わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

羊と鋼の森

2018-12-08 | 映画・ドラマ・本
 「ピアノの調律のとりこになった一人の青年が調律師を志し、さまざまな人々との交流や、挫折を経験しながら成長していくさまを描く」2017年公開の映画です。第13回本屋大賞を受賞した宮下奈都さんの小説の実写映画化。原作本は図書館で借りて読んだのですが、流石は本屋さんが選んだだけに、読むのが気持ちのいい一冊でした。無駄のない丁寧に選ばれた言葉や静謐とした雰囲気に加え、主人公の外村君の真面目さ、ひたむきさが、その「気持ちよさ」の要因だと思います。ピアノは羊(ハンマーの羊毛)、鋼(弦)と木でできているから森という表現に、成程と感心しました。装丁も素敵。


 
 映画では、外村君役の山崎賢人さんと板鳥さん役の三浦友和さん、飄々として当に柳のようなしなやかさを持つ柳さん役の西郷どん…じゃなくて鈴木亮平さんといった配役も、ぴったりだと思いました。佐倉姉妹に関しては、本当の姉妹が演じてはいますが、原作通り一卵性双子が良かったなと思うのですが、そうなると演じられる女優さん(達)を見つけるのが難しいのかな?

 外村君の初めてのソロ出張調律のシーン、原作にあったかどうか覚えがないのですが、言葉なしに、両親を失って引きこもっている青年が、彼を支えてくれた愛犬の死から、ピアノを弾くことで立ち直る、ピアノが調律されてよみがえるとともに、青年もまた再生する。映像ならではの、とても良いエピソードだと思いました。時の経過を、美しい自然で表現しているのも好きです。


 最終的には、外村君、そして佐倉姉妹が自分たちの将来を決心するという成長が描かれるのですが、調律士を目指すという由仁ちゃんには、吹っ切れて、またピアノが弾けるようになってほしかった。和音ちゃん同様、ピアニストを目指してほしかったという気持ちがあります。

 音楽やピアノに詳しくない私には、調律ってこういう風にするんだ、とか、ピアノの音のこととか、とても興味深かったです。息子がピアノを習っていたころ、家にあった古いピアノの調律に来てもらったことが何度かありますが、一番印象深いのは、娘さんに手を取られて訪問してくださった盲目の調律士さん。手探りと耳だけで、音を整えてくださいました。ピアノが弾ける人って憧れます。だから息子たちにも習わせたんだけど。私も自由にピアノが弾ける人になりたかったなぁ…

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