エヴァン・パーカー+吉沢元治『Two Chaps』(ちゃぷちゃぷレコード、1996年)を聴く。
Evan Parker (ts, ss)
吉沢元治 (b)
CDジャケットの裏面には、エヴァン・パーカーのツアーのチラシ(1996年)が印刷されている。1996年4月21日の歌舞伎町ナルシスからはじまって(ナルシスの壁には、そのときの写真が貼られている)、5月3日の横浜エアジンまで。
この演奏は4月29日、山口県のカフェ・アモレスでの記録であり、わたしは、その2日後の5月1日に、世田谷美術館ではじめて彼の演奏に接した。あまりエヴァンのことは名前くらいしか知らずに行ったのだが、それまでの体験を遥かに超える音だった。世の中にこのような人がいるのかという驚愕だった。
そんなわけで、20年近く前のことを思い出しながら聴いているのだが、やはり、エヴァンの循環奏法の密度が半端なく高い。いったんかれの音に集中すると耳が貼り付いてはがすことができなくなり、ちょっと吐きそうにさえなってしまう。
そのような高密度のサックスの波動が、吉沢元治の柔軟に即応するベースとともに大きな波を創り出している。これはエヴァンにとっても最良の演奏なのではないか。
●参照
シュリッペンバッハ・トリオ『First Recordings』(エヴァン・パーカー参加)
シュリッペンバッハ・トリオ『Gold is Where You Find It』(エヴァン・パーカー参加)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(エヴァン・パーカー参加)
『Rocket Science』(エヴァン・パーカー参加)
ネッド・ローゼンバーグの音って無機質だよな(エヴァン・パーカー参加)
ペーター・コヴァルトのソロ、デュオ(エヴァン・パーカー参加)
ジョン・エスクリート『Sound, Space and Structures』(エヴァン・パーカー参加)
ブッチ・モリス『Possible Universe / Conduction 192』(エヴァン・パーカー参加)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(エヴァン・パーカー登場)
ハン・ベニンク『Hazentijd』(エヴァン・パーカー登場)
吉沢元治ベース・ソロ『Outfit: Bass Solo 2 1/2』、『From the Faraway Nearby』
高木元輝の最後の歌(吉沢元治参加)
友惠しづね+陸根丙『眠りへの風景』(吉沢元治登場)