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拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

占領

2008-07-10 19:39:20 | 音楽
■ZEPP SENDAI
8月1日(金) 8月2日(土)
8月4日(月) 8月5日(火)
8月7日(木) 8月8日(金)

■ZEPP SAPPORO
8月18日(月) 8月19日(火)
8月21日(木) 8月22日(金)
8月24日(日) 8月25日(月)

■ZEPP FUKUOKA
8月30日(土) 8月31日(日)
9月2日(火) 9月3日(水)
9月5日(金) 9月6日(土)

■ZEPP NAGOYA
9月11日(木) 9月12日(金)
9月14日(日) 9月15日(月)
9月17日(水) 9月18日(木)
9月20日(土) 9月21日(日)
9月23日(火) 9月24日(水)

■ZEPP OSAKA
9月29日(月) 9月30日(火)
10月2日(木) 10月3日(金)
10月5日(日) 10月6日(月)
10月8日(水) 10月9日(木)
10月11日(土)10月12日(日)

■ZEPP TOKYO
10月18日(土)10月19日(日)
10月21日(火)10月22日(水)
10月24日(金)10月25日(土)
10月27日(月)10月28日(火)

…すーごいよなぁ。VAMPS TOUR 2008。某所からツアーのスケジュールをコピペしてみたが、改めて見ると大変なことになってるね。初めはZepp6箇所×6公演といういつもの「6」縛りで、「またおバカなことを…」と思ってたが、気付けば東名阪に追加公演がプラスされ、全46公演になっていた。大丈夫か!?HYDE、過労死とかしないだろうか…ないか。私はZepp Nagoyaの9月12日に行く予定。Zeppといえば去年、岡村ちゃんのライブを見損ねたハコですな。駅から近いように見えて意外と歩かなきゃいけない場所にあるライブハウス…。
「何故こんなツアーを組んだの?」と聞かれ、HYDEは「全国を転々とするんじゃなくて、一箇所に長い間留まってその土地を堪能したかった」と答えている。あと、「沢山やればチケットも取りやすくなる」と。ライブ数日前ぐらいに「ちょっと行ってみるか」と軽いノリでチケット買って、来てもらうのが理想らしい。確かにチケットあっさり取れたな、一般で。発売日過ぎてたのに余裕。さすがに整理番号はだいぶ後だけど、まぁどーでも良い。何が何でも前で見たいなんて思わないし。軽~いノリで行きますよ。並ぶの嫌だから開演時間ギリギリで。というわけで、ヒマな人は、行ってみたらいかがだろうか。
各ZeppのHPの「Schedule」という所を見るとかなり笑える。一ヶ月のほぼ半分近くをVAMPSがズラーっと陣取ってるのだ。「他のバンドから顰蹙買ってます」と冗談ぽく言ってたが、そりゃ買うだろうよ。半月近くZeppを「占領」するにあたり、HYDEはステージセットだけでなく、ライブハウス内全体の装飾に力を入れるつもりらしい。壁とか床とかロビーとかを飾るのか?それこそ一日、二日だけのライブだったら無理、長期間のZepp占領だから出来ることだよね。これは期待しちゃうなぁ。この前のラルクのアジアツアーで、巨大な海賊船をそのまま、本当にそのままステージにしたような仰天デザインを考案してたからな、HYDE。Zepp全体がホーンテッドマンションみたいに改造されてたら面白い。楽しみ。

そしてダンス☆マンは語った

2008-07-06 00:28:10 | 音楽
7月5日、ラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」でスペシャル企画「J-POP解体新書!大ヒット曲誕生の秘密を完全解明!”LOVEマシーン”とはなんだったのか?~世紀末日本に蘇った”ええじゃないか”旋風~」が遂に放送された。本当は6月に放送される予定だったのだが、野球延長の影響で番組の二時間の放送時間が大幅カットされてしまい、「これでは放送時間内にとても収まらない!」ということで延期された因縁の企画。モーヲタ・宇多丸がモーニング娘。最大のヒット曲「LOVEマシーン」の魅力を、制作関係者へのインタビューなども交えながら解説していくというスペシャル企画。こんなに気合の入ったラジオ番組って珍しいよな…。
とにかく関係者インタビューが面白かった。「LOVEマシーン」制作スタッフの中の最重要人物の一人、アレンジャー・ダンス☆マンが、当時の裏話をぶっちゃけまくってたりして。ダンス☆マンの元にアレンジの依頼が来たのは1999年8月8日。シングル発売日が9月9日なので、通常では考えられない程タイトなスケジュール。シングル、普通は一ヶ月前には出来上がってなきゃマズいみたいだしね。ここまでの突貫工事になったのは、当時つんくがプロデュースに相当煮詰まっていたため。この頃はアイドルポップスの名盤『セカンドモーニング』が発売された時期だが、モーニング娘の売り上げは右肩下がりで、「次のシングルが失敗したらマジで終わり、かも」みたいな雰囲気だったそうな。
つんくはダンス☆マンの「ダンス部 部長南原」を挙げ、「この曲みたいな雰囲気で」と発注。また、ダンス☆マンはスタジオで歌詞を練るつんくにも遭遇したらしく、「あんたにゃ もったいない」「日本の未来は魚(うお)魚魚魚」「家家家家」みたいな珍奇な歌詞を書くつんくに衝撃を受けた、とのこと。次に「LOVEマシーン」のアレンジの元ネタ(ダンス☆マン及び宇多丸曰く、「”盗作”改め”奇跡のインスパイア”」)となったディスコクラシックを次々と紹介。この辺はもう、今や誰でも知ってるような…。元ネタ聞けば「そのまんまやん」という感じなんだが、それらの要素が組み合わさり、つんく独特の奇妙なプロデュースが加わり、一周廻ってオリジナル楽曲になってしまったのは周知の通り。完成した楽曲を聴いた時、ダンス☆マンは「女性アイドルグループとファンクの相性の良さに驚いた」とのこと。他にも、ダンス☆マンが語る「LOVEマシーン」エピソードは色々あった。オモシロイので興味ある人はポッドキャストで要チェック。
また、「LOVEマシーン」を実際に歌っていた8人のメンバーの中の一人、当事者の一人へのコメントも登場。これも面白いですな、レコーディング秘話とか。当時ASAYAN見てたハズなんだけど、新鮮な話多かったぜ。そして、全てのインタビュー・コメントを受けて、宇多丸が歌詞とその時代について解説………

