イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

マンチェスターが誇る多様性の祭典、参加はしなかったけどマンチェスターには当日行った!

2023年08月31日 07時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

今年も8月25日(金曜日)から28日(月曜日)までのサマー・バンクホリデー・ウィークエンド(28日月曜日は公休日)にマンチェスター・ゲイ・プライド・フェスティバル Manchester Gay pride Festival が「ゲイ・ビレッジ」を中心に開催されました。

ルール違反ですが、一番最初の写真は地元新聞の記事から無断転載しました(1枚だけでもイベントスポットの写真を載せたかったものですから)

もともとは同性愛者の市民権運動からスタートした「意識高揚イベント」だったマンチェスター・プライドです。今では「LGBTQ+」であらわされるすべての性的少数者 への支援、連帯を表明するマンチェスターの夏最大のお祭りイベントです。

性的少数者ではない一般の人たちも参加して大いに盛り上がります。

LGBTQ+とは...

L=レズビアン(Lesbian)、G=ゲイ(Gay)、B=両性愛者(Bisexual)、T=トランスジェンダー(Transgender 本来の性と自認する性が異なる) 、Q=クイア(Queer)、+=その他 (Plus)

「奇妙な」と言う意味のクイアはゲイの男性への蔑称でもあったそうです。現在は性的マイノリティ全てを総称する言葉としてLGBTQ+の人たちが自らををそう呼ぶようです。その他とは、上記のカテゴリーに当てはまらない性的指向や性自認(自分は男か女か)です。

 

日曜日、マンチェスターのシティセンターにラーメンを食べに行きました。(ラーメンの件は以前の記事を参照です)

国際都市トーキョーをイメージ、英国の日本グルメ事情、マンチェスターにて

 

バスの窓から、その日のメイン・イベントであるパレードを見終わったらしい人たちがゲイビレッジから出てくるところが見えました。

 

写真は、LGBTQ+への支援を表明するレインボーカラーで彩られた町と、ショッピングエリアで見かけたマンチェスター・プライド参加者(の隠し撮り)です。

シティ・オブ・マンチェスターがマンチェスター・プライドを市の公的行事と認定したのは1985年だそうです。ゲイ・コミュニティへの支援を公的機関(市)が表明した国際的にも早い一例です。

 

英国のゲイ・コミュニティのメッカ、マンチェスター(とその近辺)に定住すること30余年、1990年代をマンチェスターで過ごした私には、ゲイ・カルチャーはすっかりおなじみでしたが、ストックポートに移って以来のここ20年以上ごぶさたです。

90年代には何回か、パレードを見物しました。

当時はマンチェスター・マルディ・グラと言われるパレードが中心でしたっけ。個々のバーやクラブに集まってお開きになるのが通例でした。

現在はチケット(基金への寄付の£2-50)を購入して所定のエリアに入場すれば、コンサートその他数多くのパフォーマンスや意識高揚ラリーなどに自由に参加できるなど高度にオーガナイズドされた大掛かりなイベントになっているようです。

LGBTQ+への関心が国際的にかつてないほど高まっている今、このお祭りイベントへの注目度は私がマンチェスターに住んでいた時とはくらべものにならないほど高いようです。

 

今年のテーマは(今調べました)Queerly Beloved 愛すべき性的少数者(?)

同名の有名な小説(花嫁の付き添い役をよく依頼されるレスビアンの女性のラブストーリー)があるそうです。

ちょうど10年前に同性愛者同士の結婚が英国で正式に認められたのでした。それ以前の、同性同士でも異性婚と同様の権利が得られる「シヴィル・パートナーシップ」制度から昇格した完全な同性結婚制度です。今年は異性結婚制度が制定されて10年目、LGBTQ+コミュニティにとって重要な年だったようです。

私の娘は、男の子として生まれ、自分は女性だと15歳ごろに認識した「トランス女性」です。恋愛対象は男女どちらも当てはまるそうです。

幸運なことに、性自認を公言する以前から女の子らしい容姿で、成人した現在も体毛が一切なく、なめらかできれいな肌をしています。

声と少年のような体つきを女性らしくするために国家が無償で提供する、ホルモン治療を受けています。

この国の多くのトランスジェンダー男女と同様、性転換手術を受けるつもりは今のところないようです。男性の体のまま、正式に女性として市民登録をし直す準備をしています。

同性同士の法的なパートナーシップが認められず、性転換手術を受けなければ望む性での市民登録が許されないという日本から見れば「すすんでいる」ということができるでしょう。

しかし、英国ではLGBTQ+に対するヘイト行為が後を絶たないそうです。少数者の権利を表立って要求し、認められてきた実績があるからこそ黙っていられない、何かにうっぷん晴らしをしてやらないと気が済まない差別主義者の気持ちをうっかりつついてしまうのだと私は思います。

昔からどこの国にも自分と人種や信条などが違う少数者を貶める発言をしていい気持ちになっている人々は一定数いますよね。

マンチェスター・プライドのその日のお開き時にはおびただしい数の警官が町のすみずみに配置されていました。

翌日が法定休日(バンクホリデー)のため、遅くまで飲酒を伴うお祭り騒ぎに興じるフェスティバル参加者同士がトラブルを引き起こさないように...でもあるのでしょう。実際は「ホモフォービア homophobia(同性愛嫌悪者)」と言われる野蛮人のヘイト行為を未然に徹底阻止する目的なのは明らかです。

性的少数者への偏見がごく最近までけっこう容認されてきた背景には、宗教的なタブーの対象であったことと無関係ではないと思います。人種差別的発言を大っぴらにする人はごく稀かもしれませんが性的少数者への嘲笑はまだまだ至る所で目にします。この国でも!

長い髪をポニーテールにして、男性用のチノパンツと靴に、女の子っぽいティーシャツを愛用する娘は今まで3回もごく普通の同年代の男性から面白半分に「きみは女なの、男なの?」と聞かれたことがあるそうです。イヤな思いをして「女だよ」と答える娘にそれ以上何も言ってこないそうですが、絡む人が今後現れないとも限りません。

私は「その人たちはとても失礼で無知なだけで悪意は無いのではないか」と言ったところ息子に糾弾されました。この私の考えは現代の偏見撲滅社会にはそぐわないそうです。

トランスであるのが明らかな人にそれを指摘する行為は社会から疎外しようとする第一歩だとか...「ヘイト」だと決めつけるには微妙なところですが、言われた本人を委縮させる効果は充分です。

 

娘はふつう外出先で女性用のお手洗いを使用しますが、とがめられたことはないそうです。ただし、女性用に列ができている場合、躊躇なくすいていることが多い男性用を使用するそうです。トランス女性の女性用のお手洗いや更衣室の使用を認めさせるや否やという議論にはあまり関心がないようです。

現在、娘は女性とも男性ともとれる容姿や身なりをしているため、気にする人の目をひいてしまうことはたしかにあるようです。好意的な目であれば、気にせず受け入れるしかないと親である私は思っています。

身内にLGBTQ+当事者がいるために性的少数者への偏見や無理解にはとりわけ敏感にならざるを得ない私ですが、ヘイトのみならず、すべての面において、少数者や異端者に居心地の悪い思いをさせる風潮を決して許してはならないと心から思います。

 

できれば来年、重い腰を上げて(人が大勢集まる場所はコロナと無関係に昔からニガテなのです...)家族で参加したいです、マンチェスター・プライド!

家族が当事者であってもなくても...多様性の祭典を40年間も開催しているグレーター・マンチェスターの住民であることは私の誇りなのです。

そう言えば、私と子供2人は人種的少数者なのでした。この国では。

 

地元紙からの秀逸写真を、もう一枚だけ借用します☟

 

 

 

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寝姿が美しいうちのネコと屋外アートモドキの類似性

2023年08月30日 07時18分41秒 | うちのネコ、よそのネコ

安定感のある形状のやわらかくけば立つ物体...さて、これは何でしょう。

 

うちのネコ、リヴィーです!...って言われなくてもわかりますよね。

首をにゅっともたげたところを写真に撮りたかったのですが、すぐにソファーのひじ掛けから降りてしまいました。

気を取り直して、別の日に別のアームチェアーのひじ掛けの上で安定感のある形状におさまったリヴィーの写真を撮りました。

 

いちばん上の写真を見て、思い出したものがあります。これ☟

ストックポートのカエル探しイベントの参加作品ガエル、青い「オーヴィル」が左がわにちょこっと写っていますね。

ストックポート駅前の、エクスチェンジ・スクエアの開放感ある芝生のエリアにピッカピカに磨き上げたなめらかな巨石オブジェがばらばらと設置されています。

ひらべったく眠るうちのネコと形状は同じ!

