円高は辛いけど…

　初の女性ノーベル経済賞受賞者、エリノア・オストロム博士が亡くなられたそうです。「市場だけが資源を有効に分配できる」っていう市場万能主義に反論して、政府等が管理しなくても、入会地は使う人たちによって利害調整が行われて、ちゃんとコミュニティーによる管理で資源が最適配分されるってことを、たくさんのケーススタディーを通して証明しました。何を今更、日本の里山なんか、正にこれだよねー

　当然のことを、いちいち証明しなきゃならんってのが、経済学のアホなところだけど、何でも型にはめて理論化しちゃった結果、その型に収まらない事実を、また理論で理由付けて型にはめなきゃなんないという妙な事態なのも、現代経済学の限界だと思う。ノーベル経済賞を取ったオストロム博士は経済学者じゃなくて政治学者。世銀の新ボス、ジム・ヨン・キム氏は医学者。経済学の理論だけではもう、経済が説明しきれなくなっちゃってる。アメリカでは、究極の資本主義構造「1％の、1％による、1%のための」政治と社会が確立してしまった。経済学者の言うとおりに、市場の機能を盲目的に信仰してきた結果が、今の、１％が富の３分の１以上を支配する状況。実際には、オストロム博士が実証したことも含めて、市場は全然、万能なんかじゃ無いというのに。

　で、その経済学者たちの牙城、IMFは、「日本の財政的な脆弱(ぜいじゃく)性に対処するには、持続可能な調整策や、長期的な成長を促進する大胆な取組みが必要」につき、日本政府に「経済成長のための構造改革」への着手をお達し。まだ懲りずに構造改革とか言ってんのか、アイツらは。ここ数年は特に、IMFが何か言うたびにムカつくわ！

　そりゃあ、私個人としては、円高には困っています。来月、日本に帰るのに、1ドル＝80円なんて、超困ってる。数年前には、お得感たっぷりだったジャパン・レールパスが高くて、もう泣きそう。お手頃価格なホテルの予約も、ドルでチャージされた金額を見ると呆然自失。でもさ、円が高くなったのは、ドルやユーロがアホほど弱すぎるからでしょ。エラソーに言う前に、ドルとユーロを健全化してみやがれ、このヤロー！