部活動をしている子(ほぼ全員)は、毎日朝練もあり、6時前に起きていますが、日本の学校の拘束時間は、世界一長く、帰りも夏場は7時ころになります。
そもそも同じ運動競技を毎日毎日、朝夕やり続けるのは、成長期の健全な心身の発達を阻害します。見事なほどおバカです。
遅く学校から帰り、いったんやすんで食事をし、それから家庭学習をすれば、10時前には寝れません。中学生で、せいぜい7時間程度の(6時間の子もいる)睡眠しかできませんが、それでは、脳細胞は完全に疲労が取れず、頭脳が全開して自分で考えるという作用は、働きません。ただ、教えられることを受動的にこなす頭になるのです。疑問をもち質問するには、脳の余裕が必要ですが、それができないのです。この受動知のチャンピョンが東大生ですから、本質を穿つ思考力とは無縁の知識のパッチワークを知力だとします。人間の堕落です。
日本の中学生の自由時間のない生活の強要は、オリジナル性に乏しく、紋切型の人間を育てるには最適のもので、中学校は、集団同調する生き方をつくる育成機関です。みながこういう異常なシステムに飲み込まれて、それを当然として受容し、批判できないのは、実に恐ろしいことです。
余裕のない人は、受動性だけの惰性態に陥るより他に生きる術をもちませんが、その異常性に気付かないのです。昆虫人間化がすすみます。いま何よりも必要なのは、自分の頭で考えることです。自分の意思をもち、それを貫く姿勢です。強要や誘導を跳ね返すパワーです。それを生み出し支えるのが恋知です。
武田康弘