Maintenance SHIOHOUSE

■SHIOブログ■
「店主の独断と偏見でつづる個人的な日誌」

レーシングマシンならではの定期メンテナンス

2010-05-29 19:28:00 | CB400F/350F
先日ゴールデンウイークにもてぎで行われた「グッドオールディズ」で走行した、友人のCB400F RSCフルキットレーサーがメンテナンスのため入庫しました。
もちろんエンジンの定期メンテナンスです。
一回の走行時間は短いですが、組み立ててからグッドオールディズで3年連続走行、他の走行会でも走っているのでトータル5~6時間程走っているのではないでしょうか
チューニングされたエンジンはノーマルのエンジンとは比べ物にならないくらい過酷な条件にさらされますから
メンテナンスのスパンも短くなるわけです。
不具合があって開けるのではなくて、トラブルを防止するために開けるのです。

当時レースをしていた長老に話を聞くと
ヨンフォアがレースで走っていた頃は毎レースごとにプライマリーチェーンは交換していたそうです。
16000rpmまでまわすとエキゾーストノートは金属音になり
ストレートをそんな音させて走っていくと
分かってる人は「帰ってこないな」とつぶやくそうです。
案の定壊れてピットまで戻ってこなかったそうです。

もちろん今回もプライマリーチェーンは交換です。
万一切れたら一大事です。
また、各所に現在の技術で使える表面処理などを施します。
貴重な部品だけに磨耗させない壊さないようにします。

ある程度、過激なチューニングを行うなら
レーサー並みのメンテナンスを行って欲しいと思います。
もちろん当店でも依頼されたときには
乗りっ放しにされそうな方にはお奨めしませんし
定期的なメンテナンスをするのを条件とします。


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「知らない」ことは恥ずかしいことではない!

2010-05-28 22:38:00 | ノンジャンル
当店に来る問合せやメールなどでよく
「自分は無知なんですけど」
なんてことを言われる方がたまにいらっしゃいますが

誰でも最初は知らない(解らない)ものです。
知らないものを「知らない(解らない)」と言うことは恥ずかしいことではないのです。
教えを乞うことは恥ずかしくないのですよ。
逆に知ったかぶりをするほうが恥ずかしいのではないでしょうか?
問題はその後です。
人間興味があることはどんどん頭に入っていきます。
「知りたい、覚えたい」というどん欲さが大事なのです。
いろんな資料を読み、いろんな車両を見て、いろんなパーツを見て
どんどん覚えていけばよいことなのです。
急ぐ必要はありません
昨今、「当時もの」と言われている昔の社外パーツなどがもてはやされていますが
現物を見たことが無いのに大騒ぎ
インターネットオークションなどでも「おいおい、違うだろう」っていうものに高値が付いていたり
書かれていること、聞いたことを鵜呑みにするでなく自分自身で見て頭に入れておく(記録して置く、画像を残しておく)ことが大事です。
私なんかも高校出て即ホンダSFに入社して純正路線まっしぐらですから
当時モノは詳しくありません
よく問合せがあるのですが
「申し訳ありませんが私は当時モノに興味が無い為良くわからないのです。
その辺のマニアな方のほうがよく知っていますよ。」
と正直に答えます。

また、前記のような発言が出るのは
おそらく私が普段からこのブログで厳しいことを書きすぎているのも有るかもしれませんね。
「考えろ!」の連発ですから。

技術的な相談でもサービスマニュアルを見て(パーツリストを見て)どうしても解らないこと、自分で努力して解らないことは喜んで助け舟を出します。
逆に資料も無く「買うのももったいないし、その都度聞けばいいや」こんな方々はおそらく何度説明してもその場しのぎで頭に入らないでしょう

これから先、長く付き合うバイクだからこそいろんなところから知識を得て、蓄積し
不具合が起きた場合にはどんな症状で何処を修理して(調整して)治ったと
ノートに記しておくなどそんな姿勢が大事なのです。
将来的にそのデータが助けてくれることになるのです。
キャブレターのセッティングと一緒です。
1箇所いじったら(JET交換したら)走って、インプレッションを記録しておく
良い所に行っても、悪くなるまで進めて
あとからデータを見直して一番良いところで合わせる
無論、日付、天気、気温、湿度も記録しておく
バックアップをとることは非常に大事なことです。

