年末が近くなると年末進行ということでかなりバタバタ忙しい
今日は定休日だが雨で家族サービスで出掛けることも無く店に来ていて
預かり中の車検車両が2台、1台は外注作業の仕上がり待ち、もう1台はお客様からの作業指示待ち
作業がSTOPしているので
しばらくサボって溜まったネタを消化しよう
以前から云っていることだが
無理にブログの記事を書くことはしていない、時間があるときに書くようにするようにした。
以前は睡眠時間を削ってまでブログを書くことを優先し25時、26時は当たり前の生活をしていた
歳をとるにつれ「健康」というものが最優先となり残業せずに21時で仕舞うようにした(充分残業時間ですね)
またコロナが流行りだしてワクチン接種しても重症リスクを減らせるだけで感染しない訳ではない
感染リスクを防ぐためにも自身の免疫を高くするしかない、睡眠時間の確保は重要と考える。
先日も某ディーラー勤務のお客様に資料を送っていただいた際に書かれていたメッセージが
まさにこれ!
彼は大病を経験しており実際にそんな環境に陥ってみないと分からないかもしれないが
壊れる前に自身の生活を見直して欲しい
自分の場合は「生きがい」の趣味を満喫できる時間が取れていないが
これからそんな時間も増やせればと考える
10月末からサボっていたのでどんどんUPしましょう
車検車両、前回の車検から走行は0km
コロナの影響で全体的には皆さん距離が伸びていない
他にも走行0kmのお客様が居たがそちらは車検を切らして乗れるようになるまで休眠させるとのこと
乗るようになったらレッカーで運んで強制潤滑してから車検整備すれば問題ない
ガソリンに関してはキャブからは抜いて、タンクは空で保管されているので心配ない
今回の車両は実は前回も走行0kmのため実質4年乗っていない
事前に「乗らないなら長期保管用にフロントブレーキは洗浄後にフルードを入れない、キャブもタンクもガソリンを抜いて保管用の処置などを行っては行って休眠させてはいかがですか?」と
オファーしていた。
しかしお客様が乗るから不要と仰られたので最低限の点検整備をすることに
(分解してグリスUPする部位などで走らなければ不要な部位はスルーして経年で必要な部分の作業となる)
もちろんそんな状況なので自走は無理ですから積載でお受けする
当店では現在店主自ら車両の引き取りは行っておらず、レッカー業者や仲間のショップに依頼している
いざ当日引き揚げてきたSHOP仲間から衝撃的な一言を聞いた。
取りに行ったら「2年振りだけど1発でエンジン掛かった~」と目の前で躊躇なくエンジンを始動したそうな
前回の車検の時はエンジンは掛けずに運んでもらい当店で強制潤滑をしてからエンジンを掛けた
長期放置でオイルが落ちている場合、いきなりクランキングすればメタルを引っ掻いてしまう
俗にいうドライスタート、メタルアタック
詳細は過去記事を参照ください
https://blog.goo.ne.jp/shioblog/e/8d454dc7178500cb01d7554d13e5fc41
一番最初が肝心なのですでに回したら強制潤滑は無意味
オーナーさんには強制潤滑は無しでそのまま進めることを伝え作業に入る
ガソリンに関してはタンクにほぼ満タンで空気に触れる面積が少ないことと保管状況がガレージでの冷暗所保管というのが功を奏したか
2年経っていても先日の車両ほど劣化は進んでいない
ただ、古いのは間違いないので交換したい訳だが
タンクにほぼ満タン入っているガソリンの処分には費用が結構掛かる
お客様にはタンク内のガソリンを所有の自動車に移しては?と聞くもNO
2~3カ月経過のガソリンならまだしも誰も入れたくないでしょうね
フロントブレーキは以前の記事で不安を感じたか全バラ洗浄の依頼
確かに少走行でも結晶が発生しているのを見ると気になるでしょう
マスターシリンダーのタンク内のフルードの色はそれなりに変色
その記事の車両のフルードの色よりは全然薄く保管環境で劣化は変わるのでしょうね
スリーウエイジョイントからブレーキスイッチを外すと外側のアダプターが残ってしまった
これはBRCさんのスイッチでスイッチ自体のねじ山は細く約7mm
