拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

60s70s80s

2008-03-02 22:02:37 | 音楽
安室奈美恵とヴィダル・サスーンとのコラボ企画「60s70s80s」がかなり素敵な事になっている。60年代、70年代、80年代を代表するポップスクラシックを現代風にリメイクし、その楽曲のPVをヴィダルのCMに使用、というコラボ。安室の超一級のエンターテイナーとしての才能とエイベックスの巨大な資本が見事なタッグを組んだ企画。本当、バカに出来ませんよあの会社…。今日はこの「60s70s80s」の中から、60sと80sについての感想などを。……70sはあんまりピンとこなかったんだ、実は。
60sは、シュープリームスの「BABY LOVE」のリメイク「NEW LOOK」。かなりポップで可愛いミディアムテンポの曲。曲名も変わってるし、何も知らずに一聴しただけではリメイクだと気付かない曲である。メロディーもアレンジしてるし、原曲をわかりやすく引用してる部分はコーラスの「♪Baby love~」くらい。でもアレンジはかなりレトロで、古き良きアメリカンポップスの香がふんだんに漂う。小刻みに奏でられる少しくすんだ音のピアノと鮮明なキックのバランスが、古くなりすぎず、新しすぎずで見事。
歌詞には60年代を生きる、流行のファッションを追うのが好きな女の子な日常が描かれる。日本にミニスカートブームを巻き起こした映画女優に憧れたり、雑誌やお店で常に新しい洋服をチェックしてたり、パリコレのモデルを真似てウォーキングするのが好きだったり…そんな子。こういう子は60年代だけじゃなく現代にも沢山いるけど、「NEW LOOK」の女の子は妙に楽しそうで、キラキラ輝いている。60年代と言えば日本経済は右肩上がり。「明日は今日より素敵な日になる」と本気で信じられた時代……って生まれてないからわかんないけど、なんかそんなイメージがある。60年代のポジティブでワクワクするような空気感を込めたような、そんな曲。可愛いなぁ。
80sは映画『Flush Dance』のテーマ曲「WHAT A FEELING」のリメイク。ディスコブームを巻き起こした、誰もが知ってるあの曲である。やっぱ「80年代」っていうとこういうイケイケなダンスミュージックが浮かぶなぁ。80年代=刹那的快楽、バブル、サーファーディスコ…みたいなイメージ。当時のシンセのサウンドを現代の機材で表現したような、エレクトロニカな手触りの歌謡ディスコチューン。頭の悪そうなケバケバしいシンセが笑いを誘う。終盤のブレイク部分、まるで野球の応援のような間延びしたメロディーが「もう踊り過ぎて頭真っ白!カラッポ!」みたいなバカバカしさが感じられて最高である。
歌詞はとにかく「ダンスが楽しい!!」、これに尽きる。安室が作詞したわけではないが、彼女の生き様が透けて見えるかのような歌詞になっている(気がする)。スターを目指して、とにかく踊りまくる女の子。誰もいない真夜中のオフィス街、ビルの窓を鏡代わりにして朝まで踊りまくる。これ、安室本人も経験があるらしい。ブレイクまでの下積み時代が長い事で知られる安室。歌詞にあるように、「抜け出すため 昇りつめるため」「誰よりも輝けるように 誰の心も照らせるように」踊り続けた結果(もちろん歌のレッスンも)、スターになった安室。彼女のブレイク以降、彼女が所属していた沖縄アクターズスクールにスポットが当たり、出身者たちが次々と鳴り物でデビューしては消えていった。つまり沖縄アクターズスクールが凄いのではなく、安室の努力が飛びぬけて凄まじかったのだ。アクターズスクール出身者で今、最前線で活躍している人が安室のみであることがそれを証明している。今だに全盛期のようにスリムな体型でキレのあるパフォーマンスが出来るのは、スターになった今も日々の努力を怠らないからであろう。ルックスや才能や運に恵まれただけじゃない。誰にも負けない血の滲むような努力の積み重ねが、今の安室の地位を作ったのだ。
……とまぁ、なんというか、安室のプロ根性というか 芸能魂みたいなのが滲み出てるような、そんな曲だなぁと思ったわけです、80sは。三曲中で一番好きです。 だから動画貼っておきます。



Namie Amuro-WHAT A FEELING