「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

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第21回全国市民オンブズマン岩手大会報告その3

2014-09-17 22:57:00 | 近況活動報告
その1(公共事業問題)その2(政務活動費、秘密保護法、地方自治法改正問題)に続いて、今日は大会開催地岩手からの報告を紹介します。

東日本大震災による津波で甚大な被害を受けた岩手県沿岸部ですが、その復興に向けた施策においていくつかの問題が報告されました。
緊急雇用創出事業補助金の不正利用がニュースになった山田町のNPO「大雪りばあねっと」やDIOジャパン・コールセンターについては、ネットで検索すればより詳しく出ているのでここでは省略し、被災地域における復興計画の策定過程について以下紹介します。

<復興計画策定の意思決定過程問題>
これは地方自治における住民自治(住民の意思と責任に基づいて行政を行うこと)に関わる問題です。
具体例として静岡県も支援している大槌町の例です。

2011年8月に就任した新町長は「海の見える、つい散歩したくなる、拘りのある美しいまち」をまちづくりのコンセプトとしていたが、大槌湾においては堤防高を震災前のものよりも倍以上の高さの14.5mにするという国が決めた方針・基準を、非公開で行われた岩手県の津波防災技術専門委員会(個別地区に関する整備目標など主要部分の議事録が非公開)が受け入れるに及び、さらに、住民による議論のいとまを与えないような復興計画期限の設定によって、多くの地域で国の方針・基準に基づくまちづくり計画が選択されたというものです。

今になって後悔しても、ときすでに遅く、形式的に地域自らが決めたこととして国の画一的方針どおり公共事業が淡々と進められているのです。

ただし、例外もあります(上のスライドの末尾)。
大槌湾の中でも赤浜という地区では仮設住宅に残った住民自らがこれからのまちづくりについて話し合ってきていたため国の方針と異なる選択を行えたということです。これならば、自らが選択した以上、何があっても後悔はないでしょう。

経済的合理性を求めた平成の大合併により基礎的自治体である市町村はより大きな規模となるべく誘導され住民自治よりも団体自治が優先されるようになりました。
一方で、その自治体の中にあってなお、農村・漁村の単位で法人格をもたない共同体は依然として存在しています。
民衆の自治によって成り立ってきた社稷を国家に先行する共同体と説く権藤成卿の「社稷自治」のあり方、それを体現する現在の住民自治の考え方からすれば、たとえ時間がかかったとしても赤浜のようなあり方こそ求められるべき自治としての意思形成過程であったように思います。

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