アダプターを取り付け純正サイズm10x1.25に合わせている
純正品(廃盤)との比較
BRCさんのスイッチを買うと説明書に「締めすぎるとダメよ!」と書かれているのはこのため
M10のつもりで30N・Mで締めたら間違いなく折れる
M6であれば10N・M前後、M8であれば22N・M前後ということでM7であれば中間以下で良いでしょう
付いているタイヤは純正っぽいパターンで純正派に人気のF11/K87
なんと11年モノでもオゾンクラックは無し
これも保管環境に左右されます。
依頼事項でタンクキャップチェックの取り付けを依頼されたがこれが結構厄介
クッションゴムが硬化して潰れないのでピンが入らない
ゴムを外すとすんなり
そこでホームセンターに行って小さなシャコ万を購入し
クランプしてピンを通した
ピンのカシメは専用の治具をフライスで製作した
素材屋に行ってちょうど良い端材を買ってきて、フライスでシコシコ切削
作っておけば今後同様の作業に使えます。
ちなみにタンクキャップのカシメはこんなツールを作ってあります。
これもホームセンターで小さなシャコ万買って来て加工したもの
ホームセンターは宝の山ですね
タンクには依頼された4リットルのガソリン
念のためフューエル1を添加しました。
これは少しでも劣化スピードを抑えるための措置
このあと無事車検を通して
納車もショップ仲間に運んでもらいました。
次の車両はフルメンテナンスのCB400F
2年前にご予約頂いていて当店での車検は初めての車両
※現在新規の車検はお受けしていない
フロントブレーキの分解
後で聞いた話では車両購入後ブレーキを分解するのは初めてという
キャリパー
ん!?純正ピストンらしいが蓋が無い??
ピストンを外すと堆積物が.......
ピストンには錆も酷く無論交換
マスターシリンダー、タンク内にも堆積物
フルードは交換していたのでしょうが堆積物までは流れ出ない
さて分解
漏れているようですね
ピストンなどにも堆積物が付着
ブレーキパーツは水洗いが基本、中性洗剤で洗浄し乾燥させます。
キャリパーの溝には結晶がびっしり
専用ツールでそぎ落とす
出る出る!
きれいに磨いてこの通り
マスターシリンダーは入り口付近に荒れている部分があります(黒いところ)
これがシールの摺動範囲に掛かっていると漏れてしまう
ただ50年経つ車両ですから荒れていないものは無く少なからず滲んでる
しずくが垂れるほどでなければ仕方ないか
オイルボルト
この違いは右の純正品は鉄製、他の2本は社外でアルミ製アルマイト処理
結晶の腐食は純正のほうが多い
アルミ製品でアルマイトが掛かっていると結晶の付着が少ない
純正キャリパーでもCBR400Fなどのバッテンキャリパーやブレンボなどでシリンダー内までアルマイトが掛かっているものは結晶の付着が少ない記憶がある
それでもブラシは通す、純正品は汚れがひどく横穴が貫通していないので交換
社外のものは穴が貫通しているのでブラシで掃除
スリーウエイジョイントも中には堆積物が付着して白くなっている
これもブラシで除去する
大きい方のブラシは100均で買ったもの、注意深く探すと使えるものが結構ある
安いのでちびたら躊躇なく交換できる
ホームセンターでも100均でも常に使えるものは無いかと注意して物色するのが日常となっている。
次はリアホイール
ドリブンスプロケットの付く軸部分はドライ状態
ちなみにドライブスプロケット側は
やっぱりドライです
金属同士が擦れ合えば摩耗します
減ったものは元に戻りませんから減らせないようにメンテナンスをすべきです。
当店の車検整備でも潤滑を重要視しております。
スイングアームはピボット部のグリス入れ替えのため外します。
するとおかしなものを発見
なんじゃこりゃ
これはどう見てもチェーンで擦れたものだが
ここまで削れたのは見たことが無い
しかも削れている場所がおかしい
この画像を見ると斜め前方....普通では絶対にチェーンが当たらない角度
考えるに
この車両は逆輸入車なので海外で走っていた時にチョッパー仕様で長いフロントフォークを付け
リアは短くリジット状態でタイヤはフェンダーすれすれで乗っていたのではないか?