アートなのか?!「そうだ、アートだ」と決めつければアートでしょうが...違うと思います。

この日は肌寒い曇り日で(8月中旬です)誰もいませんでしたが、天気のいい日には必ず誰か1人はツルツル石に腰を下ろしてスマートフォンを見ています。並んで座ってイチャイチャするカップルもいます。上って飛び降りる子供もいます。

日が照って暑い日にはよく、なめらかな曲面に体の前面を投げ出して日光浴をしている人を見かけます。

上半身ハダカで文字通りのカメの体制で「甲羅干し」をしている(たぶん別の)男性を天気のよい日に通るたびに、たいてい1人は見かけます。

もしかしたらこの周りのオフィスで働く日焼け常連たちの定番スポットなのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

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国際都市トーキョーをイメージ、英国の日本グルメ事情、マンチェスターにて

2023年08月28日 06時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

酷暑のバルセロナから帰省している息子が、マンチェスターのラーメン・レストランに連れて行ってくれました。

その名もトーキョー・ラーメン Tokyo ramen 。

経営者は、息子がストックポートのスケートボードコミュニティで知り合ったフィリピン人の男性です。

以前の勤務先のスシ・チェーン店、ヨー!・スシ Yo! Sushi で余った大量のお寿司をよく息子に分けてくれていました。息子がスペインに移住後も、ストックポートで見かけた私に挨拶してくれた礼儀正しい若者です。

今や、小さいながらも自分のレストランをマンチェスターの一等地で経営する経営者!彼の苦闘時代を知っているだけあって、感無量です!

開店してから5年はたつはずですが入ったのははじめて。息子と一緒に行く機会を待っていました。

醤油ラーメン£14-25(2,630円)は高いですね。(息子がごちそうしてくれました)

飲み物(缶チューハイとラムネ)は店主の厚意でサービスにしてもらえましたが10ポンドのチップを置いていきました。

日本の醤油ラーメンとはスープの味が違いましたが、ウソ偽りなく美味しかったです。場違いな、甘辛いアナゴがのっていたのもうれしかったです。

息子の塩ラーメン(奥)の味見をするのを忘れました。手前は娘が注文した「火/Fire」という鶏ガラ出汁のトウガラシ風味のスープです。日本で一度だけ食べたことのある、韓国の煮込み風の味でした。値段はいずれも同じ£14-25。

 

英国のラーメン・レストランは私の知る限りすべてオープン式の丸見えキッチンです。

日本のカウンター式の「町のラーメン屋さん」を意識しているんでしょうね。

黒が基調の簡素でしゃれた雰囲気の店内です。

大テーブルをはさんだ向かいの女性3人連れは、スプーンに押しあてたお箸かフォークに麺をていねいに巻き付けて口にそぉ...っと運んでいました。私と成人した子供2人がお箸でツルツルすすり上げているのをチラチラ気にしながら、音をさせずに上品に食べていました。

ウェイターとして1人で店内を忙しく駆け回っていた、経営者の息子の友人に「本当においしかった」と言うと、「ありがとう、うれしいです」と感激してくれました。

なぜか、英国ではおなじみの鉄板焼きはじめ、日本料理レストランの経営者のほとんどがフィリピン人です。

話は飛びますが...

私は、英国に来て30余年、20代半ばから還暦の現在まで英国人から「実年齢よりも10年以上若く見える」とよく言われます。(お世辞もあるでしょう)

概して言えば、東洋人は英国人にはかなり若く見えるようです。コーカサス人(=白人)は男女ともに20代以降、急激に老け込む傾向にあるものですから。

英国では肥満対策が国民的課題なのもよく知られていますよね。

たしか20年ほど前まで、多くの英国人女性が「日本人の若さと健康と長寿の秘密である日本食」の話を私としたがりました。

曰く、「あなたたち日本人のように海藻や醗酵した大豆食品を積極的に摂取して菜食中心の食事に切り替えれば、私も若さと体型を維持できるかしら」... 私たち日本人は子供の頃からそれらの日本固有の健康食ばかり食べてきたと思っていたようです。

私個人に関しては...日本に住んでいた20代前半まで、お味噌汁、ご飯に焼き魚、炊き込みご飯の他、そば、うどんなど濃いつゆ味の日本食は好きでしたが、納豆やお漬物、梅干しなど純粋で淡泊な和食を日常食べていた記憶がありません。

私たちの世代からすでに、成長期の子供たちには肉中心の献立が望ましいと言われていたようですし...

学生食堂や社員食堂でも定番のトンカツ、スパゲッティ、カレー、エビフライ、ハンバーグ等は成人してからもよく食べていました。友人との会食はイタリアンやちょっと気取って中南米や東南アジア料理...などでした。回転ずしなどなかったころ注文して握ってもらうお寿司は敷居が高すぎたような...

現在、私が作って食べるのはオーブンを多用した英国の家庭料理やパスタ類が多いです。

とにかく、彼女たちが「日本人が若々しく肥満しないでいられる」理由は食生活だと誤解しているように、日本人にも「イギリス人みたいに毎日フィッシュ&チップス食べたり、アメリカ人みたいに毎日バーガー食べてたら老化も進むし太るよねー」って思ってる人いますよね...?

 

食生活はそれほど関係ないはずです!

 

人種や個体による遺伝子や体質の違いもあるでしょうが、コーカサス人の急激な老化の原因は間違いなく極端な日焼け願望(濃い色の肌を手に入れるための度を超えた日光浴の習慣)ですし、肥満に関しては一概には言えませんが英国はクルマ社会であるなど恒常的な運動不足と、食事よりもむしろダラダラと食べ続けるスナック類に原因があるはずです。

体型を気にして夜食を控えるなど自制できる日本人が英国人一般に比べて圧倒的に多いように思います。食生活よりむしろ意識の違いでは?

私たち東洋人は浅黒い肌が特別美しいと思う美意識がありませんし、紫外線の害を知っていますのでむやみに日に当たらないよう気をつけていますよね。このことを指摘するとたいていの英国人は動揺しますが日光浴はやめません。若さと日焼けした肌なら後者を取る人が多いでしょう。

とにかく、高度成長期の豊かな時代以来、日本人一般の食生活はそれほど健康的ではなかったはずです。後述します。

 

また話をかえます。

マンチェスターのショッピングセンター、アーンディル・センターArndale Centre に付随した庶民的なマーケット、アーンディル・マーケット Arndale Market のー角に、あやし気で楽しい「国際ストリート・フード街」があります。

日本のショッピング・モールの「フード・コート」のように共有の飲食スペースがあります。

お昼時などは圧倒的に座るスペースが足りません。近隣の職場などに持ち帰る客がターゲットの、ファーストフード店の寄せ集めのような様相です。

その中の一店、私が注目していたのが....日本のストリート・フード店、トーキョー・トーキョー Tokyo Tokyo。

 

ゴロのいいしゃれた屋号です。調べてみたら、アメリカ合衆国に手広くチェーン展開している同名のラーメン・レストランがありました。

経営者は、やはりフィリピン人のご夫婦と見受けます。多彩なトッピングが売り物のラーメンをメインに供するレストランのようです。利用したことはありません。

追加メニューの品目に注目です。

撮り方のせいか、褪色のせいか、ぜーんぜんおいしそうに見えない薄気味の悪い色合いの写真の数々...

エビ天ぷら、ギョーザ、テリヤキどんぶり、親子丼、手羽先のピリ辛あげ、ピリ辛焼きそば、ピリ辛うどん、ピリ辛からあげ丼、お好み焼き、サバのかば焼き丼... よくやった!とほめてあげたいようなイマ風なセレクションです!

