大阪府で、「君が代起立条例」という不思議な条例が成立した。正式には「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」というようだ。こんなことで条例化までしないといけないとは悲しい。
かつて「47都道府県これマジ!?条例集」という本(新書)が発売され、興味深く読んだが、それに載ってもよいような条例である。ただ、本に載っているのは「りんごまるかじり条例」(青森県のどこかの町)とか、笑える条例が多いのだが、この条例は笑えないだろう。
内容は、国旗について、「府の施設においては、その執務時間において、その利用者の見やすい場所に国旗を掲げるものとする。」、国歌について、「府立学校及び府内の市町村立学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱を行うものとする。ただし、身体上の障がい、負傷または疾病により起立、若しくは斉唱するのに支障があると校長が認める者については、この限りでない。」となっている。
当然ながら日教組などを中心に反対が巻き起こっている(いた)。もちろん、憲法違反(表現の自由、思想信条の自由)というのが理由である。在日韓国・朝鮮人への配慮が必要という意見もある。
内田樹先生は、ブログで「国家に敬意を払わない人間を処罰する国家は、なぜ敬意を払われないのかについて省察することを拒絶した国家である。ふつう、そのような国家に敬意を払う人はいない。」と述べている。内田先生が言うとそうかなという気にもなるが、反対するのは学者だから当たり前だろう。
前に書いたように橋下知事は2番目に嫌いなのだが、この件に関してはまだマシなように思う。反対派の議論には、教員の権利だけが問題とされていて、子どもたちのことについてはほとんど触れられていない。学校で国旗が掲げられ、国歌が流れているときに、教員が知らん顔をしているというのは、子どもの教育としてはおかしいのではないだろうか。
ワールドカップの国歌斉唱のときに自分だけ耳をふさいでいるのも、自分の家で星条旗を掲げるのもまったくの自由である。条例化がベストな選択とは思えないが、職務命令による特殊な公的業務の中で、公共の福祉の観点から権利を制限しているだけであって、教員の私生活を干渉するものではなく、憲法違反とは思えない。
ちなみに、この橋下知事、今度は、小中学校や高校の校長を民間から募集するそうだ、なかなか強気の攻めが続くなあ。
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