NetShopリピーターさんよりメールで問い合わせが来ました。
「SHIO HOUSE様
こんにちはXXと申します
部品購入でお世話になっております。
早速で有りますが先日購入したクランクシャフトベアリングについて
お聞きしたいのですがエンジン後方の刻印はB.C.C.C.Cとされていたので
ベアリングをBを2個(ブラウン) Cを8個(グリーン)注文しました
.クランクシャフトをマイクロで測定すると
31.85mm 31.85mm 31.90mm 31.90mm 31.85mmです
クランクケースの外径は測定機が無い為実測していません
私の購入品で正しいのか不安になりましたので質問をお願いします
元のクランクシャフトベアリングは色がきえて居て分かりません
どの場所に有ったか外れて仕舞い混ざってしまって判別不明です
1/1000まで図れるマイクロで測定しましたが不明でした
その為プラスチゲージでの測定はしていません.
よろしくお願いいたします。」
まず、CB350/400FOURのサービスマニュアルが非常に不親切というか
プロ向けの感があるため、「プロなら知ってて当たり前」みたいなことには触れていなかったりする
今回のクランクベアリングの選定に関しても
クランクケース内径、クランクシャフト軸外径、コンロッド大端部、クランクピン外径を測定しろという
マイクロゲージ、ダイヤルゲージが無ければ出来ない、無論ビギナーが持っているはずもなく
買い揃えたとしても慣れなければきちんと測定できないだろう
本来、ベアリングの選定はクランクケースの内径コード(上の画像の左ページの図の左列)と
クランクシャフトの軸の外径コード(同上列)で判定するが、肝心なコード番号が載っていないのが分からなくする元凶
例えばCB400F(398)用のパーツリストならクランクシャフトのページに選択表が載っており非常に分かり易い
408のパーツリストにはこの表は無いため、408オーナーでも398用パーツリストを推奨している
メインベアリングの選定は
クランクケースのコード番号(アルファベット)とクランクシャフトのウエブにスタンプされたコード番号(数字)で判定する
コネクティングロッドベアリングの選定は
コネクティングロッドのコード番号(数字)とクランクシャフトのウエブにスタンプされたコード番号(アルファベット)で判定する
クランクシャフト、白文字でスタンプされているのが分かるだろうか(黒文字だったり刻印の場合もあり)
スラッジで見えなくなっている場合もあり、やたら擦って洗浄すると消えてしまう場合もある
水溶性のパーツクリーナーなどでスラッジを溶かすと良いだろう
どうしても読めない場合はマイクロメーターで計測する
自分はエンジンを分解して部品としてストックする場合にコード番号と各軸部での振れを書いておく
ダイヤルゲージの動いた数値だが、実際には半分の数値になる
CB400Fの場合は398/408の区別も書いておかないと後で面倒
コネクティングロッド
内径コード(数字)
重量コード(アルファベット)
このように見えなくなっている場合もある
この場合は保管する際は4本まとめて、使うときはこの4本で使うようにする
例えばこのクランクケースとクランクシャフトで選定すると(先の398パーツリストを参照)
クランクケース A / B / A / B / B
クランクシャフト 1 / 1 / 1 / 1 / 1
ベアリング D(黄)/ C(緑)/ D(緑)/ C(緑)/ C(緑)
コネクティングロッドは4本とも#2と仮定し
コネクティングロッド 2 / 2 / 2 / 2
クランクシャフト A / A / A / A
ベアリング D(黄)/D(黄)/D(黄)/D(黄)
このように選択する
っクランクシャフトのコード番号が見えない場合にはマイクロメーターで軸外径を測定、選択しプラスチゲージで確認して決める
コード番号が分かってベアリングの選定をした場合でもプラスチゲージでオイルクリアランスは確認したほうが良いでしょう
50年経っているバイクですから軸がわずかでも細くなっている場合もある
この仮選択でメインベアリングにD(黄)の部分があるが廃盤となっていて手に入らない、この場合は付いていたベアリングに問題が無ければ(焼き付き/かじり/摩耗大)
古いものをそのまま使わないといけない、または厚くなるがC(茶)を入れてみてプラスチゲージでオイルクリアランスを確認して規定内に入っていれば良いだろう
エンジンを分解した際にメタルは何処に?上下どちらに?を分かるようにしておかないといけない
(この画像はCBX400F、上2段がメインベアリング、下2段がコネクティングロッドベアリング)
側面の色はまず消えているだろうからどこに付いていたか分から無くなればもう使えなくなってしまう
よく聞かれる話でベアリングの裏側の数字からは色は分かりません
今回の質問の内容だとクランクケース背面のコード番号だけで判断してベアリングを買いそろえてしまった様子
まず、クランクシャフトのコード番号が読めるかどうか読めなければ計測した数値から割り出すようになる
必ず最後にはプラスチゲージで確認して欲しい
例えばCBXあたりの縦型A4版サービスマニュアル
こちらはビギナーでも分かり易いかもしれない
コード番号の位置が載っている
※実際にはクランクシャフトは側面にスタンプか電気ペンで書かれている