7ポンド50ペンス(1380円)を中心とした価格帯です。いかにも「値上げしましたっ!」って感じで、適当に切ったマスキングテープを上から貼り付けて値段の訂正をしているところが...ショボいですね。

繁盛していました。見かけで判断するのは絶対に失礼です。オーセンティックな日本の味かどうかにこだわらなければ、上記のトーキョー・ラーメンのように驚きのおいしさだったりすることがありますよね。そのうち、試さなければ。

 

日本料理と言えば、寿司、スキヤキ、天ぷら、鉄板焼き...は過去の話です。現在、並大抵の量ではないSNSで発信される情報をたよりにとても多くの欧米人観光客が現地で地元の日本人が好む街の外食を楽しんでいます。

欧米全域でイメージする日本食の筆頭はズバリ、ラーメンです。

他に彼らが好む日本食は、今や日本人ですら毎日欠かさず食べる人は少ない純和食ではなく、唐揚げ、餃子、エビフライ、ソース焼きそば、トンカツ、日本風カレー、チャーハンなどの、中華、洋食由来のB級グルメ食が主流になっています。

今年、私と日本で合流した私の子供2人もラーメンには夢中になりました。ラーメン屋で餃子にも味をしめました。コンビニで格安で食べられるアツアツの唐揚げにも大感激しました。以前から、トンカツとエビフライは大好きです。お好み焼きと肉まんは食べていないはずです(残念)

いずれも、「和食」ではなく決して健康食とは言えない脂っこい、味の濃い「がっつり」食ばかり。毎日食べたら成人病になりそうです。

 

ちかごろ、「日本食で若さと健康とスリムな体形を手に入れたい」と話題にする人がめっきり減った理由がうなずけます。

 

トーキョー・トーキョーのカウンターの写真を撮ったのは1か月ほど前です。ここ2週間の間、2回前を通ったのですが2回ともシャッターがおりていました。閉店したのかお店の人が帰省でもしているのか、不明です。

 

ストリート・フード街でタコ焼き屋を見つけました。

7ポンド(12,90 円)はオヤツにしては高すぎますね...。

 

 

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ハンバーガーにされたカエル, マクドナルドのあれこれとストックポートのかわった史蹟

2023年08月23日 07時00分00秒 | ストックポートとその周辺

ストックポートのカエル探しイベントに話題を戻します。

ロナルド Ronald (作品番号6)

ハンバーガーがペイントされたロナルド、スポンサーはマクドナルド Mac Donald's (マクドゥノーズと読みます)です。

今年のカエル探しのイベント名は 、The Great Frog-tastic Invention Trail 、有史以来の偉大な発明がテーマです。

「アメリカで発明されたハンバーガーはファーストフードレストランにとって欠かせない食べものである云々」の説明がガイドマップに添えられていますが...。飛行機や蒸気機関車、電話なんかに比べると発明の偉大さのグレードはググッと落ちるような...?(多くの人にとってはどうでもいい)

描写力はなかなか!です。クローズアップでお見せする価値はあり。

 

 

マンチェスターに草間彌生展を見に行った日曜日、1人でマクドナルドに入って、季節限定のバーベキュー・クオーター・パウンダー BBQ Quarter Pounder を食べました。(いっしょに展覧会を見た友人とは会場前で落ち合いました)

マクドナルドで昼食はおそらく2年ぶりです。たまにコーヒーを飲みに入ることはありますが。あ、朝食のパンケーキ・セットも何回か食べています。

 

2か所に1か所の割合のバス停のサイドに掲示されていた食欲をそそるこの☟ポスターの効力に屈したのです!

実物はポスターほどおいしそうには見えません。

私が注文したのはポスターのダブルとは違い、スタンダード(=シングル)ですが。

ドリンクとチップス(フレンチ・フライ)がついたミールセットで£5-99(1,112円)でした。単品でたのむと(...今調べました)£4-19 (779円)です、セットが断然お得ですね。ちなみにダブルは£5-49。ミールセットで£7-19。(いずれも単位はポンド-ペンス)

日本では...もうどんどん調べます。あら、4月から発売停止!価格が抑えきれず収益がでないからだとか?スタンダード単品で400円、ミールセットで700円だったんですって?!お安い!

ひさしぶりに食べると美味しいですね。1人でサっとすませたい買い物途中の昼食にピッタリです。かつてのようなお手頃感はどんどん薄れてきている気がしますが。

一番安い「ハンバーガー(チーズなし)」は£1-09 です。まだ、あったんだ、とちょっと驚きです。

 

バーべキュー・クオーターパウンダーはこってりしたバーベキューソースの安っぽい甘辛味が絶品のおいしさでした。

昔からなぜか、いつもマクドナルドのミールセットを食べるとお腹いっぱいになるのに、2~3時間後に強烈な空腹感をおぼえます。なんだか怪しげです。

マクドナルドは、特に2012年のロンドンオリンピックの公式スポンサーをやってからだと思うのですが健康に配慮したアピールに熱心です。昔からハンバーガーに挟まれていた薄~いレタスやトマトは数に入れないとしても、現在ミネラルウォーター、サラダや野菜スティック、リンゴ、ブドウ、メロンなどの果物を販売していますし、カロリー表示や、糖質、アレルゲン、1日に必要な栄養素の摂取目安とパーセンテージなどの情報も開示しています。

...ただ、加工食品の継続的な摂取による健康害は今さら隠しようがありません。毎日食べてよいものではなさそうです。たまに食べるのは楽しいですね。

 

ついでです。

マンチェスターの表玄関、ピカディリー・ガーデンズ Piccadilly gardens に面したこの1920年代風の建物の一階のマクドナルド、私がマンチェスターに留学していた1990年代の初めにもとなりの薬局, Boots とともにこの場所にありました。

ほんの10年前にどこに何があったか思い出せないほど店舗の入れ替わりが激しいこのエリアで、この2軒は大健闘しています。

留学中に、日本で見なれたマクドナルドを目にすると心強い思いをしました。

異国で、見知らぬ土地でマクドナルドを見かけたら何かホッとした気分になりませんか。旅先でマクドナルドに入ってみたいかどうかは別として。

 

 

このロナルドのたつランカシャー・ブリッジ Lancashere Bridge は...

8年前に一部分の、しかも片側だけ復元された変わった史蹟物件です。

この写真ではわかりにくいのですが、1932年建造の歴史ある橋の橋脚部分が見えるように道路が丸くくりぬかれています。

1970年代にストックポート全域を含むマンチェスター周辺の広範囲の町がグレーター・マンチェスター Greater Manchester として州統合されました。

それまでストックポートのタウンセンターは、このマージー河を境にチェシャー Cheshire とランカシャー Lancashere の2州に分断されていたのです!! 橋の右側がランカシャーでした。

中世以来、何回も架けなおされたこの大きな橋は(復元されたのはアーチひとつ分、ごく一部です)州境橋 boundary bridge として地元の名所だったそうです。

1965年にショッピングセンター、マージーウェイ Merseyway が建設された時、マージー河は暗渠として覆われてしまいました。その時ランカシャー・ブリッジの、コンクリート製の橋脚だけはなぜか(!)取り壊されることなく道路に覆いかぶされてしまったそうです。

奇妙な話です。

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見た!日本人の前衛作家、世界的人気の草間彌生の水玉アート展

2023年08月21日 05時30分08秒 | マンチェスター

評判の、「草間彌生 あなたと私と風船 YAYOI KUSAMA YOU, ME AND THE BALLOONS」 展に行きました。

 

マンチェスターのシティセンターのはずれ、ディーンズゲイト・カスルフィールド Deansgate Castlefield という、小舟の停泊地が入り組んだ運河沿いの水辺のエリア、古代ローマ時代の城塞の遺跡の残る興味深いエリアに新しくオープンしたイベント・センター、Aviva Studios が会場です。

 

(写真2枚はディーンズゲイトの景観です)

入館日時指定の入場券は発売と同時にほぼ完売。知識層の愛読新聞紙のアート欄がこぞって絶賛する日本人女流作家による現代前衛アート展!!

上に座ったり寝そべったりできる Cloud 雲 (写真☝)以外は全て過去の作品の寄せ集め...と言うか草間自身がアレンジ、プロデュースした展示らしいです。

すべて、空気を入れて膨らませた巨大オブジェの展示会です。

15分刻みの入場時間を予約する仕組みですが、会場には好きなだけいてもいいようです。

誘ってくれた友人が、空きのある時間枠をみつけ、予約してチケットを取ってくれました。

 

日本人の女性アーティストが全世界でもてはやされるのは嬉しいです。

現代アートに特別関心があるわけではない一般の人まで夢中にさせる草間彌生の魅力とはいったい何なのか...実はちょっと気になっていたのです。いかなければ!

 

「天真爛漫」とか「無邪気」と表現され、高評価を得た現代アートは私に言わせれば、その時点で「無邪気」ではなくなるはずです。

来館前に、日本語のウェッブサイトでちょっとだけ草間彌生の人となりと芸術についてリサーチしてみました。ああ、幼少期から幻覚や幻聴を体験してきた人だったんですね。この頃あまり聞かない表現、「天才と狂気は紙一重」、いい得て妙。

「もしかしたらその無邪気はホンモノかも!」という期待が膨らみました。

とにかく、私はこの展覧会から彼女の作品の好悪を述べるつもりも批評するつもりもありません。

楽しかったです!作品の意図やアーティストのメッセージを受け止める、という美術の本質と向き合う行為は最初からあきらめていました。

ただ...黄色に黒の水玉模様のタコの脚(じゃなくて、希望の水玉)がにょきにょき生える「無限空間に埋葬された希望の水玉が永遠に宇宙を覆う」小部屋を通って、会場全体を見下ろせる中二階に上がって...

