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読書と旅行と柴犬のブログ
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書籍「百年泥/石井 遊佳(著)」インドの濁流と混沌がいろんなものを運んでくる

2018-02-05 18:47:42 | 読書の時間
書籍「百年泥/石井 遊佳(著)」★★★★★
単行本(ソフトカバー): 260ページ
出版社: ダイヤモンド社 (2015/1/17)

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第158回芥川賞受賞


「チェンナイで百年に一度の洪水!
アダイヤール川氾濫、市内ほぼ全域浸水か。
橋の下には猛烈な勢いで逆巻く川、
橋の上にはそれを見物しに雲集した
とてつもない人びとの群れ…
こうなにもかも泥まみれでは、
どれが私の記憶、どれが誰の記憶かなど
知りようがないではないか?
洪水の泥から百年の記憶が蘇る。
大阪生まれインド発、
けったいな荒唐無稽―魔術的でリアルな新文学!。」

(出版社HPより)

芥川賞と直木賞受賞作を取り寄せ
まずはこの本から読んだ。

2度行ったインドでは
やはり強烈なのはバラナシのガンジス川の光景、
最新のものと
何百年も変わらなそうなものが
ほぼ同じ場所にあって
すぐに思い浮かべることが出来る。

さて本書、
インドのチェンナイ生活3か月半で、
百年に一度といわれる大洪水に遭った、
アダイヤール川の氾濫、
水が引いたので主人公は
日本語教師をしている会社へ
向かおうと歩き出す、
大混雑の橋の上で不思議な体験をする。



IT先進国でありながら
道端に人が倒れていたり
渋滞の道路に牛がゆったりと
歩いていたりと
「ピンからキリまで」という言葉が
何故かふいに浮かんでくるような。


主人公は借金返済の為に
やったことのない日本語教師を
この先何年かしなければならず
意義とかやる気とかあって
教室にいるわけじゃない、
なのに教室の生徒も
一筋縄じゃいかないような
クセのある生徒も多く
まさに前にも後ろにも進めない状況。

そして大洪水。

濁流の中から色んなものが
取り出される・・・・、
ここから現実がグニャっと歪んで
不思議な世界へ入り込むが
なんかこんなこともありそうなんだよね

特に違和感なく読み進めるが、
このあたりがこの本を読めるかどうか
分かれ目かも。

濁流から取り出した「物」にまつわる
思い出が語られるが
中には「人」が取り出され
同じ人間に幾人もの人が群がり
もう誰の記憶もそれが
個人のものなのか
大きな流れのひとつなのか
つかの間の夢か、
ちっぽけな感傷など
濁流に飲み込まれていくのだ。


面白い小説だった。

このところの芥川賞は
読みにくいし
何を言ってるのか・・・・と
でもだから芥川賞か、等々
感じていたが
この本は面白かった。

インドを旅した人なら
もっと身近に感じることが出来そうだ
読みながら自分もその濁流に
手を突っ込んで
何か取り出せそう。


★オススメ度★
取っつきにくい印象の芥川賞だけど
これは大丈夫、
ただ作者は次回はこの手法は使えないので
次回作こそ、勝負だね。

★100点満点で95点

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