soramove

読書と旅行と柴犬のブログ
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ヤプログから引っ越してきました。

村上春樹的オリンピック

2005-02-23 21:33:24 | 読書の時間
「シドニー②ワラビー熱血編」★★★★
2001年1月単行本、2004年7月文庫発刊、245ページ、470円

2冊に分けて発行された
シドニーオリンピック観戦記。
「①コアラ純情編」以前に紹介しました。

そして今回は
「②ワラビー熱血編」
こちらはマラソンと閉会式という
大きなイベントのラストということで、
やはり感傷的な文章が目立つ。

春樹さんの小説世界は独特だ。
時には軽やかな文章でありながら
難解だ。
そこに色々な想像できる部分が生まれ
きっと読んだ人それぞれの解釈があるのではないか。
それはとても嬉しいことだ。

また放浪の記録も「遠い太鼓」をはじめ
普通の旅行者にはなじみのない場所を
きまじめに歩き、足元やふと目にした
風景を切り取って、何気ない日常に
何か大きな意味があるように感じる。

  (以下、カッコ内本文抜粋)

「言うまでもないことだけれど、
この日常の中で、僕らは地べたにへばりついて
生き続けていかなくてはならない。
明日、明日、そしてまた明日。僕らは闘い続け、
ある場合には途方に暮れる。

でもひとつだけ確かなことがある。
もし競技者が闘争心を失ったら、
それは闘うのをやめることなのだ」
 

         
とてもオリンピックというスポーツの祭典を
見て体験して書く文章とは思えないほど、
感傷的で、それは春樹さんの小説には
最近見出せない文章なので、新鮮であり、
ちょっと気恥ずかしい部分でもある。

なんかまた彼の本を読んでみようかなと
考えた。



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