Maintenance SHIOHOUSE

■SHIOブログ■
「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

本日の診断車両

2008-05-30 23:22:04 | CB400F/350F
今回の車両、先週末にお預かりして、天気とエンジン組みの合間に試乗を繰り返し
やっと本日、エンジンを開けて診断開始。

この車両、中古購入し約1年半経過し、オイル漏れがひどくなりお越しになりました。
ご依頼事項は
「オイル漏れ」 腰上からいい勢いで漏れて流れ落ちています。
※にじみ程度だと「もったいないからもうちょい乗りましょう」と帰してしまいます。
「白煙を噴くことがある」 確かに試乗して加速時などでバックミラーをみるとすごいことに......
「クラッチがすべる」 普通に走っている分には出ず高速走行時などで発生、まだ初期症状か

オイル漏れに関しては最近腰上を開けているようで、組んで増し締めをおこなっていなかったのだろうヘッドを締めるナットが緩んでいた。
「エンジンを組んでハイ終わり!」では無いのですよ~
緩んでオイルが浸透したガスケットは使えません(メタルガスケットは除く)
要交換です。

ピストンリングに注目、オイルリングのエキスパンダの合わせ目のマーキングがいまだにしっかりと残っています、TOPリングの当たりもベタ当たりではなくそんなに距離を走っていないのが伺い知れます。


ガスケット(べスラー製)の状態からも同様に分かるのですが、この磨耗したスリッパーはいったい.......開けたのなら交換したい部品です。


シリンダーがとんでもない有様に...........



つい先日の記事でもCBXのシリンダーを紹介しましたが
またしても長期放置しただろう錆びた痕跡、シリンダーに残る染み、段付き
ここをピストンが通過する際にオイルが残りオイル上がりにつながります。
また、圧縮時に混合気がケース内に抜けブローバイガスが増大し、エアクリーナーボックス下部はオイルだらけ、エアクリーナーも下部はオイル漬けになっています。
こんなシリンダーでも組んでしまうのですね、
中古仕上げ時にコストの加減でそのまま組んでしまうのでしょうか???
私の場合はありえないですね、見てしまったら見ないことにはできませんから、その分車両価格に反映してしまってもきちっとしたエンジンにしたいですね。
(今回、予算の関係もあるでしょうからヘッドを開けた時点で「オイル上がりは妥協するならこのまま組みますが」とお伺いしましたがやはり「きちんとやってください」とのご返事、安心して作業ができます。)

さぁて、次はクラッチ
開けてびっくり「スラッジ」だらけ
前オーナーがオイル管理が悪かったのか???



問題のディスク&プレートは......
多少焼け始めています、変色している部分があります。
これまた、開けてもいないのですね、長期放置の痕跡がここにも
クラッチプレートに残る、ディスクの跡(これまた張り付いていただろう、または張りつきかけてた跡ですね)
今回はフルセットで交換しておきたいところです。


ケース側もこんなに汚れています。せっかくなのでカウンターシャフト1stギアのガタもチェック!


走行約40000マイル(64000Km)の割には磨耗していないニュートラルストッパー
海外で信号の少ないところで走っていた車両か?


カムやロッカーアームも磨耗が少ない
前オーナーはおとなしい方だったのか?乗り方でも磨耗具合は変わってきます。


さて、リアブレーキに目をやると
「ん、割ピンがいないどころか短いのか?」


裏側を見るとストッパーボルトが本来横向きなのが縦に向いていて土手に引っかかっているではないですか?????
あまつさえナットが締まっていない!!(ゴムのテンションで緩まないだけ)


裏側で引っかかっている分、表にとび出ませんからゴムがダンパーの役目せず、ワッシャーとなっていたのですね。

これで試乗していたかと思うと「身の毛がよだちますね」

Lカバー内もオイル漏れが多く発生します。(Oリングがたくさん使われています。)
このクランケはケース合わせ目、オイルシール部ににじみがあります。
にじんだところに埃が付着しています。金属粉もちらほら.....
チェーンが太いのでケースを削っているのですね
(最近細いシールチェーンも売られていますから気にする方はそちらをチョイスすると良いでしょう。)
さて、気が付いていますか........
フィキシングプレートのボルトが1つ脱落しているのを.....

