愛知県から「総合点検」と「キャブO/H」ということで
陸送で届いたCB400F
見た目はきれいなスッキリした車両
しかし、良く見るととんでもないことになっています。
地元ショップでO/Hしたというフロントフォーク
作業後すぐに漏れ始めたというが…
両方ともいい勢いで漏れています。
ボトムケースを伝って地面にオイルが垂れています。
「うわっ!ひでぇなぁ!」
ダストブーツを外してみると
オイルの池となっていました。
また、オイルシールの少し上に
円周状に錆がみられます
また、縦傷も有ります。
これは漏れるの当たり前ですね
まず、左側
次に右側
これ、ばらさなくても目視で判ります。
何故、交換しなかったのか?
解せないなぁ。
ブレーキキャリパーも下側にオイルが溜まっている???
フォークオイルが伝って来た?
いえいえ、こっちはブレーキフルード
この漏れ方も尋常じゃないです。
いったい中身はどうなってしまっているのか?
こんなきれいなキャブが付いているのに
「キャブレターO/H」の依頼
実際、試乗してみたら納得、異常に調子が悪い
むむむ…、キャブがマニホールドの奥まで入ってないじゃないですか~
フロートチャンバーのパッキン面、下部にガソリンのにじみや漏れがみられます。
これまた中身がどんなことになってるのか不安がいっぱい
これは昔やんちゃしていた形跡ですね
走行中火花散らして遊んでいたのでしょう
ここまでしちゃうとスタンド掛けがやり辛いんです。
センタースタンドを手に入れるのが大変な昨今
そんなこと間違っても出来ませんね。
この車両も嵐の予感がします。
さて、キャリパーを分解!
案の定、パッドはオイルまみれ
オイルでテカテカしていますね
パッドを外すと、中はフルードが溜まっていました。
ピストンに若干の錆はあるものの
こんなに漏れるなんて感じではない
いったいどうしたことか?
原因を確かめないといけないので
脱脂してもう一度組んで何処から出ているのか?
何が原因なのか?
検証しないといけませんね。
スロットルパイプも.....
スイングアーム下のトルクロッドの取り付け部も.........
Lカバー内はいたるところからオイル漏れ
その他、オイルパスキャップ、ダイナモカバー内など
オイル漏れオンパレード!
左下側エンジンマウント部は割れてしまっています
何をやらかしたのか?
見積りを書くのが大変です。
不具合箇所と思わしき場所はすべてピックアップいたしまので
膨大な金額になりそうです。
そこから、お客様とディスカッションして
作業する箇所、しない箇所を決めていきます。
余談ですが
当店は巷では「高い!」と良く言われているようですが
コンディションの悪い車輌を持ち込んで、しかるべき作業を行い、しかるべき部品を交換すればそれなりの額になるものです。
基本、パーツリストの工数で工賃は算出しています。
特にCBXオーナーの間ではよく言われているようですね。
当店でO/Hしたお客様がイベントなどで話をすると
「騙されているんじゃないの?」
「あそこでO/Hすると70万かかるんでしょ?」
とか云われるそうな。
これとてコンディションによって掛かる費用は違いますので
コンディションの悪いエンジンで内燃加工も多く、交換部品も多ければ
もちろんそんな金額になることもあります。
コンディションの良いエンジンならそこまで掛かることはありません
O/H工賃にしても「エンジン着脱」「バルブシートカット」まで含めた金額
大概の場合、バルブの当たり面の幅は基準値を超えています。表面が荒れていることもしばしば
摺り合わせだけでは幅が広がることはあっても狭くなることはありえません
この辺を理解できる人も少ないのが哀しいですね
まぁ、シリンダーに錆びた痕のクレーターや縦傷があっても平気で組んじゃう人も居るわけですから
ウチのやり方を理解できるお客様だけ依頼していただければ良いかと思います。
4/20更新
キャブレターを分解してみました。
お客様に確認したところ
インターネットオークションでO/H済みのものを購入したそうな
テスト済みということだったらしいのですが
漏れくらい解りそうなもの
まず、漏れの原因らしきものを発見
フロートチャンバーパッキンの固定に瞬間接着剤を使ったようですね。
ここは硬化する接着剤は使いたくないですね。
割れたり、浮いたりした部分からガソリンが浸透して漏れ始めます。
安易に手元にある接着剤を使ってしまったのか?
