初めて当店で車検、総合点検を依頼されるお客様には
予約日以前に一度下見をさせて頂いております。
というのは
いきなりすごいのが来て
予定していた期間で終わらないなんてことになると
予定が大幅に狂います。
特に梅雨時は外に出せなくなり
作業自体が出来なくなる可能性があります。
今回の車両もそんな一台
2週間前に診せに来ていただいたときに
クラッチずるずるで試乗も満足に出来ない状態
よく50km以上乗ってきたと思いました。
タイヤの空気が少なくなっても気付かないように
人間って優秀ですから慣れてしまいます。
本人も「そんなにひどいですか?」状態なので
当店デモ車である、私の自家用車に乗せてみると
あまりの違いに驚かれていました。
中古で手に入れた車両はその状態がスタンダードになってしまいますから
本来の状態がわからない
比較試乗が出来るように自家用車は基本フルノーマルにしています。
さて、そんな状態で帰すわけにもいかず
その直前にしばらく居た事故車も出て行き、緊急用の枠が空いていましたのでお預かりすることにしました。
実際の予約日までの間に手が空けば診たかったのですが
そうは問屋が卸してくれず
本来の予定日からの着手となりました。
ぱっと見、右フロントフォークからのオイル漏れ
オイルシール際に縦傷が無数にあります。
オイルシールは統合されたエアサス対応のダブルリップが付いていますから
ゴムの劣化というよりはキズから上がったと思います。
では、左側は?
まだ漏れは始まっていませんが同様に縦傷があります。
画像が暗くて分かり辛いですが
オイルシール外周に傷がたくさん
大方、オイルシールドライバーを使わずにマイナスドライバーなどで作業したのでしょう
オイルシールにも傷が付きますし、下手すればインナーチューブにもキズを入れてしまいかねません
よい子はまねをしないように
メータークッションも完全に「合掌」状態
何の為にメーターをフローティング状態にしているか…読者ならお分かりですよね。
下部のナットを外すと…
カラーが1箇所しか入っていない!!!!????
ひどいなぁ
これもよくある風景
インジケーターのパネルが浮いています。
これは放っておくと高速走行中にはがれてレンズごと居なくなります。
店主、経験済み(笑)接着剤で補修しておきましょう。
フローティングマウントといえば灯火類は本来全部フローティングされています。
この場合は振動による球切れの防止ですが
これもよくある風景
リアウインカーリジットマウント!
...........
さて、ではフロントブレーキから
うわぁ、漏れ漏れですねぇ
パッドもフルードが浸みこんでいます。
となればピストンに錆のクレーター
お約束ですねぇ
マスターシリンダーもなにやら堆積物
そんなフロントブレーキは全バラ~中性洗剤を使い水洗い(基本です。)
キャリパー、
オイルボルト
スリーウエイジョイント
いたる所に白い結晶があります。
丹念に掃除しなくちゃです。
依頼事項の
エンジンを掛けると#1だけエキパイがぬるいと
確認するとたしかにあからさまに温度が違う
例えば、1気筒だけと#1、#4または#2、#3だけとか決まった気筒が不調な場合で
診る部分も変わります。
今回は
コンプレッションを測定すると均等
プラグキャップは若干問題があるが関係なさそう
次はキャブと
まず、同調をチェック
同調が狂っているときの特有のガタガタ音がしよります。
案の定!
バラバラですやん!
きちっと調整して
ついでに点火時期もチェック~調整(ずれていました)
一度、マフラーを冷やして
再度エンジンを掛けると今度は均等に暖かくなりました。
よくみると
スロットルワイヤーを固定するステーが曲がっていて
ワイヤーが斜めに!!
これ、無理が掛かりますからワイヤー切れの原因にもなりますね。
きちんと位置だしするにはキャブ外す必要があります。
また、プラグは真っ黒
エアスクリューもかなり開き気味で
混合気はかなり濃い様子
オーナーさんにキャブO/Hを具申しなくちゃですね。
IGコイル
#4のハイテンションコードの根元の被覆が割れてゴムのみでプランプラン
リークの可能性があるので要交換です。
プラグキャップも
左から#1~#4
#1、#3が状態悪いですね、ねじ部に緑青噴いています。
またすごいものを発見!
クラッチレバーが逆組み、スプリング無し!
ヒューズボックスもお約束ですね
蓋が付いていないし(ショート注意!)
発熱で溶けた形跡があります。
裏蓋を外して半田付け仕様の古いものだったら
新しいもの(かしめてある)に交換を具申いたします。
左右スイッチのコードも途中でギボシ止めしてあったり
しびれる取り回し
(本来まったく違うところを通りますね)
バッテリーも1サイズ小さなMFバッテリーが付いていて
オーナーさんからノーマルに戻して欲しいと依頼事項
バッテリーを外すと
けっこう錆びていますね
むむむ、下側のエアクリーナーマウンティングラバー、下側のがずっこけて出てきています
他の3箇所もクラックがあるため交換しましょう
オイル漏れは
Lカバー内のみ
メインシャフトのオイルシール外周から出ているのが分かります。
カウンターシャフトとあわせてコーキングでお茶を濁しましょう。
あとはニュートラルスイッチのOリングから出ている様子
Lカバーを外してチェックしておきたいのが
サイドスタンドのブラケット
角度が寝ているので一度剥がれ掛けたのは間違いない
表側は
てんこ盛りに溶接補修して有りますが
(ペイントを剥がしてそのまま?タッチアップ無しですか?)
裏側は
覗けないのでデンタルミラーを使います。
まるっきり手付かずでぱっくり開いています。
エンジンを下ろさずに溶接補修したので、裏側は溶棒が入らないためスルーしたのでしょう
現状、サイドスタンドを持って力を掛けても動きませんが
どれくらいもってくれるかですね。
一度、概算見積り出したのですが
やり直しですね