わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

万引き家族

2019-02-16 | 映画・ドラマ・本
 第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを獲得し、今年のアカデミー賞外国映画賞にノミネートされてている、大変に評価の高い作品です。是枝裕和監督の作品はあまり見ていないのですが、2015年の「海街diary」がとても好きです。有名なので、ストーリーの概要はいろいろなところで紹介されており、読んだ限りでは、自分の好きそうなお話じゃないな、と思ったけど、話題作ということもあって観てみました。うん、ダメだった。


良いご家族だとは思うけど、だからこそ嘘っぽい


 事情はどうあれ、人を騙したり、物を盗ったりを正当化している(ように思えた)のが、古い人間の私には受け付けられなくて、見ている間中、あまり良い気分じゃありませんでした。万引きや金の無心、脱税、クリーニング屋に出された服のポケットに残っている物の抜取り、故人の年金受取等々、やること為すこと悪意がないままにやっているようなのが、更に質が悪いと思う。お店にあるものは未だ買われていないから誰のものでもないとか、家で勉強ができない子供は学校に行くなんて真っ赤な嘘を教えているのもむかつく。

 映画も小説本も深読みせずに、ほけーっと見る(読む)だけの私の頭では、説明不足で食い足りない部分が多すぎ。映画内でも触れられていた、なぜゆりの両親は、娘の失踪後、1か月も経ってから急に捜索願を出したのか?祥太は赤ん坊のころにパチンコ屋の駐車場に停めてある車中に放置されてたから救ったというけど、それが本当だとしたら、車から赤ん坊が消えていたのに親は何もしなかったのか?あきの覗き部屋の顧客、4番さんに、せっかく売れっ子の池松を起用しながら、これも中途半端な感じ。4番さんが聾唖者であることや、自傷をしている事にも、重要な意味があんだろうな、とは思うけど、それを、いきなり池松くんみたいなイケメンが出てきて、都会の孤独な若者です、とか言っても、現実味なし。

 女性刑事に「子供を産まなきゃ母親じゃない」って台詞を言わせるのも、あざとい。アメリカのように養子が一般化していない日本でも、昔から「生みの親より、育ての親」っていうじゃありませんか。このシーンは、信代を惨めな気持ちに追い込んで、その慈母愛を引き立てようとしてるのかもしれないけど(実際、ここの安藤サクラさんの演技はすごかったと思います)。この映画を私的に一言で表すと「無神経」なのですが、この台詞は正にそれを象徴しているよう。リリー・フランキーの裸や、安藤サクラとの濡れ場も、わざわざ見せるな、って思った。

 祥太くんは、「西郷どん」の子供菊次郎役だった子役さんなのですね。利発そうで、この映画の対極のような「誰も知らない」の、柳楽優弥くんみたいに大成したらいいな、とも思うけど、柳楽くんほどのカリスマは無いかも。奇しくも、映画のクライマックスが、家族で海に出かけるシーンというのは、昨年、高い評価を受け、アカデミー賞外国語映画賞最有力候補のライバル「ローマ」と同じです。私個人の感想では、「ローマ」が格段、上だな。


 しかし、超高級リゾートのカンヌで、この家族(?)の一年分の収入の何倍もの値段のドレスや宝石に身を包んだセレブたちが、日本の下町で底辺の暮らしをしている人々の話を観て感動してるって、かなりシュールだ。実は、今日は折角の晴天の土曜たにもかかわらず、昨夜から体調が悪くて、一日中寝てしまいました。やっと、起き上がっても、でかけたり、何かをしようという気分ではないままに観たのが、この映画。自分が弱っているから、益々、気が滅入っちゃたのかも…

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