昔は夜な夜な仲間で集まって深夜までバイク談義に花を咲かせていました。
このようなところでもいろんな情報が飛び交います。
さしずめ今時ではネット上のバーチャルな集まりになるのでしょうか
見ていると結構デマが飛び交うこともありますね
突っ込む方もネット上で顔が見えないから高飛車な言い方
云われた方も怒って、またお祭り好きも居ますから即炎上!
良くありがちな話です。
好き者同士で集まってお互いに知識、スキルを高めていく
大事なことです。

当店でもそうですが直接の会話は大事だと考えます。
お客様でも話がしたくて来る方も居ますから
土日はお客様対応で終ることもしばしば
たまに行列状態になることもありますから
その場合は是非、恥ずかしがらずに他のお客様と話をしてみてください
新たな情報が得られる場合もあるのです。
当店は敷居が高い分腰掛けるにちょうど良い段差がありますので
腰掛けながら情報交換、故障自慢、楽しそうでしょ!




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素材の良否を判断する目を養う

2010-05-25 22:27:00 | CB400F/350F
今日は定休日ですがシャッターを閉め、留守電と閉じこもって作業にいそしんでおりました。
夕方から納車がありスペア運転手の嫁とともに出かけます。
(どうも丸いハンドルを握ると睡魔に襲われるもので......)

途中、川口のコンビニで食料の買出しをして出てくると
外にいた見知らぬ人が頭をペコッと下げた!?
背後にも人気を感じていたのでそちらに挨拶をしたのかと思い
対応せずに横を通り過ぎようとしたら
「シオハウスさんですよね?」
えぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~誰だっけぇぇぇぇ?????
頭フル回転で考えますが解らない!まずいまずいぞ!
と思ってるうちに
「いつもブログを拝見しています。」
「乗っているのは他車種なんですけど」
とのこと
(あ~初めての方なんだ~よかった~と胸をなでおろす)
「ありがとうございます。この近所なら店は近いので是非お越しください、
コメント欄にどんどん突っ込んでくださいね」
と話しお別れしたのですが
いやぁ悪いこと出来ませんね~
面がわれてしまっているのと、トレードマークの「腹の出たサロペット姿」
この格好で何処にでも行ってしまいます。
ホームセンター、食事、日帰り温泉....
先日はバスに乗って呑みにも行ってしまいました。

さてさて週末の出来事、最終章
「名古屋からの来訪者、インターネットオークションで買った車両を診せに来るの巻」

実はこのお客様これで2台目
1号車は....当店に入庫中
この1号車で酷い目に遭っているのです。
本来は当店のフルレストア車の中古車を購入予定だったのが
都合により予算の確保が出来なくなり
若干安い車両を他のルートで購入したのですが
フルレストア済みの「渾身の一台」と云われて購入したそうですが
直感的に何かがおかしいと感じ
当店にエンジンO/Hならびに車体周りの完璧な仕上げを依頼をされたのです。
まぁよくありがちな適当に手を抜かれて仕上げた車両(当店比)
二度手間となったために結果高額の出費になることは云うまでもありません。

今回は2号車が欲しいとのこと
1号車は398、2号車はさらに希少な国内408が欲しいと
で、できれば1号車の余ったパーツを使い自分で組みたいということで
フレームとエンジンが欲しいと打診がありました。
しかしながら部品から組むのは容易ではありません、大まかなパーツがあったとしても必ず細かいパーツが足りなくなります。
その都度オークションで買っていては結果高くついてしまうのです。
私としてはその辺を説明してベース車両、書付部品取車両などの購入を具申しました。
そこでお客様より
「某インターネットオークションに国内408が出ているので見て欲しい、また御社に車両があればその方が良い」と云われました。
当店にもベース用に国内408が1台ありますが、オークション車両と比べると距離は走っている、サイドスタンドブラケットはいい加減に補修してあるでお奨めできないと説明

