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さんたろう日記

95歳、会津坂下町に住む「山太郎」さんたろうです。コンデジで楽しみながら残りの日々静かに生きようと思っています。

喜びも悲しみもプライドもあって生きる老い。

2012-09-30 | 日記


「あの人どうしてるかな」「ううん、この間お会いしたけどお元気そうでしたよ」 これはじじとばばちゃんの会話です。お互い惚けてあの人の名前がでて来ないんですよ。でもあの人は平田さんだということがよく分かって会話が成り立っているんですよ。「ボケもまた楽し」です

 その程度のボケですけど、うちのばばちゃんは足の痛みに不自由してることを理由に自分で飛び回って手続きをして、○○施設に週一度のディーサービスに通っています。

 大勢の老人達との仲間ができ、きれいな風呂で入浴し、おいしい昼食とおやつを食べ、足の痛みの治療のマッサージをしてもらい楽しんでいるようです。自己負担は10分の1、私は国と町に申しわけなく有り難いと思っています。

 帰って来るといろんな話をするんですよ。ばばちゃんの仲間には私の知っている方もいらっしゃるみたいです。

 もと、地方の中心校の校長さんで高い見識と行動力で多くの人の尊敬を集めていた方

 町の文化活動で俳画の会を主催しリーダーとして活躍なさっていた明るくて多才な方

 息子さんがもと大企業の幹部としてのお仕事をなされ、定年で退職後は某大学の講師として学生を指導なさっておられ、冬季は息子さんの家に同居し、雪のない春から秋は友人のたくさんいる会津に帰って独りの生活を楽しんでいらしゃる方

 私には輝いていてちょっと近寄りがたいようなお偉い方が、うちのばばちゃんのような者の仲間になってディーザービスに通っていらっしゃる、ちょっとさみしいような気もします。

 でも、話を聞けばそこにはいきいきしたいろんな生活があり、楽しい仲間が出来ているみたいなんですよ。

「俺のこと先生と呼ぶな、名前で呼べ」と言って今はすっかりうちのばばちゃんたちと同レベルでディーザービスを楽しんでいらっしゃる元中心校の校長さん、ばばちゃんと話が弾むんだそうです。

 少し惚けられて、一緒にやっているカードゲームについていけなくて並んでいるカードをめちゃめちゃにしてしまう、かつてはあんなに輝いて俳画の会を主催しておられた方、みんなに「昔のプライドが邪魔している」と言われていても、みんなで書や絵を描いて楽しいんでいるときにはすばらしい書や絵でみんなを感動させ尊敬を呼んでいらっしゃる方、それは当然のことだと思われますけど・・。

 
 そんなすばらしい皆さんが、私から見ると馬鹿らしくて幼稚な、たとえば室内でのゲートボールとか輪投げとかなどに一番になろうと熱中される。そしてそこにはやっぱり栄誉や失意やねたみやがあってそれなりに楽しいんだそうです。

 ちょっと惚けられ、または身体に障害のある方でも、ディーザービスの中では結構楽しいいきいきした生活、そして仲間があるみたいなんです。

 私はばばちゃんがディーサービスに行くとき、そして帰って来るとき、保護者として「お願いします」「ありがとうございました」と挨拶しなければならないことになっています。

 そのときお会いする施設のマイクロバスのなかの皆さんが明るい笑顔でばばちゃんを迎えてくださり、帰りには窓から手を振ってくださる姿をみて、ディーサービスのいろんな人の集まりのなかでもそれなりのいい仲間ができ、そして喜びや失意やねたみやがあるいきいきした生活があるんだなといつも思っているんです。

 そしてそれはそれなりにすばらしいことのように私には思えるんです。