2017年のフランス映画です。英語字幕で見ました。日本でも「その女アレックス」が大ヒットした、ピエール・ルメートルの小説「天国でまた会おう」の映画化です。前知識なし。DVDのパッケージ絵に興味を持って、観てみました。フランス本国では、大ヒットした作品だそうです。
第一次世界大戦後のモロッコ。熱く苦しい熱気が伝わってきそうな小部屋。銀行詐欺で尋問を受けているアルベール・メナードが、なぜ、作る気のない戦没慰霊碑建造を偽って、国からお金を巻き上げるという犯罪に手を染めたのかを話し始めます。
1918年、第一次世界大戦休戦を目前にした11月のある日、停戦命令を無視したプラデル中尉の命により、塹壕にいたフランス軍兵士はドイツ軍への突撃を命じられます。その中で、アルベールは危うく生き埋めになりそうなところを、友人のエデュアール・ペリコールに救われますが、エデュアールは大怪我をして顔の鼻から下を失ってしまいます。家族との絆を絶ちたいというエデュアールの頼みで、アルベールはエデュアールの戦死を偽装します。
アルベールは、戦争で職も婚約者も失い、エデュアールの面倒を見ながら、エレベーターボーイやサンドイッチマンの仕事をして生活を支え、モルヒネに依存するエデュアールのために傷痍軍人からモルヒネを奪ったりと、剣士的に尽くしていました。元々、画才に恵まれていたエデュアールは、孤児の女の子、ルイーズと親交を深めて明るさを取り戻し、生来の才能を生かして、損傷した顔を隠す様々な仮面を作ります。映画では、この仮面が、この世のものならぬ悪夢的な雰囲気を作り出していました。
エデュアールの「通訳」である、小生意気なルイーズが親交を深めていく様子には、なにか淫靡で不穏な雰囲気がつきまといます。二人の関係はあくまでも友情なのですが、暗い小部屋と、この世ならざらぬ仮面の造形、そして蚊帳の外にされたようなアルベールの表情が、心をざわつかせるのです。ま、この映画全体が不穏なんだけど。
画才に恵まれたエデュアールと、銀行の会計士の仕事を得たアルベールは、戦死者への記念碑には大金を惜しまないのに、自分たちのような帰還兵を顧みない社会への復讐も兼ね、銀行でちょろまかした資金を使って、戦没者慰霊碑サギを仕掛けます。一方で、全ての元凶であるプラデルは、戦死者墓地のサギで私腹を肥やして上流社会に乗り込み、金目当てでエデュアールの姉、マドレーヌと結婚していました。
私は、この原作を読んでいないのですが、amazon等から得た情報だと、映画では、色々と省かれている部分があるようですし、機会があればぜひ読みたいと思っています。戦争の残した大きな傷、社会の不条理、欺瞞を暴く大変に辛い、苦しい内容なのですが、冒頭が、詐欺事件の事後でアルベールが告白している場面なので、彼が生きていることは判る。でも、なにしろタイトルが、あの世で会おうなので、エデュアールの行方が気になります。あの世ではなく「天国(Up there)」なのは、地獄行ってそうなプラデル抜きだから?すると、早川から出ている翻訳本の3つの墓標は誰のため?最後に出てきた彼?やっぱ、本を読まなくちゃ。でも、「その女アレックス」を読み終わった時は、うー、うー、うー…と、重苦しかったのだなぁ… この本も重そう…
だけど、映画の方は寓話的で、華麗で幻想的とも言えるめくるめく画面のせいか、重苦しさは感じず、むしろ見終わった後には、ほっと安堵したような気持ちに。監督・主演(メナード役)のアルベール・デュポンテルさんは、この映画で初めて知りました。この映画の中では、エデュアールに翻弄されながら一生懸命生きる、生真面目で不器用なオッサンでしたが、ずいぶんと才能のある方だと思います。この映像美、劇場の大画面を見逃したのは残念!
早川から出ています
第一次世界大戦後のモロッコ。熱く苦しい熱気が伝わってきそうな小部屋。銀行詐欺で尋問を受けているアルベール・メナードが、なぜ、作る気のない戦没慰霊碑建造を偽って、国からお金を巻き上げるという犯罪に手を染めたのかを話し始めます。
1918年、第一次世界大戦休戦を目前にした11月のある日、停戦命令を無視したプラデル中尉の命により、塹壕にいたフランス軍兵士はドイツ軍への突撃を命じられます。その中で、アルベールは危うく生き埋めになりそうなところを、友人のエデュアール・ペリコールに救われますが、エデュアールは大怪我をして顔の鼻から下を失ってしまいます。家族との絆を絶ちたいというエデュアールの頼みで、アルベールはエデュアールの戦死を偽装します。
アルベールは、戦争で職も婚約者も失い、エデュアールの面倒を見ながら、エレベーターボーイやサンドイッチマンの仕事をして生活を支え、モルヒネに依存するエデュアールのために傷痍軍人からモルヒネを奪ったりと、剣士的に尽くしていました。元々、画才に恵まれていたエデュアールは、孤児の女の子、ルイーズと親交を深めて明るさを取り戻し、生来の才能を生かして、損傷した顔を隠す様々な仮面を作ります。映画では、この仮面が、この世のものならぬ悪夢的な雰囲気を作り出していました。
エデュアールの「通訳」である、小生意気なルイーズが親交を深めていく様子には、なにか淫靡で不穏な雰囲気がつきまといます。二人の関係はあくまでも友情なのですが、暗い小部屋と、この世ならざらぬ仮面の造形、そして蚊帳の外にされたようなアルベールの表情が、心をざわつかせるのです。ま、この映画全体が不穏なんだけど。
画才に恵まれたエデュアールと、銀行の会計士の仕事を得たアルベールは、戦死者への記念碑には大金を惜しまないのに、自分たちのような帰還兵を顧みない社会への復讐も兼ね、銀行でちょろまかした資金を使って、戦没者慰霊碑サギを仕掛けます。一方で、全ての元凶であるプラデルは、戦死者墓地のサギで私腹を肥やして上流社会に乗り込み、金目当てでエデュアールの姉、マドレーヌと結婚していました。
私は、この原作を読んでいないのですが、amazon等から得た情報だと、映画では、色々と省かれている部分があるようですし、機会があればぜひ読みたいと思っています。戦争の残した大きな傷、社会の不条理、欺瞞を暴く大変に辛い、苦しい内容なのですが、冒頭が、詐欺事件の事後でアルベールが告白している場面なので、彼が生きていることは判る。でも、なにしろタイトルが、あの世で会おうなので、エデュアールの行方が気になります。あの世ではなく「天国(Up there)」なのは、地獄行ってそうなプラデル抜きだから?すると、早川から出ている翻訳本の3つの墓標は誰のため?最後に出てきた彼?やっぱ、本を読まなくちゃ。でも、「その女アレックス」を読み終わった時は、うー、うー、うー…と、重苦しかったのだなぁ… この本も重そう…
だけど、映画の方は寓話的で、華麗で幻想的とも言えるめくるめく画面のせいか、重苦しさは感じず、むしろ見終わった後には、ほっと安堵したような気持ちに。監督・主演(メナード役)のアルベール・デュポンテルさんは、この映画で初めて知りました。この映画の中では、エデュアールに翻弄されながら一生懸命生きる、生真面目で不器用なオッサンでしたが、ずいぶんと才能のある方だと思います。この映像美、劇場の大画面を見逃したのは残念!
早川から出ています
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