下に降りて広い1階展示場を歩き回って...

タマコロの中の無限空間をのぞき込んで...

 

20分並んで四方と天井、床が鏡張りの球体の小部屋に入って無限空間体験をしておしまい。100% 私個人の感想ですが、これで入館料15ポンドは高いと感じました。

パブリック・アート的に無料で公開してグッズ販売などで利益を上げる方法もあったはずです。

そして、「その無邪気はホンモノかも!」とはどうも思えない気がしてきました。「この表現方法が好評だから続ける」のが本当に無邪気なのでしょうか。

ピンクの髪にピンクの水玉のブラウスを着た草間が御詠歌のような悲しい節をつけて歌うビデオが無限ループで流れ続け、楽しい雰囲気の会場に暗い影を差していました。

日本語なのに不明瞭。「天国への階段~」とか「三角の扉をうちやぶり...」と, ところどころ不穏なフレーズが聞き取れたのが不安をかきたてました。...帰宅後みてみたウェッブサイトの解説の英訳によると、アーティスト本人のうつ状態時の自殺願望をうたっていたようです。

1年前、ゴッホの生涯と多彩な作品をコンピュータ映像と圧倒的な音量の音楽を駆使して紹介する「アートショー」Van Gogh Alive 展を見てきたことを思い出し、比較してしまいました。

その時の入館料の23ポンド50ペンス、高かったのですが払った分だけじゅうぶん堪能した記憶があります。

ゴッホも精神疾患を患っていたのでした。誰にも理解されない激しいタッチの絵を命を削って描き続け、37歳で自殺したゴッホの生涯が悲しすぎました。生きているうちに売れた絵はたったの1枚、なんて気の毒なんでしょう!

前衛で若い頃から高い評価をうけ、生きている間に世界的名声を得た草間彌生の展覧会を見て思ったこと;

「表現方法の多様化が評価される現代はいい世の中だ」。

 

作品といっしょに写真が撮れる、というのも人気のポイントのひとつなのかもしれませんね。「インスタ映え」しそうです!

 

ゴッホのアートショーに関する ストックポート日報 の記事リンクです☟☟。

徹底的に不遇だった天才画家の足跡をたどる、大人気の斬新なアートショーに行ってきた

 

そして、もうひとつ。

空気を入れて膨らませた作品群は、手を触れてみたくなりますがさわれません。アートですから。抱きしめたり、押し倒したり、パンチバッグのように力いっぱいぶちかましてみたくなります!

子供連れの家族がたくさん来ていましたが、作品に手をふれる子や走り回る子はまったく見かけませんでした。

概して言えば英国の小さな子供たちは親と一緒の時、とても聞き分けが良いのです。アート展に子供を連れてくる(文化的な)家族を英国社会全般の例として語るのは無理があるかもしれませんが。

国民全体が礼儀正しいことで知られる日本人ですが、子供の振る舞いに関しては別だと思います。3ヵ月の日本滞在時に、店の中で走り回ったりぐずったり親の関心をひこうと大きな声で同じことを繰り返して言い続ける小さな子供をけっこう見かけました。

 

 

 

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カエル効果でビジネス招致もかなうか、晴れた日の日光浴とストックポートの開発祈願

2023年08月18日 01時42分20秒 | ストックポートとその周辺

きのうは日中気温が25℃前後、久しぶりに雨が降らず気持ちのいい1日でした。

ストックポート駅前の新しいビルが並ぶ ストックポート・エクスチェンジ Stockport Exchange と呼ばれるちょっと開けたエリアに行ってみました。

 

おなじみのストックポートの観光イベント、カエル探し Frog Spotting の話題です。

オービル Orville(作品番号3)。

1903年にアメリカ合衆国のノースカロライナで世界初の有人飛行機の飛行に成功したウィルバーとオービルのライト兄弟の偉業をたたえた作品です。

(男の子がフードにニセ毛皮の縁取りのある真冬のコートを着ているのに注目です)

 

わかりやすく、青空をバックに黒い飛行機が描かれています。

 

空港に近いストックポートでは上空を飛ぶ飛行機をひんぱんに見かけます。この日は天候の都合か、機体はすべて高すぎていっしょに撮影できませんでした。

 

 

右側の奥にちょこっと写っているカエルのオービルのスポンサーは、世界的なホテル・チェーン、ホリデイ・イン Holiday Inn。

12時過ぎでした。チェックイン時間前だったのか何組もの人がスーツケースを芝生においてデッキチェアで日光浴をしていました。

 

街のオープンスペースにおかれたデッキチェア、英国の夏の風物詩です。

ほとんどの人(特に女性)が老化を促進する紫外線に肌をさらすのを徹底的に避ける日本では考えられませんよね。今はとにかく何より暑すぎるんでしょう?

...西洋人にとって晴天の日に外にでて顔を太陽に向けて目をつぶるのは 持って生まれた本能のような習性です。

日焼けに対する強烈な執着は英国(のみならず欧米諸国全般)で生まれ育っていない私の理解をはるかにはるかに超えています。

皮膚ガンを誘発、肌の老化を進めるなど紫外線の害はもう十分啓蒙されているはずなのに、「日焼けして美しくなりたい」強烈な欲望にあらがうことができない人が多すぎるのです。

日光を浴びないと鬱になると公言している人、日光に当たっている時の自分は美しく内面的にも強くポジティブでいられると思っている人が実際とても多いようです。うちの夫も日光に顔を向けて恍惚状態になっている時に話しかけられるのをひどく嫌がります。サッカー観戦している途中に話しかけられた時とよく似た反応です。

「太陽光線に身をゆだねた自分」を一種、神格化したような精神状況なのでしょうか、何者も立ち入ってもらいたくない状況なようです。

 

...上の写真のホリデイインの左側に現在建築中のビルが見えています。

これ☟

 

ストックポートの有名なランドマーク、ストックポート・ヴァイアダクト Stockport Viaduct (鉄道橋)の周りの、バス・ターミナルだった場所もバスターミナルを取り込んで、ショップや緑地エリアなども含む壮大でモダンななオフィス・ビル街に開発される過程なのです。

ロンドンやバーミンガムなど南部の大都市から北部の大都市、マンチェスターに向かう乗客に、電車のスピードがぐっと落ちるヴァイアダクトの通過中に見下ろして「おおっ、ストックポートはなんて発展した町なんだ!」と感心してもらう効果バツグンなのかもしれません。

 

ストックポート・エクスチェンジに話を戻します。

フログワーツ Frogwarts (作品番号2)

この写真は、別の日の夕焼け空が美しい夕暮れ時に撮りました。

蒸気機関を発明したウィリアム・ニューコメンとそれを発展させて蒸気機関車の原型を発明したジェームス・ワットの偉業をたたえた作品です。命名も表現もちょっと苦しいですね。

フログワーツは「ハリー・ポッター」に出てくる寄宿学校の名前ホグワーツにかけていますし、表面のペイントも(たぶん、赤いし)ホグワーツ・エクスプレスのつもりでしょう。子供ウケはバッチリですね。

無料でもらえるカエルめぐり地図の解説によればフログワーツは「ストックポート駅の、9と 3/4 番線から発車する」と書かれています。いえ、ストックポート駅にはプラットフォームが有名な「0番線」を含めて5本しかありませんてっば!

 

もちろん、駅の坂上エントランスのすぐ外に設置されています。

 

このストックポート・エクスチェンジ、開発が完成したのはパンデミックの2年ほど前だったと記憶しています。

「完成予想図」とともに開発予告が載った地方新聞には「ストックポートはヨーロッパのビジネス・ハブ(放射線の集まる中心地)になる Stockport will be the European Business Hub」という、「かってに言ってろ」レベルの実現度の壮大な標語が掲げられていました。

ムリなのは明白ですが、荒唐無稽とは言い切れない国際ビジネス立地に欠かせない要素は、ストックポートにはたしかにあるのです。

マンチェスター国際空港までクルマで15分足らず、30分おきに発着する空港直通バスも駅のすぐ下の通りにとまります。そして何よりも鉄道の便!マンチェスター行き、マンチェスター発の全ての列車がストックポートにとまります。

もちろんストックポートはぜんぜん「都市 city」の機能を充たしていないただの「町 town」なのですっ!!...が、それでもマンチェスターとロンドンを結ぶ鉄道路線、主要都市だけに停車する「インターシティ Intercity」もストックポートにとまります!

...その理由は、ストックポート駅のプラットフォーム直結の、ストックポート・ヴァイアダクト。

以下、ストックポート住民の「お国自慢」(実話)です。

リバプール-マンチェスター間を世界初の鉄道が開通した時、すでにここストックポートに駅を建設する計画がありました。

首都ロンドンに至る鉄道開設のため、谷底の町、ストックポートをまたぐ壮大な鉄道橋の建設が必須。それと引き換えに、未来永劫に「マンチェスター行き/発の列車すべてをストックポートに停車させる」という条件を当時(1840年)のストックポート市長が鉄道省に承認させたのだそうです!!

