高木元輝『不屈の民』(ちゃぷちゃぷレコード、1996年)を聴く。
高木元輝 (ts)
1970年代にスティーヴ・レイシーに出会い、高木元輝のプレイはレイシーの影響を受けたのだと言われる。その話を聞いてはいてもピンとくることがなかったのだが、ここで聴くことができる高木のプレイには、明らかにレイシーが重なっている。ソプラノでなくテナーであり、レイシーよりもエアを含んだブロウではある。しかし、内省的なフレージングも、虚空をさまようようなヨレ具合も、落ちをつけるようなベンドも、やはりレイシーだ。
それにしても、1996年。わたしが2000年にただ一度だけ高木元輝のプレイを観たときには、そのような影響を感じさせる要素は微塵もなかった。完全サックス・ソロという立ち向かい方が、身体と脳に深く刻まれたレイシーを引き出したのだろうか。
●参照
高木元輝の最後の歌(2000年)
2000年4月21日、高木元輝+不破大輔+小山彰太
1984年12月8日、高木元輝+ダニー・デイヴィス+大沼志朗
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)