わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

セブン・サイコパス+お隣サイコパス

2013-07-27 | 映画・ドラマ・本

うちの息子達、上の絵を見ても「I don't get it.」だって。あんたら、ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズを聴いたことないの?って尋ねたら、きっぱり「ない!」だって。それどころか、レット・イット・ビーもイエスタデイも知らんだと。教育し直しじゃ!


 さて、このブログでも何度か紹介しましたが、うちのお隣はサイコさんです。お隣の部屋の所有者である上品な老婦人とお話したことがあるのですが、その御婦人の女性の亡くなったご主人と、お隣さんの亡くなったお父さんが親友同士だったので、無碍に出て行ってくれとも言えず、困っているご様子でした。この大家さんは韓国の方なのですが、日本語がとても流暢。アメリカで出会う老齢の韓国人の方はしばしば、日本語ができると誇らしげに披露してくれる人がいて、私は混乱してしまいます。ともあれ、この大家さんによると、隣のサイコさんは実は韓国でも一番の学校を卒業して、立派な仕事をしていたエリートだったそうですが、麻薬で捕まってから一気に下り坂。私がここに越してきてからも、たまに火病って、既に何度か警察沙汰を起こしています。

 今朝も朝の4時から思いっきり大きな音を立ててドアを閉めたかと思うと、ドスドスと階段を降りて行き、その後、下の奥さんと大声で言い争い。眠いんで、「うるさいなぁ、また、やってら…」と思いながらも、ベッドから出なかったんですが、後で下の奥さんに捕まえられて、話を聞かされたら、まーた警察呼んで揉めてたんだって。早朝からご苦労様です。このコンドには、叫ぶために叫んでいるとしか思えない奇声を上げる子供もいて、たまに阿鼻叫喚の場となる。ほんと、はじめは何事かと思ったよ。叫んでるのは子供だから、大目に見るしかないんだけど、隣のサイコさんにはもう我慢なんねぇ、と、下の奥さんが中心となって、ホーム・オーナーズ・アソシエーション(HOA:家主協会)に、立ち退きを要請するんだって。

 下のご夫婦は、つい数カ月前にもサイコさんに刃物で脅され、警察を呼んだばかりです。サイコさんは4日間、市の警察署に収監されたのですが、この時は、サイコさんが一緒に住んでいるお母さんに、息子が刑務所に入れられたら自分の面倒を見る人がいないので告訴しないでって頼まれて、起訴しなかった。その時の記事は、こちら。でも、その後も何度か揉めてて、あの時やっぱり起訴しとけばよかったわ、と、下の奥さんは今までにも何度かボヤいていたのですが、今日はとうとう、堪忍袋の緒がちょん切れた模様。私もHOAに立ち退きを求める会議に参加してね、と頼まれたのですが、私はこの部屋を持ち主から借りてるだけで、HOAのメンバーじゃない。でも、そのミーティングには端っこに座って参加しようって思ってるの。隣の部屋の大家さんも、お母さんは少しボケてるし、息子は激昂すると我を失うし、二人とも適切な施設に入った方がいいと思う、って呟いててたけど、私もそう思います…ってか、お隣さんがヤク中かもしれないってのはイヤすぎだって!隣がアブない、たまに近所の子供がこの世の終わりみたいに絶叫する事以外は、この部屋を気に入ってるんです。お家賃は手頃だし、高速道路へは近過ぎないけどアクセスが良く、周りにいろんなお店やレストランが多くて便利。普段は静かだし、トイレはウォシュレットだし、十分なスペースがあるし。


 ところで、楽しみにしてた「ウルヴァリン」が昨日から公開で、明日辺り、観に行こうかなと思ってたら、上息子がガールフレンドの家族と一緒に今日、観に行っちゃって、派手にネタバレしてくれた。ぐぬぬ… で、その頃、私と若息子は、借りてきた「セブン・サイコパス」っていう、ヘンテコな映画見てました。

