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自縄自縛日記

『山崎幹夫撮影による浅川マキ文芸座ル・ピリエ大晦日ライヴ映像セレクション』

2017-03-20 23:28:10 | アヴァンギャルド・ジャズ

下北沢のラ・カメラにおいて、『山崎幹夫撮影による浅川マキ文芸座ル・ピリエ大晦日ライヴ映像セレクション』という魅惑の企画(2017/3/20)。

85分ほどの映像は、1987年から92年までの間に池袋の文芸座ル・ピリエにおいて繰り広げられた、浅川マキのライヴステージの記録である。

文芸座ル・ピリエは1997年3月に閉館した場であり、わたしは96年末にここで浅川マキのライヴを観たのみだ(それ以外はすべて新宿ピットイン)。従って、今回の上映とは重なっていない。確か地下にあり、階段や客席が妙な構造になっていた記憶がある。浅川マキのアルバム『黒い空間』も、92年にここで録られている。

ところで、この映像において、マキさんはほとんどサングラスをかけずトレードマーク的な長い付け睫。わたしがライヴで観始めたときには逆にほとんどサングラスだった。視力がこの頃に悪化したのだろうか。

それにしても凄い記録であり、ほとんど感涙ものだ。アカペラでの「ロング・グッドバイ」。ヒノテルとの「あなたに~You Don't Know What Love Is」。「今夜はオーライ」。「ワルツに抱かれて」。「ちっちゃな時から」。「前科者のクリスマス」。「こぼれる黄金の砂」。セシル・モンローとの「夜が明けたら」。下山淳との「Just Another Honky」。渋谷毅、下山淳、川端民生、セシル・モンロー、植松孝夫が入って「ロンサム・ロード」。下山淳が抜けて「あなたに」。バラを片手に持って「セント・ジェームス医院」。川端民生のベースによるイントロが「ナイロン・カバーリング」のような「都会に雨が降る頃」(実際に映像でも、イントロ部で、観客が「ナイロン!」と呟いている)。

そして渋谷毅のオルガン、向井滋春、植松孝夫、南正人、川端民生、セシル・モンローによる「暗い目をした女優」がまた素晴らしい。暗闇に浮かぶ浅川マキの恍惚の表情をここまで追った映像とはなんなのか。

ちょうど一昨日(2017/3/19)、マキさんと共演する姿を観て以来およそ20年ぶりくらいに、植松孝夫さんのテナーを観た。植松さんにそのことを言ったところ、植松さんは懐かしそうに語った。マキさんがピットインで貧血になり、植松さんが誰かを呼ぶため出ようとしたところ、「植松さん戻ってきて~」と、あの口調で言ったんだよ、と。

セシル・モンローのシンプルで鋭いドラミングも懐かしい。マキさんのライヴのはじまりは、いつもセシルとのデュオだった。山崎さんによれば、『浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド -bootlegg- 』のタイトルにある「ブートレグ」は以前マキさんが発案したもので、その綴りを聴くためにセシルに電話したところ、最後に「g」を重ねるとカッコいいよと教えてくれたのだという。そのセシルも海難事故で亡くなった。わたしが通っていたスクールでドラムスを教えていて、わたしの靴をふざけて履いて、「ぼくのと同じ~」と、剽軽に笑っていた記憶がある。

●参照
浅川マキ『Maki Asakawa』
浅川マキの新旧オフィシャル本
『浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド -bootlegg- 』
『ちょっと長い関係のブルース 君は浅川マキを聴いたか』
浅川マキが亡くなった(2010年)
浅川マキ DARKNESS完結
ハン・ベニンク キヤノン50mm/f1.8(浅川マキとの共演、2002年)
浅川マキ『闇の中に置き去りにして』(1998年)
浅川マキ『アメリカの夜』(1986年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)
浅川マキ『幻の男たち』 1984年の映像
浅川マキ『スキャンダル京大西部講堂1982』(1982年)
浅川マキ『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏家たちのOKをもらった』(1980年)
オルトフォンのカートリッジに交換した(『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏者たちのOKをもらった』、1980年)
浅川マキ『灯ともし頃』(1975年)
『恐怖劇場アンバランス』の「夜が明けたら」、浅川マキ(1973年)
宮澤昭『野百合』(浅川マキのゼロアワー・シリーズ)
トリスタン・ホンジンガー『From the Broken World』(浅川マキのゼロアワー・シリーズ)

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