さんたろう日記

95歳、会津坂下町に住む「山太郎」さんたろうです。コンデジで楽しみながら残りの日々静かに生きようと思っています。

寂しかった高齢者講習会、若者の消えた町

2012-01-20 | 日記
 私の生年月日は1927年(昭和2年)1月3日、85歳、運転免許をとって40数年、今年は免許証の書き換え年です。当然高齢者講習を受けなければなりません。

 認知症検査があるんだそうです。
 充分にボケてあきれ果てるほどの記憶力の減退・・パス出来るのかな。85歳の老人も少年のような不安と心配をしながら会津平和自動車学校を訪れました。

 結果は次の通りで安心しました。

反応動作の速さは良好です。複雑な場面での判断の速さも問題がありません。
総合判断 同年代との比較し優れている。30~50歳との比較し普通。ということです。

 若い綺麗な女の方においしいコーヒーなども出して頂きましたし、指導員の方も親切、自称75歳の老体も受講者仲間との会話も弾み講習は楽しかったですよ。

 でも、帰る時、すごく寂しく不安な気持ちで自動車学校をあとにしました。

 3年前の講習の時には受講者仲間が15人前後いて、同年配の友人もいてお互いのボケ具合を笑いあって賑やかでした。
 でも、今回はわずかに6人、それも70歳代の若い人ばかり、やむなく75歳と自称して仲間に入れてもらいました。

 私たちが車での実地講習を受けている間、広い教習場では大型車1台、大型除雪車1台が教習を受けているだけで普通車の教習は見当たりませんでした。3年前は一般車の教習も多く賑やかで気を配っての講習だったように思います。

 米作農家を中心とした私たちの町は、新しく免許を取る若者は3年間の間に激減してしまったんですね。
 
 かつては各家の農家には小型のトラクター、田植機、コンバインなどの耕作機械があって夫婦や家族が力を合わせて農作業をしていました。農村集落は子供や若者も多く賑やかでした。

 今は耕作機械は超大型で抗能率になっています。価格も一千万円近くするのではないでしょうか。小規模の農家にはもう耕作機械はありません。所有農地が2~3ヘクタールの農家はもう単なる小地主になって耕作は大型耕作機械を持つ人に委託栽培してもらっているのです。その上米価は下落し小規模農業は成り立たないのです。

 それに大型機械で数10ヘクタールもの耕作をしている方は各集落で2~3戸、奥さんが軽トラを運転してご主人が大型耕作機械で農作業をして経営していらっしゃるようです。しかも年齢は60歳前後の方が多いようです。

 もう、農村では人ではいらないのです。若者は町から出てゆき、農村の高齢化が激しく進んでいるのです。自動車学校の寂しい様子を見てそう思えてなりませんでした。

 TPPがあろうとなかろうと農村はまもなく大きな変動があって人口は激減してゆくような気がしてなりません。

 広い圃場には働く人姿は見えません。

 農村が疲弊し崩壊しても都市の企業が繁栄すればいいんじゃなかろうか。
 それは違うと思います。今まで農村で買ってくれた大型耕作機械、自動車、そのたもろもろの農村の大きな市場が崩壊します。スーパーもコンビニも生協もJAも農村から消えて老人ホームと葬祭センターだけが残ります。大きな農村の市場を失った国内の企業は衰退して海外に移転してしまうでしょう。

 美しい景観などと喜んでいた山間の棚田や千枚田は荒廃し雑木林になり集落は消えるでしょう。一部の特殊な所を除きボランティアさんの助力で山間の農業経営が成り立つはずがありません。

 気候変動で世界的な食料不足が到来したしたとき農村の崩壊した日本は生き残れるのだろうか、67年前の太平洋戦争終戦時を越える飢餓の惨状に苦しまなければならなくなるんじゃなかろうか。

 そんなことを考えながら、なんだか寂しく悲しい気持ちになって自動車学校を後にしました。