ストックポートは、国際ビジネス都市マンチェスターよりもほんのちょっとですがロンドン、バーミンガムよりです。マンチェスターからよりずっと空港にも行きやすいですし。お家賃もマンチェスターに比べればグッと安そうです。

ただ...駅前のストックポート・エクスチェンジの青い空を映し込む美しい鏡面ガラス張りの新型オフィスビルには空きスペースが多そうです。

パンデミック以来、リモートワークが定着した今、空港に行きやすいとか鉄道の便がいいとか、どれほどの利点(説得力)があるのでしょうか。どこにいたって会議や商談はできますのに。

建設ラッシュのストックポート...本当にもくろみ通りに行くのかどうか...

 

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ストックポート恒例のカエル行事と英国の生活困窮事情など

2023年08月15日 06時32分35秒 | ストックポートとその周辺

日中の最高気温が連日21℃前後の肌寒い英国の夏休みです。しかも、ほぼ毎日雨降り...

ストックポートのショッピングセンター、マージーウェイ Marseyway の天井から色鮮やかな浮き輪がつるされ、夏の海辺のリゾート気分を盛り上げています...寒いんですってば...!

今年も(と言っても2021年に続いて2年ぶりですね)夏休み恒例、子供たちに大人気のアクティビティ「カエル探し frog spotting」が7月21日に始まりました。

2019年、2021年にもストックポート日報 でしつこく取り上げました。

地元アーティストによって表面をペイントされた巨大なカエル19体を探してストックポートの観光、商業のかなめスポットを巡るパブリック・アート・トレイル・イベントです。

今年のイベントタイトルは The Great Frogtastic Invention Trail (偉大な発明めぐり)。前回までと違って、一貫したテーマがあるようです。従来のストックポートの名所めぐり、パブリックアート鑑賞のほかにタメになる知識も得られるという趣向のようです!

 

ショッピングセンターの入り口近くに設置された赤いカエルの名前は、リンゴー Ringo。(作品番号7)

リンゴーは、ring (電話の通話) からの安易な名づけでしょうね。

英国の偉大なロック・バンド the Beatles のドラマー、リンゴー・スター由来で現在ではごく少数ながらも男の子に名付ける親が後を絶たないユニークな名前のひとつです。子供の名づけウェッブサイトを見てみたら「日本語ではアップルの意味がある」とたいてい書かれています。リンゴー・スターの芸名は、指輪 (ring)好きからついたあだ名がもとだそうです!

 

アメリカ人のアレクサンダー・グレアム・ベルによる電話の発明(1876年)を讃えた作品だそうです。わかりやすいですね。お腹には懐かしいダイヤル式、背中にはスマートフォンの文字チャット画面がペイントされています。

 

チャット会話の内容は「やあ、リンゴー、夏休みは何するの?」「マージーウェイの海辺(seaside fun=イベント名)を跳ねまわる(hoppinng over=大はしゃぎする)んだ」「楽しそー、僕も行っていい?」「もちろん!砂浜で会おう、7月29日から9月3日までやってるよ!」

...スポンサーは言わずと知れたマージーウェイです。

Seaside Fun とは...

 

大きな砂場と、ヘルター・スケルター helter skelter という、英国の海辺の観光地にはおなじみの滑り台が設置された海辺の気分満載のプレイエリアです。

空気を入れて膨らませる、低くて滑り台部分がチューブ状になった安全型ヘルタースケルターです。海辺にある本式なのは3階ぐらいの高さの塔の周りを覆いのない滑り台でらせん状にグルグル滑り降りる安全上問題が大ありなモノなのです。25年以上前、小さかった息子を膝にのせてすべってみたことがあります。こわかった~)

2日続きで晴れ(気温は最高28度)だった先週の午後、上の写真を撮りました。

 

ところで...

リンゴーの横の空き店舗を利用した、手作り品を売ったり、アーティストが個展を開いたり、環境問題へのアッピール展示をしたりするための貸しスペースで...

週末オープンする予定の「イベント」準備がすすんでいました。

小学校の制服のおさがりを、すべて50ペンス(91円)で販売する仮店舗だそうです。

 

昨今の物価高に伴う生活危機で新学期に向けて学校の制服をそろえるのが困難な家庭が多い、とたびたびニュースで取り上げています。

生活困難者が食料のみならず、衣料や日用品を無料で受け取れるフード・バンク food bankに行けば、もちろん制服ももらえますが、「生活困難者」とまでは言えない、フード・バンクに並ぶほど困窮していないけれど、出費はできるだけ抑えたい子供がいる家庭も多いはずです。

子供がいる家庭には本当にありがたい企画なはずです!

片側には女の子用、ギンガムチェックのワンピースがズラッと並んでいました。

英国の、多くの公立小学校にはスクール・ユニフォームを着て登校するきまりがあります。

スーパーマーケットやデパートが値段まちまちで、デザインも微妙に違う標準型の制服アイテムを常時販売しています。

男女ともにスクールカラーか白のポロシャツにグレーのスカートかズボン、寒くなったらスクールカラーのスエットシャツ(トレイナー)を上に着る、というのがたいていの学校の標準ではないでしょうか。スクールカラーのギンガムチェックのワンピースは低学年(4歳から9歳)の女の子に人気です。

女の子は、ワンピースでもズボンでもスカートでもピナフォー(ジャンパースカート)でもオッケー、選択肢が広いですね。

成長が早い、小学生の子供たちに制服を買い続けるのは生活困難者でなくてもけっこうな負担です。

うちの子供たち2人が小学生だった時、多くの小学校ではエンブレム(校章)刺繍の入ったトレーナーが学校指定で、ちょっとした社会問題になっていました。特定業者に販売させて、売り上げの一部が学校の設備基金として運用されていました。

スクールカラーのどこの学校でも通用する無地無紋のトレイナーをスーパーマーケット等で格安で売らせて、それを着て行ってもいいことにすれば制服への出費が著しく抑えられたはずなのです。

今は、刺繍入りユニフォームの着用は強制されず、希望者のみに購入させる学校が多くなっていると聞きました。

うちの娘は学校時代、男の子だったものですから上の息子のおさがりが流用できると期待したのですが、すぐにサイズが小さくなったもの以外、いたみが激しく買いなおすことの方が多かった記憶があります。

いちばんの出費は黒の革靴でした。

子供の頃の靴選びは体の発達に重要な影響を与える、と信じて無理してでもきちんとした造りの革製の靴を買ってはかせる親がとても多いのです(少なくともうちの子供が小学生だった頃は)。もちろんスーパーマーケットには廉価な合成皮革の通学靴も多数売られていましたよ。

 

ちょっと離れた場所に産業用ゴミ箱のような「おさがりの制服寄付箱」がありました。

 

中を覗き込んでみました。

破れたり汚れたりしたものは受付けないようですが...ちょっと見たところ、くたびれたモノが多いですね。兄や姉のおさがりならともかく、知らない子供が着古した服を子供に着せるのに抵抗のある人は多いかもしれません。

50ペンスだからと、納得できる人だけが利用するのでしょうか。

私は自分の服はほぼすべて、寄付品を売って売上金を慈善事業に使う「チャリティ・ショップ」で買うことにしています。節約とともに社会的意義(リサイクルと慈善活動)も重要視してそうしています。

チャリティショップで売られている古着は、概して言えばコンディションの良いものばかりです。

「寄付箱」をのぞき込んだら、なんだかもっとせっぱ詰まった事情がかんじとれました。

 

例年ほど情熱的にカエルの紹介をするつもりはありません。時々目についたら関連の話題といっしょに記事にしてみます。

 

 

 

 

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驚きの新製品紹介(ストックポート日報は企業のマワシモノではない)

2023年08月13日 06時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

最近、広告動画を見て衝動買いした製品があります。

 

これ!

 Best Ideas UK といううさん臭い名前の会社が販売している、じゅうたん、家具のケバとり道具です。

プロォ・リント Pro Lint という製品名はいかにも素人ウケなかんじでダサいです。一般名は lint remover です。

 

リントというのはケバ、セーターなどの毛玉(英国ではボブル bobble が一般的です)のこと、つまりケバとり道具です。

名前はともかく、性能はすばらしい!(売り上げに貢献してコミッション稼ぎをする記事ではありません!)

じゅうたんにあてて手前に引くとかすかにカリカリする手ごたえがあり、綿ボコりやネコの毛がひも状にあつまります!四方から集めるとフワフワに丸くまとまります。掃除機では取り切れていなかったんですね!