であればチェーンが変な角度で擦り続けるのであり得なくは無いだろう
外人さん、びっくりするような仕様で乗っていることがありますからね
あまつさえチェーンケースの保持ステーもぶった切られている
本来はこんなのが付いていますね
念のためブッシュを外すと
内側にめり込んでいて、削ると穴が開くでしょう
お客様に聞くと交換してくださいとのこと
たまたま所有していたリビルト済のスイングアームがあったので提供
ちなみにタイヤはお馴染みのTT100GP
案の定
製造後約1年これはひどい
タイヤに関してはこれくらいなら車検は通りますが実使用は怖いものがあり
お客様の自己責任で乗っていてもらうことになる。
足回りをばらしてこんな状態
オイルポンプからオイル漏れがあり
診断するとプレッシャースイッチのネジ部から
外してシール材を塗布して締め直すのだが
作業自体はセルモーターを外したほうがやりやすい
今回セルモーターのアーマチュアの軸部分のグリスUPをするために外してあるので良かった
エアクリーナーも汚れているので交換
現在21824マイル、4428km走行
作業が全部終了し
スパナを握りしめ車両を一回りして見えるボルトの緩みチェック
俗にいう「増し締め」だが締めるわけではない
締まっているものを更に締めればオーバートルクとなる
スパナを当てて力を掛けて動いてしまえば締めるし動かなければそのまま
手がある程度締め具合を覚えていないと難しい
そんな中、左下側のエンジンマウントが締まっていない
かつワッシャーがたくさん入っておかしなことに
ここは緩いからと安易に締めません
万一ボルトが長いとクランクケースに当たり、更に締めればオイルラインを攻撃してしまう
外して確認
これは交換しましょう
これで良し
はい完成しました。
ヘッドライトはメーカー不明の安いLEDバルブが付いており
テスター屋でチェックして万一ダメだった場合にH4バルブを持って行ったが無事光軸は出てくれた。
車検で持ち込む場合、灯火類は気を付けて欲しい
万一光軸の出ないバルブの場合、現地で交換作業を行い余計な手間賃が発生することになる。
もちろん検査ラインは1発合格
予定していた車検車両がキャンセルとなり
まとまった時間が出来たのでキャブレターのO/Hを敢行
現在3個のキャブを預かっていて
古いものでは今年の2月に預かったものになる
代替のキャブを組んで乗っていてもらっている
時間的なものが約束できないためだ
「キャブのO/Hなんかちゃちゃっと時間掛からないだろう」と言われそうだが
自分のやり方だとある程度時間が掛かる
また仕事の隙間に少しずつ進めるのも無理
作業するときは集中して最後までやりたいから
現在自分は整備作業の他にNetshopの運営、外回りなどもあり
妻も手伝ってはくれるがほぼ発送業務と簡単な棚出し程度
実際に整備作業は多くて1日の1/3程度、他の業務が忙しい場合が全く手が付かない日もある
これは一人親方でやっている以上仕方のないこと
従業員を使えば良いのだろうが店主は根っからの職人で人を使うことが苦手
以前従業員が居たことがあるが失敗しているため諦めている。
まずは1つ目のキャブレターから
まずは全バラします
ステープレートも分解
O/H歴はあるようだがジェット類は社外品
判別するために最近ではこんなものをかけないと細かい字が見えない
経年劣化とはいえ情けない
ジェットニードルは新品と比較しないと良否判断は難しい
ニードルジェットも穴が大きいかな
緩み止めの黄ペンが厄介な場合もありダイスでねじ山清掃
ちなみにこのキャブレターはCB350F用
