拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

ODO

2008-01-09 02:17:25 | 音楽
TBSラジオで「封印歌謡大全2」という番組が先日放送された。歌詞の内容に何らかの問題があるとされ、メディアが放送を自粛してきた歌謡曲を、思い切って一気に放送してしまおうという冒険番組。メインパーソナリティーははライムスターの宇多丸で、パート1は昨年の夏に放送された。前回の放送では、「自粛度Aランク」の代表曲らしい、岡林信康の「手紙」がオンエアされ一部で話題を呼んだそうだが、今回も「封印歌謡」の代表とされる曲がずらり。以下、曲リスト。

1.  イムジン河 フォーククルセダーズ (1968)
2.  自衛隊に入ろう 高田渡 (1968) 
3.  黒いカバン 泉谷しげる (1971) 
4.  れ・い・ぷ フィーリング 小林万里子 (1979)
5.  おど 三上寛 (1971) 
6.  からっぽの世界 ジャックス (1968) 
7.  金太の大冒険 つボイノリオ (1975) 
8.  本願寺ぶるーす つボイノリオ (1970) 
9.  飛んでスクランブール つボイノリオ (1996) 
10.  山谷ブルース 岡林信康 (1969) 
11.  おそうじオバチャン 憂歌団 (1975) 
12.  お政治オバチャン 憂歌団 (1976) 
13.  つくばねの唄 あのねのね (1975) 
14.  悲惨な戦い なぎら健壱 (1973) 
15.  さすらい 克美しげる (2007年ver.)

殆どが初めて聴く曲ばかりだったが、どれも衝撃的であった。まぁ、放送自粛どころか発禁にまでなった「イムジン河」は、最近は映画「パッチギ」で大フィーチャーされたこともあり、特に衝撃を受けることは無かった。メロディアスだしキャッチーだし、歌詞にもこれといって問題点は見当たらないし、普通のフォークソングにしか聴こえなかった。自分には。とにかく今回放送された曲で一番衝撃だったのは三上寛の「おど」だ。こ、怖すぎる…。「おど」とはおそらく津軽弁で「父親」。この父親の暴漢ぶりのせいで、三人の家族が悲惨な形で命を落とした…家族を「殺した」父親への恨みを恐ろしく湿っぽく、そして激しく歌に込めた、殆ど「父への怨念」で出来ているような楽曲。これを午後7時台のラジオで流す、というのは大変な暴挙のような気がする。パーソナリティの宇多丸は、楽曲に対して「歌詞に問題がある」「放送に適さない」等の理由をつけ、「聴いた人が不快に思う可能性がある」と放送を自粛しようとするメディアに対し異を唱えている人だ。で、私もメディアの判断で特定の楽曲を放送自粛するということに対して割と否定的に思っているのだが…「おど」は自粛されても仕方ないのでは。いや、私はあのおどろおどろしさがヤミツキになって何度も聴いてしまったけどさ、やっぱ大多数の人は不快に思うだろう。遅くない時間帯に「おど」流しちゃって大丈夫だったのかな。車を運転中にたまたまTBSラジオつけてて、たまたま「おど」聴いた人とか、相当ビビったんじゃないだろうか、「おどーーーーー!!!」の部分で。
ただ、「おど」のような暗い楽曲ばかりがオンエアされたわけではない。中盤の「つボイノリオ特集」にはかなり笑わされた。卑猥な単語を、文節を操作し、意識しなければ普通に聴こえるものに仕上げた楽曲を多数生み出したつボイ氏。東海地方の住人なら、CBCラジオのパーソナリティーとしてもお馴染みの彼だが、この人も「封印歌謡」の常連。「金太の大冒険」と並んでつボイノリオクラシックである「インカ帝国の成立」は、放送禁止用語をあまりにも堂々と連発しまくってる曲だからオンエア無理だったみたいだけどね…。