Maintenance SHIOHOUSE

■SHIOブログ■
「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

夏だからこそやっておきたい作業、その壱

2011-07-30 22:44:00 | 作業日誌
このクソ暑い夏にこそ最適な作業
「タンクの錆取り」です。

何故か?
錆取り剤は温度が高い方が効果を発揮します。
冬場の作業はいかに液温を下げないようにするかが
仕上がりに反映します。

今日も
「錆取り依頼」でタンクを持ち込んできたお客様が居ました。
(タイムリーですね~)

見た目はきれいそうなタンクでも
中を覗くと.......

うわっ!内部は真っ赤っか!さらに独特の異臭を放っています。

こんなタンクでも穴さえ開いていなければ、また処理中に穴が開かなければ使えるようになります。
問題は下処理で錆をあらかた除去したときに鉄板の厚さがどれくらい残っているかです。

見回してみると

底は大丈夫そう
しかし、シートと接する部分ににきびがたくさん、むむむ....

実は内部からの錆で塗装が浮いています
潰すと液体が出てきます=穴が開いている!=合掌

コーティングという方法も有りますが
これも完全に錆を除去しないと意味がなく
錆が残っているとそこから浮いてしまったりします。
当店ではほとんどコーティング作業は行いません
リプロのタンクという選択肢があるのですから
そちらのほうをお勧めしています。

夏は暖房器具を使わなくても液温を高く維持できますから
錆取りが必要なタンクは夏の暑い時期に一気に処置します。

お店によって使うケミカルはさまざまですが
当店では昔から使ってることもあり

もっぱら「花咲かG タンククリーナー」¥5250

これ1本で3個くらいは可能です。
ただし徐々に能力は落ちるのでコンディションが悪いものから処置すると良いでしょう
また、時間を置かずに次々と行うこと、長期保管は液が劣化します。

意外と失敗するのが
事前の「完全脱脂」がおろそかだったりすると
液がはじかれて浸透せず錆が落ちなかったりします。

ガソリン=油ですから、台所の中性洗剤でちゃちゃっと洗っても落ちるものではないですね
ホームセンターで床洗浄用とかの強アルカリ洗剤などを購入してきてきっちり油分を落とします。
錆が酷いものは事前に酸洗いをして錆を浮かせたりしますが
これは「危険物」なのでここでは省略させていただきます。
実際、錆取りケミカルを使用する前の下ごしらえも結構大変なもの
手間を掛ける分、結果に現れるわけです。

いざ、錆取りケミカルを注入しますが
コックの穴とキャップの穴を塞ぐものを用意します。
(そのまま付いてるキャップとコックを使えばって........
はははh...どうなっても知りませんよ!コックなんかの亜鉛ダイキャストはしっかりと侵されます。余計な浪費につながります。)
まずはコックの穴

ゴムやシリコンの栓で塞ぎます。穴より少し大きなモノを入れ、
その上からストレーナーを外したコックを軽く締めて栓が抜けないようにします。

タンクキャップ部もゴム栓をします。
何故か?タンクを満遍なく転がせるようにですよ!

指で指してるあたりやタンクキャップの前方は空気が溜まりやすいので
錆が落ちず残る可能性が有ります。
これもビギナーがよくやる失敗です。
このように栓をすれば逆さにしておくことも可能です。
※ただし定期的に外して中のエア抜きをしてください
温度が高いと結構ガスが発生します。

定期的に裏表と向きを替えて全部が液に浸るようにします。
しっかりと時間を掛けて処置しましょう

最後にキレイに錆が落ちたか確認します。

タンクの背中は指で触って確認します。

充分に落ちたら、洗浄して乾燥させます。
これも夏のほうが断然早いですね
底の縁の部分に溜まりがちですから逆さにして
時折振って溜まった水を排出します。

面倒くさいからと中途半端で即ガソリンを入れて水抜き剤入れて終わりなんて横着は絶対に無しですよ!

また、錆取りは万能ではなく、管理が悪ければまた錆は発生します。
少しの錆なら処置せずにストレーナーでお茶を濁すのもひとつの方法ですね。

一人で複数無い場合は仲間うちで使いまわすのも良いでしょう

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夏休み、暑くて乗らないならメンテナンス強化週間

2011-07-29 00:00:00 | ノンジャンル
いよいよ、お盆休みまで2週間余りとなりました。

夏場は暑くてバイクは乗らないという方も少なくないと思います。
(かといって冬も寒くて乗らないのですよね~)

バイクに乗らないでただダラダラ毎日を過ごすのは非常にもったいない

これから何部かに分けて「メンテナンスのススメ」を書いて行きましょう

まず、どんな作業をするのか?
どんな部品が必要なのか?どんな工具が必要なのかを
明確にしておくこと
行き当たりばったりの作業はロクなことが有りません。

お盆、正月はメーカーのパーツセンターも連休していますから
作業途中で「あ゛っ!、部品頼み忘れた!」とか「あ゛っ!、こんなところまで壊れていた!」
なんてことになるとバラしたまま作業中断、はたまた見なかったことにして作業を進めることになりかねません。
当店でも
CB400F,CBX400Fに関して、
現在メーカーから出る部品はすべて在庫有り