…なんかこれ以上書いてたらキリがないな。ポッドキャストもあるんだし、書かなくていいよな、もう。
http://www.tbsradio.jp/utamaru/podcast/index.html


「世紀末を象徴するような金髪の中学生」

2008-07-05 00:03:15 | 音楽
ヒップホップユニット・ライムスター宇多丸の処女単行本『マブ論CLASSICS』が先日遂に、遂に発売された。2000年3月より月刊誌『ブブカ』に連載中のアイドルソングレビュー「マブ論」が、遂に単行本になったのだ。「マブ論」において、多くの人々から偏見の目に晒されているアイドルソング達に光を当て、その魅力を熱弁してきた宇多丸。熱弁する場所が、よりによってアイドルの宿敵、アイドルのプライベート流出写真や恥ずかしい過去などスキャンダラスなネタが売りの『ブブカ』ってのが笑える。アイドルを応援しつつ、アイドルにとって最悪の雑誌に世話になってるという…。宇多丸の大好きなモー娘。は勿論、最近はPerfumeまでも過去の写真を載せられたりしてて…。ちなみに「マブ論」は、つんくによるモー娘メンバー評が読めるエッセイ『LOVE論』のもじり。
連載が始まった2000年3月といえばモー娘全盛期で、記念すべき連載第一回目のレビュー作品はハロプロのシャッフルユニット(黄色5・青色7・赤組4)。そこから、2008年4月のPerfumeのアルバム『GAME』まで、8年間にリリースされた数多のアイドルソングの中から、「こりゃあ名作じゃ!!」なモノから「こんな曲じゃアイドル自身の魅力が活きてない!」という糾弾モノまでズラりと並ぶ。5段階評価で採点されており、最高「5マブ」はPerfume『GAME』やモー娘「笑顔YESヌード」など。最低の「0マブ」はモー娘「涙が止まらない放課後」など。連載で扱った全ての作品のレビューは載せられなかったらしく、基本的には高評価、及びとんでもなくダメな作品のレビューが選ばれている。ハロプロが多めだがそれ以外のマニアックなアイドル(AKB48、dream、BOYSTYLE、SweetS、そしてPerfumeも当初はこのカテゴリーだった)、ジャニーズ、それからしょこたん、リアディゾン、エリカ様、山田優、梨香などなどアイドル歌手が本業じゃない人達のもレビューしてる。
宇多丸といえば、ヒップホップ専門誌でライターとして執筆してた、という過去を持ち、日本で一番沢山ヒップホップのアルバムレビューを書いた人、とも言われている。ヒップホップ誌のライターなら、作品に使われてるサンプリングネタ・歌詞の引用元などを指摘し、解説したりしなければならず、適切な音楽の知識が必要。少なくともロッキングオン的な印象批評など通用しない。そんな場で活躍してきた宇多丸が書くアイドル批評は、そんじょそこらのサブカルライターにはマネ出来ないような濃密さ。「あぁ、この曲にはこんなネタが仕込まれてたのか」と目からウロコがポロポロ。また、言葉で相手を説得することを得意とするラッパーらしく、自分の論を説得力をもって押し通す文章力も凄まじい。読めばブックオフの250円コーナーを漁りたくなること間違い無しだ。
デビュー当時から松浦亜弥を絶賛したり、地下アイドル時代からPerfumeを推したりするなど、宇多丸のアイドルソング啓蒙活動の歴史は先見の明、連発。ただ、後藤真希の「溢れちゃうBE IN LOVE」を酷評したことは無かったことになっている(後で大好きになったらしい)。また、「奇跡のデュオ!ヴィジュアルのシンメトリーっぷりや声の相性の良さ、振り付け、楽曲の質、全てが無敵」と絶賛されたW(ダブルユー)は今や………。でもまあ本当、この人がアイドルを語る視点、観点、凄いですよ。「女性アイドル市場は冬の時代なのに対し、男性アイドル達は安定した人気を保っているのは何故か」について書いてあるKAT-TUN「Real Face」、SMAP「Dear Woman」のレビューの項は必読だ。21世紀のアイドル評論の決定版。

