フルメンテナンスCB400F
当店でのフルメンテナンスは初めてというこの車両
お客様自身では磨くのが大好き、以前もエンジンを磨いてる最中にハイテンションコードの断線に遭遇したり
ちょっとしたことで面倒を診てしていた
これも先日指摘したのだが研磨剤入りのクリーナーは使うところを選ぶべきだと、
ブレーキパイプがビカビカになっているがこれは地金が研磨され光っているもので薄いメッキ膜は安易に無くなっている
手入れを怠れば赤錆が発生する=無限磨き地獄へ突入する
この車両は逆輸入車、プレートがダウンチューブに付くタイプだがこのタイプは製造年の記載が無い
車検の時に車検証に保安基準適応年月日(昭和の)の記載が無いと初年度登録の年月が製造年と判断され
ヘッドライト常時点灯など厄介なことになる
スイッチの配線は取り回しがおかしく北米向けっぽい取り回し(現車は欧州向けと思われる)
前回交換したのでIGコイルは新品が付いている
ハーネスバンドもOリングで代用(あるあるです)
スロットルケーブルが妙に長く取り回しがおかしい
本来はヘッドライトステーの内側を通るが長すぎるための処置か
グリップも端から回ってしまう
中のグリップパイプが短い気がして、外して確認
確かに短い、カットされている
ハンドルの端も加工痕がありわずかに斜め&バリが出ている
左側も確認
こっちは大丈夫そうだ
ちなみにグリップは柔らかいものに交換依頼されていて
キジマのCBXタイプのものに交換する
シフトペダルのリンクのピロボールにブーツが無くむき出し
リアアクスルの向きが逆
ただ、これは正規な向き(右抜き)でシャフトを抜く際にマフラーに干渉するため、わざと左抜きにしている場合もある
ブレーキパネルとトルクロッドの取り付け部、ストッパーアームクッションラバーの位置が違う
正規はブレーキパネル~トルクロッド~クッションラバー~ワッシャー~ナット~ロックピンの順番
しかもクッションラバーは純正品では無かった
ブレーキペダル、ブレーキアームのポンチマークは合っているのになぜこんな?
フロントブレーキ分解
パッドAがなにやらおかしなことに、濡れているよな~
ディスクの黒い筋は漏れたフルードですね、外して脱脂しなければ
ん?キャリパーピストンは社外品かな
ピストンを抜きます
堆積物溜まっていますね、どれくらいばらしていないんだろう
キャリパーの塗装は(おそらく)パウダーコート
染み出たフルードで塗膜が侵されていますね
パウダーコートだとブレーキクリーナーは使えない
パウダーコートは溶剤系には弱いから、浮いた塗膜にさらなるダメージを与える可能性がある
中性洗剤+水洗いですね
ピストンは驚いたことに無垢で出来ている
ただし、組まれていたのは逆組みされていた、中央が凹んでいるのがキャリパー内側だろう
側面に錆があるが正規に組めば中に入ってピストンシールには掛からないのでそのまま使います
キャリパーホルダー、シャフト部分にグリスっ気が少ない
マスターシリンダー、分解前妙に内部が汚いと思っていたが
ばらします
マスターシリンダーもパウダーコート、塗膜が侵されています。
ピボットボルト部もフルードが輪になっています
ブレーキ周りの表面処理には
マスターシリンダーなら再アルマイトかガンコートかUVコート
キャリパーはガンコートかUVコート
今どきは他にもフルードに侵されない塗装があるかもしれない
フルードに侵される塗装をするのはメンテナンスする側にとってはやめて欲しいところです。
レバーブッシュ(ゴムの筒)完全に潰れています
スリーウエイジョイントもパウダーコート、しかもシールワッシャーの座面まで塗られている
昔、フルード漏れで難儀した記憶がよみがえる。是非ともマスキングして欲しい
そのためか思いっきり絞めてシールワッシャーが潰れてねじ山に食い込み外れない
