さて、先日の続編です。
エンジンを掛けると結構音が大きい
エンジン異音も依頼事項の一つ
ただし車検が切れているので試乗ができない
(まさかテンプラナンバーで乗るわけにはいきませんからね。
良い子はやったらダメですよ!)
心配なのでオイルを抜いてまたオイルフィルターを外して沈殿物のチェック、
それとタペットを調整して
「それらの状態によりエンジン開けるか判断しましょう」
とはいったもののマフラーの出口に指を挿入しカーボンの状態を確認すると「べた~っ」としたタール状のカーボン!
かなりの不安を感じます。
ヘッドカバーを開けてタペット調整、かなり広めである。
せっかくなのでヘッドの増し締め.....なんだぁ!全体的に緩んでいる!!
エンジンを掛けてみると.....
(セルモーターの分解前にこの作業は行っている)
エンジンが掛かってからのすぐの異音に注目!
大分静かにはなったもののまだ出ている。
オーナーさんと連絡を取り、現況を伝える
そのときに白煙を噴いていたことも伺い
シリンダーなりバルブ周りにトラブルを抱えているのは予想できる為
腰上を開けることを具申
その上で
「コンロッドのガタを確認し必要があれば全バラしましょう」と提案
早速、分解し始めると.....
ヘッドを外すとピストンヘッドが皆ウエット状態
ヘッド側もこんな状態
シリンダーを外すと..
意外とピストンは大きな傷は少ない
が、しか~~~し!シリンダー内壁は酷い状態。
シリンダー内壁インレット側
#1
しっかりと縦傷が入っていますね~
#2
追い討ちをかけるように太いのが一本!
上部には錆の痕が...
#3
ここにも錆の痕がみられます。
#4
同様
シリンダー内壁エキゾースト側
#1
深いのが何本も...
#2
上部の錆の痕跡がちょっと酷いですね
#3
大きな錆の染みがあります。
#4
.........................
錆の痕はもちろんのこと
縦傷が酷い!その割にはピストンスカートがきれいなこと
また、ガスケットは新車当時からのものではない
そこから判断して、確実に一度開けているエンジンである。
そのときにボーリングはせずにピストンのみ交換したのではないかと推測する。
縦傷が多ければオイル上がりは起きてしまいます。
このコンディションであればボーリングは必須です。
しかしながら、オーバーサイズが手に入らない車種であれば
オイルを噴くことを承知で組むか、シリンダースリーブを製作するかで対応となります。
CBX400Fの場合は社外品でオーバーサイズピストンが存在しますから
ボーリングしなくちゃでしょう!
この辺の考え方は組む人次第になってしまいますね
神経質なのか(っていうか普通だと思う)?、大雑把なのか?
問題のコンロッド
#3がガタが大きい、それも縦方向にも!!!
#4も動きが渋いし....
メタルが逝ってるのは確実
軽度なものでラッピングで済めばよいのだが....
エンジンを降ろして分解
元は点検整備だけで済むはずで予定組んでいたのが
エンジンO/Hか!?
しかしながらCBX400F/550Fでは良くありがちな話
何しろ「異音」が出たらアウトな場合が多いので要注意です。
ケースを割ってみると....
Oh my god!
メタル全滅
更に#4の受けのネジ穴がおかしいことに...
ネジ山あげた?
ヘリサート失敗した?
スリーブ入れた?
肉厚薄くて側面が割れた?
アルゴン溶接で補修~ぅ!!!
こんな熱掛けて歪ませたく無いところにアルゴン溶接ですか~
いやぁ~~~(汗)
プライマリーチェーンやクラッチアウターが
何をやらかしたのかケースに引っかき傷がありますね~
ここも溶接補修ですか~、確かに割れている車輌を良く見かけます。
ロアケース側のメタルも同様ですね。
おびただしい傷、めり込んだ異物、赤い地金が見えていますね。
コンロッドメタルも全滅
(デジカメだと上手く写らなくて...)
小端も一本酷いです。
例の#3クランクピンが特に酷くみごとにかじっています。
計測してみてラッピングでいけそうか、NGかが決まります。
クラッチ
プレートが焼けていますね~
それよりもリフタープレートが割れたまま組んでありました。(怖)
4本を均等に少しずつ緩める、締める
そうすれば割れることは無いのに......
横着して1本ずつ外していくから(締めていくから)無理がかかって割れてしまう。
プライマリーチェーンのガイドも変形している
クラック入ってますやん!
先ほどのケースの引っかき傷といい、何が起きたのやら?
外したバルブ周り
バルブもコンディションが悪く、特にIN側はシールの当たり面に縦傷、錆びの痕だろうか黒い染みが何本にも
また、てっぺんはタペットアジャストボルトが当たる部分が凹んでいる
メタルの状態といい「過走行車」か!