オークション車両の方が商品説明を見る限りよい素材である。
ただし、あくまでもインターネットオークションですから必要な部分は質問し、可能なら細部の画像をもらうように指示しました。
連休後と言うことも有り競合せずに落札できたとのこと
出品者は関東なので引き取った帰りに診せてほしいと話をしておきました。

で、来たのがこれ

おぉ~いい塩梅に熟成されています。
納屋にでもおいてあったのでしょう

初年度登録と車検満了日に注目

50年6月登録、54年7月車検切れ
実質4年間しか乗っていないのです。
メーターは交換されていて実走行距離は不明ですが細部を見れば
うかがい知ることは可能です。

錆が多い下回り、

雨水が入りパイプ内部から腐ることが多いのですが納屋の中なら安心です。
サイドスタンドブラケットがオリジナルのまま!いいですね~
溶接部分の錆の具合をチェック!
ステップなどのゴム部品の減り具合でも距離の判断になります。


錆の状態も気になりますので万一必要なら大きく形を崩さないよう補強します。


スプロケットの山の減り具合、ドラム内面の減り具合でも判断可能です。


ストッパーもばっちり生きています。

次にエンジン
プラグホールからホールライトで中を覗きシリンダー内壁をチェック!
#1、#4は錆は無さそうに見えます。ホーニングのクロスハッチもしっかり残っていました。
クランクは最低限しか回しません、メタル、ジャーナルを傷めるからです。
ただし、唯一の不具合箇所

プライマリーギアのボルトが緩んでケースを突き破ろうとしています。
それで乗るのを止めてしまったのでしょう
たしかこのことは商品説明に書かれていなかったような気がします。

外回りが汚くても中身で勝負です。
内部パーツのコンディションでO/Hした後のエンジンの音が変わってきます。
同じ作業でも走っているエンジンより走っていないエンジンの方が静かなエンジンが出来ます。
今回は良い買い物だと思います。(中身を診てからですが.....)

インターネットオークションでも全部が悪いわけではないのです
しっかりと質問をして、見に行ける範囲なら事前に見に行く、
購入する側がしっかりと目を養うことが肝心です。

追伸
友人からコメントを頂きましたが
逆輸入車の場合はひっぱってきた国によってコンディションも変ります。
アメリカの雨の少ない乾いた地域からの車両は錆が少なく良いコンディションだったりしますね。
ヨーロッパでも日本と気候が変らない地域だと錆もそれなりにあるような感じです。
また、保管場所でも屋内と屋外でも違いますし、屋内でも納屋みたいに土間だと湿気でやられたりしますね。
距離が少なくてもあまりにも錆が多すぎるものもいかがかと思います。
たとえばゴム製品などのように走っていなくても紫外線やオゾンで劣化するものもありますので
距離が少ない=上物車両と言う図式は成り立たず
今回はフルレストアを見据えて、=「上物のベース車両」という考え方です。
今回のクラッチカバーの割れなどもまぁ想定内の範囲です。
シリンダーヘッドのスタッドボルト穴が変な修正されていたり
フィン欠けをいい加減な修正されているよりよっぽどマシですね。
インターネットオークションで現物を見ずに買うというのはこのようなリスクも想定内で考えて落札するべきです。
私とて、何度使い物にならないものを落札しているやら
たいがいの場合、商品説明には詳しく書かれていませんし、画像も制限が有るため詳しく載せられません
大人として、どんなものが来ても問題ないだけの金額の入札でとどめて置くべきでしょう。
そのために少ない画像の中でどれだけの情報を得られるかということです。
いろんな車両を見る、部品を見る、資料を読み漁る、仲間と討論するなどで
「目を養うこと、知識を蓄積すること」が大事だと思います。
実際に良いものは「目で見る」、「触ってみる」ことは大事なことだと考えます。
(バイク業界に関わらずいろんな分野で一緒ではないでしょうか。)


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よくある風景

2010-05-24 20:45:00 | CBX400F/550F
オイル交換でお越しになったCBX400F
なにげにいい塩梅で乗りっ放し風味

オイルを抜いている間に各部のチェック!(あら捜し?)