洗車時、磨き時にはこのように部品、ビスが脱落、あるいは緩んでいないかチェックしながらおこないましょうね。

バックアップの必要性

2008-05-30 11:15:31 | CBX400F/550F
たとえば、パーツリスト、サービスマニュアルなどの資料を持っていても、作業前(分解前)のバックUPは重要なことです。
これまで、幾度となく書いてきましたがいざという時に資料に載っていない部分、判断しにくい部分があったりします。
デジカメが普及している昨今、分解前、分解中の画像は残しておくべきでしょう。

さて、今回お預かりした症例は
CBX400Fのキャブ単体でのお預かり
ご依頼事項は「いくら調整しても調子が出ない」
本来、エンジン不調、キャブ調整不良は車両ごとお預かりしないと無理なのですが
今回はとりあえずキャブのみ単体で見て欲しいとのご依頼
当方に販売用のO/H済みエンジンがあればそれに装着してチェックしてプリセッティングしてお渡し可能です。(最終的には現車に装着し調整が必要です。)

マニュアルを見ながら組んだとおっしゃってたキャブレター
「誤組」発見!スロットルリンク間のスプリングが居ない!

なぜかフューエルジョイントに被さっている


ご依頼事項のひとつでもあった、アイドルストップスクリューを緩めてもバタフライが閉まらない



バタフライを外して組み付ける際にきちんと位置合わせして閉まることを確認せずに組んだためです。
また、このビスは裏側でカシめるタイプでカシめずに万一緩み脱落すると燃焼室に一直線!エンジン破損の原因にもなります。
よっぽどでなければビギナーには分解して欲しくない部分です。

スプリングが1本だけ短い!これではスロットルバルブが同じ開き方してくれません。
現在、メーカーからは一種類しかスプリングは出ませんから(長いほうだったかな~?)
同じものにそろえる必要があります。




CBXクランク祭り

2008-05-25 23:16:21 | CBX400F/550F
本日、ヘッドのO/H(シートカット)とクランクの良否判断でお越しになったお客様

シリンダーヘッドの関してご依頼事項は「圧縮が上がらない、シートカットを依頼したい」とのこと
実際、簡単な良否判定をするとバルブ1本からわずかににじんでいる程度。
本来圧縮が落ちることはない程度なので、「最低でもすりあわせをすればOKではないか」と説明し、バルブを外して状態を見てから決めることにしました。
※当店必要のない作業は無理に薦めてまではやらない主義でバルブシートカットはCBXだと16本もあり、大変に時間が掛かります。仕事ではあるのですが.......)

さて、問題のクランクシャフト
これが入っていたエンジンはヘッドが異常なくらいに焼きついていたらしい
また、スターターカバー内のプラスティックのガイドが溶けていたそうで
とんでもない高温にさらされたものらしいのです。

ぱっと見、#2、#3のコンロッドが焼けて変色している
スラスト方向に振るとガタガタ....


おぉ!!!!見事に焼きついていました!
クランク軸との色の違いに注目!


色の違いが一目で分かります。
また、メタルも完全に終わっています。下地が出ていますね


メタルの爪が無くなっています!!、メタル自体もフローティング状態で回っていたのですね。

クランクのトラブルは軽傷であればラッピング(研磨)で対応できますが、極端に言うと細くなるので対応できるメタルがあるかどうかが肝になります。
今回はコンロッドの大端も計測すると歪んでおり
クランクピンもメタルで言えばすでにワンサイズ分磨耗していて更にラッピングすると使えるメタルがないので使用を断念。

ちなみにだいぶ前にかじりを生じていた550Fのクランク(バックナンバー参照)
550の場合はコンロッドメタルが1種類しか出ないのですが、今回はそれで対応が可能でメタルにあわせてラッピング時に寸法あわせしてもらいました。
ビカビカです。
更にクランク、コンロッドは独自のノウハウで小細工してから組み立てます。



今回、使用を断念した400クランク、コンロッド、お客様から研究用ドナーに寄贈いただきました。
Kさまサンクス!


