拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

冥王

2007-12-05 17:35:31 | 漫画
久々に浦沢直樹の『PLUTO』の感想を。先週単行本5巻が発売されたが、読んでみて「まだここまでしか収録されてないのか…!」と愕然。単行本と本誌の連載とのストーリーの進度に相当開きがあるようだ。5巻の内容、遠い昔に立ち読みしたなぁ、コンビニで。ブログにも感想を殴り書きしたな。5巻は大波乱の一歩手前で終わっていた。…続く6巻は大変な事になっているので、単行本派は覚悟しておくように。いや、5巻に収録されたストーリーだって立ち読みした時は物凄く興奮したし、実際重大事件がバンバン起きてるのだが、今と比べると、あれでも平和な祭であったなぁ…。やっぱ「あの人」の身に何か起きると、動揺の度合いが違うっつーかね。
さて、それでは本誌の連載の方はどうか。先月はアトム再生にあたり、とんでもなくワクワクするような作業が天馬博士によって行われ、「あぁ!続きカモン!!」と期待が高まったが、今月はアトムも天馬も登場せず、久々に異色のイケメンロボット・エプシロン登場……。奴が登場すると、本来笑うべきシーンじゃないのについ笑ってしまうのだが、今回も期待に応えてくれた。もう…もう…エプシロンってばよぉ…。エプシロンは太陽光をエネルギーにしている「光子ロボット」。太陽を浴びるだけでエネルギーが蓄積されていき、太陽の下で戦うならばエネルギーが無くならないためほぼ無敵。見た目はひ弱そうなイケメン、しかし登場するロボット達の中では最も性能が良く、戦闘能力も相当ありそうというギャップが堪らない。ただ、太陽の出ない日が続くと、エネルギー保持に問題が生じる模様。今回、エプシロンは物憂げに、雨の日が三日続いていることを心配する。早くも死亡フラグが立ってしまった(フラグっつーかまぁ、原作どおりいけば………だけど)。
さらに追い討ちをかけるのが、エプシロンを慕う子供達。高い性能と戦闘力を持つ兵器として造られたはずのエプシロンだが、何故か彼に備わっている人格は「平和主義」。ペルシア戦争勃発の際は当然「最強兵器」として徴兵されそうになるが彼はそれを拒否し、世界中から批判を浴びてしまう。戦争参加を拒否したエプシロンは、大量の戦争孤児たちを引き取り、世話をしている。彼に備わっている性能からするとかなり勿体無い仕事ではあるが、本人の性格を考えるとこれ以上ふさわしい任務はないだろう。で、今回初めて、エプシロンが働く孤児院が登場したのだ。孤児院では、エプシロンの誕生日を祝うサプライズパーティーの準備が子供達によって進められていた。しかし、高性能ロボットだからなのか所詮子供の考えることだからなのか、パーティーの件はエプシロン本人に筒抜け。子供の様子を見てみぬフリして当日を待つ、「空気を読むロボット」エプシロン。…『PLUTO』の世界の高性能ロボットは本当に凄いな。空気読めるんだぜ?で、当日。「うわぁ~~びっくり!嬉しい!!」みたいなノリで子供たちと接するエプシロン、ロボットらしく、表情の作り方は完璧である。おまけにルックスも良いから、所作もいちいちソツが無い。ゲジヒトだったらあんな表情作れないだろう(笑)。とはいえ子供達のパーティーは当然、純粋にエプの心を打つものだった。ついでに読者の心も…あぁ…死亡フラグ…!エプシロンVSプルートゥは、『PLUTO』史上最高に読者の心を揺さぶるだろう。ああいう場面を盛り上げるのは浦沢直樹の得意分野だし。楽しみ…。