私はフェリーチェ・ベアトの写真集を2冊持っています。その一冊は『F・ベアト幕末日本写真集』(横浜開港資料館)で、横浜開港資料館の売店で購入したもの。もう一冊は『F・ベアト写真集2 外国人カメラマンが撮った幕末日本』(明石書店)というもので、横浜伊勢佐木町の有隣堂で購入しました。この2冊に収録されている写真のいくつかについては、すでにこのブログでも取り上げたことがありますが、「よくぞ、このような写真を撮っておいてくれたものだ」と感謝したくなるような、「幕末日本」の貴重な写真がたくさん収められています。今回の東京都写真美術館の『フェリーチェ・ベアトの東洋』展のポスターを見て、まず思ったことは、ベアトが日本以外の東洋でどのような写真を撮っていたのかということと、カタログが売っているはずだから、それをぜひ手に入れたいということでした。ベアトはアジア航路でヨーロッパから日本に来たはずであり、日本に来る以前においてははインドや中国にも滞在していたということを知っていました。彼の写真技術や技法はすでに来日以前にほぼ完成していたようであり、日本での彼の写真撮影はその応用とも言うべきものでした。被写体としては、ベアトにとってはインドや中国よりも格段に魅力的なものであって、それがベアトが日本に長期滞在するようになった一番の理由であったと思われます。そのベアトが、来日以前にインドや中国でどういう風景を写していたのか、興味津々で展覧会場に入りました。 . . . 本文を読む