メーターの防振対策

2008-05-25 11:31:21 | CB400F/350F
メーターは精密部品ですのでいかに振動を伝えないようにするかが大事です。
(そのためにメータークッションやマウンティングラバーが入るのです)
さて、今回の症例はそのラバー類が完全に終了している、カラーが入っていないために締めすぎてリジット状態で使い続けた結果です。
(もっと早く対応して欲しかった~)


タコメーター、振動でパネルを固定するビスが緩み針が引っかかるようになってしまった。(レーサーじゃあるまいし3000からじゃねぇ~)


スピードメーターもオドメーターの縁からぱっくりクラックが......
走行が7万弱.....リジット状態で何Km走ったのだろう?

もちろんともに針は踊りまくりです。
今回はともにO/Hすることになります。
当店ではフルO/Hの場合
「Craft Bee」さんに依頼しています。
内部O/H,文字盤張替え、針の色さし、ガラス交換、ケース再ペイントで
きれいな状態で戻ってきます。
今回文字盤は手持ちのジャンクを使い直します。
(2週間程度で戻ってきますので、出来上がったものを追加でUPしておきますね。)
当店ではメーターO/Hの場合、その期間乗れるよう代品を用意していて(見栄えは気にしないでくださいね)完成後また入れ替える形をとっています。
ご依頼時にご相談ください


マウンティングラバーにはカラーが入ってダンパーの役目をしますが、各2個x2=4個必要なのが1個しか居ない!?



メータークッションもこの状態、完全につぶれちぎれています。


外したゴム類、すごいことになっています。

メーターはクッションが効いて手で動くぐらいが良いのです。
また、以前あったのですがメーターがインジケーターと干渉、ハンドル、マスターシリンダーと干渉して振動を拾い針が踊るトラブルがありました。
メーター装着時は注意願います。


メーター以外にもゴムのブッシュ類は防振用のダンパーとして使われていることが多いのです。
ヘッドライトステー(純正)、リアウインカーステー、テールランプなどみなブッシュラバーとカラーでラバーマウントされています。
なぜでしょう?

電球の寿命にかかわるからです。やはり振動は悪影響を与えます。
ハロゲン球(H4)もモーターサイクル用に振動に強いものがラインナップされていて4輪用を使うよりは長持ちするのではないでしょうか。
(ただし、装着時にガラス面に油分が付いていたり、パッシングの繰り返しなどで寿命が縮むことがあるので要注意です。)

せっかくなので振動の話でもうひとつ
ナンバープレートの装着を車検場でナンバーを取得すると付いてくるビス、ナット
それで安直に留めるよりは少し径の大きいワッシャーを入れるだけでもクラックを防ぐことができます。
できればライセンスフレームを使うと不用意にナンバーを曲げてしまうことも防げます。



ちょっと余談

2008-05-23 00:56:50 | ノンジャンル
最近、久々にハマっているTV番組が
日テレで土曜日深夜「うるぐす」が終わってから始まる
「2クール」
小林聡美ともたいまさこが登場する番組なのですが
「やっぱり猫が好き」愛好者には堪らない番組です。
室井滋が加わればパーフェクトなのですがね~
彼女らの独特の雰囲気というか空気の流れというか
良いものがあります。
最近出演映画も多いですね「かもめ食堂」「めがね」など

地域によっては放映していないのですが
HPで動画鑑賞できますのでチェックしてみてください。
30代~40代向けかな~

http://www.ntv.co.jp/2cool/