Maintenance SHIOHOUSE

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「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

待望の「CB400FOUR サービスアーカイブス」発売のご案内(更新あり)

2022-10-26 18:02:06 | 作業日誌

メーカーからコレクターズアイテムとして整備資料をひとまとめにした「サービスアーカイブス」というものが発売されてきた。

スーパーカブC100

CB750FOUR

CB750F

CBX400F

今回発売されるの第5弾が「CB400FOUR」

もうすぐ生誕50周年になるのでそれに合わせて出るかと思ったらずいぶん早いこと

 

今日、いつも部品発注している代理店より連絡が来て

「しおちゃん、CB400Fのサービスアーカイブ出たよ!!」と

また、同時にホンダ時代一緒だった某社諜報員からも携帯のショートメールで案内が来ていた

即注文し、案内をプリントアウトしてもらってきた

これは案内文にも書かれているがあくまでもコレクターズアイテム

パーツリスト398/408

サービスマニュアル

取扱説明書398/408

パーツリストは部品番号は頭の5桁のみであとは書かれていないため実際使うことは出来ない

例えばCB750のもの

各書籍にはこのような文言

「本製品は書籍としてお楽しみください」ということです。

使えてもサービスマニュアルと取説くらいか

パーツリストは画像と部品名が出ているのでどこにどの部品が付くかは分かるかな

 

また、CBXの時はメーカーさんもうっかりと

生産数500なんて書くもんだから転売ヤーがあっという間に買占め、SOLD OUT

ヤフオク、メルカリでは「限定500冊」と煽ってバカみたいな値段でたくさんの出品

メーカーさんもすぐに対処し訂正

おかげであっという間に行きわたるようになり

不良在庫を抱えた転売ヤーも沢山いたのではないだろうか

CBXのものはいまだにメーカー在庫は100以上、高いものを買う必要はない

 

さすがに今回は余計なことは書かずに注文すれば入荷する

くれぐれも変に煽って高値で売ってるものには手を出さないようにしてほしい

 

Netshop商品ページ

https://shiohouse-net.shop-pro.jp/?pid=171050410

予定よりも早く入荷しました

他のシリーズ同様ゴージャスなケースに入っています。

開くと、ビニール板で仕切られて収まっています。

中身はサービスマニュアル、パーツリスト398/408、取扱説明書398/408

398のパーツリストはオリジナルに比べると小さく作られている(ケースとの兼ね合いだろう)

オリジナルとのサイズ比較

下が純正のパーツリストの最終版ウイングマークが新しいデザインのもので表紙はビニールコーティングされている

古いウイングマーク入りのパーツリストから作られている、中身は同じ3版。

 

表紙をめくると

冒頭にもあるような注意書きが載っている

また、部品番号が全部記載されていない(上がアーカイブス、下が純正パーツリスト)

前にも書いたが部品名、位置を知るには充分

というか実作業で使う人は居ないだろう

あくまでもコレクターズアイテムと思って良いだろう

ただし、取扱説明書の調整項目はサービスマニュアルに載っていないものやこちらの方が分かりやすい場合があるので拡大コピーして整備用のマニュアルと一緒にしておくと良いでしょう

 


10月のいろいろ(随時更新中)

2022-10-26 17:17:11 | 作業日誌

オイル交換のお客様

恒例のタイヤのチェック

2018年製、溝のクラックは細いのがわずか

屋内保管で月に一度空気圧のチェックをして抜けることを考え多めに入れているという

フロントで2キロ入れているという

空気圧も関係するのだろうか

 

10月1週目の車検車両

フロントタイヤ、少ないな1.4キロ

2015年36週

これくらいの製造年だと屋外でカバー掛けでもこんなクラック

これまではこれが普通だった

 

リアは1.7キロ、前後とも低い......前回の車検からみたことが無かったりして(汗)

2015年31週製造

オゾンクラックも普通に経年での入り方

 

フロントスプロケットは結構摩耗していますね、これまでの履歴の走行距離から判断し次回チェーンとスプロケとでセットで交換

 

フロントブレーキはピストンに錆があり交換

 

マスターシリンダーがメーカー不明

不安なのでデイトナNISSINに交換、こちらなら純正品製造メーカーだしインナーキットや補修部品が用意されているので安心

社外のマスターシリンダーをチョイスする場合はインナーキットの有無も把握しておかないとO/H出来ずにそっくり交換なんてことになる

 