LOVE ADDICT/TIME GOES BY

2008-07-01 17:22:18 | 音楽
HYDEがソロで組んだ新ユニット・VAMPSのデビューシングル「LOVE ADDICT」。新ユニットといっても相方は今までHYDEのソロでギターや共同プロデュースを手掛けてきたお馴染みのKAZ(SPREAD BEAVERの一員として「hide MEMORIAL SUMMIT」に出演し、踵を骨折したことも記憶に新しい)なので、過去のHYDEソロワークスと作風が大きく変わったわけではないが、それでも結構楽しめる、素敵なシングルになっていた。
歌いだしは低音でじわじわ攻めて、サビでドーンと爆発するグランジ魂炸裂の、いつもの感じ。音だけ聴いてると洋楽のマネごとに聞こえそうにもなるんだけど、インパクト大の勢いまかせのサビにあの声が乗ると「やっぱHYDEですなぁ…」みたいな。空気変わるよな。
過去のHYDEソロと比べるとこの「LOVE ADDICT」は、よりポップで踊れるような曲になってるかな?ガレージバンドみたく。音の抜け心地も良く、口笛も入ってたりして、「祭感」が漂ってる。前作『FAITH』がシリアスなテーマを持つアルバムだったから、こういうバカっぽいの大歓迎だ。「フッフー」という合いの手も脳天気で良い。や、かっこいい曲なんだけどさ…。
歌詞も最高にバカだしね。「ヤリまくろうぜ!」ってことしか言ってないじゃん(笑)。「人の曲や自分の曲聴いてて思ったのは、歌詞で核になるようなこと言ってるのは2A(2番Aメロ)だなってこと」と語ってたHYDEだが、「LOVE ADDICT」の2Aは「MOM,I'M SORRY AM I PLAING SOME BAD GAMES」…「ママごめん、悪い遊びに夢中なのさ」って感じかな。なんか可愛いなぁ。この部分だけ正気に戻ってる感じ?関係ないけどHYDEの言う「人は皆、2Aの歌詞に気合いを入れる」説、かなり的を得てる気がする。今度検証してみるか。
カップリングは「TIME GOES BY」。この曲聴いて驚いたぜ。初期ラルクのカップリング曲の匂いがするもん!1995年~96年頃のラルクのシングルの、ね。「Brilliant years」「あなたのために」「賽は投げられた」などの、地味に心に残る隠れ名曲を思わせる、切ない疾走ギターロック。ギターのフレーズも当時のkenみたい…懐かしい。そいえばラルクのカップリング曲って、hydeが作った曲が多めだったよなぁ。まさかあの頃のような曲が今、出てくるとは。こういうのラルクでやろうよ(笑)。ま、「TIME GOES BY」はKAZとの共作らしいから、VAMPSでしか出来ない曲なんだろうな。
「VAMP」という語には男を誘惑する妖婦、それから、HYDEが過去の自身の作品で多用してきた吸血鬼、というような意味がある。イケイケな「LOVE ADDICT」は前者、時が過ぎてるのに自分だけ何も変化がないという、永遠の命をもつ少年が主人公のバンパイア漫画クラシック『ポーの一族』的な切なさを思わせる歌詞が印象的な「TIME GOES BY」は後者のイメージを当てはめたのだろう。なんか気合い入りまくりのシングルだな。「VAMPSの世界観、余すことなく見せます」的な。
ラルクがしばらく活動せず、「いくらhydeがソロで動いても、やっぱ寂しいよ」なんて思ってたけど、VAMPS、結構良かった(笑)。ライブ楽しみになってきたなー。ZEPP NAGOYAだけで何故か10公演もやってくれるから、チケットあっさり取れた。チケット代は6660円、開演時間はPM7:06(つまり6:66ってことっすかね)、相変わらず何もかも「6」で縛るHYDEさん。

