拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

下水処理班

2009-01-11 18:55:38 | テレビ
昔から、それこそ小学校時代から好きだってことは変わらないのだが、やはり年末年始の特番シーズンを過ぎた直後は普段よりもWコージ、特に東野幸治への敬愛が増す。あぁ…若手芸人がどんなくだらないギャグでスベっても、必死に良い感じに盛り立てる「下水処理班」(千原ジュニア談)のような仕事を、あっちこっちの年末年始番組でガンガンこなす今田・東野を見てると多幸感につつまれるぜ。若手とのくだらない掛け合いも面白いが、今田もしくは東野のどちらかががキレた(ふりをする)時に片一方が必死でフォローしてるのを見てると本当に幸せ気分。「知らんがな!」「関係あらへん!」と若手を冷たくあしらう東野、「怒らんといてーな東のり~」となだめる今田…要は二人の掛け合い見てるのが一番好きさ。今田・東野がそれぞれ単独で司会してる時は「あぁ、ここに相方が居れば…」といつも思う。それにしても…東野良いよなー。若手をフォローする優しさと、若手に全く無関心な冷たさのギャップがたまらん。
Wコージと、私の住む東海地区は関係が深い。もう、かれこれ20年近くずっと、彼らは東海ローカルの深夜番組のレギュラーを持ち続けている(今はCBCテレビの『ノブナガ』。他に兄弟番組として『ヒデヨシ』『ミツヒデ』などがあった)。本人達にとっても名古屋は特別な場所のはず。東野が元奥さんと知り合ったのは名古屋ローカルの番組がキッカケだし、『ノブナガ』での今田は『爆笑レッドカーペット』でのハキハキした司会ぶりとは一味違うし。Wコージに愛着の無い名古屋市民なんているのかしら?…というのは明らかに言い過ぎか。でも土曜深夜、『やりすぎコージー』に比べればかなりユルいテンションで司会する二人を、お茶をすすりながらボーっと見るのは、この上ない喜びだったりする。
さて、私が東野を好きになったきっかけはもちろん『ごっつええ感じ』。今田より2年程も遅れてレギュラー入りした東野だが、数々の名作コントや珍企画に体当たりで挑む彼は、見る者に強烈なインパクトを絶えず与え続けた。今では若手のフォロー役、下水処理役が板についた東野だが、『ごっつ』メンバーの中では完全にイジられキャラ、つまり下水。素敵でした。でも私が「これぞベストオブ東野!」と思うコントは『ごっつ』のやつじゃなくて、『ごっつ』終了後に松本人志がビデオでリリースした傑作コント集『VISUALBUM』収録の「ゲッタマン」(Vol.「バナナ」に収録)。コレでしょやっぱ。このコントで東野は、映画『ロボコップ』にも影響を与えた「東映メタルヒーローシリーズ」のような特撮ヒーロー「ゲッタマン」に扮する俳優役を演じている。
鋼鉄で出来たスーツを身につけ「ゲッタマン」の撮影に挑む東野。しかし松本人志演じる「ゲッタマン」原作者の気まぐれのようなアイデアにより、東野のメタルスーツのパーツがどんどん剥ぎ取られ、敵役の「毒アゲハ人間」にそのパーツを奪われるハメに。「…これ、明らかにおかしい事になってるんじゃ…」という東野の訴えは原作者や撮影スタッフ(今田など)に無視され、しまいには「口出しすんな!」「黙っとけ!」「つーかお前ごときにこんなパーツ勿体ない」と理不尽に罵倒され……結局、主役にも関わらず、東野は何故か身ぐるみを剥がされ無惨な姿に…(笑)。「ひらめいた!これ外しちゃいましょう!」と松本に言われ、今田達に「そーですね!」と同調される度にパーツを奪われ全裸に近づいていく東野の、悲壮感と周囲への不信感、猜疑心の塊のような表情は、完全に演技の域を超えている。芸人・東野幸治の心の闇や、イジられ芸人の苦悩が露になってしまった禍々しき怪作。このコントを観た東野の娘は「ダディ(と呼ばれてるらしい)いじめられてる…」と泣いたそうだ。ちなみに東野本人も「コントだと分かっていても、演じてて辛かった」と後にコメントしている(DVD-BOXの出演者インタビューより)。