ヘッド側のシート面も幅が広くなっていますから
シートカットは必須です。(O/H工賃に含んでいます。)
すり合わせだけでは当たり面を研磨して密着をよくするもので
幅が広くなることは有っても狭くなることはありえません
カムホルダーは相変わらず状態は良くないですね
かじりが有ったり、
金属粉が噛みこんでいたり、
深い傷が入っていたり、
おかげでカムの軸部分も傷が入っています。
カムチェーンガイドも変形!
しかしCBXのエンジンは開けてビックリのパターンが多いこと
オーナーさんも予定外の出費ということで驚かれたことでしょう
しかし、このまま乗り続けていれば被害は拡大し更なる出費につながることでしょう
CBXのエンジンは音が出てからでは遅い場合が多いため
オイル交換時のオイルに混ざった金属粉のチェックを推奨しています。
ドレンボルトを外して廃油ポイに直行なんて本当にもったいない
せっかくの情報をそのまま捨てているのですから。
今回は遠方のお客様のため
バラしたエンジンを見に来るまで時間が掛かると思われるので
詳細にUPしました。
通常の点検整備からエンジンO/Hとなるため
通常整備から重整備のタイムスケジュールに変更になります。
ある程度お時間を頂く形になります。
10/31更新
計測始めたら出て来る出て来る!
(なんか全損状態のいきおい)
#4コンロッド良くみるとスラスト方向に焼けと段つき磨耗
これは何事か!
クランクの振れを測定して納得
#2:0.05、#3(中央):0.16、#4:0.16
ちなみに使用限度は0.05mm、
プライマリーチェーンに何かトラブルを起こし引っ張られたことが推測できます。
カムシャフトも
使用限度0.03mmに対して0.07!(IN,EXとも)
ぱっと見では曲がりまでは判りませんが計測し数字で見ると一目瞭然ですね
目視だけで判断して組み立てるのはリスクが高いですね。
当ブログの読者ならお気づきかと思われますが
結構、安易に組まれたエンジンが多いです。
また、見積もりの時は基準値を超えている、コンディションが悪い部品はすべて書き出します。
また、最近ではボルト類も新品で計上しています。
その中からお客様の予算に合わせて許せる範囲で調整します。
ただ動けばいいやで目をつぶって安上がりで組んだエンジンも
後に壊れてしまえば高いものについてしまいます。
「せっかく開けたならキチッとやらなきゃ損だゼィ!」
エンジンを掛けると結構音が大きい
エンジン異音も依頼事項の一つ
ただし車検が切れているので試乗ができない
(まさかテンプラナンバーで乗るわけにはいきませんからね。
良い子はやったらダメですよ!)
心配なのでオイルを抜いてまたオイルフィルターを外して沈殿物のチェック、
それとタペットを調整して
「それらの状態によりエンジン開けるか判断しましょう」
とはいったもののマフラーの出口に指を挿入しカーボンの状態を確認すると「べた~っ」としたタール状のカーボン!
かなりの不安を感じます。
ヘッドカバーを開けてタペット調整、かなり広めである。
せっかくなのでヘッドの増し締め.....なんだぁ!全体的に緩んでいる!!
エンジンを掛けてみると.....
(セルモーターの分解前にこの作業は行っている)
<script language="JavaScript" src="http://www.magicalmaker.com/js/mm.js.php?upwh=1812528-1319975822m-320-320"></script>
エンジンが掛かってからのすぐの異音に注目!
大分静かにはなったもののまだ出ている。
オーナーさんと連絡を取り、現況を伝える
そのときに白煙を噴いていたことも伺い
シリンダーなりバルブ周りにトラブルを抱えているのは予想できる為
腰上を開けることを具申
その上で
「コンロッドのガタを確認し必要があれば全バラしましょう」と提案
早速、分解し始めると.....
ヘッドを外すとピストンヘッドが皆ウエット状態
ヘッド側もこんな状態
シリンダーを外すと..
意外とピストンは大きな傷は少ない
が、しか~~~し!シリンダー内壁は酷い状態。
シリンダー内壁インレット側
#1
しっかりと縦傷が入っていますね~
#2
追い討ちをかけるように太いのが一本!
上部には錆の痕が...
#3
ここにも錆の痕がみられます。
#4
同様
シリンダー内壁エキゾースト側
#1
深いのが何本も...
#2
上部の錆の痕跡がちょっと酷いですね
#3
大きな錆の染みがあります。
#4
.........................
錆の痕はもちろんのこと
縦傷が酷い!その割にはピストンスカートがきれいなこと
また、ガスケットは新車当時からのものではない
そこから判断して、確実に一度開けているエンジンである。
そのときにボーリングはせずにピストンのみ交換したのではないかと推測する。
縦傷が多ければオイル上がりは起きてしまいます。
このコンディションであればボーリングは必須です。
しかしながら、オーバーサイズが手に入らない車種であれば
オイルを噴くことを承知で組むか、シリンダースリーブを製作するかで対応となります。
CBX400Fの場合は社外品でオーバーサイズピストンが存在しますから
ボーリングしなくちゃでしょう!
