クリックして下さい。
5.14「民知の会」設立記念シンポ&パーティーの写真と、豊富な資料です。
?福嶋浩彦(民知による市政変革、我孫子市長)
?山脇直司(公共哲学推進・ユネスコ哲学会議日本代表・東大大学院教授)
?松橋桂子(作曲家・清瀬保二の直弟子、大著・「柳兼子伝」著者)
?武田康弘(民知の創始、白樺教育館館長。白樺文学館初代館長)
以前のブログにも書いたとおり「思想・想念は最大限自由に、しかし経済格差は是正する」というのが、政治のほんらいの仕事です。健全・健康な社会は、それなくしては成立しません。裸の個人同士が響き合うことで生を豊かにする「響存としての実存」は、真に人間的で健康な社会を生みますし、また逆に経済格差の少ない健康な社会は、「響存としての実存」の可能性を広げるのです。
「勝ち組」といわれる人々の心は、濁ったエゴに満ちているように見えます。
粘着質のネバネバした状態か、あるいは、ザラザラとした荒く粗い状態か、または、スカスカの空洞でしかないようです。
豊かな理念やロマンとは無縁の即物主義・思いやりや優しさのない自我主義―その空虚な心を、金品の浪費でかろうじて支える不幸な人生を歩む人間、それが「勝ち組」ではないでしょうか。
幸福になりたければけっして「勝ち組」になってはいけないと思いますし、その種の不幸な心の人々に近づいてもいけません。そもそも、勝ち組・負け組みという言葉=発想を持つのは、本質的に愚かで、不幸で、下品な人間でしかないでしょう。
『平等は友情を生む』(「法律」)というプラトン(思想の元はソクラテス)の言葉を紹介した日曜日の「東京新聞」社説は、示唆に富む大変優れた論説ですので、以下にその後半部分を貼り付けます。
週のはじめに考える
『平等』を問い直そう
「格差は必ずしも悪くない」と小泉首相は言いましたが、激しい競争社会が招くのは、一握りの強者と多数の弱者です。「平等」は普遍的な価値であるはずです。
・・・・・・・・・・・・
さて、市場原理主義が闊歩(かっぽ)する世の中です。米国式の弱肉強食主義や能力主義がはびこり、まるで競争に勝てばすべてという時代です。
■「一億総中流」はどこに
何百億ものお金を手にするIT長者の現実を目の当たりにする一方で、貧困の問題も見過ごせません。
一九九五年に六十万だった生活保護世帯は、もはや百万を突破しました。連合総合生活開発研究所の今春の調査では、収入格差の拡大を実感する人が六割強にのぼりました。
「一億総中流」は見る影もありませんね。小泉首相は「格差が出るのは悪くない」と国会で答弁し、こう続けました。
「成功者をねたむ風潮、能力ある者の足を引っ張る風潮を慎んでいかないと社会の発展はない」
ねたんでも、足を引っ張ってもいけませんが、むしろ問題は富者はどんどん富み、貧者はますます貧しく…という風潮です。市場原理主義は「一人勝ち」を許します。勝ち組は一握りにすぎず、大半は負け組という冷厳な事態を生みます。「平等」という価値観について、問い直していいときではないでしょうか。
古代ギリシャの哲学者・プラトンの時代から、「平等」については論じられてきました。当時はこんなことわざがあったようです。
《平等は友情を生む》
プラトンの著書「法律」(岩波文庫)にそれが記述されています。
「奴隷と主人とでは、友情はけっして生まれない」としつつ、「くだらない人間と優れた人間とが、等しい評価を受ける場合も、やはり友情は生まれない」と書いてあります。そして、古いことわざは真実だと、プラトンは評価しているのです。
たしかに米国のように、社長と社員の年収格差が百倍も千倍もあるような社会では、まるで主人と奴隷のような関係で「友情」などは生まれないでしょう。では、「くだらない人間と優れた人間」とは、どの程度の差が適当なのでしょうか。
いわゆる「結果の平等」の問題です。でも、いくら有能といっても、米国のように収入が、百倍も千倍も違うというのは、ちょっと行き過ぎでしょう。血の通う人間同士にそれほどの隔たりがあるとは、とても思えません。
従来の日本社会では、社長と社員の年収格差は、四倍程度といわれてきました。これこそが、戦後日本がつくり出した「一億総中流」という平等社会だったわけです。終身雇用や年功序列などの“セーフティーネット”に守られて、それなりに安定した社会でした。
ヒトの全遺伝情報が解読され、チンパンジーのそれも、解読が終わりました。その結果、塩基配列の実に98・77%が同じでした。残る1・23%の部分に、人類の人類たるゆえんがあるはずです。
■「1・23%」の自覚を
果たして、その1・23%とは何でしょう。「弱い者へ手をさしのべる」のが人間の本性ならば、今こそ、それを自覚したいものです。格差が固定し、教育や就業の機会が奪われてもなりません。「機会の平等」は何としても死守すべきです。
それにしても、プラトンの時代のことわざは、ちょっと心にとどめておきたい言葉ですね。
《平等は友情を生む》