時計の読み方って、一度に色んな能力を使うんです。難しくて当たり前。
初めは、焦らずに「時」の針から読ませます。「短い針を読むんだよ。」皆さん、こう教えると思いますが、「短い」と「長い」が良くわからない子がいます。教科書などでは、短い針が大概太くなっていますので、子供の頭の中では「大きい針」と感じられるのかもしれません。
それから、「短い」という言葉を完全に聞き漏らしている子もいます。そういう子は、針の色で覚えたりするのですが、色は教具と教科書とで違う場合もあり、混乱の元です。だから、まず、そのお子さんがどちらの針を読むのかキチンと把握できているかどうかを確かめなくてはなりません。
その子にわかる言葉を使って、最初に見る針を探せるようにしてあげると良いと思うんです。見つけたら、混乱を避けるために、もう一本の針を指で押さえて見えなくしちゃうとか、自分で色を塗り分けさせるとか、本人がどこでも出来る、迷わない方法を作ります。
針を確実に捕まえられるようになったら、その針先を指でたどって、数字を読ませます。まず、ちょうどの時間から。これは、割合すんなりいくと思います。何度もやらせて、ここでしっかり自信をつけさせたいです。
次に、針が数字と数字の間にある時。これが難関。難しいこと説明すると、かえって混乱してしまう子が多いので、ルールだけを刷り込みます。「間にあったら、手前の数字」と、念仏みたいに唱えてやらせます。この段階で「だいたい何時?」なんていうのをやると、大混乱になるので、あえて触れません。
このルールが刷り込まれたら、ようやく「分」の針に進みます。
教科書には、分針ひと目盛ずつに、自分で数字を入れていくというところもあります。そういうのをしっかりやって、こちらの針は時計に書いてある数字ではなく、外に自分で書き入れた細かい数字を読むんだということを覚えてもらいます。
「分」が読めるようになるまで、練習問題を繰返します。わからなくて嫌にならないように、最初は、分の数字びっしり時計に書き込んだもので練習しても良いと思います。
その数字を、次の段階では5分置きのところに記入するようにしていきます。因みに、5とび数えは九九の練習にもなりますし、数直線の問題にも生かせますから、親子で、(ごぉ、じゅうぅ、じゅうご、にじゅう・・・)と、唱えながら記入することを、繰返してみるといいと思うんです。
「時」の時計を読むときの数字の外側に5、10,15と書いていきます。12時のところを、0にして、1時のところから5とびで数えるという事がわからず、12時のところから5,10。15とやる子がいますので、これも一緒に何度もやって刷り込みましょう。
数を数える時に、5の区切りを意識する事が出来るようになると少し楽なのですが、子どもによってはこれがなかなか出来ない子がいます。
時計読みがそのいいトレーニングにもなると思いますので、5とか、10から、6,7・・や11,12・・・と続けて読む練習もしていくといいです。苦手な子は、今指差している5のところを、6と読んだりします。
また、小さな目盛りを目だけで追うのが苦手な子もいます。指先だと混乱するので、鉛筆の先で一つづつ押さえるように言ってあげてもいいかもしれません。
そこそこ出来たら、あわせ技です。
まず、「時」から読むこと。次に「分」を読むこと。それが刷り込まれるまで、こちらで○時△分と書いておいて、○、△を埋めていく練習もしたらどうでしょう。
時を読んだら、すぐに○の数字を書く。分を読んだらすぐ△を書く。この方法だと、途中で忘れてストレスになる事が少なくて済みます。
私は短気なので、せっかく読めた「時」の針の数字を、「分」を読んでいる間に忘れられると、ものすごーーくイライラします。親のイライラを避けるのにも、スモールステップは大事です。
次の段階では、自分で「時」や「分」も書けるようにしきます。「時」とか「分」とか、大事な漢字だから、なんども練習して覚えちゃうと得ですからね。ただ、これも最初から書かせようとすると、「漢字を思い出す」に脳を使ってしまうので、まずは、手順を覚える事を優先させたほうが良いようにおもうんです。
これが出来て初めて、何時半の「半」を説明しますが、これもシンプルに「30分のことを半という」くらいの方がすんなり受け止めてくれるようです。特に言葉の弱い娘の場合、長々説明すると混乱して、かえって訳がわからなくなっていました。
死ぬほど、苦労しました。
seiさんの記事に出会っていれば。
あんなにバトルにならなかっただろうに。
私が教え技がないのが、問題か。