うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

怨霊になった天皇

2013年11月17日 | ほか作家、アンソロジーなど
竹田恒泰

 2009年2月発行

 明治天皇の玄孫である著者が、崇徳天皇を中心に独特の視点から「天皇家の怨霊史」をひもといた、天皇家と怨霊の裏の歴史。

第一章 悲運の天皇
  殺された天皇
  殺されかけた天皇
  自殺した天皇
  異常な死を遂げた天皇
第二章 憤死と怨霊
  教科書に書かれる「憤死」とは何か
  憤死と怨霊の相関関係
  怨霊誕生
第三章 怨霊渦巻く平安京
  悲劇の伊勢斎王・井上内親王
  形成される怨霊の軍団
  醍醐天皇を地獄に堕とした菅原道真
第四章 生きながら天狗になった崇徳天皇
  出生自体が悲劇の始まり
  保元の乱という兄弟間の争い
  血でしたためた五部大乗経
第五章 天下滅亡の呪い
  大魔縁となった崇徳天皇
  猛威を振るう崇徳天皇の怨霊
  崇徳天皇と西行
  八百年に及ぶ鎮魂の歴史
第六章 魔王が生む魔王
  承久の変と後鳥羽天皇怨霊譚
  大魔王後鳥羽院と大魔縁崇徳院の関係
  戦うことを遺言した後醍醐天皇
終章 怨霊史の終着へ
  怨霊を生まない作法―「許し」の力
  世界を不幸にする兄弟喧嘩の因縁
  恋人は崇徳天皇
産霊(むすひ)

 25代にわたる世界最古の王室・天皇家(皇室)における権力闘争や謀略から生じた暗殺、呪殺、憤死。
 そして「怨霊」になったと信じられた天皇。歴代天皇はこれら「怨霊になった天皇」が日本国に祟らぬよう祀り、「神」としてきた。
 義理の息子に殺された安康天皇、孝明天皇暗殺説、二度の暗殺未遂事件に巻き込まれた昭和天皇、鬼に殺された斉明天皇など、歴代天皇にまつわる暗殺事件。
 また、濡れ衣を着せられ自害し、「怨霊」となった長屋王、壮絶な死から同じく「怨霊」となった早良親王、生きながら「天狗」と化し、崩御して後「大魔縁」とされた崇徳天皇…。
 「怨霊」とされる天皇たちがもたらした皇族への因果などを、莫大な資料と取材でひもといた一冊である。

 今、何かと話題の竹田恒泰氏の本業を知りたくて、読んでみた。
 精密かつ、かなり分かり易く書いておられるのだろうが、当方の無知さから、とにかく年号と天皇・上皇などの血縁関係や繋がりなどを把握するのが困難であった。
 だが、崇徳天皇や孝明天皇などは有名であるが、ほかにも知らなかった史実や、その後の出来事などを、少しだけ学んだ。
 そして最も興味深かったのが、「終章 怨霊史の終着へ」の「恋人は崇徳天皇」の項目である。現代の祇園の女将に降りた崇徳天皇の霊の話。崇徳天皇が遠い昔の方なので、怖さは感じないが、如何にも不思議な出来事である。




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