わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

萩尾望都「A-A'」に驚嘆する

2012-10-27 | 映画・ドラマ・本
 昨日、ブックオフで買ってきた、萩尾望都さんの「A-A'」文庫版。萩尾望都さんの漫画は、若い頃は、お話が素晴らしいのは知っていても、絵柄が苦手でした。好みの如何に関わらず、あの繊細な絵柄は素晴らしいし、そこが好きという方も沢山おられるので、あくまでも私の個人的な好みですので、ご了承下さいませ。今じゃ食わず嫌いも治って、$1コーナーで出会うたびに買い集めています。「11人いる!」や「百億の昼と千億の夜」も、連載時に読んでいたのに、余り記憶になくて、今読み返して感心してます。勿体無いことしたな。

 「A-A'」は、ずーっと昔、雑誌で読んだ時の印象が強くて、今回30年ぶりに再読したのですが、萩尾氏の先見の妙というか、人間観察の目の鋭さに、今更ながら驚きました。この文庫版には、表題作以下、一角獣種(頭に盛り上がった部分があり、そこの髪が赤い)という、宇宙旅行向けに遺伝子操作された人種が出てくる短編が数編、収められています。この一角獣種の特徴は、感情を表すことが苦手、仕事に没頭する、他人の感情や回りの雰囲気に無頓着(要はKY)。

これって、今時はやりの高機能自閉症のことじゃないの?!

 この作品が発表されたのは、1981年です。ウィキ先生によると、この年にイギリスの医師ローナ・ウィング(Lorna Wing)さんが、「アスペルガー症候群/臨床報告」という論文を発表したそうですが(Wikipediaのページ)、高機能自閉症なんて言葉は、まだ生まれてもいなかった。だからって、アスペルガーやADDが存在しなかったのでは、勿論ありません。うちの若息子はガチでADDなので、色々、ADDに関する文献を読んだりしましたが、かくいう私自身がADDだった。で、うちの母も絶対ADDだ。亡父がいつも「お母さんは鉄砲玉や」とボヤいてましたが、晩御飯を作ってる最中に「あ、◯◯がない!」と、料理ほっぽり出してスーパーへ行く。なぜか、その途中に思いつきで、あっちに行ったり、こっちに行ったりして、何時まで経っても帰ってこない。これが毎日。

 他にも、片付けられない、会話の内容が飛びまくる、好きな事に対する集中力は凄いけど、それ以外はすぐ飽きる等々、当てはまりすぎて笑う。若息子も同様で、今も私の前で寝っ転がって、二台のPCを使って違うオンラインゲームをプレイ、TV画面でWiiをプレイ、Kindleで何か読む、犬にボールを投げる、たこ焼きを食べる(寝転がってものを食べるな!)、が同時進行中。どれか一つにせえ!と怒鳴りたくなる…と、いう前に怒鳴っている母である。

 ともあれ、萩尾氏が、この一角獣種のキャラクターを、全くの想像で作り上げたのか、身近にヒントとなる人が居たのかはわかりませんが、どちらにしろ、凄い!と思いませんか?しかも表題作の「A-A'」は、クローンを取り上げており、太陽系外の惑星で調査をしていたアディー(A)が事故死し、その、地球を発つ前までの記憶を埋め込まれたクローンである、第二のアディー(A')が送られてきたけど、オリジナルのアディーの恋人だったレグには微妙なわだかまりが、というお話で、クローンでも人格は違うのではないかという問題に切り込んでいます。そして、この短篇集に収められている「X-Y」は、どんでん返しに次ぐどんでん返しがテンポよく畳み込まれ、ビジュアル的にも面白い画面が作れそう。こういう作品こそ、実写映画化に挑んで欲しい!

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2 コメント

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Unknown (ししゅうねこ)
2012-10-29 20:17:37
「ウは宇宙船のウ」送りましょうか???
A-A'いいですよねー
萩尾さんの本は随分持ってたんですけど、ある時全部売っちゃったんです(もったいない!)
今も記憶に残っている作品のひとつがA-A'
それと「ウは宇宙船のウ」の霧笛
日曜に行った古本市で見たブラッドベリのイラスト入り文庫にも霧笛があったけど海の生物が毛むくじゃらだったの!!!
その場で吹き出しそうになりました
百億― は買い直そうと思いつつ光瀬龍版(小説)を買ってしまった(笑)
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ししゅうねこさん (わに)
2012-10-31 03:16:37
あの古本市の記事拝読して、うらやまし~!と、指くわえました。やっぱ東京はええなぁ。
百億一も、以前に1ドルで買いました。ロケットもね、いつか出会うんじゃないかと期待してるんですが…
 海の生物ってネッシーみたいなヌメッとしたイメージなんだけど、毛むくじゃらとは。新解釈だわ。
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