Sightsong

自縄自縛日記

トニーニョ・フェハグッチ『a gata café』

2016-12-20 14:49:15 | 中南米

トニーニョ・フェハグッチ『a gata café』(Boranda、2016年)を聴く。

Toninho Ferragutti (accordion)
Cássio Ferreira (sax)
Cléber Almeida (ds)
Thiago Espírito Santo (b)
Vinícius Gomes (g)

フェハグッチはブラジルのアコーディオン奏者。

まったくよどみのない指と蛇腹の動きで、少し甘いようなアコーディオンの音色が、同じ音域にあるサックスの音色と、実に気持ちよく絡んでいる。こういう音楽を聴くと、身体も心も弛緩して、街角の石畳やカフェや陽だまりなんかをイメージしてしまう。人いきれの音楽でもあり、都会の音楽でもあるんだな。

タイトル曲は「猫のコーヒー」という意味だそうで、それはジャコウネコのウンチを通過させたコピ・ルアックのことなどではなく、猫がゆるりと自分の場所を決め込んだりするカフェで飲むコーヒーのことかな。2曲目の「Egberto」は、エグベルト・ジスモンチに捧げた曲だろう。ああ旅に出たい。


宮沢昭『木曽』

2016-12-20 10:50:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

宮沢昭『木曽』(Victor、1970年)を聴く。

Akira Miyazawa 宮沢昭 (ts, fl)
Masahiko Sato 佐藤允彦 (p)
Yasuo Arakawa 荒川康男 (b)
Takeo Moriyama 森山威男 (ds) 

メンバーの中で意外な存在は森山威男。山下洋輔、中村誠一との第1期山下洋輔トリオで激しくドラムスを叩いていたころである。青木和富氏の解説によると、とはいえまだまだ無名であり、レコードにも「森川」と印刷され、また、起用には山下トリオを買っていた油井正一氏の後押しもあったのだろうということである。

聴いてみると、森山さんのドラムスは予想を遥かに上回って凄まじい。というか、ずっと叩きまくりである。1曲目の「木曽」では、テナーのカデンツァのあとにベースとピアノとが入ってきて、いよいよドラムスが嵐を呼び始める。2曲目の「浅間」では、佐藤允彦の煌びやかなピアノとともに暴れる。3曲目の「白馬」は宮沢昭の太いフルートではじまり、ちょっと抑えるのかなと思いきや、やはり激しいドラムソロ。そして4曲目の「飛騨」でも爆走。

もちろん宮沢昭のテナーは闊達で、勢いにも、音色の幅広さにも、あらためてやられてしまう。

知らなかった、こんなに異色で凄い盤だったのか・・・・・・。

●宮沢昭
宮澤昭『野百合』(1991年)
内田修ジャズコレクション『宮沢昭』(1976-87年)