拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

Be Kind Rewind

2008-04-15 19:28:16 | 映画
『Be kind rewind』という映画が気になる。アメリカでは公開されるやいなや大好評。一日も早い日本公開が待たれる映画として一部で話題騒然の映画だ。
日本未公開だが、あらすじは既に明かされている。舞台はとあるビデオレンタル店。ある日、電磁波の影響で、店内に置いてある全てのビデオソフトの映像が消えるという大惨事が発生。これじゃ商売にならない!!困った店員たちはなんと、自力で有名な映画のパロディーのようなものを撮り、そのビデオを店に並べるという暴挙に出てこのピンチを乗り切ろうとする。映画の撮り方など全く知らず、予算だって全く無い店員が生み出す名作映画の「リメイク」の数々は抱腹絶倒。アルミホイルで作ったようなショボい衣装を身に纏った『ゴーストバスターズ』、小学生の工作並の仮装でウロウロする『ロボコップ』、段ボールで作った紙芝居みたいな『ライオンキング』………
YOUTUBEで、この『Be kind rewind』の北米版の予告を見る事が出来る。素人が必死で作った低予算リメイク映画の面白さ、バカバカしさは予告編で充分窺い知る事が可能。この映画は、「CGに金をかけまくっただけの映画の何が面白いんだ?」ということをストレートに描いた作品なのだろう。映像技術の劇的な発達で、もはやCGで表現出来ないものなど何も無いと言われている。しかしながら、技術の進歩と映画の面白さは比例しない。迫力あるCG以外に褒める所が見当たらない映画は沢山あるし(『300』もCGが凄い映画だったが、あの映画のエンターテイメント性の本質はCGではなく、鍛え抜かれたスパルタ男子達の肉体と狂った精神力にある。誤解の無いよう注意されたし…って我ながらウゼー)、逆に今から見れば相当ショボい映像であるSF映画『猿の惑星』や『未知との遭遇』だが、作品自体の魅力は全く薄れてはいない。また、アクションシーンにCGを使わず生身の人間に委ねた『アポカリプト』も傑作だった。生身。生身の人間が繰り出す動きは、見せ方次第でCGを凌駕するのだ。いやぁ、予告編何度見ても笑える。なにあのショボすぎるロボコップ。作りはコント以下だけど、キレ味とインパクト抜群だ。
素人パワーの脅威、というのもこの映画のテーマだろうか。youtubeのおかげで、自作の映像を全世界に発信することが誰にでも可能になった時代である。ブログが流行りだした頃、「誰もが情報を発信する側、メディア側になれる時代」みたいなことを言われてたが、それよりもさらに発展している。youtubeに大量にアップされてる自作映像は、アニメの素材を編集して作った所謂MADやら、曲と曲を勝手に合体させたマッシュアップもの(モー娘×ライムスの「アマチュアリズムレボリューション」は名作!)、コピーバンドの映像など、素人の自己主張が爆発した珍品がずらりと並んでいる。大半はくだらないものなのかもしれないが、それでもたまに、キラリと光るセンスの持ち主に出会えたりもする(宇多田や安室、浜崎などの曲を英語に訳してカバーするアメリカ人、ソプラノリコーダーでラルク吹くブラジル人…)。そういった素人表現者たちのパワーが、『Be kind rewind』にも溢れてるはずなのだ。
主演は『スクールオブロック』がヒットしたジャックブラック。あの映画日本でもかなりヒットしたし、『Be kind rewind』の日本公開もそう遠くないかもな。

Be Kind Rewind trailer