Sightsong

自縄自縛日記

高木元輝『不屈の民』

2015-07-10 23:03:41 | アヴァンギャルド・ジャズ

高木元輝『不屈の民』(ちゃぷちゃぷレコード、1996年)を聴く。

高木元輝 (ts)

1970年代にスティーヴ・レイシーに出会い、高木元輝のプレイはレイシーの影響を受けたのだと言われる。その話を聞いてはいてもピンとくることがなかったのだが、ここで聴くことができる高木のプレイには、明らかにレイシーが重なっている。ソプラノでなくテナーであり、レイシーよりもエアを含んだブロウではある。しかし、内省的なフレージングも、虚空をさまようようなヨレ具合も、落ちをつけるようなベンドも、やはりレイシーだ。

それにしても、1996年。わたしが2000年にただ一度だけ高木元輝のプレイを観たときには、そのような影響を感じさせる要素は微塵もなかった。完全サックス・ソロという立ち向かい方が、身体と脳に深く刻まれたレイシーを引き出したのだろうか。

●参照
高木元輝の最後の歌(2000年)
2000年4月21日、高木元輝+不破大輔+小山彰太
1984年12月8日、高木元輝+ダニー・デイヴィス+大沼志朗
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)


ルイス・モホロ+マリリン・クリスペル『Sibanye (We Are One)』

2015-07-10 00:21:52 | アヴァンギャルド・ジャズ

ルイス・モホロ+マリリン・クリスペル『Sibanye (We Are One)』(Intakt Records、2007年)を聴く。

Louis Moholo-Moholo (ds)
Marilyn Crispell (p)

手に取ったときのイメージは「美女と野獣」だが、実際に聴いてみてもそのイメージが増幅される。

モホロは非常に力強く、ひたすらにサンドバックを拳で打ち続ける。その音が響くボクシングジムのなかで、クリスペルは、あちらからこちらへと分身と瞬間移動する。しかも、冗談のように優雅に謎めいている。すでにクリスペルに魅せられてしまったわたしにとって、彼女は美女というより魔女なのだ。

最近、同じIntakt Recordsからクリスペルとジェリー・ヘミングウェイとのデュオが出されたようなので、そちらも聴いてみたいところ。

●参照
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2)(2010年)(ルイス・モホロ参加)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2007年)(ルイス・モホロ参加)
イレーネ・シュヴァイツァーの映像(2006年)(ルイス・モホロ参加)
ルイス・モホロ+ラリー・スタビンス+キース・ティペット『TERN』(1977年)
マリリン・クリスペル+ルーカス・リゲティ+ミシェル・マカースキー@The Stone(2015年)
「ニューヨーク、冬の終わりのライヴ日記」(2015年)
マリリン・クリスペル+バリー・ガイ+ジェリー・ヘミングウェイ『Cascades』(1993年)
ペーター・ブロッツマン(マリリン・クリスペル参加)
エバ・ヤーン『Rising Tones Cross』(1985年)(マリリン・クリスペル参加)
映像『Woodstock Jazz Festival '81』(1981年)(マリリン・クリスペル参加)