引き際

2008-06-28 12:33:52 | 音楽
先日、音楽評論家・市川哲史の新刊が発売された。市川といえば80年代中期からロッキングオン社に在籍し、洋楽方面で活躍する傍らバクチクやXなどヴィジュアル系黎明期に活躍したバンドを誌面で猛プッシュし、退社後に小沢健二やhideやユーミンやミスチルやLUNA SEAやスピッツや電気やラルクが同時に載ってる、ジャンルを越えた奇妙な新雑誌『音楽と人』を創刊後、98年頃に突然失踪し、21世紀に入った頃に突然オリコン誌等に復帰して今に至る……そんな人。
そんな流浪の人、市川が90年代のヴィジュアル系全盛期に築いた人脈を活かして(毎日のように飲み会してたらしい…hideやPATAとかと…)書いたのが新刊『さよならヴィジュアル系-紅に染まったSLAVE達に捧ぐ』である。「紅」はもちろんXの代表曲、「SLAVE」はLUNA SEAファンの呼称からの引用だ。
この本は2005年、2006年に発売された、市川哲史の二冊の単行本『私がヴィジュアル系だった頃』『私もヴィジュアル系だった頃』(紛らわしいタイトルだなぁ)に収録された、「ヴィジュアル系の当事者」達に「あの頃」(主に90年代)を振り返ってもらったインタビューをほぼそのまま収録しつつ、昨今のあらゆるバンドの再結成を受けての「市川の思う所」みたいなのが加筆された文庫本。インタビュー相手はXのYOSHIKIとPATA、LUNA SEAのSUGIZOといったまさに「渦中」に居た人々の他、V系ブームを端から観察していた大槻ケンヂ、YOSHIKIと幻の珍(?)ユニット・V2を一瞬だけ結成した小室哲也など周辺人物、さらに市川氏と同じくらいV系に取材していたライターなどメディア側の人々にもインタビューを敢行し、V系ブームを多角的に回顧している。また、今回の文庫版には未収録だが、PIERROTのキリトやジャンヌダルクのyasuなどの現役V系たちにもインタビューし、先駆者と後発のV系の比較も成されている。
市川氏の前著が出た2005年、2006年といえば、90年代に活躍したバンド達が完全に「過去のもの」になってた時代だ。まさかXやLUNA SEAが再結成するなんて誰も予想出来なかった。そして、新しい世代のバンドが地味ながらも着実に頭角を現していた。それでもyoutubeの浸透で昔のバンドの映像や音源が広まったことで、再評価されたりすることは多々あった。現在の再結成ブームの下地みたいなものが地味~に作られてた時代。そんな時に市川氏がV系回顧本を出したのは興味深い。
2005年に出た『私がヴィジュアル系だった頃』に収録され、今回の新刊に再録されたYOSHIKI、SUGIZOへのインタビューは、本人達のぶっちゃけ具合が凄くてとても面白い。この時点では二人共バンド再結成を全く考えてなかったのだろう。SUGIZOなんて「LUNA SEAは史上最大の失敗バンドだった」という発言までしている。5人が互いの個性や発想を尊重し合うことが出来ればよかったのに、我を通すばかりで上手くいかなかった、と。5人が上手く噛み合ってれば解散も無かったかもしれないけど、あの頃は皆若すぎた、と。あとソロ活動以降のRYUICHIこと河村隆一のボーカルスタイルやキャラの変化にもふれ、「正直ツラかった…」と。ぶちまけるなぁ…。まぁ、河村隆一の場合、ソロ活動を経て変わったっつーか本性表したって感じもするけども。さらに「一人になってから気楽に音楽をやれてる」という主旨のSUGIZOの発言を読み、LUNA SEAの再結成は絶対無いな、と確信した。しかし……。
YOSHIKIはYOSHIKIで「Xの世界進出が未遂に終わったのはTOSHIの英語の発音が下手なせい」とか言っちゃってる。また、2005年当時は「hideが居なくなったから…」と、再結成を完全否定してたりして。一連の「YOSHIKI伝説」について回想してる部分や今現在彼が取り組んでるプロジェクト「VIOLET UK」の終わりの見えなさ加減に関する話題は結構笑えるけど、hideの話になるとやっぱ寂しくなりますな。YOSHIKI以外にも、『さよならヴィジュアル系~』に収録されてるインタビューのほぼ全てにhideの話題が出てくるが、どれも面白いんだけど…切ないね。特にSUGIZOが語るhideとの思い出。
…とりあえず一度でもV系に魅了された人は必読の本ではある。あと、「V系って一体なんなの?」という疑問にも、市川や当事者達が明確に答えてくれている。とりあえず文庫本である『さよならヴィジュアル系~』から読んでみるのが良いだろう。V系バンド再結成が相次いでる昨今に、敢えて「さよなら」と書名に冠した市川の真意は…。

メンタルタフネス

2008-04-19 22:29:40 | 音楽
宇多田ヒカルが表紙のロッキングオンジャパンを買った。この雑誌買うの2年ぶりだ…。いやぁ、かなり面白かったな、宇多田。新作『HEART STATION』のインタビューの中でダントツの濃さ。とにかくインタビュアーの兵庫慎司、本当にグッジョブであった。鹿野淳のインタビューの10倍ぐらい興味深かったし、何より宇多田ヒカルの実像に、より近くことができていたと思う。

「くよくよしてちゃ敵が喜ぶ」(「Fight the Blues」)
「儚く過ぎていく日々の中で 気分のムラは仕方ないね」(「Beautiful World」)
「悲しいことは きっとこの先にもいっぱいあるわ」(「Stay gold」)
「上手くいかなくたって まあいいんじゃない」(「Kiss&Cry」)
「気になるあの子が突然留学」(「虹色バス」)