エンジンからはオイル漏れ

以前エンジン腰上を開けたときにヘッドカバーガスケット、ブリーザーカバーガスケットがまだ弾力があり

まだいけるかなと使いまわししたら思いのほか早く漏れ始めた

やっぱり貧乏性はいけないな、少しでも安上がりにと思ったが残念

部品代だけ貰って作業

中身はオイル管理されているのできれいですね

 

ダイナモカバーからのオイル漏れ

カバーを外して確認

クランクシールからの漏れ

外周はコーキングで応急処置

しかし軸から出ている気もする

軸から出ていた場合は応急処置は出来ず、クランクケースを割らないと作業は出来ない

次回出ているかどうか...ドキドキ

 

10月2週目車検車両

車検整備+依頼事項はタイヤ交換、フロントスポーク交換、エキパイフランジナットの交換、

前回の車検時にフルメンテナンスをしているので今回は24カ月点検

フロントブレーキはフルード交換のみ

ただし、マスターシリンダーのダイヤフラムが膨張していたので交換

右が現車のもの、左が新品

エアクリーナーも汚れているので交換

4820mile=7712km結構乗りましたね

新品と比較すると一目瞭然

新品をストックしておいて定期的に比較するのも交換時期を知る方法

感度の良い人なら3000~4000kmくらいでアクセルのツキが悪くなり交換時期を体感できる

 

タンクを外しておく場合に408コックの場合はホースを繋いでおく

これは車体から外す前にホースを繋いで一晩置いたもの

コックOFFでもタンク内の油面までガソリンが上がってきます。

例えばコックOFFでエンジンが止まるまでアイドリングさせフロートチャンバー内のガソリンを最低限にして置いておいても

すぐに満タン状態になってしまうということ

ちなみに398タイプの小さいコックは内部構造が違うため起きにくい(コック内部に傷が無く、パッキンの状態が良い場合)

 

屋外でカバー掛け保管のためどうしても湿気がこもり錆が発生する

マフラーもヨシムラ再販手曲げが付いているがすぐに錆びる、一度ヨシムラで再ペイントしたがあっという間に錆びてしまい

その後は諦めたようだ

フランジナットが真っ赤に錆びていたので交換依頼があり

せっかくなのでステンレス製のナットに変更

スタッドボルトも錆びるのでキャップ付き

ステンレス製のボルトナットは鉄とは熱膨張率が違い熱が掛かると緩む場合がある

そのため緩み止め付きのものをチョイス

ナット自体高さが無いのでワッシャーを重ねて調整

もちろん組付けにはスレッドコンパウンドを塗布(焼き付き、かじり防止グリス)

 

スプロケットが何かに干渉するとの依頼事項

当たる場所を確認するとチェーンケースとの干渉

リアショックを逃げて内側に凹んでいる場所

社外ショックが付いていてプリロード調整の小判が横方向にあり、チェーンケースプラグがあるとさらに内側に押される

(純正ショックは小判が進行方向前後に付いている)

この車両の場合チェーンケースプラグは無いがスプロケットのフランジがわずかに歪んでいる可能性

また、直進では擦らないがコーナーで車体を傾けた際にスイングアームのたわみで擦る場合もある

いずれにしてもクリアランスを確保しないといけない

チェーンケースの内側から叩いて逃げを作り、スプロケットのガタを減らすべく厚みアップのワッシャーに交換

 

次はフロントスポークの交換

パッドとディスクの摩耗粉にさらされ、ディスクがあるため手が入らず掃除がし辛い

放っておいたらこんな状態

ステンレススポークにすれば錆は防げるが折れるリスクがある

線径の太いスポークを組むところもあるようだが、当店では把握していないため対応不可

それでもきちんとメンテナンスが出来ないと折れるんじゃないかなとも考える

以前、ガラスコーティングCR-1を施工してもらった際にパッドの粉が付着し辛い、付いても軽く拭けば落ちる、錆対策にも有効という話を聞いていてオーナーさんに話してみた。

オーナーさんのGOサインを頂きスポークをガラスコーティングすることに

戻ってきたスポークはツルツル

リムとハブは洗浄しバリアスコートで仕上げてある

リムもまだきれい、スポークだけがあっという間に錆びた感じ

組み立てて振れ取り

タイヤはTT100GPからTT100へ

フロントタイヤの製造は2021年47週

リアタイヤは2022年25週

GPに比べると流通は少ないんでしょう

それでもGPよりは充分に長持ちするでしょう

ただしGPの超柔らかいコンパウンドと違ってかなり硬め

乗った感じに違和感を感じると思う

まるでグリップ感を感じないのです。

タイヤ交換時に銘柄問わずに「新品タイヤは気を付けてくださいね」と話をするのだがGPなんかは即普通に走っても問題無し

ただし今回のタイヤは一皮剝けるまでは気を付けなければいけない

 

