わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

女の子よ、強くあれ!シュガー・ラッシュ:オンライン

2018-11-27 | 映画・ドラマ・本
 火曜日は5ドルのお気に入り映画館、マーカス・シアター、先週は「ファンタスティック・ビースト」がウルトラスクリーン(IMAXサイズのスクリーンとヒーター付シーツ)の劇場を占めていましたが、今週は通常スクリーンに格下げ、日中は先週末興行成績1位の「シュガーラッシュ・オンライン」、夜の上映は2位の「クリード 炎の宿敵」に取って代わられました。評価も、Rotten Tomateで44%だったファン・タビに対し、ラルフとクリードはともに80%超えですから、客入を見込んだ判断でしょう。シビアだ… ファン・タビも大きな画面で観たかったので、先週のうちに行っとけばよかったかなぁ。でも、先週火曜はボヘミアン・ラブソディ2回目行ったんだ。

 今晩、私が観に行ったのは、6年ぶりの続編「シュガーラッシュ・オンライン(原題はRalph Breaks the Internet)」です。本編の前に、監督・製作者達の「劇場まで見に来てくれて有難う」って、メッセージが流れました。ディズニーの公式サイトはこちらです。前作でアーケード・ゲームの登場人物、ラルフとヴァネロペが大親友になって6年、ゲームキャラである彼らはもちろん年齢を取りません。昼間はゲームの中で働き、アーケード閉店後は自由な時間。

 ある日、同じ繰り返しの日々、同じレースコースに飽き飽きしているヴァネロペのためにラルフが「シュガーラッシュ」のゲームに介入し、ヴァネロペがゲーマーに従わなかった為に、ゲーム機が壊れてしまいます。古い機械なので交換部品は製造中止、eBayで売られていたけど200ドルもするので、オーナーは機械の引退させると言って電源を抜いてしまいます。ゲーム機が廃棄されたら、そのゲームの中のキャラクターたちは居場所がなくなってしまいます。それを阻止するため、ラルフとヴァネロペは、自分たちで部品を手に入れるべく、新たに加わった「Wi-Fi」のゲートをくぐって、インターネットの世界へ。



 インターネット世界の具象化には、成る程、こうなってるんだなぁ~、って、すっかり納得しちゃいましたよ。「リメンバー・ミー」のあの世といい、このインターネット世界といい、魅力的かつ説得力ありすぎ。しかも、流石はディズニー、カメオの数も半端ではありません。直ぐ分かるだけでも、あらゆる人気作品やシリーズのキャラが認められますが、じっくり見ると、一体どれだけ隠れているのやら?スタン・リーおじさんも、しっかりカメオ出演していましたよ。劇場のあちこちで「Ahhh」って、ため息が聞こえました。うん、やっぱり、デジタル世界に引っ越してたんだね。

 予告等でも大きく取り上げられていた、ヴァネロペとディズニー・プリンセスたちの邂逅も、彼女たちが一同に会して、普段着の生活が観られるだけでも面白いのに、短いシーンに個々の個性や特徴がちゃんと出てるのも巧い。今はディズニー傘下だけど、元々はピクサーのキャラクターであるメリダだけは、何言ってるかわからない(どっか違うとこから来たみたい)とか、すぐ歌うアリエルとか、小ネタが効いてます。ガラスの靴を割って武器にするシンデレラ、好きよ。彼女は元の映画でも、結構、蓮っ葉だもんね。

 私もプリンセスだよ、なヴァネロペに、それぞれが、特殊能力がある?毒を盛られた?誘拐・監禁された?なんて聞いて、ヴァネロペがドン引きするのも笑うけど「あなたの問題や揉め事は、大きくて強い男性の登場で全て解決された?」「うん、まぁ…」「彼女はプリンセスだわ!」の下りは、最高の自虐ネタでしょう。


急に彼女たちが大好きになっちゃった。かわいい~


 『グランド・セフト・オート』っぽい(?)デンジャラスな世界での過激なレーシング・ゲーム 『Slaughter Race』内でのカーチェイスは、近年の派手なブロックバスター映画と比べても、遜色のない迫力。CGであることを逆手にとってのゲーム的臨場感と、現実離れした映像には、文字通り手に汗握っちゃいました。ヴァネロペのレース対戦相手、クールな女性ドライバー、シャンクは、ワンダー・ウーマン、もといガル・ガドット。

 何ら変化のない現状に不満を感じていたヴァネロペは、「自分の夢を追うことが何よりも大切」というプリンセス達の言葉と、好敵手であるシャンクとの会話によって、自分の存在意義を、そして夢を問い直します。そう、多かれ少なかれ「強い大男」の助けはあっても、プリンセス達は、自分の夢を信じて、信念を通した女性たち。一方で、プリンセスではなくクイーンのエルサと、卓越したレーシングのテクニックで女王として君臨するシャンクは、「強い大男」を全く必要としない女性です。そして、ヴァネロペもまた、「強い大男」から独立します。

 そしてラルフは、親友であり、最も大切な存在であるヴァネロペを理解することで、成長します。彼は、ヴァネロペに精神的に依存しすぎて、ゲームに介入したり、コンピューター・ウイルス化してしまったり、不完全なキャラクターです。でも、ヴァネロペのヒーローであることが詩文の存在意義であるかのような、ある意味幼稚だったラルフは、ヴァネロペを手放すことで真の理解者になり得たと思います。

 1作目は、自分を信じることの大切さを訴えました。今作では、自分の夢を信じることがテーマのように思えます。そして、これは、男に頼る必要なんて無い、真に強く賢い女たちと、女同士の友情を祝福する映画であるとも思えました。



 この映画の最高のシーンの一つは、本当に最後の最後に来ます。エンドロースが終わるまで、席を立たないでね。でも正直、製作者の悪ふざけがちょっときつすぎるって気がしないでもないけど…

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