うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

粗忽長屋の殺人(ひとごろし)

2015年05月14日 | ほか作家、アンソロジーなど
河合莞爾

 2015年2月発行

 古典落語に隠された不可解な謎を、長屋の隠居が名推理で解き明かす。落語ミステリー。

其の一 ―夏―短命の理由
其の二 ―秋―寝床の秘密
其の三 ―冬―粗忽長屋の殺人
其の四 ―春―高尾太夫は三度死ぬ 計4編の短編連作

其の一 ―夏―短命の理由
 大店の質屋・伊勢屋の婿養子が立て続けに3人死んでいる。婿を娶った家付き娘は絶世の美女。果たして真相は…。

其の二 ―秋―寝床の秘密
 義太夫好きが高じて、店子や奉公人を集めての披露するのが楽しみな大店の主。しかし、聞かされる方は地獄の苦しみで、何かと理由を拵えては辞退するが。


其の三 ―冬―粗忽長屋の殺人
 浅草寺で熊五郎が行き倒れて死んでいた。それを見届けた八五郎は長屋に取って返すと、熊五郎と共に、熊五郎の遺骸を引き取りに向かう。

其の四 ―春―高尾太夫は三度死ぬ
 新たに越して来た道哲という坊主が、怪しい経を毎晩のように唱えるので、長屋の面々は恐怖におののく日々。なんと、反魂香の力で死者に会っていたのだ。

 お馴染みの落語の落ちを作者が独自の推理で描いた、異色のサスペンス。熊さん、八さんの粗忽者と、謎解きをするご隠居のコンビネーションと、掛け合いが絶妙のテンポで進んでゆくので、面白おかしく、また、推理の妙に浸りながらあっと言う間に読み終えた。

主要登場人物
 幸兵衛...隠居、長屋の大家
 熊五郎...植木屋、長屋の住人
 八五郎...大工、長屋の住人




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