丸くまとまったホコリをつまみとると、細かい砂ぼこりが取り切れずに残ります。掃除機で吸うかガムテープでくっつけて取るといいようです。

 

私はソーシャルネットワークサイトに勝手に入ってくる家事、美容などのアイデア商品の宣伝実演ビデオをみるのが大好きです。

大量の衣類をコンパクトに収納、とかダルダルの老け顔が一気に若返るとか...感心して最後まで見ているとつぎつぎとその手の製品広告が入ってくる仕掛けらしいです。買わなくてもアルゴリズムとやらはお構いなし、私の購買パターンを決めつけて作動しているようです。

しかし今回、一般人らしい、ネコを飼っているおデブちゃんの英国人女性が「すごくいい!」と絶賛しながら実演する販促ビデオにはかなりの説得力があり即、「購入する」ボタンを押してしまいました。11ポンド99ペンス(2,207円)。アマゾンなどで他社製品がもっと安く売られていました...

 

検索してみたら、日本でも販売されているのが判明、「毛玉クリーナー」「毛玉シェーバー」「リント・クリーナ―」など名称は統一されていないようですね。

家に届いてから1週間、ほぼ毎日じゅうたんに膝をついてコリコリやっています。毎日やってもまだとれる!

角度をかえて、そーっと動かすとソファーやクッションの上のネコの毛もよく取れます。じゅうたん以外の表面は今まで通り濡らした手でそっと撫でる方法で充分です。

日本の広告動画ではセーターの毛玉もこれ(類似品)でとって見せていますが、編み目をひっかけないかとちょっと心配です。

以前、広告動画を見て、薄めたお酢を入れて加熱すると蒸気がシューッと出て電子レンジ内部がピッカピカになるというアイデア商品を買ったことがあります。安いものでしたが家中のド顰蹙でした。シューッのあと拭き取らなければいけない手間は、熱いお湯につけて絞った布で拭く手間とまったく同じ!それ以来、怪しげなアイデア商品には手を出していません。

...プロォ・リントはおススメです。

(読者の皆様がこの記事を読んで毛玉クリーナーを買っても私のフトコロには1ペニーも入ってきません)

 

 

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ナシのキューポラのある名物ミル建築に見る古い建物の利用法

2023年08月11日 08時00分00秒 | ストックポートとその周辺

洋ナシ形のキューポラのある元製糸工場、続きです。

きのうの記事のリンクです。

ナシのキューポラのある町、栄光の歴史の最後を飾るお茶目建築今は人気の商業施設

20世紀初頭に創業した、製糸工場の建物を上手に利用した「商業施設」です。

うちの娘と友人3人がウォール・クライミング(2時間コース)をしている間、私と夫は Stockport Vintage Emporium というお手頃骨董市場に入ってみました。

「お手頃骨董」は便宜上私が勝手につけた呼び名です。

骨董(アンティーク)というほどの値打ちもない年季の行った日用品を売っているブースが100近くある、常設マーケットみたいな施設です。ヴィンテージと言えば、聞こえがいい...まあ、欲しがる人もいるガラクタ屋の集合体とでもいった方がいいのかもしれません。

ペア・ミルのウェッブサイトを見てみたら、けっこう人気のある観光スポットらしいことがわかりました。

各ブースに、経営者は常駐していません。製品には全て、店名と値段が書かれた札が取り付けられています。メインの会計所に買いたいものをもっていって支払いをすればいい仕組みです。

「ガラクタ屋やセカンドハンドショップ、あるいは骨董屋では売り手と買い手の値段の駆け引きも買い物の楽しみ」と言う人も多いようですが、ここでは一切、値切れません。このシステムは気に入りました。私は値切るのは苦手ですし、かといって自分が必要以上に吹っかけてある値段を払って損した気になるのもイヤなのです。

 

衣類が充実していました。

 

びっくり顔のサカナの置物、Bewrick Leaping Trout に先月行った、ベリックの名前を見つけました。

ベリックは知る人ぞ知る、豪華な釣りツアースポットでもあるそうです。一区画を借り切ってトロウト(シャケの一種)フィッシングができるそうです。

 

草間彌生の古いポスターを見つけました。

いわゆる「骨董」らしい品物と言えば、対になったキング・チャールス・スパニエルの陶器の置物でしょうか。

19世紀に、新興中流階級がこぞって買い求めて暖炉の上に飾ったという成金インテリア・アイテムです。対で揃っているものはけっこう貴重らしいです。かわいくも美しくもなんともない俗っぽい置物ですが、よく見たら愛嬌があるような...(40ポンド前後、安いのか高いのか?)

18世紀のドイツで開発されて、20世紀に大人気だったというウラニウム入りの妖しく光るガラスの食器!

「安全性は問題なし」とわざわざ書かれていました。

 

...結局、何も買いませんでした。不要なモノを増やさないように極力気をつけているつもりです。

 

このヴィンテージ・エンポーリアムの呼び物は、一番奥のこの、ティールームらしいです。

 

椅子や食器類が何一つとして揃っていません。

さすがは「ガラクタ屋」のティールームです。

 

私たちは家では飲めないエスプレッソ・マシーンで淹れるアメリカーノを注文しました。おいしかったです。

紅茶の種類が多く、変わった形のティーポットから飲んでみたいと一瞬思ったのですが...やめました。

うちの夫はものすごーく紅茶にうるさいのです。オンライン販売で入手したリーフ・ティを自分でブレンドしてピッタリの量のお湯を沸騰させてティーポットで蒸らせて毎朝飲んでいます。私ももちろんお相伴しますが、ほとんどすべての英国人と同じように自分で淹れて一日に何杯も飲むティーバッグの紅茶との違いがよく分かりません!

うちで凝った紅茶を飲む自称エキスパートの夫が、出先のティールームで3ポンドも出して紅茶を飲みたがることなんてあまりないんですよね。

 

英国伝統のケーキ類の多さに目を見張ります。

 

大き目の1切れが3ポンド80ペンス(698円)は、おいしかったのでボッタクリとまではいいませんが,高すぎのような気がします。2人でオレンジ・チョコレート・ケーキ1切れを分けて食べました。

 

...帰ってから、マンチェスターのコットン・ミルに関してリサーチしてみました。

18世紀以降に創業され、現グレーター・マンチェスター内で稼働していたコットン・ミルは20世紀初頭には少なくとも2,400を下らなかったそうです。(学術資料を引用している郷土史家の2020年のブログを見つけました)

マンチェスターが世界の綿工業の中心地であったのは、第二次大戦ごろまで。戦時中は軍事需要におわれ、戦後は英国から独立したインドなどの、人件費の安い新興国にその地位を奪われ、全廃業に追い込まれました。

数多く残ったのが、用途のなくなった頑丈で立派なレンガ造りの建物です。取り壊すのも大ごとです。

1985年の調査時に残っていたコットン・ミルの建物は半分以下の1,112軒。その後、現在まで残っているのはそのうち半分にも満たないだろうとのことです。

現存のミルの多くは、広大なインドア・スペースを何かに利用されているはずです。

内装にかまわなくてもよい倉庫や、アーティストに貸し出す共有のアトリエ、ミュージシャンのリハーサル施設...などの他、ナイトクラブや、ワインバーなど古い工場である特徴を生かした粗削りな内装がおしゃれな利用法も注目されているようです。

大手の不動産デベロッパーが介入して、多額の資金をつぎ込まれて改装されたモダンなオフィスや天井の高い豪華なアパートメントとして分譲、賃貸されているミルも実際、多く見かけます。

 

ペア・ミルのように商業施設として、スペースが広いわりには家賃が安そうな店舗としての利用も、ここストックポートでも多数見られます。そう言えばペア・ミルは内装、改装にお金をかけた形跡はほとんどありません。各テナントそれぞれ必要最小限度に手を入れているようですね。

広大な上階スペースはほぼ空き部屋で、工場が廃業し、機械類が取り去られた後のボロっちさをかなりしっかりととどめているのではないかと推察されます。保存指定建築ですので、状態が劣化しないような措置が義務付けられているはずです。公的基金の補助もあるでしょう。

 

 

 

 

 

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ナシのキューポラのある町、栄光の歴史の最後を飾るお茶目建築、今は人気の商業施設

2023年08月10日 08時00分00秒 | ストックポートとその周辺

ストックポートのタウンセンターからクルマで5~6分のブレッドブリィ Bredbury という町に、ペア・ミル Pear Millという変わった名前の「商業施設」があります。

ストックポートにはとてもたくさんの、大きくて古いレンガ造りの 「綿工場 cotton mills」があります。

この「商業施設」もその一つ、1913年に創業の、(綿織物工場ではなく)綿製糸工場だった建物を利用しています。

18世紀の産業革命以来、「世界の工場」だった英国の、主要工業生産物だった綿の生産を一手に担っていたマンチェスター界隈の栄光の歴史!...の名残です。

この、ペア・ミルは英国で創業した最後の綿工場だそうです。廃業も意外に遅くて1978年、他の多くのマンチェスターの工場は戦後、採算が合わずにどんどん廃業しています。インドや中国など人件費の安い発展途上国に綿産業の中心地の地位を奪わちゃったわけです。

 

ペア pear (洋ナシ)ミルの名前の由来は...ただ単に創業者の名前がペア氏だったからのようです。ただ、社名へのこだわりがよっぽど強かったらしく...