『HEART STATION』収録曲の歌詞は、ネガティブな事がそこらじゅうに転がっている事を軽やかに告げる。失敗なんてして当たり前だぜ、と。むしろしない方が変だぜ、と。世の中は悲しみで溢れているから、それらを避けて通ろうとしても無理。幸せになれると信じて歩んだ道も、不幸へと続く道かもしれない…残念ながらこれは全く不自然な事ではなく、普通の事だぜ、と。このような態度-ネガティブな事に対し、「まぁこんなもんでしょ」と受け流す態勢が万全な気持ち-で日々の生活を送る事が出来れば、非常にラクだろう。でもそれは普通なかなか出来る事ではない。人は誰しも悲しい事や嫌な事、面倒な事が起きないよう、無意識の内に願いながら生きてるはずだし、いざ事が起きたら「まぁ、しょうがない」では済ませられない。
しかし、幼い頃から奔放な母親に振り回され続け(離婚→復縁の繰り返し、せわしない東京とニューヨークの往復生活、「あの人は鬼だ!」と急に言い出す母親…etc)、自身のCDデビュー直後からはさらに激動の日々を過ごしてきた宇多田ヒカルは、何が起きても動じない強靭な精神力を身につけ、ついにその精神の集大成のようなアルバム『HEART STATION』を完成させた。ロッキングオンジャパンのインタビューでは、そんな変人・宇多田に対し「なんでそんなにタフなんだアンタ」ということを、凡人代表のインタビュアーがあらゆる角度から切り込み、宇多田が具体例をポンポン盛り込みながら説明していく、というやり取りが延々続く。相変わらずの頭の回転の速さに加え、離婚の顛末や「あれ?ぼくのティンティン……」という迷言までサラリと飛び出す無防備さは、さすが…。
ただ、こういった宇多田の精神世界について切り込んだ内容より画期的だったのが、インタビュー前半の、「なぜ自分でアレンジを始めたのか?」「そもそも、どうやってアレンジをしていく事を覚えたのか?」について。ずーっと謎だったのだ。作詞作曲に加えアレンジまで自ら手掛けるようになった宇多田に対し、どうして誰も彼女の音作りについて聞かないのか…。この点で今回のインタビュアー・兵庫はグッジョブなのだ。ロッキングオンという雑誌自体、ミュージシャンに対して歌詞の意味や精神性を問うインタビューばかりで、「編集部の人って具体的な音楽制作の知識一切無いのか?音楽雑誌なのに…」と常々思ってたが、今回は良かった。「特定のジャンルに属した音楽は作らない」という宇多田の曲作りの行程やこだわりが窺い知れた。本当に不思議だったのだ。キャリアを重ねる度に「これはR&B」「これはハウス」「これはファンク」等と定義出来なくなっていく、どんどん独自性を高めていく宇多田の音楽的変貌が。宇多田が「remix」とか「サウンドレコーディング」とかに出ててくれればアレンジについて色々語るだろうが、まぁ、登場しないしね。
宇多田ヒカルがアレンジを始めたきっかけは、『First Love』レコーディング中、プロのアレンジャーが自分の曲をいじってるのを見ながら、恐る恐る「もっとここはこうした方が…」みたいに突っ込みを入れるのに疲れたから、らしい。「15、16の小娘に、ある程度名の通ってるアレンジャーの人が、あーでもないこーでもない言われたら…」という気遣いに疲れ、全部自分でやることにした、と。これ読んで、『First love』には誰が参加してたのか、あまり聴かないこのアルバムを引っ張り出してきたらびっくり。「Automatic」は西平彰かよ!「Movin'on without you」は村山晋一郎か…。二人とも、エイベックス系を除けば、関わった事のないミュージシャンは居ないんじゃねーかぐらいの人…。そーか、こんな邦楽界の大物が関わってたのか、あのアルバムには。言うまでもないが、私は宇多田自身が制作の主導権を握り始めた3rd『DEEP RIVER』以降が好きですわ。

あ、今回のジャパンのもうひとつの目玉がhideラストインタビュー再録。再録なので当時のをそのまま載せただけだったが、「ピンクスパイダー」の表記がわざわざ「PINK SPIDER」に直してあった。なぜ。英語が正しいのかな?まぁ、必見ですよこれは。最近X JAPAN及びhideに興味持った人にとっては目からウロコだと思う。

「活字の電気は、こんなにも手に負えない」(帯より)