 コリン・ファレル演じる脚本家志望のマーティーは「Seven Psychopaths(7人の精神異常者)」という映画脚本を書いているのですが、スランプで筆が進まず、酒量が増えるばかり。マーティーの友人で売れない俳優のビル(サム・ロックウェル)は、何としてでも、この脚本を仕上げてもらって、自分が出演したいので、協力を惜しまない。ビルは俳優だけじゃ食べていけないので、相棒のクリストファー・ウォーケンの演じるハンスと、犬を誘拐して礼金をせしめるという、世にもセコい詐欺をしています。で、この二人が誘拐しちゃったシーズーが、人を殺すのは何とも思わないけど、愛犬にはメロメロのサイコなチャーリー(ウディ・ハレルソン)。愛犬の行方を突き止めようと、癌で入院中のハンスの奥さんの病室に現れ、彼女が居場所をばらさないとあっさり撃ち殺しちゃう。あらま。

 ギャングのボスであるチャーリーに命を狙われてるだけでも十分に大変なのに、執筆の助けになるように、って、ビルが新聞広告でサイコなあなたにお話を聞きたいなんて募集したものだから、いかにもサイコパスっぽい男が、マーティーの家の前にうさぎを抱いて待っている。あの八の字眉を、更に八の字にして困るコリン・ファレル。話を聞いてみれば、サイコパスに監禁されていた女性を助け、一緒に連続殺人犯を沢山殺したけど、その女性が殺しを楽しみすぎてんで、ついていけなくて別れた。でも、もう一度彼女に会いたいから、映画完成の暁には、自分が彼女を探していることをエンドクレジットに入れて欲しいと頼まれます。益々、困って八の字が下がるコリン・ファレル。ところで、このシリアル・キラーズ・キラー(ああ、ややこしい)役はトム・ファレルですが、ジョン・マルコビッチだったら更に濃いサイコパス揃いだったのになぁ、なんて思った。私的に3大サイコ役者は、ウッディ・ハレルソン、クリストファー・ウォーケン、ジョン・マルコビッチ。

 愛犬を誘拐されて激怒しているチャーリーから逃れるため、わんこを連れて砂漠へ逃れる、マーティー、ビル、ハンスの3人。追うチャーリーと部下たち。これはイギリス映画なのですが、舞台はLAとその周辺で、ビル的に「最後の決戦」場所となる砂漠は、ジョシュア・ツリー国立公園です。お膳立ては完璧、なんてワクワクしてるビル、奥さんにも死なれて、なんかもう、どうでもいいや、なハンス、巻き込まれまくって困ってるマーティー。しかし、この「最後の決戦」ってのが、これまたモンダイで、張り切ってるのはビル一人…

 フィクションでサイコパスの話を書いてたマーティーですが、実は周りがサイコパスだらけだったという、入れ子式のお話で、フィクションかと思えば実際に起った事だったり、妙な所で話(人間関係)が繋がっていたり、虚実とシリアスとコメディーが入り乱れて、見終わったら何だか疲れました。どんどこ人が死ぬのですが、あひゃひゃ、また殺された―(ゲラゲラ)、なんて、見てる方もサイコパスになってしまいそう。

 サイコパスといえば、昨夜は、日参しているブログで紹介されているのを読んで以来、ずーっと観たいと思っていた「メランコリア」を観ましたが、主人公のジャスティーンは、これまた立派なサイコさん。ジャスティーン役のキルスティン・ダンストは、この役でカンヌの女優賞を受賞しましたが、前半の鬱病の花嫁の静かな狂気、後半の地球滅亡直前に周りが絶望を深めていくのとは逆に生気を増していく様子が、演技とはいえ壮絶でした。「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」でも「マリー・アントワネット」でも、とってもチャーミングだったけど、豪華なドレスが似合うのか、彼女の花嫁姿は美しかった。ところでヌードもたいそう美しかった。正直、もっと観たい。「スパイダーマン」のMJ役の時は、なんでイモ姉ちゃんにしか見えなかったのかなぁ。

 全体的に画面がとても綺麗で、一場面、一場面が、まるで絵画のよう。サスペンスSFという触れ込みですが、結末は既に知ってる私も十分に楽しみました。もっとも、結末も「アヒャヒャ、地球が滅亡したよー」と妙に爽やかで、これまた見る側がサイコさんになりそうでしたが。サウンドトラックの、ワーグナーの「トリスタンとイゾルテ」の不安を掻き立てるような旋律も、クライマックスに向けて次第に高揚していく気持ちを煽ります。不思議な映画でした。

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