 

巨大なコンクリート製のナシのキューポラがドドンと目立ちます。

「ペア・ミルって名前にちなんで、現代造形作家がインスタレーション作品でも載せたんじゃないか」と思った人もいるはずです。

ゴイト川沿いの谷底にあるこの工場、上の道路からもナシが際立って目につきます。

この写真☝はストックポートの観光資料から勝手に借りました。

全景を見たら納得ですよね。このナシは建築物の一部として創業時から塔の上にバランスよくちんまり鎮座しているのです。

ナシのオブジェではなく、ナシの形をしたキューポラなのです!!

ストックポート日報 ではおなじみのストックポート・ヴァイアダクト(ストックポート駅から出ている鉄道橋)の同級の「第二級特級 保存指定建築 Grade II*(グレード2・スター)Listed Building 」だそうです。有名な建築家が手掛け、予算オーバーで手をひいて、また別の有名な建築家が引き継いだといういきさつのある名物建築だそうです。

娘と、1週間ほどうちに滞在しているその友達2人をウォール・クライミングに連れてきました。

デンマークから来ていたインターネットゲーム仲間のその男性はボランティアで子供たちに教えているという上級者で、スェーデンから来ていたもう1人の男性とうちの娘に教えてくれることになりました。

このウォール・クライミング施設、オウサム・ウォールス Awsome Walls は愛好者の間ではしられた充実した施設らしいです。

...ああ、ここ、来たことがある。子供だった息子が15年ぐらい前にやってみたいと言ったので連れてきたことがあったのです。夫と息子は何回か来たようですが...そのうち飽きちゃったようですね。私は初心者必修の「家族でトライアル」コース1回きりでやめました。

ウォール・クライミング施設の入り口アーチにのっかった、かわいいナシふたつ!これももちろん創業時からのオリジナルです。

 

高さが不可欠なウォール・クライミング施設は、床のない7階分の高さのうち、3階ぐらいの床をぶち抜いた機動室 engine house を上手に利用しています。

クローズアップを撮り忘れたので、写真を引き伸ばしてみたら粒子が荒く悲しい写真になったので加工でごまかしたのが☝。

入口アーチを飾る角笛(コーヌコピア)から果物がこぼれ出て花綱(フェストゥーン)みたいに半弧を描くおめでたい装飾は古い建物につきものですが、これは洋ナシばっかりみたいです!通常はザクロとかブドウが混ざっているものなのですが。

他の場所には、ナシの花の装飾もあるということです。また今度行ったら、見てきます。

 

15年ぶりで来てびっくり!夏休みの日曜日の午後なので当然でしょうか、すっごい繁況で駐車場はほぼいっぱいでした。

以前もあったアディダスのアウトレット・ショップと子供のインドア・プレイグラウンド、カフェ数軒、それに前回はなかった工場直送家具屋、安売り食品店、育児用品店、それと、けっこう有名らしいヴィンテージ/お手頃骨董品市場(常設)のStockport Vintage Emporium 、その他、ホームセンターやクルマの部品屋などが広大な工場敷地内のごく一部のスペースにテナントとして店を構えていました。

子供のバースデーパーティーがあったらしく、駐車場にはプレゼントを持った子供たちもおおぜいいました。

週末の午後、家族一緒に時間をつぶす郊外の娯楽場みたいな場所になっているみたいですね。

 

さて、ウォール・クライミング施設、オウサム・ウォールスの内部です。

休憩室兼クライミングをしない人がくつろいで待つスペースが中二階にあります。(誰でも入れます)

私と夫は、娘たちとと別行動で、1時間半ほどアンティーク・マーケットを見て歩いたあと、オウサム・ウォールスの休憩室で知らない人たちの壁のぼりを30分ほど見物しました。

私たちが見ている前で10歳ぐらいの女の子がトカゲのようにスルスルと天井ちかくまで壁を這いあがって行きました。

 

以前来た時、私たちはこの10mぐらいの高さの壁で家族向き入門コースを受講したのでした。

息子と夫はけっこう上まで登れたようですが、私は自分の身長より上ぐらいまで登ってイヤになっちゃったおぼえがあります。なぜか、その頃より体力には自信がある現在...やっぱり再挑戦する気にはなれません。(高いところが苦手です)

そういえば、夫の体力は加齢でだんぜん今のほうが落ちているはずです。

 

 

娘とお友達3人(女性が1人現地集合で参加)はなぜか角度があって、足をかけるボツボツが離れていて難しそうな壁ばっかりの場所で初挑戦をしていました。

奥には、どうやら塔の内部らしい「エベレスト・ルーム」という、7階の上まで(?)のとんでもなく高い壁のぼりチャレンジスペースもありました。

ペア・ミルに関して、長くなるので、以下次号。

 

 

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英国を代表する(?)人気画家が描いたベリックの街と海辺(続き)

2023年08月08日 07時00分00秒 | イングランド北部

イングランドとスコットランドの国境の町、ベリック・アポン・トゥイード Bewrick-upon-Tweed

ベリックの観光名所をめぐるアクティビティ、「ラウリー足跡めぐり the Lowry Trail 」、前回の続きです。

 

マンチェスター出身の S.L.ラウリー S.L. Lowry (1887-1976)は、主にイングランド北西部の工業都市の風景を、マッチ棒のような人物を前景にごっちゃごちゃ配置して独自の色使いで描き続けた国民的人気画家です。1930年から40年ごろにかけて毎年、ベリックで夏の休暇を過ごしました。

その彼が絵に描いた場所18か所を効率よくめぐるルートが「ラウリー足跡めぐり」です。

前回の記事のリンクを貼りました☟

大人気画家が愛したベリックの街並み、観光要素に取り入れられたラウリーの軌跡

 

河と平行に走っている Bridge Street ,(続きです。前回ヘンなところで切りました)

 

11番、Sally Port。

 

奥のアーチを抜ければ石壁の外側、河口の波止場にでます。階段を上がれば広い歩道になっている石壁の上に出られます。

ラウリーはアーチ、外階段、それに鉄の手すりが大好きだったそうです。黒で簡単に描けて絵が締まる効果バツグン(?)。

この絵が描れた1954年にはイワシ漁が最盛で、壁の外の河口には漁船がいっぱい集結していたそうです。

河口の波止場を散策していた私たちは、石壁にあいた暗くて中がゆるくカーブしているトンネル穴(アーチ)を見つけて通り抜けてみました。

出てきたのがここ、従業員が喫煙する場所みたいなこのショボいゴミ置き場でした。すぐまたトンネルを通って河口沿いの波止場に戻りました。(ベリックの漁業は衰退の一途、漁船など全く見かけませんでした)

壁の上からもこの場所を見下ろしましたが、ショボさは同じ。

ブリッジ・ストリートから見渡すと「お、絵になる構図!」... と言いたいところなのですが、ラウリーの絵に描かれた手前の建物が消失していてスカスカした感じが.....やっぱりショボいです。

 

町を囲む16世紀の石壁の上を散歩しました。町の中心からちょっと離れたところから壁の上に上がる階段のすぐわきに唐獅子のようなみっともないライオン像がのった門柱のある立派な家が。

この壁の上の邸宅,1800年建造の the Lions House もラウリーゆかりのスポットだそうです。

標識看板(写真中央左手☟)がありました。(手前よりの絵入り標識はとなりの弾薬庫についての説明です)

戦後、この家を買うつもりのラウリーは、友人の建築家に「湿気がひどいからやめた方がよい」と言われて思いとどまったとか。

けっきょく大好きだったベリックへの移住はあきらめて、生涯マンチェスター近辺にとどまりましたがその後、想像上の町の風景にこの家のイメージが繰り返し描かれています。

北海と河口を見渡せる素晴らしい絶景が楽しめるこの家は現在、休暇を過ごす家族向きの「豪華貸し別荘」として貸し出されています。

 

河口を見下ろす展望エリアにも標識がありました。5番;On the Sands(砂浜で)

