さんでんじです。

ブログで思いのまま、自分なりの感想も含めて、発信します。

1月24日 別府から、高知へ。その1

2007-01-29 19:54:49 | Weblog
昨日、3度目の夕食、数々出される料理のひとつに、小さな鍋ものだが、やっとだんご汁が登場した。初日はチゲ鍋。二日目はすき焼。素朴で決して贅沢な味わいではないが旨かった。これが初日に出ていたら、もっと印象は変わったろうに。仲居さんが、あまりお話をなさらないのですね、と言っていたけど、土地らしさが感じられなくて言葉がなかったから。それと今日の朝食の味噌汁はおいしかった。具に肉厚のしいたけが入っていて、香りが深く、味わいもどっしり。大分のしいたけは旨い。これも天ぷらに加えて欲しかったな。温泉も十分に堪能したし、概ね満足。妻も、同じ意見だった。

別府8時50分発のにちりん宮崎空港行きに乗車する。喫煙できる自由席に。30分に駅に入ったが、もうすでに列車は到着している。この駅が始発だったのだ。どうりて車内はガラン。私たちだけ。空いているんですね、と車掌さんに話しかけると、大分と延岡から混み出しますから、と。気さくそうな人。土地の人には何故か優しさ、親しみやすさを感じるから不思議。私たちは、佐伯で降り、そこからフェリーで宿毛に渡る。発車する頃には、5~6人が乗り込んでいた。

大分を過ぎ、市街地を抜けると日豊本線は単線となる。山あいを抜けて臼杵に到着。妻が窓の先を指さす。前はここから鉄道があったのかしら、と。その方向の駅の案内表示に、JR○○線の○○に白い紙が貼られている。廃線か。赤字路線の切り捨てで、また不便が生じて、人が去っていくのだろうか。その廃線跡を歩いてみたい気持ちになった。

津久見を過ぎて10時5分、佐伯に到着。フェリーの出航は11時。時間あるけど、どうする、と妻に言ったけど、結局は港に向かうことにする。フェリー乗り場も閑散としていた。それほど乗客は多くない。乗車待ちの自動車も5~6台だったから。やがて乗車の案内が出て、船に乗り込む。30数年前にこのフェリーで、宿毛から佐伯に渡ったことがある。学生時代だった。

汽笛が鳴り、窓からの風景が少しずつ動き出す。いよいよ出航、宿毛には14時に到着予定、3時間の船旅だ。南側の海は輝いている。黄金の海だ。かつて学生時代、須磨から垂水に向かう列車から、海沿いを見たときを思い出した。輝く海面の中で、小さな黒い影が揺らいでいる。漁に向かう漁船なのか。ここではその輝きを遮るものがない。ただただ、美しい。

しばらくして二人で甲板に出る。風はあるが寒くはない。いい天気だ。陸地から連なる半島が見える。漁船がフェリーを追い越していく。少しは揺れるが海は穏やかだ。九州がだんだんと遠ざかっていく。おいしかったよ。でも、もっとがんばれ別府温泉。がんばれ大分。いいところ、いっぱいあるんだから、もっとアピールしなきゃだめじゃん。

船室に戻りごろっと横になると、私たちはしばしの眠りについた。

1月23日 素敵でした、坂道の城下町。

2007-01-29 13:40:32 | Weblog
昨年の大分を訪れたときに、杵築の城下町、行ってみるといいですよ、と聞かされていたので、行くことにする。10時49分発の特急で杵築までひと駅。

駅舎前の木製の燈籠から、案内パンフレットを取り出し、杵築バスターミナル行のバスに乗り込む。料金190円。JR杵築駅付近ではまばらだった民家も、市街地に入ると住宅は密集している。駅と市の中心部は、結構離れているのだ。バスは、杵築地場の野菜、特産品、海産物などを販売している、ふるさと産業館近くのターミナルに到着。

妻と一緒に、パンフレットのイラスト地図をたよりに歩き出す。城山公園に差し掛かる。杵築城があるらしい。奥ははっきりと見えないが、おそらく階段があって城まで昇ることになるのだろう。妻は、私、行かないからね。と。階段が苦手なのだ。歩けばダイエットになるのに。

またしばらく歩くと、右手に白い土塀に挟まれた石畳の階段が見えた。勘定場の坂、とマップには書いてある。土壁の瓦屋根の向こうで梅がほころんでいる。他に観光客は、初老の夫婦が歩いているだけだ。静かだ。門の向こうに茅葺き屋根の屋敷が見える。落ち着いたたたずまい。妻は、この光景が気に入ったのか、この坂道にも文句は言わなかった。

しばらくそんな通りを歩いて、縁台が置いてある広場に出た。ここで座ってしばらく休憩。寒くもなく陽が降り注ぐ気持ちのいい観光日和だ。ここから遙か下まで石畳の階段が続き、道路が横切り、その向こうにも登りの坂が見える。向こうも高さはこちらと同じぐらいか。地図では、こちらが酢屋の坂。向こうは、志保屋の坂。この場所はいい景色が望める絶好の高台だ。地元の人だろうか。女性がゆっくりゆっくりと昇ってくる。こんにちわ、と軽く挨拶をかわすと子供たちの声のする方に行った。幼稚園があるのだ。こんな場所に。送り迎えは大変だな。

その酢屋の坂を降りる。妻は言う。下からだったら絶対昇ってないからね。でも、なんだかんだでこの高さにいるのだから。素敵な場所は、苦痛を吹き飛ばしてくれるらしい。坂の煙突の突き出た屋敷は、味噌屋だった。きっと、いい味噌だろうな。道路は整備のために一部工事中だった。今度は、志保屋の坂を登り、南台武家屋敷跡へたどり着く。妻の息が上がっている。ゆっくり歩くことにした。先ほど休んだ向こうの高台を見やると、ほぼ同じ高さだ。よくここまで昇ったものだ。

所々、更地や駐車場と化した土地もある。お寺の境内の一角には、大きく屋根瓦がずり落ちた屋敷。それぞれ長い年月を経て、維持も大変だろうと思う。なんとかこの風情だけは残して欲しい。飴屋の坂を下り、また新しい建物だろうか、周りと調和させた杵築市役所を見やりながら、また坂を上り北台を抜けて、番屋の坂に向かう。妻と、ここへ来てよかったね、と語り合う。ここの坂でガイドに伴われた7~8人の観光客に出会った。こんな素敵な場所、もっと人が来てもおかしくないのにね。じりじりと太陽の照りつける暑い夏の方が、かえってマッチするかも。などとも。

坂を降りて、一般道をバスターミナルに向かう。向こうから30人ぐらい集団が近づいてくる。ちょっと感じが違う。韓国からの旅行者だ。そういえば大分駅で、同じデザインで、色使いと文字だけを変えた3種類の観光ポスターが並べて貼ってあった。日本語、中国語、韓国語の3枚だった。九州は、そんな観光客が多いのだろう。ターミナルにたどり着くと、隣の駐車場に大きな観光バスが1台止まっていた。もっと日本の人にも、坂道の城下町、杵築へ来てもらいたいな。知って欲しいな。とにかく、素敵ですから。