余談ですが、フロントブレーキスイッチの社外品でシールワッシャーを瞬間接着剤で固定していたものがありました。
これも確実に滲みました。
都度、瞬間接着剤を全部剥がして、大変な思いをしたことがあります。
せめてガソリンに侵されない液体パッキンや合成ゴム系接着剤、
お薦めはニトリル系接着剤
(NetShopで「ホンダボンド」として販売しています。)
素材、使う場所を考えて合った接着剤を使う
なんでも良いわけではないのです。
#4キャブに異変が
他のキャブはきれいなのにここだけ腐食が......(白いもの)
見えにくいがスロージェットは#38が付いている
(本来は#40です。)
ジェットニードルセットもクリップ位置が違う
本来真ん中ですね。
お客様が購入後自分の車輌にあわせてセッティングしたのなら解りますが
最初から替わっているのはいかがかと思い
全バラして、見直しです。
4/23更新
下側のカバーの爪が折れてタイラップで留めてあったメインスイッチ
カバーの交換でせっかくなので中の接点の確認をしようとばらしたら.....
バネの代わりにゴムが入っていた?????
(黒い物体)
作業しててバネを飛ばして、無いものだからゴムでお茶を濁した!!!!
はぁ~~っ(ため息)
このように作業し始めてばらして不具合箇所が明らかになることも多いのです。
ヘッドライトが暗いという依頼事項
イエローバルブ、これって意外と暗いんです。
普通の透明のバルブのほうがよっぽど明るいのですが
これも好みの問題がありますので
高効率リレーハーネスで対応
多少良くなります。
※普通のH4バルブ+高効率リレーハーネスならさらに明るいんですけどね~
これも依頼事項のスタッドボルト交換
「スタッドボルト、テンショナーアジャストボルトは替えておいたほうが良いでしょうか?」との依頼
何時交換したか解らないものは替えておいたほうが安心です。
電気部品と一緒で何か起きてからでは遅いですから
早めの交換を具申します。
さて、外してみると1本だけCBX400Fのスタッドボルト!
すでに前オーナーがやらかしていたのですね。
比較すると...
ご覧のようにエンジン側が8mmとなっています。
すでに8mmで開いていればヘリサートでの修正は不可能
センターは出ているし、角度もOK
CBX用の新品スタッドでボルトの長さを修正して使いましょう
(ヘッドガスケットからのオイル漏れでもあればヘッド外して
本来のスタッドが使えるように修正も具申しますが現状大丈夫なので
将来的に腰上開けることがあればその時に一緒にやればよいでしょう)
4/27更新
エンジンマウントの溶接補修
アルゴン溶接(TIG溶接)で補修するのですが
当店でも溶接機はありますが
アルミ溶接は店主の腕がイマイチなので
(年がら年中やってれば上達するのでしょうが、練習してる暇も無く(泣)
外注でプロに任せます。
どかっと盛ってもらいました。
へたくそがやると巣が出来てきれいに仕上がらないんです。
これを仕上げていきます。
こんな感じ
4/30更新
降りてる間オイル漏れの修理をします。
Lカバー内部は出来る限りの洗浄を行ってからの作業です。
スタッドボルトを伝ってオイルが漏れている
この場合、
ヘッドを固定するナットの緩み、
シールワッシャーの使いまわし(開けたら都度交換)、
ヘッド座面の荒れが考えられます。
ヘッドカバーを開けると.....
中身は真っ黒、オイル管理の悪さが伺えます。
ロッカーアームにかじりもみられます。
油膜切れで起こってしまいます。
前オーナーの管理が悪く、スラッジで真っ黒のエンジンでも
新オーナーがこまめなオイル交換を行えば
徐々にキレイになります。
(オイルの洗浄効果)
ポイントもこれまでに替えたことが無いから
交換して欲しいとの依頼
確かに電気部品は新しいものに交換したほうが良いのは事実
ガバナーがND(日本電装)製なのでND製コンタクトブレーカーASSYをチョイス
(若干数ですが新品を所有しています。)
キャブをO/H、調整して調子が良くなり
ポイント周りをリフレッシュして更に良くなりました。
いっぺんに作業するとどこでどれだけ調子が悪かったか解りませんから
ひとつ作業したら確認することも大事なことですね。
今回の作業、往復の陸送費用も含め
約30万円と結構掛かってしまいました。
これから、お客様の手元に帰っていくわけですが
「別物」感を堪能していただけると思います。
読者の皆様へ
車輌購入時に
「慌てて」、「舞い上がって」、
「ロクに確認もせず」
安いからと安易に購入して
あとか浪費の原因になってはいかがかと思います。
このブログに登場する車輌はそんな車輌ばかりです。
(修理の必要ないコンディションの良い車輌は来ませんから)
車輌購入時は熟考してなるべくコンディションの良いを購入するようにしましょう。