているのでトリミングしました。

ブラックプールタワー(右)裏に正統派、パッチワーク・エレファントのエルマーがいました。

イングランドの多くの地域では、今2週間の学校の休み、ハーフ・タームです。ブラックプールは子供たちでにぎわっているでしょうね。

私たちは観光地で、無料の地元の公営美術館によく立ち寄ります。

観光案内所でもらった無料の観光地図に記載があるグランディ美術館 Grundy Art Gallery に行ってみました。

検索したところ、企画展の現代アートと所蔵作品の常設展が見られるいうことです。載っていた写真を見るとストックポート中央図書館にそっくりの建物!

行ってみたら、本当に「ブラックプール中央図書館」でした!建物の後ろのー部分が美術館でした。週末だというのに、美術館にも図書館にも入館者が誰もいませんでした。

かなり当惑した「時間」「時系列」に関する概念をだだっ広い2展示室を使って表現したインスタレーション展示...

夫は床に並んだロウソクが見えずにもう少しで蹴り壊すところだったそうです。

ロウソクが燃え尽きるまでを映し続ける悪夢のような映像作品を前にー休みしました。

2階の常設展は閉鎖、残念です!

目当ての所蔵品もない、名もない地方の美術館で「あ」というような面白い作品に出合えるのを楽しみにしていたものですから。

そうだ、エジンバラのスコットランド国立美術館でも素晴らしい常設展を楽しめたものの、所蔵品の半分(18世紀以降)は改装のため見られなかったのでした!!

バーミンガムも然り。目当てのラファエロ前派(イングランド19世紀の独自の芸術運動)の所蔵品のめぼしいものはすべて、ボストン(合衆国)の特別展にかし出されていました。いずれも詳しい記事にしています。

取ってつけたような小部屋に、「仕事/余暇」というような主題の絵画がちょこっと集めてありました。

 

1924年、Charles Spencelayh 作、笑う牧師 The Laughing Parson 。この笑顔が瞼に焼き付いて離れません。

ものすごくていねいに描かれた背景のこまごましたものをじっくり見るのも楽しめました。

こういう、(私にとっての)お宝が閉鎖していた上階の常設展示場にザクザクあったのかもしれません。惜しい。

 

あと...、ブラックプールの街なかの、タワー裏手の賑やかなショッピング街にある...

店と店のあいだに突き出して半壊しているコンクリートの橋みたいなものは何でしょうか。まさか...アート?絶対に違うと断言できます。8年前に来た時、すぐそばのマクドナルドで朝食を食べたのですが、気が付きませんでした。

 

 

 

 

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