と豪語していますが連休前、連休中は注文が集中し在庫切れを起こすことが多くなります。
ご注意くださいませ。

まず、夏場の作業で注意すべきこと
ガレージが無く青空で作業する場合
炎天下での作業は極力避け、日陰などで作業する。
ガレージを持ってる仲間のところへ差し入れ持参で作業させてもらうか
メンテナンスしてバイクは調子良くなっても、人間が具合悪くなっては話になりませんね
また、夕立の確率も多いですから
早い時間に始めて、早いとこ終了する。

ガレージを所有して涼しい中で作業が出来るうらやましい環境の方
閉め切った状態で気をつけたいのが
パーツクリーナーなどのスプレー、中のガスはLPGを使って居たりしますから
ふんだんに使ってパーツ洗浄、合間にタバコ吸おうとライターつけると「ドカ~ン!」
床に溜まったガスに引火なんていうことになります。
また、充電中のバッテリーから出るガスも引火します。(バッテリーが爆発、周辺希硫酸まみれというおぞましいことになってしまいます。)
時折、換気をしながら作業しましょうね。

服装に関しても一言
作業するのに短パン、サンダル、上半身裸なんていう人は読者には居ないと思いますが
マフラー触って火傷とか、
モノを足の上に落として指を潰すとか
つまらない怪我で病院通いになって浪費の原因になってももったいないですね。
まずはその辺からの気構えが大事だと考えます。

涼しくなってシーズンINになってから
気持ちよく、トラブルの無きよう
乗らないときはしっかりとメンテナンス
大事なことですね~

次回は
「夏だからこそやっておきたい作業」
です。ご期待ください。
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夏だ!河口湖へ行こう!

2011-07-28 09:40:00 | マニア向け
当店店主は変なマニアだったり、収集癖があったりします。
やはり「類は友を呼ぶ」のでしょうか
マニアなお客様も多く集まります。

まぁ誰もが通る道だと思いますが
切手収集に始まり、
ウルトラマン系ブロマイド(駄菓子屋で紙袋に入って売ってたもの)
仮面ライダーカード(当事は町中にスナック(未開封)が落ちてたな~)
プロ野球カード
スーパーカーの写真(カメラ抱えて自転車で都内全域走り回ってた)
コイン
オートバイに目覚めてからは
バイク雑誌

近年では
レーサー
特にHONDA 直4 F-3 レーサー
(RS400R(CBX)~CBR400RRまで一通り制覇したのでもういいかな)
HONDA市販レーサー(RS125,250,RTL)
レーサー部品(特にワークスパーツ)
そんなのをちまちま集めています。
(市販レーサーはだいぶ処分したな~)

子供の頃集めていたブロマイドやカードは持ってれば
高く売れたかな~

自分はやらなかったけど、モデルガンにはまってた人も多かったような気がします。

戦争モノ、軍モノ、自衛隊モノも昔から興味津々
大戦中の戦争遺跡を見に行ったり
自衛隊のイヴェントを見に行ったりも多いです。
もちろんミュージアムの見学もですね。

そこで
毎年、夏だけのお楽しみ
河口湖自動車博物館併設の
飛行館 Zero Fighter Museum
http://www.car-airmuseum.com/ZeroFighterMuseum.html
の公開がじき始まります。
ここは8月だけの公開となっています。
なんと、以前行った時は後部だけだった
「一式陸上攻撃機」の前部も出来ている!
家族サービスついでに、ツーリングの途中にいかがでしょうか?



また、先日CBX400FのエンジンO/Hの様子伺いに来たお客様が神奈川で兼業漁師やってる方で
「CB400Fのお客様で千葉で漁師やってる方が居ますよ!」と言ったら
是非話がしたい~~なんて云われました。
これはうまく時間調整して当店で「漁師サミット」ですね!

先日もネットで知り合った同士待ち合わせて店先で「始めまして!」なんてやっていました。
(ともに当店のお客様だったのですが..)

こんなのも楽しいかもしれませんね。

夏季休業ですが、まだ思案中です。
お盆休みしか来れないお客様も居ますから
多少ずらしてと考えては居ます。
決まり次第UPします。
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溜まったネタを一気に.......

2011-07-27 10:18:00 | CB400F/350F
このところ妙にバタバタしていて
ブログもサボることが多く
読者の方には退屈な思いをさせているのではないでしょうか?


先日の長野ナンバーのオーナーさん
天候が微妙な中引き取りに見えました

すでにパラパラ降り始めていたのですが
男らしくこのいでたちで帰っていきました。


別件です
先日、「タコメーターの針が6~7000rpmで振れ出す」と
お越しになったお客様
CB400Fはミラーを見ていても判りますが
ちょうどその辺でいや~な微振動が発生します。
メーターなんかは精密機械、振動を拾って振れ出す事も多いのです。

メーター周りのチェック

クッションラバーがほとんど見えない!
手で動かしてみると

クッションが効いていない「リジット」状態

確認します。

カラーは入っていますね。
(カラーが不在でグイグイ締めてある場合も少なく有りません、またワッシャーの内径がカラーより大きくて締めすぎていることも有りました。)

あらま!