どれくらいばらしていないのだろう
マスターシリンダー内部も汚れ
堆積物が溜まっています
スリーウエイジョイント
至る所に堆積物有り
ブレーキスイッチも内部が想像できます。
洗浄します
ブレーキホースやパイプなどの細い通路は水を通すだけしか出来ない、へばりついた汚れは取れません=要交換ですね
定期的にフルード交換、全バラ洗浄は大事なことです
前後ホイールを外してホイールベアリングの確認
フロントは動きが悪い
また、フロントのみバランスウエイトが見つからないのでバランス取りしましょう
ホイールが無い状態でステムベアリングの動きを確認
微妙に引っ掛かりを感じる
実走行で違和感を感じるほどではないので判断が難しい
リアブレーキシャフトを抜く、これまたグリス塗布は超最低限
中央のグリス貯めに残るくらい塗らないと
スイングアームを外します。
これはスイングアームのガタがあったため
試乗で後ろ周りがぐにゃぐにゃして気持ちが悪い
これまたグリスが少ないような
段付き摩耗を起こしています。
スイングアーム上面がオイルっぽいと思ったら
ブリーザーチューブが途中で切れている
クリップ周りはクラックが多数あり要交換
オイル漏れがみられるので漏れ箇所の確認
Lカバーを外します
頭舐めてるビスばっかり
ミッションのオイルシールから漏れている様子はない
ドライブチェーンのOリングを発見
恐る恐るLカバーの裏側を確認
「ぎゃっ!!」
ドライブチェーン交換?ってことは自動的に前後のスプロケットも交換になる
これはお客様と相談かな
セルモーターの端子部がオイルっぽい
この場合、セルモーターのオイルシール部からオイルが侵入し端子部から出ている可能性がある
オイルポンプにもオイルの付着有り
漏れでしょうね
ダイナモカバー下を触るとオイルが付く
オイルパスキャップA、Oリングが終わっているのだろう
ポイントカバーガスケット面にオイルが付着
パスキャップBから出たのが回っていったか?
いずれにしてもOリング使用部分からはだいたい同じようなタイミングでオイル漏れが始まる
ぶっ飛んだのはクラッチレリーズのオイルシールが入っていないこと(中央の丸い部分ね)
内部でクラッチリフターカムが密着してるからダラダラ漏れることはないのだろうが組み忘れるかな?
電装系に目をやると
まず見るのはヒューズボックス
古いものは発熱し溶けてる
メインヒューズ片側浮いてるし
スペアのホルダーが1個無いのが気になる
裏側カバーを外す
赤線(メイン15A)部が怪しい
コネクター部を確認、メイン側の端子が緑青噴いています(腐食)
マグネチックサブコード部
シリコンレクチファイヤー部(右サイドカバー内)
メインスイッチ部
端子の状態が悪いですね
当初メインハーネスを見てきれいなので交換歴があるのかなと思っていましたが
ハーネステープを巻き直しただけみたいですね
予算が許せば電装系もリフレッシュしたいところですがお客様と相談ですね
相変らずの状態となりました。
洗浄し乾燥機に入れて乾いたブレーキパーツ達
キャリパーはきれいな方かと思うと
シール溝の裏側見えない部分は結晶がびっちり
マスターシリンダー、カップ内は結晶が.....この荒れ具合は放置歴があるかと思います
シリンダー内部も決して良い状態ではない
パイプ内部にも汚れが堆積
ブラシを入れるとこの通り
オイルボルトもこの有様
洗浄時ブラシを通しましたが完全ではないでしょう
ホースもこの状態だと内部通路も想像できます
出来ればホース(上下)、パイプ、オイルボルト、ブレーキスイッチは交換したい
スリーウエイジョイントは洗浄で堆積物は除去、タップ掛けしてねじ山のクリーニングをすれば良いが
シールワッシャー座面の塗膜は除去したいし困ったものです。