なんと、エアクリーナーケース内に蜘蛛を飼っていらっしゃいました。

新品のエアクリーナーと比較すると..........合掌!
(すこしグレー色になったら感度のいい人なら微妙に調子が悪くなるので解りますね)

ドライブチェーンもノーメンテ状態


摺動部のグリスUPもされていない。錆びて赤い粉が出ています。


また、おなじみの前後サスペンションのへたり
&おそらくグリス切れだろうステムベアリングの動きが渋い
前後足回りO/Hで御見積り
フロントはオリジナル品のスプリングに交換(単品非売品)、フルO/H
リアはショックアブソーバーの詰まりによる作動不良
沈んだら戻りにくい(戻らない)、本来は非分解でお手上げだったのですが
最近純正ショックのO/Hが比較的安く出来るようになったので助かりますね。
リンク周りのフルO/H、たいがいグリス切れで錆びて動きが悪くなっている
キャップ、カラー全交換(キャップがシールになってるのを解っている人がどれだけいることやら)
スイングアームピボットのベアリング、シールの交換
あとは先ほどの前後スプロケット&チェーン交換

もちろん総合点検も行います。
(基本メニューでスイングアームの分解まで含むため内容によっては併用したほうがお徳ですね。)
それでもトータル20万円越え
実際作業に掛かるとさらに増える可能性もあり。

作成した御見積りを見てうなってしまいました。
気持ちよく乗りっ放ししたツケがこの通りです。

リアショックアブソーバーみたいに分解できないものや
(定期的なオイル交換でも劣化したオイルの結晶化は遅らせることは出来るかもしれません)
フロントフォークのスプリングのようにへたるものは仕方ないですが
グリス切れで不具合起こさせるのはオーナーさんのメンテナンス不足の賜物です。
浪費を防ぐ為にもマメにメンテナンスを行って欲しいですね。




先入観、思い込みは危険2

2010-05-23 21:07:00 | CB400F/350F
昨日、今日と週末は大忙し
昨日は開店と同時に行列状態でしたが
天気も良く、入り口の段差に腰掛けてお客様同士で歓談し
親睦を深めていました。
今日は今日とで雨だから大丈夫かと思いきや
たった今まで来訪者が絶えずに
うれしい悲鳴です。
その分、ネタも溜まったので小出しで出していきますね

さて、先日のキャブネタで書いた
「総合点検、キャブO/Hでの修理予約のCB400F」

実際に預かって確認すると
「バスバス、パンパン」酷い有様
っていうか燃料系じゃ無く点火系やん!
てなことでポイントカバーを外すと......

なんか酷いぞ......#1、#4のポイントのアームはほとんど動いていないぞ~
コンデンサーも潰れて、程よく濡れてるし...


#1、#4側..合掌!


#2、#3側..合掌!....「な~む~」


コンデンサー...「これはあかんて!」


ガバナー...カラカラです。
熱が掛かるところです。グリス塗っても流れ出てしまいますから定期的なメンテナンス(グリスUP)が必要です。
ポイント調整の際に一緒に行って欲しいところです。
「えっ、ポイントもノーメンテ!?あかん!あかん!定期的に修正&調整しないとクレーターが拡大して上の画像のようになりまっせ」

当店のテスト用のポイントASSYとガバナーに交換すると
絶好調!

キャブレターはまだまだ問題ない状態です。
云われたからと言ってO/Hすることもないですから(もったいない!)
総合点検で不具合箇所が色々出るでしょうから、他の部分の機能性UPに使いましょう。

ブレーキパッド交換
前後スプロケット、チェーン交換
リアタイヤ交換
ポイントASSY交換
(TECの場合は単品でポイント、コンデンサー交換するよりASSYの方がお徳です。)
オイルポンプOリングセット交換
ブローバイホース交換
ダストブーツ交換
オイル交換
などで
TOTAL約12万円くらい掛かりました。

乗りっ放しを自覚しているお客様からは
「想定内でした、キャブをやらなかった分安く済んで良かったです」
とのことでした。


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