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映画「はじまりのみち」そんな時代もあった

2013-06-12 10:00:39 | インポート
映画「はじまりのみち」★★★★
加瀬亮、田中裕子、
ユースケ・サンタマリア、濱田岳出演

原恵一監督、
96分、2013年6月1日より全国公開
2013,日本,松竹
(原題/原作:はじまりのみち」製作委員会)




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「木下恵介監督の生誕100周年記念映画、
戦時中、木下が母を疎開させるために
リヤカーで山越えをしたという実話を基に
戦争にによって、映画を好きに作れないという事実や
当時の人々の様子が
丁寧に描かれている、
ラストは木下監督作品が次々登場する」



木下恵介監督の名前は知っているが
TVでも映画を見た記憶はない、
それでも監督が浜松出身と知って
急に身近に感じ、
映画の中でのセリフの「なまり」は
分かる部分も多くて
それだけで当時の人々の生活が
急にぐっと身近に感じた



監督としての功績を描いたわけじゃなく
中心は戦争で母親を疎開させるという
この一点だけ

脳溢血で思うように話せず
体の動かない母親をリヤカーに乗せ
兄とかなり険しい峠を越えて
山間の親戚の家までの2日間を描いている。


坂が急になれば
力は相当必要だ、
動きのゆっくりになったリヤカーの上で
その大変さを敏感に感じ取る母、
途中から雨が降ってくる、
彼らの息遣いが聞こえる。


宿屋に着いて
泥が跳ねて汚れた母の顔を
手ぬぐいで丁寧に拭き取る木下(加瀬亮)、

その仕草を宿の主人や
兄、荷物運びを頼んだ便利屋
皆が見つめるシーンはぐっときた、
大切なものを、いとおしむように
神々しい様な瞬間だ



昭和19年に手がけた『陸軍』の
エピソードが途中で挿入される、
戦意高揚の国策映画が求められた時代、
映画のラストで戦地に行く息子を
見送る母が泣くシーンは
その意にそぐわないと
次回作を中止させられたということ。



こうして身近な情報のほとんどが
国によって統制され
知るべき事しか、知らされないという
不幸な時代はわずか70年前に
この国の姿だったのだ。



自分達はあまりに豊かな自由を手にして
その使い道に途方に暮れているという
なんともぜいたくな時代を生きている、

これは戦後の日本人が望んだことだったが、
果たしてこの結果を
先人はどう思うだろう。


「息子に立派に死んで来いと願う母親はいない」
この言葉は他の状況で聞いたら
ピンとこないセリフだけれど、
この映画では胸にズシンと響いた。

そして作りたい映画が作れない時代を抜けて
その後、監督として作った映画が
次々に登場する、
深刻な顔も見えるが
手を一杯に広げて
明るく笑う男や女の姿が
涙で滲んでいく。


★100点満点で75点


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