Maintenance SHIOHOUSE

■SHIOブログ■
「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

うかつでした

2009-01-31 22:31:40 | CBX400F/550F
半年掛かってやっと出来上がってきたCBX400Fのシートリングの打ち替え
どうやらやっかいな仕事は後回しにされてしまい時間が掛かってしまいました。
私自身でも耳が痛いところですが
これからはそんなことが無いように効率UPを図りたいと思います。

色が黄色っぽい部分が交換したところ。
他のシートもシートカットが済んで帰ってきて
いよいよバルブ周りを組むかと作業を始め
シートリングの交換がインレット側3箇所だったので
エキゾースト側はロッカーアームを外さずに依頼したので
洗浄するために分解始めます。

厄介なのがロッカーアームシャフトを固定しているピンを抜く作業
がしかし専用工具を使うとこの通り。

ピンを固定してスライディングハンマーでシャフトを上方に叩くと

ほら、簡単に抜けます。

ロッカーアームシャフトも固い場合には、先端のアダプターを外し、シャフトをねじ込み先程と同様に叩いて外します。

固かった原因はこれ!

EX1のカムホルダーのボルト間違えて長い方のを入れてしまってシャフトに傷をつけたようです。
カムホルダーの高さの違い、ボルトの長さの違いを見て考えれば分かることです。
何も考えずに組んだ証拠ですね
「自ら傷つけてしまうのはいかがなものか」

持ち込まれる前に再ペイントされていてフィンの側面まで塗られていたので
せっかくなので磨いてみると
一部光らない部分が......板金用パテで修正してある?(ポリパテ?)
カッターで簡単に削れる!デプコンやコンクエストとは違う色気、硬さ
見た目だけのおっつけ仕事ですね。


さらにはシーリングボルトが付く部分がいびつで面が出ていない

1mm近くの高低さが.....

液体パッキンで補修されていたのか?油圧が掛かる部分なのでオイルが噴くはず!

最初にEX側も分解しておくべきでした。
見てしまったものは、黙ってはおれませんから修正します。
このように油圧が掛かる重要な部分は応急処置というわけには行きませんから
工作機械で加工してきちんと面をだします。

当店の機械では対応できないので
急遽仲間の「ドリームワークス」さんに連絡し
加工することに

デジタル付きの大型フライスで加工します。

いつも急な依頼に対応してくれてドリームワークスさんには感謝です!

戻ってきて、面をさらに仕上げて完了!


これで組めます。
相変わらず、「ばたばた」だなぁ

他人事ではない

2009-01-29 22:53:25 | ノンジャンル

本日、以前にCB400Fレストアコンプリート「SHIOHOUSE SPECIAL」を製作販売したお客様よりお電話が入り
非常にかしこまって話をされてきて何事かと思いきや
仲間がバイクで事故を起こし亡くなって
それを聞いた奥様から「バイクを降りろ」命令が出たようです。
何とか食い下がったのですが聞き入れてはもらえなかったようで
車両を手放さなくてはいけないために
苦渋の決断で電話をしてきたのです。
それでもまたこちらに話をしてきてくれるのは非常にありがたいことです。
買取業者などに二束三文で売られてしまうのは悲しいですからね~
委託でお預かりすることになりました。
(398、レストア後走行3000km)

この歳までバイクに関わっているとこのようなことが当たり前にあります。
先日も書きましたが万一のことがあった場合。
本人は覚悟が出来ていても家族はそうはいきません
がらっと生活が変わる為に
奥様はシビアにならざるを得ません
子供達の将来にも影響しかねないからです。
「結婚してバイクを降ろさせる」
「子供が出来てバイクを降ろされる」
「事故を起こしてバイクを降ろされる」
これまでにも回りで多くの方がバイクから遠ざかって行きました。
確かに車に比べれば事故を起こした時のリスクが多いのは否めません

時折、奥様とその辺のディスカッションをしておくのも良いことでしょう
相手が本心はどう考えているのか?探っておくのも大事なことだと思います。

ご家族がバイクに乗ることに賛同してくれていても
万一の時のために出来ることはしておくべきでしょう
「任意保険」(充分な保障がないと意味がありません)
「生命保険」、「安全な装備」、「安全運転の敢行」
これも大事なことですが持ち物をどうすればよいか
どんなに価値のあるバイク、部品でも知らない家族からすれば「ゴミ」です
安易に捨てられてしまいます。
信頼できる親友に売却を依頼するよう伝えておくかリストを作っておくかでしょうね。
私ですか?万が一の時はお通夜の会場で全部並べて入札会にしますので葬式代くらい稼げるかな~(わはは~)

機会があればこんなことも考えてみてください


今日、もう一件こんな話も.....
ここで先日書きました
シリンダー内壁に錆の跡があったお客様
その後、心配になってこのブログを一気読みしたそうな
そこで
「今履いているタイヤ、BEETのホイールにチューブレスで使っているのだけど大丈夫なのか?」
「今までにタイヤ交換で何も言われぬまま交換してもらっていた」と

私の見解としてはチューブレス専用ホイール以外はチューブを入れて使って欲しいのです。どうしてもというなら自己責任で行ってください。
と、このように説明しています。


チューブレス専用ホイールはリムの内側に土手が出来ていて
空気が少なくなってもビードが内側にずっこけないようになっています。
昔のキャストホイールの場合、ほとんどが無いため
高速走行中に空気が抜けてきた場合、場合によってはバーストする可能性があるからです。
お客様には以上のことを説明してチューブを入れさせていただくことにしました。
しかし、交換時に作業者が気が付けば一言あっても良さそうな話ですが......