2008-04-04 00:09:58 | 音楽
電気グルーヴがロッキングオンジャパンで毎月やってる連載『メロン牧場』の単行本の新刊が先日発売された。2001年に第一弾が出て以来、7年ぶりの新刊は二冊同時発売。この連載は、電気の二人とジャパン編集長・山崎洋一郎が毎月くだらない世間話を延々するというシンプルな放談スタイルで、1997年1月から現在も続いている長寿モノ。…うわ、もう11年間続いてるってことか!1997年といえばまだ電気には「まりん」こと砂原義徳が在籍していて3人組だった。ピエール瀧はまだポンキッキーズのメンバーだった。「Shangri-La」が大ヒットしたのも、その勢いで出したアルバム『A』が50万枚を突破する大ヒットを記録したのも1997年。電気も出演者に名を連ねた第一回フジロックフェスティバルが、悪天候に見舞われ地獄絵図と化したのも1997年。あー、懐かしい。その頃からずっと続いてるんだねぇ。
2001年に出た『メロン牧場』第一弾は、1997年~2001年春までの連載+未公開放談が収録されていた。電気グルーヴの放談ゆえに死ぬほど笑えるのは当たり前。もう、2ページごとぐらいで笑えるので電車で読むのは超危険。瀧が出演した「世界ウルルン滞在記」裏話(インドネシアの山奥に行かされた)、卓球の暗黒の高校生活(超校則の厳しい私立男子校)、まりん見知らぬおばあちゃんを助ける、インタビュアー山崎洋一郎の前科話(薬物所持)、ヴィジュアル系バンド議論、第一回フジロックフェスティバルの裏話、第二回フジロックフェスには出演せず同じ日に開催されたポンキッキーズのイベントに出演した瀧の裏話、人の性格は「狩猟民族タイプ」と「食虫植物タイプ」の二つに分けられる件(瀧は狩猟民族、卓球と山崎は食虫植物。要は外交的に攻めるタイプかひたすら待つタイプか)…とにかく爆笑エピソード満載で、電気ファンでなくても十分楽しめる怒涛の内容。「ロッキングオンジャパンを買ったらまずメロン牧場をチェックする」という人も多いという。私も毎月立ち読みで「メロン牧場」をチェックしてます。

そんな人気連載の待望の続刊は2001年夏~2008年春までの連載分を上巻・下巻に分けて収録。爆笑エピソードだらけだが、今回の新刊で最大の見所はなんといっても上巻の「ピエール瀧、小室哲哉の結婚式に招待される」だろう。2002年の秋に大々的に行われた小室とglobeのKEIKOの結婚披露宴。出席者約1000人、テレビでも中継された豪華披露宴に何故か瀧が招待されたのだ(卓球は仕事で欠席)。瀧はネタ作りのつもりで、軽い気持ちで出席し、衝撃を受けた。広い会場にずらーっと並ぶテーブルの中で、彼が案内されたテーブルは会場のど真ん中。そしてそのテーブルには、globeのメンバーであるマークパンサーが居たのだ。さらに南こうせつ、KONISHIKIが同じテーブルという不可解な配席。焦る瀧。ダラダラと披露宴を見物するつもりが、そんな大物揃いのテーブルに座らされたおかげで終始テレビカメラが近寄ってきて恐縮してしまう。ふと横のテーブルを見ると、そこには安室やSAM、TRFなど小室ファミリーがずらり。…なぜマークパンサーはそっちじゃないんだ?後ろのテーブルはヤクルト古田や大魔神・佐々木などの野球選手がずらり。しかし何故か同じテーブルには芸人であるオール阪神・巨人の姿が…野球つながり?この披露宴を仕切ったのは吉本興業らしいし、シャレをきかせて席を決めたのかもしれない。しばらくすると会場が急にザワつく。人だかりの方に目をやると………YOSHIKIキター!しかもマークパンサーの隣に座った。YOSHIKI、南こうせつ、マークパンサー、KONISHIKI……ピエール瀧(笑)。数々の伝説を持つYOSHIKIと同じテーブルになりビビる瀧(ちなみにYOSHIKIは瀧より年上)。マークパンサーとYOSHIKIはなにやらワイワイ喋っているが、さすがの瀧もそこには入り込めない。するとYOSHIKIが「電気グルーヴのピエール瀧さんですよね?」と声をかけてきた!「お、俺の事知ってる!怖ぇ~!!」。なんか、電気グルーヴって芸歴も長くてもはや邦楽界の重鎮みたいな雰囲気すら漂うユニットだし(気のせい?)、二人のキャラも飄々としてて「怖いものなし、むしろ周りから恐れられてる」みたいな人たちだと思う。そんな中で、瀧がこういう恐怖体験(?)をするってエピソードはかなり貴重だと思う。さらに「僕電気グルーヴ結構好きなんです」……以降、まだまだ続く披露宴エピソード。この回は本当にクラシックだ。立ち読みの価値あり。でも笑いすぎ注意…。

