地方都市の長距離通勤の話である。電車に乗っている時間だけで片道約1時間。例によって電車は2両しかないが、出発が早朝なのに立ち客も結構いる。長距離通勤を始める前はこんな時間に電車に乗っている人ってどんな人なんだろうと思っていたが、同じように早朝から長距離を通勤している人がたくさんいることに驚く。
早朝の車内はおおむねみんな寝不足の顔で、話し声などほとんど聞こえない。景色を見続けている人、眠り続けている人、読書をしている人、新聞を読んでいる人、音楽を聴いている人、ただぼうっとしている人、さまざまである。車内観察をしているとなかなかおもしろい。自分としては、景色(福井の自然は美しい。)+読書+音楽というところであろうか。
ところで、人間だいたい毎日乗る位置は決まっているもので、たいていは同じ人と近くに座ったり立ったりして顔を合わせることになる。もちろんお互いにあいさつや世間話をするわけではないが、なんとなく、ああ彼や彼女(もちろん彼女の場合の方がより強く思うのであるが)も朝早くから大変だなという連帯感を覚える。もっとも向こうもそれを感じているかどうかはわからないが。
その距離感は、会社で言うと同じフロアのほかの課にいる社員、あるいは、いつも行く飲み屋によくいる相客というイメージだろうか。顔はよく見るがあいさつや話はしたことがないという意味で。電車が運休になったり、どこかほかの場所で偶然会ったり、何かきっかけがあると意外に話がはずんだりするのかもしれない。
そういうことで、たまに、いつも乗ってくる駅で目立つだれかが乗って来ないと、あれ、あの人、今日はいないな、どうしたのかな、という老人向け病院の待合室のような雰囲気になるし、たまに新参者(失礼)が混じっていると、あれ、そこ自分の席なのになという気分にもなるのである。都会の人にはわからないだろうが、結構社会学的に見て興味深い集団なのではないだろうか。(写真は、山の緑がきれいな夏の湯尾駅付近を走る北陸線の普通電車。福井の自然は美しい。)
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