メッキカバーのリングでクッションを噛み込んでいます。
リングの厚み分クッションを潰している場合も有ります。

カラーの寸法は車体番号で2種類有ります。
(30年以上経っているので違うのが入っていたり、メーターが変わっていて寸法が違うとかあるので要注意)

これが現車に入っていたもの

NetShopの「メーターセットカラー」

こちらが長いほう

NetShopの「メーターセッティングカラー」
約1.5mm違います。

今回はカラーも長いほうに変更します。

装着後、ぜんぜん違うでしょ!


これくらい動きます。
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この後、試乗してもらい振れが止まったのを確認してもらいました。

メーターは何のためにラバーマウントされているか考えてみましょう
取り付け方法が悪くインジケーターBOXと接触していたり
ハンドル替えてマスターシリンダーと接触していたり
メーター本体に振動が伝わらないようにすることが大事なのです。

これまた凄いCBXが入庫

2011-07-25 19:38:00 | CBX400F/550F
一般修理でのご予約を頂いていたCBX400F
さて、当日お客様から電話が来て
「しばらく乗らなかったらフロントブレーキがスカスカになっちゃって、メンテしてから行くので予定よりも少し遅れます。」と
ブレーキがスカスカ???????

しばらくしてお越しになりました。
妙にゆっくりと.......
聞くと来る途中で再度スカスカになったとのこと

診ると.......
ブレーキレバーが何の抵抗も無くフルストローク
バーエンドに「カチン!」と当たります。
「ウソ~、これで乗ってきたの?」
酷い!酷すぎます。

依頼事項は
「フロントフォークのオイル漏れ」
「エンジン異音(テンショナー)」
それ以外はやらなくて良いとのこと???

足回りの作業のあとは試乗しなければいけないのですが
ブレーキがそんな状況だと出来ません
「万一の際は車に積んで持ち帰るから良い」との話

ざっと、車体を見回すと
摺動部分にまで及ぶ点錆!(デジカメではうまく写らないんですよね~)

本来は交換して欲しいのですが、都合により磨くだけ

錆びて出っ張った部分でオイルシールに傷を入れます。
点錆びのあるインナーチューブは定期的に磨いて凸が無い状態で維持しなければいけません
気を抜くとあっという間にまた凸になります。
たとえば新品に換えてもメンテナンスしなければ微細なピンホールから錆びは発生します。


ほれ、この通り。溢れています。
これは右フォーク、サイドスタンドで停めておいてタイヤに垂れたら.......
怖い怖い!

こんなところにも注意を払いたい

スイッチの配線、だら~んと垂れ下がっています。
万一、ハンドルを切ったときにストッパーに挟んでショート、断線したらどうしますか?
怖い怖い!

フロントブレーキ、覗き込むと.....

オイルが漏れてビショビショ....
お客様に聞くと
「中で漏れている」と....
中の状態が安易に想像できますね
怖い怖い!

マスターシリンダーを見ても

あぁ~、何年替えていないんだろう....「インナーキット」

リアマスターも......

.............

バッテリーを見ると

あぁ、棒グラフ状態
強制的に寿命を縮めていますね.............

更に横に目をやると....

バッテリーのドレンホースが外れています。
希硫酸ミスト撒き放題ですね!

いざ、作業に入ります。
フォークを外すためホイールを外し一応内部をチェックします。

あちゃ~思ったとおり

油漬けのブレーキパッド

油漬けのディスク板

特に鋳鉄ディスクはステンレスのディスクと違い油を吸い込んでしまいます。
洗浄してもブレーキ掛けて発熱すれば内部から染み出てきます。
ブレーキパッドを替えてもまたあっという間に油まみれ

こういう場合は
引渡しの際に誓約書に署名、捺印していただきます。
「希望によりブレーキ周りに不具合(オイル漏れ)を抱えたまま引き取ります。
自己責任において自分で修理を行う予定ですが、
当該箇所に起因する事故などが起きても御社には一切損害賠償等請求いたしません」
こんな感じです。ちょっとでも良くなると我慢できずに乗ってしまう人も少なくなく
万が一の際には本人は「自己責任」で納得していても
家族が黙っていないことは想定できますからね
大げさと思われるかも知れませんが、それくらい重要な部分であることを認識して欲しいのです。

たとえば持ち込みパーツの取り付け依頼で当店で不安を感じる部品は
取り付けをお断りする場合や
同様に誓約書に署名、捺印を頂くことが有りますことを
予めご了承ください。


7/26更新
テンショナーブラケットの交換でヘッドカバーを開けると....
カバーの内側でメッキが剥離し始まっている。


クロームメッキの膜って意外と硬いもの
まだ、百歩譲ってフィルターケースなら即フィルターで止まりますが
他のカバー類はエンジン内部に落ちますから
変に噛み込んで悪さするかと思うと
怖い!怖い!