Sightsong

自縄自縛日記

詭弁楽派 vol.1@新宿ピットイン

2020-07-05 07:52:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットイン(2020/7/4)。

詭弁楽派
Masahiko Sato 佐藤允彦 (p)
Benisuke Sakai 坂井紅介 (b)
Chihaya Matsumoto 松本ちはや (perc)

なぜグループ名を「詭弁楽派」としたのかというところから、落語好きの佐藤允彦さんらしく「千早振る」について話をはじめたりして、それというのも松本「ちはや」だからである。2020年2月9日に稲毛のCandyで佐藤允彦・松本ちはやデュオが実現し、会場は超満員だったという(行けなかった)。ちはやさんはその直後、力を発揮しきれなかったといったようなことを書いていて、少し驚いた。そんなわけで再共演でなにが起きるのか目撃しなければならない。

はじめは御大ふたりをちはやさんが追いかけているように聴こえた。どこで噛み合うのかと思っていると、ときどきのアクセントで捉まえているような印象があった。だが2曲目でミンガスの「Goodbye Pork Pie Hat」となり、ブラシなどによる擦音で独自の場を作り、次の曲で前に出てきてレインスティックによって野蛮さを出し始めてからは音の重みが三者並んだ。佐藤さんがちょっと弾いたのはビートルズの「Michelle」か(若い頃に『Palladium』で演奏している)。ここからブリキ缶と鐘で走るちはやワールド。

佐藤允彦さんはいつもながら音の引き出しが無尽蔵。余裕で何かを誘うように軽く弾くと、ちはやさんは声で遊びはじめた。坂井紅介さんはどうしようかと困って笑い、コントラバスを叩こうとしたり、弦をいつはじこうかと悩んだりしている。このあたりも音楽の過程としておもしろい。

セカンドセットはどちらかと言えばジャズフォーマットで(映像収録だからか)、こうなるとピアノとベースのふたりは蓄積された経験をためらいなく発揮する。3曲目に前に出てきて、白い容器を擦り、高周波の幅広い響きを創り出して場をまた別のものにした。そして最後のアンコールまで疾走する3人。

ステージの中でも驚くほど変貌するのは想定内ではなかったに違いない。ということは、次はまた想定外のサウンドになるということである。

●佐藤允彦
ニュージャズホールって何だ?@新宿ピットイン(2018年)
TON KLAMI@東京都民教会(2016年)
高瀬アキ+佐藤允彦@渋谷・公園通りクラシックス(2016年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男@新宿ピットイン(2014年)
ペーター・ブロッツマン+佐藤允彦+森山威男『YATAGARASU』(2011年)
佐藤允彦+豊住芳三郎『The Aiki 合気』(1997年)
『ASIAN SPIRITS』(1995年)
TON-KLAMI『Prophecy of Nue』(JazzTokyo)(1995年)
『老人と海』 与那国島の映像(1990年)
翠川敬基『完全版・緑色革命』(1976年)
アンソニー・ブラクストン『捧げものとしての4つの作品』(1971年)

●松本ちはや
松本ちはや+武田理沙@なってるハウス(2020年)
李英姿『Beyond』(2019年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
謝明諺+レオナ+松本ちはや@Bar subterraneans(JazzTokyo)(2019年)
松本ちはや『Liddell two Apple Kuchen』(JazzTokyo)(2018年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)


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