掟ポルシェ a.k.a DJ YOSHIKI

2008-04-02 00:08:33 | 音楽
もう何日か経っちゃったが、Xのライブ、なんだか本当に凄いことになってたみたいだ。初日は開場及びライブ開始が二時間押し&YOSHIKI失神でエンド、だったけど、最終日は定刻スタート&かつてないくらいのストロングスタイルでガッツリライブをやり遂げる、という、チケット代は同じにも関わらず驚くべきクオリティの差があったという凄まじい復活劇。予定されてたセットリストが失神によって完遂されず、中途ハンパに終わってしまった初日の「破壊の夜」にしか行けなかった人(「破壊組」と呼ばれてるらしい。なんか、幼稚園時代からの幼馴染だったらしいYOSHIKIとTOSHIが在籍してたクラス?って感じね)は、最終日「創造の夜」の超豪華セットリストを見るたびに胸を痛めるのだろう。「同じチケット代(1万オーバー)なのに…格差社会…「破壊の夜」に破壊されたのは私の心…」。私のような外野の人間は「さすがX、やることなすことスケール違うねぇ!」とか笑ってられるけど、破壊組本当に気の毒だー。「10年ぶりの復活」の瞬間に立ち会えたことは凄く貴重だと思いますが。
もうしばらくたつと、各音楽雑誌がこぞってX復活ライブの特集記事を組むだろう。ヴィジュアル系専門誌はもちろん、ワッツインやCDでーたなどの情報誌系や、ロッキングオンジャパンでも特集が組まれるはずだ。これらの記事でも、おそらく初日の顛末は「いろいろ問題あったけど、まぁ、このムチャクチャぶりがXだよね」みたいな切り口で語られることだろう。メディアの人々には関係者席が用意されるから高額なチケット代なんて払ってないだろうし。逆に「二時間押しとはいかがなものか!」なんて糾弾する記事書いたら「わかってないなぁお前」って感じなのだろう。ロッキングオンが運営してる「RO69」というサイトには、いち早く二日目「無謀な夜」のライブレポートが掲載されてるが、それも「これがXっしょ!」みたいな記事だ。破壊組からすれば「ふざけんなよ!」って感じなのかな?うーん…。何しろチケット代がなぁ…普通に外タレクラスだもんなぁ。
そうそう、ロッキングオンといえば、4月19日発売号(表紙は宇多田ヒカル)に、今からちょうど10年前の春にロスで行われたhideのインタビューが再録されるらしい。「ピンクスパイダー」「ever free」リリースのプロモーションで行われたインタビュー。このインタビューが行われてまもなくhideが亡くなったためラストインタビューになってしまった、というものだ。hideが亡くなってすぐに発売された、彼が表紙のロッキングオンジャパン6月号。私は2年前に運よく中古で見つけて買ったけど、入手は未だ困難だろう。でもまたあの記事が日の目を見る。ロスでの近況、自信作「ピンクスパイダー」の解説、洋楽コンプレックスとの折り合いの付け方、今後の野望・展望、X解散とこれから…インタビュアーの山崎洋一郎相手に、物凄く楽しそうに語りまくっているよ。
何はともあれ、Xのライブは大盛況だった。Xファンも部外者も盛り上がった。Xとは全く関係ない、ヴィジュアル系とは何の縁もないライムスター宇多丸のラジオでも、J-POPだけをバンバンかけていくDJ MIXコーナーでXネタ炸裂だったもんな。ゲストの掟ポルシェ(ロマンポルシェ。)が、DJしながら(=大好きなアイドルソングをかけまくりながら)上半身裸で高速エアドラム→失神というパフォーマンス(見えないのに…)。あー、バカ。
 

破壊・無謀・創造

2008-03-28 16:27:31 | 音楽
「は?なにこれ、5時間半もあるじゃん…」…3月28日、X JAPAN10年ぶりの復活ライブ「破壊の夜」を録画しようと思い、テレビ欄をチェックしたときの驚き。WOWOWがX復活ライブのために用意した時間は18時半~0時、なんと5時間半…これ、TBSが春と秋にやる感謝祭と同じじゃん。TBS感謝祭はタレントが大勢出演する企画満載の番組だけど、WOWOWには当然Xしか出ない。暴挙に出たなぁ。スケール違うなぁ、やっぱ。WOWOWで大物アーティストのライブを生中継するのはよくあることだけど(1997年、X解散ライブの一週間前に同じ東京ドームで行われたラルク復活ライブも生中継された。最高だった)、放送時間5時間半は凄い。サザン及び桑田佳祐クラス、いやそれ以上?やっぱ伝説のバンドなんだな…。
放送時間が5時間以上とはいっても、その間ずーっとライブが行われるなんてことはまずありえないだろう。Xのライブが定刻通り18時半に始まるなんて多分ファンですら誰も思ってない。「YOSHIKI待ち」で相当開演時間は押すに決まっている。いくらYOSHIKIでも今日のような超重要なライブに遅刻してくるとは思わないが(や、遅刻するかもな)、楽屋に篭って精神統一とかしてそうじゃない。で、ドアの前で大勢のスタッフが不安そうにスタンバってる、みたいな。百万が一「YOSHIKI待ち」が無くても、ファンが定刻通りに会場に入り切らずに時間が押すだろうしね。東京ドームライブならよくあること。昨年末のルナシー復活では、ファンの入場待ちで一時間近く押したらしい(本人確認が必要なVIP席へ案内するスタッフの手際が悪すぎたとのこと)。
まぁ開演は押すとして、それでもWOWOWの中継は定刻通りスタートするのである。開演待ちの間は、ライブが始まる前の緊張感に満たされたドームの様子、開演を待ち焦がれる熱いファン達の様子などが中継されたりするのかな?それはそれで面白い。で、20時過ぎても出て来なくて、5万人のファンがキレ出したらなお良い。何てったって放送時間は0時まで用意されている。仮にライブが2時間押しても、ライブの中継が尻切れトンボになることは無い…。
とにかく、遂に今日だ。hideのソロは好きだけどバンドにはあまり興味を持っていない私ですら録画してしまったわけだし(ていうかhideのパートSUGIZOがやるってマジ?2006年末から流れてた怪情報がマジに実現しちゃうわけ?)、世間の注目はかなり高いであろう復活ライブ「破壊の夜」。ヴィジュアル系の原点のようなバンドだが、それ以外のジャンルのアーティスト達も多かれ少なかれ影響受けてるようだし、「とりあえずバンドやってる奴は注目」みたいなライブだろう。関係者めちゃくちゃ多いだろうな。
それにしても、3月末という、プロ野球開幕シーズンに東京ドームを三日間押さえるって凄すぎるな。プロ野球開幕戦の時期に東京ドームで野球じゃないことやってるって珍しいかも。野球といえば、YOSHIKIの母校、安房高校選抜初出場(笑)!二回戦はダメだったけど、彼の母校が出るって聞いた時「YOSHIKI、運良すぎ…」と唖然とした。YOSHIKI先輩、1000万円寄附したそうで。ブラバンが「紅」を演奏してくれてて感動したそうで(「紅」は応援の定番だね)。X復活のタイミングで母校が選抜初出場。なにこのわけのわからないおめでたい感じ(笑)。スターは違うね、やっぱ。まぁとにかく楽しみ。感想は後日。

