迷宮映画館

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代行のススメ

2009年11月16日 | た行 日本映画
ムービー・フェスで、招待作品として、何本か上映された中の一本。「タスクフォース」は、時間の関係上見れなかったが、この一本が見たかった。この7月に亡くなった山田辰夫親分(なぜかあたしは、昔から辰夫親分なのだ)の遺作となってしまった。

冒頭がうまい。ちょっと前によくあった、酒飲んだ後に、平気で車を運転して帰る酔っ払いたち。そこに突撃して、「あなた、酒飲んでますよね!」と迫るリポーター。

最初は拒否する酔っ払いだが、説得に応じて、タクシーで帰ったという。そこでアナウンサーが一言「代行を進めます」!!!!!うまいなあ。

そして、一方で産休の代理教師をしていたカヨ。旦那ともわかれ、仕事も終わり。子供たちと万感迫る思いで別れようとしていても、担任の先生が帰ってくれば、おいしいとこはさらわれる・・・。

もう代理なんていや。何かの代わり、何かの代理なんてやだ。自分は何かになりたい!と思って、実家に帰るが、なんと実家の仕事は、その代わりの仕事の『代行屋』だった。

代わりはいやだと思っていたし、それは変わらない。何かになるべく奮闘することはとっても大事なことだ。でも、代わりが必要なこともある。代わりがなくてはならないこともあるし、それをただの代理なんだから~とは思わない。

親父の浮気やら、母との関係やら、なんかいろんなことが伝わってくる映画だった。代行屋のお手伝いをしている子供と別れなければならないとこなんかぐぐっと来てしまった。

ものすごい大事件が起きるわけでもないのだが、日常の中でおこるさまざまな悲喜こもごもがものすごくよくわかる。表し方のうまさが光る。

そして、何より見どころは、山田辰夫の最後の姿。「沈まぬ太陽」でお見かけしたが、こっちが最後の雄姿。雄姿と言う割には、とってもしょぼい親父の役だが、ぶきっちょで、とんがった感じが本当にうまい。

もともととんがってて、細身だったが、改めて見ると、やっぱやつれてかなあ。浮気なんかしてるとんでも親父だが、へたくそだった生き方が刻まれてきたような雰囲気が、見事に似合っている。つくづく惜しいなあ。

◎◎◎◎

「代行のススメ」

監督・脚本 山口智
出演 藤真美穂 山田辰夫 円城寺あや 矢柴俊博 佐藤貴広 高橋かすみ 志賀廣太郎 山中崇


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2 コメント

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おお (KLY)
2009-11-17 20:39:30
観られましたね!
すごく地味だけど良作だと思うんですが、さす
がに東京でも単館上映でしたし、あまり日の目
を観ないのが残念です。
代わりって実は自分の受け止め方次第かなって
思いました。必要とされているととるのか、そ
れとも単なる代役ととるのか。
でも父としては、どんな仕事でも必要とされて
いると思ってやっていただろうし、娘にもそれ
は解って欲しかったんだろうなぁなんて思いま
した。山田さん、ホントこの手の役にぴったり
の方です。不器用を絵に描いたような方ですよ
ね。貴重な方を失いました。
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>KLYさま (sakurai)
2009-11-19 22:31:57
見ましたあ。ものすごく観客は少なかったのですが、とってもよかったです。
そっか、東京でも地味に上映だったのですねぇ。
そうですねえ。
自分も病代とか、代わりの先生とかもやりましたが、だからってどうだ!というわけでもなく、今の自分の位置で、がんばろう!!と思ってやってたような。
気持ちの持ち方次第ですね。
「ブラック会社・・・」と、相通じるものを感じました。
代わりはいるかもしれないけど、自分の与えられたものは、懸命にやるべきだなあ、と。
山田の親分、惜しかったです。
合掌。
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