この辺の考え方は組む人次第になってしまいますね
神経質なのか(っていうか普通だと思う)?、大雑把なのか?
問題のコンロッド
#3がガタが大きい、それも縦方向にも!!!
#4も動きが渋いし....
メタルが逝ってるのは確実
軽度なものでラッピングで済めばよいのだが....
エンジンを降ろして分解
元は点検整備だけで済むはずで予定組んでいたのが
エンジンO/Hか!?
しかしながらCBX400F/550Fでは良くありがちな話
何しろ「異音」が出たらアウトな場合が多いので要注意です。
ケースを割ってみると....
Oh my god!
メタル全滅
更に#4の受けのネジ穴がおかしいことに...
ネジ山あげた?
ヘリサート失敗した?
スリーブ入れた?
肉厚薄くて側面が割れた?
アルゴン溶接で補修~ぅ!!!
こんな熱掛けて歪ませたく無いところにアルゴン溶接ですか~
いやぁ~~~(汗)
プライマリーチェーンやクラッチアウターが
何をやらかしたのかケースに引っかき傷がありますね~
ここも溶接補修ですか~、確かに割れている車輌を良く見かけます。
ロアケース側のメタルも同様ですね。
おびただしい傷、めり込んだ異物、赤い地金が見えていますね。
コンロッドメタルも全滅
(デジカメだと上手く写らなくて...)
小端も一本酷いです。
例の#3クランクピンが特に酷くみごとにかじっています。
計測してみてラッピングでいけそうか、NGかが決まります。
クラッチ
プレートが焼けていますね~
それよりもリフタープレートが割れたまま組んでありました。(怖)
4本を均等に少しずつ緩める、締める
そうすれば割れることは無いのに......
横着して1本ずつ外していくから(締めていくから)無理がかかって割れてしまう。
プライマリーチェーンのガイドも変形している
クラック入ってますやん!
先ほどのケースの引っかき傷といい、何が起きたのやら?
外したバルブ周り
バルブもコンディションが悪く、特にIN側はシールの当たり面に縦傷、錆びの痕だろうか黒い染みが何本にも
また、てっぺんはタペットアジャストボルトが当たる部分が凹んでいる
メタルの状態といい「過走行車」か!
ヘッド側のシート面も幅が広くなっていますから
シートカットは必須です。(O/H工賃に含んでいます。)
すり合わせだけでは当たり面を研磨して密着をよくするもので
幅が広くなることは有っても狭くなることはありえません
カムホルダーは相変わらず状態は良くないですね
かじりが有ったり、
金属粉が噛みこんでいたり、
深い傷が入っていたり、
おかげでカムの軸部分も傷が入っています。
カムチェーンガイドも変形!
しかしCBXのエンジンは開けてビックリのパターンが多いこと
オーナーさんも予定外の出費ということで驚かれたことでしょう
しかし、このまま乗り続けていれば被害は拡大し更なる出費につながることでしょう
CBXのエンジンは音が出てからでは遅い場合が多いため
オイル交換時のオイルに混ざった金属粉のチェックを推奨しています。
ドレンボルトを外して廃油ポイに直行なんて本当にもったいない
せっかくの情報をそのまま捨てているのですから。
今回は遠方のお客様のため
バラしたエンジンを見に来るまで時間が掛かると思われるので
詳細にUPしました。
通常の点検整備からエンジンO/Hとなるため
通常整備から重整備のタイムスケジュールに変更になります。
ある程度お時間を頂く形になります。
10/31更新
計測始めたら出て来る出て来る!
(なんか全損状態のいきおい)
#4コンロッド良くみるとスラスト方向に焼けと段つき磨耗
これは何事か!
クランクの振れを測定して納得
#2:0.05、#3(中央):0.16、#4:0.16
ちなみに使用限度は0.05mm、
プライマリーチェーンに何かトラブルを起こし引っ張られたことが推測できます。
カムシャフトも
使用限度0.03mmに対して0.07!(IN,EXとも)
ぱっと見では曲がりまでは判りませんが計測し数字で見ると一目瞭然ですね
目視だけで判断して組み立てるのはリスクが高いですね。
当ブログの読者ならお気づきかと思われますが
結構、安易に組まれたエンジンが多いです。
また、見積もりの時は基準値を超えている、コンディションが悪い部品はすべて書き出します。
また、最近ではボルト類も新品で計上しています。
その中からお客様の予算に合わせて許せる範囲で調整します。
ただ動けばいいやで目をつぶって安上がりで組んだエンジンも
後に壊れてしまえば高いものについてしまいます。
「せっかく開けたならキチッとやらなきゃ損だゼィ!」