砂浜ではなく、芝生になっています。

このシェルター(あずまや)はボロボロになるたびに修復されているようです。私もどこかで見たことがある(ようなないような)けっこう有名らしいこの絵のおかげでホイホイと取り壊すわけにはいかないようです。

背中合わせの二面のベンチ、右側に向けば対岸のスピットルの町と河口が、左を見れば突堤と灯台、その向こうに広がる広大な北海が見渡せるかなりお得な展望スポットです。

...小雨まじりの強風が億劫で、ベンチに座ってみなかったことがちょっと悔やまれます。天気のいい日にまた戻ってくるつもりで見送ってしまったのです。「無計画な長滞在」はたしかに気楽ですが、行ってするべきことをいろいろ、し損ねるものですね。

 

3番; The Pier 突堤

1956年の鉛筆のスケッチです。

突堤の先の灯台にも行ってみませんでした。北海の荒波を描いたスケッチ場所らしい突堤の先にもトレイルの標識がたっているはずです。

黒い鉄枠の額縁を取り付ける壁がないため、イーゼル仕立ての看板が立っていました。

 

私はラウリーが好きかどうかよくわかりません。

ベタベタしたタッチや濃い色調が好みではありません。有名なマッチスティック・マン(マッチ棒のような人物表現)もヘタっぽいのにウケちゃったからやめられないという感じであざといなぁと(奥歯にものの挟まったような言い方ですが)思います。

でも、彼が描いてみたい!と思った風景はどれも私にもピンとくるのです。私は風景画を描いたこともスケッチしたこともあまりありませんが、古い建物がごちゃごちゃと並ぶ街並みを見るとカメラで枠の中におさめておきたいと強烈に思います。

デジタル・カメラもスマートフォンももっていなかったラウリーが見た風景をいつも持ち歩いていたスケッチブックに描きとめておこうと思った情熱はよくわかります。

ベリックには「ラウリーが描きそう」と思える絵になる風景が本当にたくさんありました。

 

30代の自画像を見つけました。思ったよりずっと好男子です!

 

ラウリーは生涯未婚、恋人もいなかった(諸説あり)と言われています。

ラウリーが毎年、滞在したカースル・ホテルに私たちも5日宿泊しました。

一階のパブから駅の正面が見える、レイルウェイ・インです。(手前の鉄柵は駅の敷地内です)

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大人気画家が愛したベリックの街並み、観光要素に取り入れられたラウリーの軌跡

2023年08月06日 08時00分00秒 | イングランド北部

L.S.ラウリー L.S. Loury という英国の画家をご存知でしょうか。

6月に私が滞在したスコットランドとの国境の小さな町、ベリック・アポンツイード Bewrick upon Tweed、再び登場です。

 

英国外ではあまり知られていないラウリー(ラオリーのほうが発音が近いですね)、不遇の時代が長かったようですが、戦後は英国を代表する売れっ子現代画家として有名になりました。ここ、地元であるグレーター・マンチェスターやランカシャーでは「郷土の誉」といった存在です。

 

8番;the Town Hall

主にイングランド北西部の工業地帯のごちゃごちゃたて込んだ街並みと前景にウジャウジャ群れる人々を描いた作風で知られています。

ナイーブでへたっぴな作風です。特にまるで子供が描いたみたいな machstick man(マッチ棒人間)と言われる影がないヒョロヒョロした人物群はラウリーの作風の特徴として有名です。

意外にも古典的な美術教育を受けた画家なのです。マンチェスター・アート・スクール(のちのマンチェスター・ポリテクニックの美術学科...ついでに言えば、私の先輩です)の卒業生なのです。

 

そのラウリーが、1930年代前半から1939年か40年まで毎年,夏の休暇を過ごしたのがベリックです。

ベリックの街の中や河の対岸の町、スピットルの海岸などラウリーが描いた場所18か所を効率よくめぐる「ラウリー足跡めぐり Lowry Trail」のルートがありました。同じ構図の景色が眺められる位置に案内看板が設置されてれています。

 

 

私たちは観光案内所で地図をもらってラウリーめぐりをして歩いたわけではありません。それでも行く先々で案内標識を目にしました。

 

ベリックのランドマーク的建築物、時計塔のあるタウン・ホールBewrick Town Hall は油絵の小品として2点描かれています。

18世紀の建造で、当時の内装が再現された内部が公開されています。当時の簡易裁判所もあり、留置所と手枷などの刑具の展示もあり興味をひかれましたが、入ってみる機会はありませんでした。

 

タウン・ホールのある、町の風景です。

 

 

最初に気が付いたラウリー・トレイルの標識が、これ。10番;Bridge End。

現地で私が撮った標識の写真は不鮮明なので、ベリックの観光協会のウェッブサイトからイメージを勝手に借りて掲載しました。

ブリッジ・テラス Bridge Terrace というトゥイ―ド河沿いの道をはさんだ、オールド・ブリッジ Old bridge から眺めた構図です。

前面が丸い建物(スコットランド民謡の生演奏があるパブ)がむやみに赤いですね。ラウリーは現地ではスケッチしかしなかったそうですから、自宅でキャンバスに描いた時は本当の色を忘れちゃったのかもしれません。

 

絵の構図の奥にある右側の建物がはベリック名物のハッカ味の飴、ベリック・コックル Bewrick cockle の製造販売本舗(創業1801年)でした。左側は同社の「卸売り本店」でした。

絵にもちゃんと、William Cowe &Sons と社名が書かれています(トレイルの標識看板にも記述あり)が、残念!2010年に廃業しました。現在、建物ははおしゃれなビストロ・パブとして使われています。標識看板が作られた時は廃業前だったようです。

その前の道が、ブリッジ・ストリートBridge Street 。

スコットランド風の、高さもデザインも違う古い可愛らしい建物がぎっしりとたて込んでいます。オシャレな個人商店や飲食店が多い、楽しい通りです。河と平行に走っています。

2軒の画廊の間の細い石だたみのわき道に、またトレイルの標識を発見。

 

1番;Dewar's Lane 。

1936年の鉛筆のスケッチです。油絵に描き起こさなかったみたいですね。

トレイルの標識がなかったら見落としていたはずの、とても興味深い風景です。

ふんにゃっと波打った右奥の建物の外壁は画家の想像の産物だと思う人もいるかもしれないでしょう。ところが実際スケッチの通りなのでびっくり。

一歩入ったところから撮った写真だと、左奥のアーチがもっとわかりやすいかな。

ラウリーは建物にうがたれた「アーチ入り口」が大好きだったそうです。ベリックのラウリー・トレイルで知りました。スケッチに黒々と描かれているアーチは実際にはちょっとしか見えてませんよね。

 

こんなどっしりした石アーチです。

くぐれば、駐車場のある、小さな広場に出ます。

ここ。☟

どんどん話がそれますが!

この小さな広場の角にある、ラバ(ミュール)が目印の the Mule on Rouge (ムーランルージュのシャレ!)というカフェはすごくおススメです。

お手頃値段で、リッチな食材。販売もしている紅茶が絶品でした。

話を戻します。断面上部を薄い青に塗った建物に、緑の三角が小さく見えるでしょう?☝ユース・ホステルの標識です。

ふんにゃっと波打った外壁のある18世紀の穀物倉庫は、ユース・ホステルとして使われています。

角の「ムーランルージュ」カフェと、断面上部を薄い青に塗った建物の間の小さな広場を通って、石のアーチをくぐるとユース・ホステルの入り口があります。もちろん、ラウリーのスケッチに描かれた(上の写真の)石だたみの細いわき道を入ってもユース・ホステルの入り口に行けます。

 

また話がそれます!夜8時ごろまであいている、ユース・ホステル一階のビストロもおススメです。

素泊まりのユースホステルの宿泊客が食事をする、格安の食堂です。誰でも利用できます。

上階には宿泊施設と、画廊があります。画廊では見ごたえのある戦前、戦後のスコットランド派の絵画の展示をやっていました。

画廊には、反対側の河口の波止場に向いた石壁の上からも入れます。

 

長くなるので続きは次号に。

ラウリーは莫大な数の油絵やスケッチを残したそうです。はっきり言ってベリックで描かれた一連の作品は(マンチェスターの美大生であった私でさえ!)見たことのなかったものがほとんどでした!!

 

ハリーポッター映画にもレギュラー出演した性格俳優、ティモシー・スパールが主演の2019年のこの映画、日本では公開されていないようですね。

...ラウリーが日本で知られていないからでしょう。

不遇時代のラウリーと息子の画才を全く認めない母の緊迫した関係を描いた秀作です。ストックポートの裏通りも撮影に使われました。

 

 

 

 

コメント (6)
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