アクスルホルダー固定ナット類やフェンダーステー固定ボルトは錆びていたのでステンレス製に交換

ちなみに当店のスタンスとしてディスクボルトやキャリパーがらみの応力が掛かる部位にはステンレス製のボルトは使いません

膨張率や強度の兼ね合いからです。

完成して引き渡し時に乗り心地がまるで違うので注意するよう話をして、帰ったらインプレをメールするよう頼んだ

来たメールには案の定「グリップ感がまるでない」とのこと

車検で装着車両が入ることはあるがそれは普通に乗れるので、一皮むければ大丈夫なのかなとは考えます。

 

 

次の車検車両は走行の少ないCB400F、陸送で届きました。

コロナ騒ぎになって全体的に走行距離は少なくなっている

前回車検から乗っておらずこの先もしばらく乗れないと思うので車検は切らして時期が来たらお願いしたいというお客様や

遠方から直接積載でお越しになるお客様でコロナが落ち着くまで東京には来たくないので落ち着いたら持ってきたいというお客様など

車検を切らして置いてお客様もこれまでには無かったパターン

今回の車両は前回の車検から6.1km、7月にちょっとした修理で預かってからは3km

最悪3カ月乗っていないことも考えられる

エンジンを掛ける前にキャブのガソリンを抜いてみる

手始めに抜きやすい#1から

色が黄色っぽく、異臭がし始めている

全部抜きましょう

こんなものを作っておくと重宝します

タンク内のガソリンは満タン入っていてここまで劣化は進んでいないがあまり良くはない

すぐに使い切ってもらえれば良いが期待できない

お客様に確認、そのままにして戻ってから四輪にでも入れますか?

それとも処分料が高額ですが入れ替えますか?と

返事は入れ替えて欲しいとのこと

エンジンオイルなどの廃油の処分は容易だが

ガソリンなどの揮発性が高く燃える油脂は話が別だ

良く「ガソリンスタンドへ持って行けば」と言われるが何処でも処分してもらえるわけではない

ましてやセルフではなく有人のスタンドは少ないし普段から御贔屓にしていれば良いが一見さんが持って行って処分してもらえるかどうか

廃エンジンオイルの回収業者に頼むことになるがかなりコストが掛かる

当店まで防爆仕様の回収車両で来てもらい回収~回収業者の会社で一旦量が溜まるまで保管~溜まったら別の専門の処理業者へ持ち込み

この回収費用として1回1万円と言われている

更に廃ガソリンはℓ=幾らという計算

では当店でも溜めるだけ溜めて引き取りに来てもらえばそれで回収費用を割れば安くなるのではと言われそうだが

劣化したガソリンとはいえ燃えますからね万一火でも出して引火したら大変なことになる、大量には店に置きたくない

せいぜい20ℓの携行缶1~2本か

この量だと処分料として1ℓ当たり¥500頂かないといけない

CB400Fで満タンなら14ℓ入りますから¥7000申し受ける計算となる

中には廃エンジンオイルに混ぜれば良いだろうという人も居そうだが

ガソリン特有の匂いで回収業者にはすぐにばれる

当店で依頼している回収業者はその揮発性の油が混ざったオイルが原因で大火災を発生させている

(新聞、ニュースでやっていたので知っている人も居るだろう)

そこからどこの回収業者も非常にうるさくなっている

この先、廃ガソリンの処分が出来なくなることがあれば長期放置車の受け入れは断ることになるだろう

ガソリンが劣化する前にフレッシュなガソリンに入れ替わるようにしてほしい

 

前回の車検でブレーキは全バラ洗浄を行っているので今回はフルード交換で良いのではと提案したが

キャリパーのO/Hをして欲しいとの依頼事項

ピストンを抜くとフルードが結構変色しています

フルードを排出すると...

あらら結晶が...

これは全バラして洗浄しないといけません

マスターシリンダー内にも居てリターンポートを詰まらせたら一大事です

マスターシリンダーを外し、ブーツを外すと中は濡れている

クリップに付いていた液体は

ブレーキフルード

マスターシリンダー組み付け液ではないのは指に付けて擦り合わせた感触で分かる

インナーキットも交換しましょう

 

全バラ洗浄し乾燥している間に

スロットルケーブルとクラッチケーブルの潤滑

バッテリーの充電

比重を測るとレッドゾーン寄りのイエローゾーン

製造年を見ると

 

2016年5月12日...6年モノですか...