違うのは
刻印(CB350F:656C、CB400F:054A)
スロージェット(CB350F:#35、CB400F:#40)
ジェットニードルセット
エアスクリュー(ボディ側も含め)
ステープレートのシャフトの位置決めピンの形状
仕上げ(CB350Fはステープレート側面、トップ、フロートチャンバーがバフ+クリヤー)
メッキの色(CB350F:ユニクロ(銀)、CB400F:クロメート(黄))
キャブクリーナーでの洗浄
今回のオファーは機能優先のO/Hのため金属パーツに再メッキは施さない
よってチョークのバタフライの分解は無い
泡タイプのキャブクリーナーを使うがメッキ部品は長時間浸すことによりメッキ層が侵され地金が出てしまう恐れがあるため
悠長な作業は出来ない
すすぎもパーツクリーナーをふんだんに使いキャブクリーナーを完全除去する(3~4本使う)
乾燥後に細かい掃除を行う
フューエルラインの堆積物、固まってはいるが剥がれてバルブに引っ掛かればオーバーフローの原因となる
細いワイヤーブラシを駆使して清掃する
フューエルジョイントも同様
ちなみに3か所あるフューエルジョイントのOリングはカチカチ、前回O/Hした際に交換していない
横着してフロートチャンバー内だけやってここのOリングを換えないで後の漏れ始めたら大事になります。
せっかくキャブを外したならここまでやらないと
組み立ての準備が出来ました。
交換部品
ステープレートを組みます。
軸受けのメタル部分にグリスをたっぷり塗って組み立て
キャブボディは1キャブごとに組む部品を分けておきます。
リンク周りを組んでおきます
各々組み立てます。
4つのキャブをジョイント
ステープレートを組み付け
ステープレートを組んだ時にチョークのレバーがカムに引っ掛かるので要注意
#1側だけキャブボディとステープレートに隙間が出来て
気にせず皿ねじを締めたら大惨事です。
引っ掛かりが無く隙間なく組めたことを確認し皿ビスを組みます。
ここは後で緩みやすいのでネジ緩み止め剤を塗布します。
また、何らかの作業でキャブを外したら緩んでいないか確認して欲しい(たいがい緩くなっている)
スロットルレバーを動かしてリンク周りの動きを確認
また、スロットルバルブの隙間をだいたい合わせておく
次にフロートチャンバー側を組み立てる
このキャブはフロート室は非常にきれい
ガソリンを腐らせると酸化して亜鉛ダイキャストのボディは侵されてどんどんボロボロになる
恐らくそんな目には遭っていないのだろう
各ジェット類、フロートバルブ、フロートを組み
フロートレベルの調整
必ずキャブを横にしてフロートのアームがフロートバルブの先端に当たったところで計測
立てて計測するとフロートの重みでフロートバルブを押してしまい正確な計測は出来ない
さぁ組み立て完了
この組み立て作業は集中したいので営業時間外にしか行わない(以前は夜中にやっていた)
来客があったり、電話が掛かってきて中断したくないため
この後単体のままガソリンを流し込んでオーバーフローをしないかチェックを行う
これで終わりではなく
自家用車に組み付けてプリセッティングと試乗を行う
同調調整、エアスクリュー調整、ファーストアイドル調整、オーバートラベルストッパー調整、スロットルバルブ開度調整などを行う
その後試乗
どうせすぐ外すのでオーバーフローチューブは外れたまま↑
これで問題無ければ完成
後日お客様の車両に組みますが
全ての調整は再度行う(補正程度で済む)
ちなみにキャブレターO/Hは現在休止中
再開は未定となります。