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キャブレターO/H時の注意

2009-01-25 21:31:36 | CB400F/350F
フレームペイントでお預かりしたCB400F
もちろん全バラですが
試乗してちょっと気になったキャブレター


外見からも#3キャブからガソリン漏れがうかがい知れます。

直接の原因はこれ、Oリングを噛みこんでいます。
以前交換したときにやってしまったようですね。
合成ゴム系接着剤(推奨G104)やガソリンに侵されない液体パッキンを使い溝からずっこけないようにしたいものですね。

キャブレターO/Hとさせていただき、分解していきます。

お約束のこれ!

ニードルジェットが汚れたまま!(画像左の真鍮の筒)
キャブを開けてもここまで外して掃除して欲しいのですが、やらずに不調のままのキャブもよく見かけます。(何度か紹介していますね)
メイン系のガソリンとエアーをミックスさせる重要な部分
また、磨耗が激しいと発進時もたついたり、一瞬黒煙を噴いたりします。

せっかくキャブを外したのならキャブ間の燃料ジョイントの筒のOリングも替えておきたい部分です。
ここからのガソリン漏れも少なくありません、二度手間にならぬよう入っているOリングはきちっと使うことです。

キャブボディにも白い汚れが落ちきらずこびりついています。
不完全ながら掃除した形跡はあるのでO/H歴はあるようですが何処までやっているかが問題ですね。

万一落ちてジェットを詰まらせてもいけませんから
きれいに掃除しましょうね。

スロットルバルブもこの有様

ひどい、ひどすぎる!中途半端なO/Hですね。

良くありがちなのがステープレートのボルトの折損
ほとんどのものが固く折れることが多く、
シャフトを外そうにもピンでかしめてあり、手間も掛かります。
当店でも通常O/Hでは手をつけないようにしています。
無理に横から叩いてブッシュを破壊する事例も多いです。気を付けましょう。

ワイヤーを掛けるドラムの左側、ボルトの頭が無いのが分かりますね。
画像右アルミのステーの真ん中に丸い部分があり中心にピンが打ち込んであります。
ばらすには工作機械でピンを削り取ります。組み立て時には製作したピンを打ち込む用になります。


当店での作業ではこんな感じで分解します。
小物、ビス類は再メッキです。(フロートチャンバー、トップキャップのビスは新品使用)

大事なのは自分のスキルに合わせて何処まで分解するかを決めること
後で組めなくなっても、壊してしまっても後の祭りです。
必ずバックアップを取りながら作業したいものですね。

萌え~

2009-01-25 00:51:36 | ノンジャンル
たまにはぬこネタ

うちの毛深い娘のセクシーショット(笑)


クランクの診断、測定

2009-01-23 22:39:18 | CBX400F/550F
宅急便で届いた荷物、ん?巨大なハムでも入っているのか?


実はクランクシャフトでした。

自分で良否の判断が出来ない部品の診断、測定の依頼も良く承ります。
今回の場合も事前にお電話を頂き、
「クランクピンが焼けているが使えるかどうか?」との相談でしたが、
さすがに電話での問診ではよっぽどかじってひどいもの出なければ良否の判断は難しく
(「色変わってる?あ~ダメですね~」なんて無責任な返答も出来ませんから)
品物を送ってもらうことにしました。

そこで、発送方法!今回のように新聞紙で巻いてエアキャップでくるんだだけ。
これはいけません
1/100単位の精度で管理するものです。トラックの荷台でころがってどこかにぶつかったりして狂ったら大変です。
せめてダンボールで巻き寿司のように何重にも巻いて、さらに段ボール箱に入れて動かないよう養生して送ってきて欲しいものです。

#1のクランクピンが焼けています。他の部位は焼けはないものの爪に引っかかる傷があるのでラッピングすることを具申しました。

まずは心配なので振れのチェック

3/100,1/100,1/100、大丈夫でしょう。

クランクピンの測定です。


クランクに書かれたジャーナルコードは一緒でも
焼けているほう(下)が細くなっていますね
ラッピングでさらに細くなりますから
コンロッドを送ってもらい、手に入るメタルで対応可能か測定して
OKであれば内燃機屋に持っていきます。

とりあえず磨いて後から合うメタルが無いではシャレになりませんからね~
確認してから次の作業に移る、大事なことです。