満充電での端子電圧、バッテリーテスターでの数値も低いため交換しましょう

3カ月くらいなので強制潤滑までは必要無いと考え

プラグを外し手回しでクランキング

その後エンジンを掛けて点火時期チェック、コンプレッションの測定を行った

走行距離が少ないので最低限での車検整備を済ませて車検場ではスムーズにパス

 

 


TT100GPの件

2022-10-12 15:19:47 | 作業日誌

今日は幕張メッセで開催された「ツールジャパン」「ガーデン&アウトドアEXPO」に妻と行ってきた。

会場は中で繋がっており片方のパスで両方回れる

期待していた自動車、二輪車整備でおなじみのメーカーさんはほとんど来ておらず

ちょっと外れ感が大......しかし何社か話も聞けて全く得るものが無かったわけではないので結果オーライかな

 

 

先日のTT100GPの件

タイヤの仕入先からダンロップの営業に話をしてもらい返答が来た。

資料も含めA42枚での返答だが要約すると

 

症状は、トレッド溝底割れ(TGC)に見えます。(あくまで画像推測)

こちらの場合低圧走行による損傷の可能性があります。

空気圧が少ないのではないか?との返答

 

確かに車検で預かって空気圧を測定すると少ないことがほとんど

フロントタイヤばかりなのはブレーキを掛けたり、左右にハンドルを切ったりで屈伸運動が多いためか?

 

当店のお客様で月に一度タイヤの空気圧を調整し前後とも2キロと多めに入れている方がいる

屋内保管とはいえ、2018年3週(4年半モノ)でクラックは極わずか

 

ずっとTT100GPを使っているお客様がほとんどで、最近になって皆が低圧走行をしているわけではないだろう

先週末の安全運転講習会のお手伝いで、同じ二輪車安全普及協会員で物知りの方が

最近TT100GPは確実にコンパウンドが変わっていると話していた。

思わず納得

また彼曰くGPじゃない「TT100」なら良いんじゃないと

TT100GPより割高だがこちらの選択もあるでしょう

ハイグリップタイヤではないのでコンパウンドは固く長持ちするだろう

 

まずは定期的に空気圧の調整をすることを推奨する

(本来運行前点検項目)

フロントはリアに比べ減りやすいので少し多めに入れても良いかもです。

 

ダンロップのHP

タイヤの基礎知識「安全に使用いただくために」

https://dunlop-motorcycletyres.com/dictionary/safe_use/

 

 

 

 


9月最終週車検車両

2022-10-05 08:27:39 | 作業日誌

9月最終週の車検車両

前回フルメンテナンスを行ったので今回は普通に24カ月点検整備

必ず前後ホイールを外してホイールベアリングの状態を指で確認する

このタイミングでタイヤ交換をすれば工賃が幾分お安くなる

今回のタイヤは前後共に2013年製造9年モノとなる

フロント

溝にわずかなクラック

リアタイヤは側面にオゾンクラック

経年でのオゾンクラックなら大概こんな感じで側面から細かいクラックが入る

フロントは真ん中よりの溝に細かいクラックは入る

サイドの溝にあんなぱっくりクラックが入るのは最近の傾向

今回はお客様に一連の事を説明したが希望はTT100GP一択

ダンロップからの回答もあるので別記事で書きたいと思う

この車両のLカバーは砂型

 

砂型鋳造の部品は少量生産で金型を作るほど数量を作らない場合に使われる手法

CB750K0なんかは初期のものだけ鋳造部品は砂型

CBX400Fも試作で50基ほど砂型のエンジンが作られ、試作車やショーモデル、レース用にサテライト系のショップに配給された。

ワークスマシンなんかも製作数が少ないだけに砂型パーツてんこ盛り

ただ、一部市販車で晩年に砂型パーツが作られたことがあり

本田宗一郎氏が存命の頃、「自社の車両が1台でも走っている限り部品供給する」とのことで

金型が無くなった部品については砂型鋳造で部品供給を続けた

CB400Fで言えばよく話題に出るのがシリンダーヘッド、特別なものとしてもてはやされているが

確かに見た目は砂型フェチからすれば最高

ただし、フィンが厚く重い、バルブスプリングシート部加工時にオイルプールに穴が開いているものがあったり

機能的には微妙なところ

現にこのカバーもシフトシャフト部の穴が偏芯(穴位置は正確だが砂型用のマスターの凸がずれているのだろう)

自分が知ってる限りではセルモーターのサイドのカバー、クラッチアウターのバスケット部などの砂型パーツを見たことがある