テレビのシンガー

2008-03-15 14:37:12 | 音楽
「最近、『あー、私と同じような人だ』って思ったのが中川翔子ちゃん。テレビ出てる時のあの浮き具合?周りからちょっと浮いてて、なんかテンパっててまばたきも多くて目も泳いでて、声がうわずっちゃってんの(中略)周りに気つかってて、言うこととかもすごい考えてて、その居心地悪そうにしてる感じが『あー同じだぁ』って。きっとこのコ、変な汗かいてるよって」

ラジオで宇多田ヒカルの新曲を初めて聴いた瞬間は、大体「あわわ、名曲だわこりゃ」と盛り上がる。でもテレビで本人が新曲を歌ってるのを聴くと、大体「歌いこなせないならそんな難しい曲作るなよ…」と盛り下がる。宇多田ヒカルの生歌、聴いてて本当にヒヤヒヤする。彼女の作る曲はメロディーを構成する音の一つ一つに高低差が異常にあり、そのおかげでありきたりではない、借り物ではないメロディーが、独自の浮遊感が生まれている。でもそれを完璧に歌い上げるのは本人すら難しいらしい。テレビで彼女が歌うのを見ながら、「次のフレーズ結構高いけど大丈夫か!?」と心配してしまう。切なく震えるあの声質は非常に魅力的だけど、他のアーティストに比べると安定感が無さ過ぎる。安心して見ていられない。昨日「これから宇多田が沢山テレビに出る、嬉しい」みたいな記事書いたけどさ…。
テレビで、こわばった表情で殆ど棒立ちで彼女が歌うのを見る度に、「この人にはエンターテイナーの血が殆ど流れてないんだなぁ…」と思う。素晴らしい音楽を作り続け、CDに作品として残す才能には恵まれてるけど、それを生でパフォーマンスする才能にはあまり恵まれていない。もちろん、彼女が披露した生歌の中には心を打たれたものもあったけど、やっぱり不安定な時が圧倒的に多い。
デビュー10周年を迎えても、常に地に足が着いていないかのような安定感の無い振る舞いは10年前と変わらない。歌だけでなく、トークの時もぎこちないままだ。多分、「音楽を作る」という本業以外での彼女は常に一般人と同じ感覚で生きているのだろう。一般人だから、何度MステやHEY!HEY!HEY!に出演してタモリやダウンタウンと共演しても、その絡みはぎこちない(唯一、うたばんで庶民派アイドルの中居君と喋ってる時は結構馴染んでいる気がする)。スタジオ裏でも「おい、一般人が紛れ込んでるぞ………あ、よく見ると宇多田さんじゃないか!」とスタッフに騒がれる事が少なくないらしい(本人談)。輝かしい実績の割にオーラが無いアーティスト、宇多田ヒカル。ミュージックステーションのような、一度に沢山のアーティストが出る番組などに出演してる時の宇多田の「その場に溶け込めてない感じ」。宇多田より全然キャリアの短いYUIとかの方が溶け込んでるもんなぁ、Mステに。もう何度も出てるハズなのにいまだに慣れないんだね…。
そのことは、本人も理解している様子。冒頭の言葉は音楽雑誌で、テレビ番組に出てる自分を自己分析した発言である。 宇多田が言うようにテレビに出てるしょこたんも本当に浮いている。挙動不審だ。キョドりすぎて行方不明の人を死人扱いするという失敗もしてしまった。個人的に、テレビ慣れした宇多田やしょこたんなんて見たくないから、適度にキョドったままで居てほしいとおもう。