Sightsong

自縄自縛日記

渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン

2021-11-25 10:17:34 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットイン(2021/11/24)。

Takeshi Shibuya 渋谷毅 (p, org)
Kosuke Mine 峰厚介 (ts)
Koichi Matsukaze 松風鉱一 (bs, as, fl)
Eiichi Hayashi 林栄一 (as)
Kenta Tsugami 津上研太 (ss, as)
Osamu Matsumoto 松本治 (tb)
Akihiro Ishiwatari 石渡明廣 (g)
Katsumasa Kamimura 上村勝正 (b)
Akira Sotoyama 外山明 (ds)
Guest:
Hideko Shimizu 清水秀子 (vo)

最近のパターン、「Side Slip」(石渡)から始まって、林さんのアルトにいきなり気圧される。津上さんのソプラノは意外にもマチエールがつや消し。「Ballad」(石渡)でギターが響く中でのピアノの良さ、ホーンズとのユニゾンの快楽。「Three Views of a Secret」(ジャコ・パストリアス)での見せ場はいつものように津上さんなのだが、ここでも意外に擦れている。峰さんのテナーはそれで完結する構成力を持っている。

ここで清水さんが入り、「Crazy He Calls Me」でピアノのイントロに清水さんニッコリ。それにしても賑々しくて嬉しくなる。ここまで松風さんはずっとバリトンを吹いている。そして「Sometime Ago」では松風さんのフルートが演奏要素のつなぎとなって効果的。「Girl Talk」での峰さんはコミカルでもあって物語ふう。渋谷さんのオルガンがギャーと入る瞬間もまた物語ふう。

清水さんがいったん退き、うきうきする「Jazz Me Blues」。そんな中でも林さんのアルトは突き抜けてきてびっくりさせられる。松風さんはアルトから途中でバリトンに持ち替え、リズムを取るようなソロがおもしろい。外山さんのいつものようにわけのわからない音の群をベースがドライヴする。松風さんのアルトが色彩を加える。

セカンドセットは「もはやちがう町」(石渡)から。蛍光ペンのようなギターに奇妙なシンバル。ここでの林さんのアルトは強力でありつつも抒情をたたえており、ああこれなんだと思ってしまう。合間のピアノの伴奏は絶品。ちょっと珍しい「What Masa Is...」(松風)では、松風さんが小節いっぱいにアルトを使い、世界いちの名人芸。ギターの間に渋谷さんが弾いていないのに場全体がオルガンのように震える不思議。

ふたたび清水さんが入り、「I'm Just A Lucky So And So」(エリントン)。林アルトと渋谷オルガンとが左右から届いてくることの凄さといったらない。林さんのブルースも良い。「Love Dance」(イヴァン・リンス)を経て、「Caravan」(エリントン)。清水さんが歌い始めたら外山さんが小気味よく愉しそうに叩く。松風さんのフルートは幽玄。

そして清水さんが抜け、「Soon I Will Be Done With The Trouble Of The World」(カーラ・ブレイ)。もはや感情が飽和している。最後は渋谷さんのピアノソロで「Lotus Blossom」(ストレイホーン)。いつも同じで素晴らしい、ではなく、なにか違っていて素晴らしい、ピアノソロだった。

●渋谷毅
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2021年)
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
平田王子+渋谷毅『Luz Do Sol*やさしい雨』(2018年)
2018年ベスト(JazzTokyo)(2018年)
廣木光一+渋谷毅『Águas De Maio 五月の雨』(2018年)
今村祐司グループ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅@裏窓(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
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廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
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渋谷毅のソロピアノ2枚(2007年)
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渋谷毅+川端民生『蝶々在中』(1998年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
『浅川マキを観る vol.3』@国分寺giee(1988年)
『山崎幹夫撮影による浅川マキ文芸座ル・ピリエ大晦日ライヴ映像セレクション』(1987-92年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年) 
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
見上げてごらん夜の星を 


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